魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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第33話 スカさん家の日常
『と言うことだ、後の戦闘機人の開発は取り敢えずクレイン・アルゲイルに一任する』
「そうですか。なら我々はどうしますか?」
『別にどうとするつもりはない。奴が失敗した時の保険としてお前が必要だからな。普段通り好きに研究していればよい』
「分かりました」
『では』
通信が切れ、スカリエッティは椅子に深く沈む。
「お疲れ様です、ドクター」
「全く、老人たちには本当に困ったものだ………」
飲み物を持ってきたウーノに愚痴るスカリエッティ。
「あの魔力吸収する戦闘機人が気に入ったみたいだね」
そう言ってその時のデータを表示する。
「しかし、厄介なものを作ったものだよ彼は………」
スカリエッティには珍しい怒りを込めた呟きだった………
「いやっほ〜!!」
「ウェンディー!!」
ここは訓練場。
今はノーヴェとウェンディが戦闘している。
「波に乗れ!!」
「ちょこまかと!!」
展開したエアライナーを走りながらガンシューターを放つノーヴェ。
「甘いっス!!」
それをエリアルボードの切り返しで器用に避けるウェンディ。
「今私、風になってるっス!」
「訳わからない事言ってるな!!っていうか避けるなって!!」
「嫌っスよ痛いのなんて」
「ねぇ、トーレお姉さま」
「何だクアットロ」
「訓練相手間違ってない?」
「と言われても、ウェンディは私とは訓練したがらないのだ………」
2人の戦いをモニター室で見ていたトーレとクアットロが呟いた。
「もう遊びはこれまでっス!行くっスよ〜!!」
ウェンディは高々と波に乗っているように上がっていく。そして………
「カットバックドロップターン!!」
そのまま急降下した。
「な、何!?」
その突撃をガンナックルで受け止めるノーヴェ。
「グッ、まだまだ!!」
「もう詰みっスよ、エリアルショット」
「えっ!?そんなの無しだろ!?」
既にガードしているため、モロに食らうノーヴェ。
ダメージの衝撃で自身のエアライナーから落っこちた。
「いえ〜い、私の勝ちっス!!私が最強っス!!」
「ほお、それは聞捨てならないな。次は私が相手だ」
訓練室に入ってきたトーレが呟いた。
「いえいえ、私みたいな戦闘力5のゴミがトーレ姉の相手なんか務まらないっスよ。相手なら砲撃ぶっぱなすディエチ姉なんてどうっスか?」
「ディエチちゃんは今調整中です」
その後から入ってきた、クアットロが言う。
「クア姉………相変わらずのドSっぷりっスね。なんスかそのタイミングの良さ。だからシスターズでも人気が低いんスよ」
「……………いつそんなのやったのかしら?」
「この前っス。ちなみに一位はチンク姉です」
「何で、ここにいないチンクちゃんが………」
「チンク姉は永遠のロリータっスから………」
「絶対違うと思うぞ………」
トーレのツッコミもウェンディには届かない。
「大体、クア姉は心が黒いです、真っ黒です。なので体もばっちいです!!」
「なんですって!?私はドクターと違って毎日洗浄してます!!」
「ノーヴェ、聞いたっスか?洗浄て言ったっスよ。洗濯物と一緒っスね〜」
「あんたも入っているでしょうが!!」
「私はお風呂っスよ〜。ドクターに作って貰ったっス」
「お風呂!?」
「ごめんなさい、クア姉。私もお風呂に入ってるんだ」
「ノーヴェちゃん!?」
「すまん、私もだ………」
「トーレお姉さま!?」
「ちなみにセインもっスよ」
「何で!?私聞かされてないんだけど………」
「言ってないからっス」
「ウェンディ!!!」
「へへ〜ん、悔しかったらこっちに来るっス〜」
怒ったクアットロがウェンディに近づくが、ライディングボードに乗り、空に逃げるウェンディ。
「トーレお姉さま、ウェンディが空に上がりましたよ」
「助かった、これでウェンディとちゃんと訓練が出来る」
「はっ!?謀ったっスね!?」
「私に勝つなんてまだまだ甘いわよ」
そう言いながらも拳はプルプル震えていた。
「さて、やるか」
「来るな、戦闘狂!!」
ウェンディにとって地獄の時間が始まったのだった………
「痛いっス…………」
「明らかに自業自得だろ………」
痛がってるウェンディに冷たく突っ込むノーヴェ。
トーレにボコされてから二人は汗を流すため、お風呂に入っていた。
このお風呂はウェンディがこだわり、大浴場のように広く、大人数でも入れるようにしている。
しかも、水風呂、サウナも完備している。
「流石ドクターっスよね。教えただけでここまで作ってくれたんスから」
「…………ウェンディの我侭だろうが」
実はウェンディ、ウーノのお気に入りとなっている。
その理由はお寿司の件もあるが、妹の中で一番甘えてくるのが大きい。
なので一番ウェンディを甘やかしてる。
さっきの戦闘も、クアットロが仕組んでトーレにボコボコにされたとチクリ、今クアットロはウーノから説教を受けている。
「ウーノ姉が賛成してくれたから良かったものの、味方してくれなかったら、どうなっていたか………」
このお風呂の建造の時もスカリエッティは忙しく作っている暇が無かったのだが、ウーノのおはなし(説得)によって、死ぬ思いでスカリエッティが一日で作り上げた。
その後、スカリエッティは一日中寝ていたらしい…………
「せっかくならウーノ姉も誘っとけば良かったっス………」
上記の理由もあり、ウェンディはウーノの事が大好きなのである。
「ウェンディ、ノーヴェ〜!!」
「セイン………とトーレ姉!?」
「迷惑だったか?ノーヴェ」
お風呂の扉が開き、入って来たのはセインとトーレだった。
「いや、そんなことは………」
「私もたまには妹達とゆっくりと風呂に入りながら話たいと思ってな」
体をお湯で流し、風呂に入る、セインとトーレ。
「あ〜気持ちいい………」
「本当だな。お前たちはあっちで毎日味わっていたのだろう?」
「そうっスよ〜。こっちより全然狭かったっスけど」
「ライと入った時はキツキツで大変だったな〜」
「ライ姉はおっぱい大きいっスから。トーレ姉といい勝負なんじゃないんスか?」
そう言って、堂々と前からトーレの胸を揉むウェンディ。
「ん?胸など大きいほど邪魔になるだけではないか?」
「……………トーレ姉、女としてそれはどうかと思うよ」
「だがセイン、我々は戦闘機人だ。性別は女だが、女である必要なんてないだろ」
その言葉を聞いて一気に雰囲気が暗くなる。
「そうだよな………やっぱり私達は戦闘機人………」
「普通の人とは違うんだよね………」
「レイ兄達は肯定してくれたっスけど、その事実はやっぱり変わらないんスよね………」
ハァとため息を付く3人。
「やはりお前らは変わったな…………」
そんな3人の様子を見て、しみじみと呟くトーレ。
「出て行く前と帰ってきた時のお前たちはまるで違う。本当に感情豊かになった。ウェンディは元から変わらないが………こんな事を言うとクアットロに怒られそうだが、人間らしくなったよ」
「そう………かな?」
少し照れくさそうに言うセイン。
「というより、このラボ全体の雰囲気っが明るくなったような気がするな。ウーノは前よりも柔らかくなったような気がするし、クアットロは心から感情を露にするようになったと思う。ディエチも前よりは柔らかくしゃべるようになった。何より、ドクターが別人のように感じるようになった」
「ああ、分かります。前より不気味じゃなくなった気がします」
「変な笑い方しなくなったしな」
「そうっスか?相変わらずの臭いと汚さっス」
「そこは触れていなかっただろうが………」
トーレから拳骨を食らうウェンディ。
「ううっ、頭がパーになるっス」
「お前は元々パーだろうが」
「黙れ貧乳」
「おまっ!?姉に向かって!!」
「そうだよ!!貧乳馬鹿にするな!!」
「負け犬が何をほざいてるかっス!!私はトーレ姉のように大きくなるから問題ないっスけど」
「違うね、ウェンディは今のままでストップだよきっと!」
「そうだな、頭もこのままだろうしな」
「そんなことないっス、レイ兄にもんでもらって大きくなったんスから」
「レイはそんなことしたの!?」
「アイツ今度あったらただじゃおかない………」
いつの間にかとばっちりにあっている零治はともかく、ギャーギャー風呂で騒いでいる妹3人。
「ふっ、なぜだろうな。こんな風呂も悪い気がしない………」
トーレは3人の喧嘩を優しい眼差しで眺めていた。
「ディエチちゃん、手伝って欲しい事があるの………」
調整が終わったディチエにいの一番に声をかけたクアットロ。
「ウェンディちゃんを懲らしめたいから、手伝って欲しいの」
「ごめんクアットロ。私、この調整の時の臭いが嫌いだからお風呂入ってくるね」
クアットロを避け、お風呂に向かうディエチ。
しばらく固まるクアットロ。
「私ってやっぱり嫌われてる?」
クアットロの悲しい呟きに返事をするものはいなかった………
「ふぅ〜いい湯だったっス………」
「さっぱりした〜」
「ドライヤー、ドライヤー」
さっさと服に着替えたノーヴェは、鏡の前で髪を乾かし始めた。
3人によって、ナンバーズも各自自分の服を着るようになった。
クアットロだけはまだ、あのボディスーツを着ているが、他のナンバーズは訓練以外着ていない。
ガラガラガラガラ……………
「あっ、ディエチ。調整終わったの?」
「うん、だからお風呂に入りにきたの」
「だったら、トーレ姉お願いっス。相変わらず長湯してるんスよ…………」
トーレの風呂は長い。たまに風呂でお酒を飲んだり、サウナに入り水風呂に入るこのローテーションが好きだったりする。なので基本一人で入るトーレだが、度々遭遇するのだ。
トーレは一回フェリアが送ってきたお酒を飲んでからお酒にハマってしまった。
たまに自分で買いに行ったりもする。
「分かったよ」
着ている物を脱ぎ始めるディエチ。
「ムムム………負けたっス………」
「ディエチは胸大きいよね。いいな、いいな………」
ブツブツ言いながらディエチの胸を凝視するセイン。
「レイ兄もその胸なら、らくらく落とせるっスよ」
「レ、レイはそんな簡単に………」
「それにライがいるからな。上には上がいるだろ」
「恥ずかしいからあまり見ないで欲しい」
少し頬を赤く染めぼそぼそと言った。
「あっごめん………」
「良いよ、じゃあ私、入るね」
少し焦った様子で風呂に入って行った。
「慌てたディエチ姉も可愛いっスね〜」
「変な目で見てんな!!」
ノーヴェの投げたドライヤーをウェンディは頭で受け止めた。
「ウーノ姉!!」
風呂から上がった三人は書類を持っているウーノと出くわした。
「どうしたのウェンディ?慌てちゃって」
「ウーノ姉の姿が見れて嬉しくなったっス!!」
「ものこの子ったら………」
そう言いながらも顔がほころんでいるウーノ。
「ウーノ姉、ドクターは?」
「今無理やり洗浄させて、休ませたわ。全く老人たちときたら………」
「何かあったの?」
ウーノの険しい顔に、ノーヴェは心配そうに聞いた。
「そんなに心配そうな顔しなくても大丈夫よ、問題ないわ。それよりみんなでお菓子でも食べましょ」
「わーい、やったっス〜!!」
バンザイしてはしゃぐウェンディ。
「フフフ、可愛い子ね………」
「本当ウーノ姉の前だとキャラ変わっちゃうんだから………」
ウェンディの様子を見てセインは呟いた。
『ドクター、今回の休日を利用して一回アジトに帰ろうと思います。なので妹達からお土産は何がいいか
聞いておいてもらえませんか?』
「皆、ちょっと集まってくれ」
スカリエッティの声に皆が集まった。
「チンクが一旦帰ってくるのに、お土産は何が良いと聞いてきたんだが、皆欲しいものが何かあるか?」
「では、私はお寿司を………」
ウーノが一番始めに言う。
「では、私は日本酒と言うのを飲んでみたい」
すっかりお酒好きのトーレ。
「なら私はまた翠屋のケーキが食べたいですわ」
ケーキを頼むクアットロ。
「なら私は………」
「私はPSPとモンバス!!」
「私もそれで!!」
「私もっス!!」
ディエチが頼もうとしたときに、3人娘が割り込みで言った。
「モンバス?」
「モンスターバスターっス。あっちの世界だとバカ売れしてるハンティングゲームっス」
ウーノの疑問にウェンディが説明する。
ミッドにもPSPに似たものがあるのだが、地球にある物の方がクオリティが高く。3人にはつまらなかった。
「ディエチは何かあるかい?」
「えっと…………」
迷うディエチ。
しばらくして……………
「地球にあるアクセサリーが欲しい」
「ふむ、そんなことでいいのか?」
「うん、あっちの世界のことよく知らないから………」
「分かった、チンクにはそう返事をしておこう。皆、それぞれやっていたことに戻ってくれ」
この後、スカリエッティはチンクに返事を書いたのだった。
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