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夕立

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4部分:第四章


第四章

「話には聞いてましたけれど」
「こんなのだったんですね」
「焦らず落ち着いてよ」
 先輩は二人に教える。
「そうすればいいから」
「ゆっくりとなんですか」
「つまりは」
「そう。塗るようにしてよ」
 先輩は二人に丁寧に教える。
「これでわかったわね」
「はい、それじゃあ」
「そうします」
 こうしてだった。二人は先輩に教えてもらったようにフォンデュを作った。そうしてみると上手にできた。そしてそれを食べるのであった。
 そんなことをしながら飲み食いをしてだ。ふと外を見ると。
「止んだね」
「そうね」
 雨が止んだ。ここでだ。
「じゃあ帰る?」
「そうする?」
 林檎は真理耶のその言葉に応えた。
「結構食べたしね」
「それじゃあね」
 それで帰ろうと立ってだ。カウンターに向かう。
 するとそこには先輩がいた。そこから二人に言ってきた。
「お勘定ね」
「はい、御願いします」
「これで」
「いいのね」
 先輩は二人を見据えてからこう述べた。
「それで」
「それでって?」
「もう雨止みましたし」
「外を見てみれば?」
 先輩はここでこう言うのであった。
「外をね」
「だから止んでますって」
「私達だって今さっき外を見ましたから」
「男心と天気」
 先輩はこんな言葉を出してきた。
「風の中の羽根の様なものよ」
「それってどういうことですか?」
「どういう意味なんですか?」
「すぐに変わるもの」
 そういう意味だというのだ。
「はい、それで外を見てみて」
「外って」
「まさか」
 そのまさかであった。外はだ。土砂降りになっていた。
 その十メートル先も見えないような土砂降りを見てだ。二人はうんざりとした顔になって述べた。
「今さっき止んでたのに」
「何でなのよ」
「だから天気は変わりやすいの」
 先輩はまた二人に話した。
「そういうことなのよ」
「そんな、じゃあ」
「今出たら」
「お勘定はまだしていないし」
 先輩はここでもクールに言った。今度は指摘である。
「どうするの、それで」
「お店に残るかどうかですよね」
「つまりは」
「そうよ。どうするの」
 また二人に対して問う。
「それで」
「残ります」
「また飲んで食べさせてもらいます」
 二人は少しがっかりとして答えた。
「仕方ないですよね」
「これじゃあ」
「もっと飲み食いできると思って喜びなさい」 
 相変わらず冷めている。その目までもだ。
 
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