歌集「春雪花」
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
174
心弱り
日も弱々し
冬空の
想い儚く
凍みし風かな
会えない彼を想う…いつもいつも、寂しさに堪えるだけの毎日…。
冬の夕暮れは一際寂しく、世界が蒼白く感じるのは…私だけだろうか?
そんな寒々とした風景を前に、自分の彼を愛するこの想いは儚く…凍てつく風が私を打ち付ける…。
凍みし夜の
吹雪て掠る
月影の
眺むや痛む
恋心かな
底冷えのする真冬の深夜…吹雪く風は戸を叩き、寒さを際立たせる。
その中でふと空を見上げれば、雲間にうっすらと月明かりが洩れていた…。
月は確かにそこにある…そう、彼がこの世界…この時間に生きていると同じように…。
まるで会えない彼のように…月も微かな明かりだけを落とし、薄い雪雲の上に隠れている…。
そんな月にさえ胸を痛めるとは…これが恋心と言うものなのかも知れない…。
ページ上へ戻る