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ロックマンゼロ~救世主達~

作者:setuna
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第30話 新たな物語

 
前書き
レジスタンスベースに帰還したゼロとルイン。 

 
レジスタンスベースの司令室にいるオペレーターの二人が端末を操作する。

「転送完了まで…2…1…転送!!」

宇宙船から戻ってきたゼロとルインが司令室のトランスサーバーに出現した。

「お疲れ様でした」

二人に労いの言葉をかけ、オペレーターの二人は作業に戻る。

オメガと戦った二人の無事な姿を見て、シエルは安堵したが、次の瞬間、悲しそうな表情でゼロとルインに歩み寄る。

「どうしたらいいんだろう……私……」

「私達がやるべきことは、ダークエルフをネオ・アルカディアに渡さないことだと思う。あいつらが加わったことでネオ・アルカディアで何かが起こりそうな気がするしね」

「そうだな…ダークエルフをネオ・アルカディアに渡すわけにはいかん。後はネオ・アルカディアの動きにも警戒するべきだ」

バイルとオメガを無視する訳にはいかないし、今のコピーエックスも何かがおかしい。

あのコピーエックスからは自分の意思という物があまり感じられなかった。

「ダークエルフ捜索を最優先として……今後我々が取るべき行動をシミュレートしてみます。結果が分かり次第、シエルさんに報告しますね」

「シエルさん、元気出して下さい。今までだって、何とかなったじゃないですか!!」

「そうですよ…。僕達、シエルさんやゼロさんやルインさんのこと信頼してますから!!」

シエルと共に帰還していたレジスタンス兵の二人が励ましの言葉を言う。

「あ…ありがとう、みんな………。」

シエルが二人のレジスタンス兵に礼を言うと、二人は自分達の持ち場に戻った。

「シミュレーションの結果が出るまでまだ時間がかかるみたい…またゼロとルインに…色々お願いしなければいけなくなると思うの……。それまで…少しだけでも体を休めて…もらえるかしら」

「うん、分かった。」

「あ、そうだわゼロ。セルヴォがゼロの武器の修理が終わったようなの。良かったらセルヴォの所にも行って貰えないかしら?もしかしたらルインの強化パーツも造っているかもしれないし」

「…分かった」

「うん、行ってみるね」

司令室を後にして、セルヴォから修理に預けていた武器を返してもらいに行く。

司令室を出て、セルヴォのいる研究室に向かう二人。

途中で子猫がすり寄ってきたが、頭を軽く撫でて手を振った。

最近、レジスタンスベースに子猫達が入り込んでおり、最初は追い出そうとしていたのだが、アルエットが猛反対したことで子猫達を受け入れたのだ。

レジスタンスのメンバー達が世話することになり、今やかなりの数の子猫がレジスタンスベースで暮らしている。

可愛い動物のおかげで心が和やかになったりしているので、ある意味精神的に良かったようだ。

以前よりも賑やかになり、通路に花や植木などの緑が増え始め、壁にはゼロやルイン達を間抜けっぽく描いた落書き等もあり、以前と比べてベース内が明るくなった気がする。

ゼロとルインはセルヴォの部屋に入った。

「おお!ゼロ!!ルイン!!二人共無事だったか!!話は聞いたぞ。せっかく新エネルギーが完成したというのに、和平どころじゃなくなったな…尤も、そう簡単に平和が来るとも…考えていなかったがな……それはそうと新しい武器について何だが、たった今、リコイルロッドが完成したところだ。それにシールドブーメランも修理しておいたぞ!持って行きなさい!!」

新武器とシールドブーメランのチップを手渡され、それをセイバーに組み込むゼロ。

新武器を展開しながら、ゼロは使い勝手を確かめる。

「リコイルロッドはチャージした時に真価を発揮する武器だ。敵を吹き飛ばしたり、地面に当てると通常より高くジャンプ出来たり…かつてゼロが使ったトリプルロッドやチェーンロッドの反省点を活かした物だ。残念ながらルインの武器は開発出来なかった。すまない…」

「気にしなくて良いよセルヴォ。気持ちだけで充分だよ」

自身の武器を見遣りながらそう言うルインだが、次の瞬間にベース内で放送が流された。

『ゼロさん、ルインさん…。至急、司令室までお越し下さい…』

「ん?二人共…呼んどるようだぞ」

二人が研究室を立ち去る時、ゼロが口を開いた。

「リコイルロッド……使いやすそうだ。感謝する…。」

そう言ってゼロはルインと共に研究室を後にした。

「シエルにはまだ……世界は、重過ぎる……支えてやってくれ。ゼロ…ルイン…」

世界を背負うにはシエルはまだあまりにも幼いため、ゼロとルインにはシエルを支えて欲しいと望むセルヴォ。

セルヴォの研究室を後にして、司令室に戻った二人。

「待たせちゃったわね二人共…。準備は良い?私達に出来ることを色々な情報を基にシミュレートして…その結果をミッションの形で提案してもらったの…まず二つは…ダークエルフをネオ・アルカディアに渡さないためのミッション…。残り二つは…ネオ・アルカディアからみんなを守るために行うネオ・アルカディアへのゲリラ攻撃ミッション…………ゼロ…ルイン…私達……戦うしかないのかな…。」

「シエル?」

「………」

「折角、新エネルギーが開発出来て……これでようやく……世界が平和になると思ったのに……まだ…戦い続けるしかないって言うの………」

新エネルギーが完成したのも束の間、再び戦いが始まるという事実がシエルを苦しませる。

「シエル……。お前に出来ることはもう充分やっている……。お前は、一人じゃない。後は俺達に任せろ」

「ゼロの言う通りだよシエル。何でも一人で抱え込んだりしないで。私達は仲間なんだから」

「ゼ…ゼロ……ルイン……」

いつも傍にいて、自分を励ましてくれるゼロとルイン。

シエルにとって、ゼロとルインはもう欠かせない存在になっている。

「取り乱しちゃってごめんなさい二人共…また、誰かが傷つくのかと思うと…私…目の前が真っ暗になっちゃって…。でも…まだ他のやり方が見つかるかもしれない……。私は、諦めないわ!!みんなが幸せに生きられる世界を…。また二人に迷惑をかけてしまうかもしれないけど…。人間とレプリロイドが共存出来るその日まで、二人の力を貸して欲しいの」

かつてコピーエックスを造ってしまったせいで、レプリロイドにとって地獄のような世界にしてしまった。

コピーエックスが蘇り、また同じことになってしまうのかと不安になるシエルだが、今の自分の傍にはゼロやルインがいてくれる。

弱音を聞いてくれる二人の存在はシエルにとって救いであった。

「ゼロさん、ルインさん。いつでも行けます……。ミッションを選択しますか?」

「うん」

「では、選択出来るミッションを表示します。」

「ついでにそのエリアで一番高いエネルギー反応を持つレプリロイドの画像もお願い」

「了解。各エリアの高エネルギー反応のレプリロイドを表示します。」

ルージュとジョーヌが端末を操作してモニターに各エリアと、そこにいる高エネルギー反応のレプリロイドを表示する。


ボス:ブレイジン・フリザード

エリア:アグニス火山の基地

ミッション:ネオ・アルカディア軍偵察


ボス:チルドレ・イナラビッタ

エリア:海上のハイウェイ跡地

ミッション:ダークエルフ反応の確認


ボス:ヘルバット・シルト

エリア:兵器再生工場

ミッション:工場の破壊


ボス:テスタンツ・マンティスク

エリア:旧居住区

ミッション:ダークエルフの調査


これらが今、自分達に出来るミッション。

ゼロとルインはモニターを見つめ、どこに向かうかを考えていた。











おまけ

今日はホワイトデーなので、ホワイトデー話。

とある某所にて、エックスとゼロが会話をしていた。

「ゼロ…君はシエルからチョコを貰ったよね?」

「ん?ああ、美味かったぞ。」

「ルインからも義理チョコを貰ったよね?」

「そうだが、それがどうした?」

「ゼロ、明日はバレンタインのお返しをするホワイトデーと呼ばれる日なんだ。」

「お返し?」

「うん、チョコを貰った相手にクッキーやキャンディー、マシュマロ等のお菓子とかをあげるんだよ。ホワイトデーに渡すお菓子と言えばクッキーだね。僕、作り方知っているから一緒に作ろう」

そして一時間後。

「…………」

ハルピュイアは今、自分が置かれている状況をイマイチ理解出来なかった。

某所にいたハルピュイアは突然エックスから呼び出されたので緊急の用件かと思いきや、いきなり簡易的なキッチンの前に立たされ、右隣にゼロとエックス、左隣にファーブニルとファントムという状況になっていた。

「何故こうなった…?」

「俺が聞きたい」

それはゼロも同意見だ。

エックスに連れてこられた先には、ハルピュイア、ファーブニル、ファントムがいたのだから。

「君達もルインとレヴィアタンにチョコを貰ったじゃないか。ちゃんとお返しをしなきゃ」

「レヴィアタンにもですか…」

激苦チョコを貰ったハルピュイアは渋面だ。

「あー、俺クッキーとか作ったことねえんだけど。大体ルインとレヴィアタンは戦闘型なんだから戦えばいい…ぐはっ!?」

次の瞬間、ファーブニルが一瞬でエックスに踏み潰された。

「ファーブニル、お主は少し場の空気を読むことを学ぶべきだ」

「よし、僕はクッキーを作るとするよ。君達はどうする?」

ファントムが仮面越しに潰されたファーブニルに呆れた視線を寄越し、踏み潰したエックスが満面の笑みでハルピュイアとゼロとファントムに尋ねる。

「お、俺はレヴィアタンにはマシュマロを…ルインには…ケーキでも…」

「……菓子作りはしたことがない。クッキーの作り方を教えろ」

主の暴力にハルピュイアは顔を引き攣らせ、ゼロは親友に呆れながらもエックスと一緒にクッキーを作ることにした。

「ファントム、君は?」

「拙者は少し試してみたいことがありますので、少々一人にさせて頂きたいのですが…」

「分かった、じゃあまた後でね」

数時間後。

「こんな物か…」

「初めてにしては上出来だよゼロ。」

クッキーをラッピングすると、ハルピュイアの方を見遣る。

レヴィアタンにはバレンタインで受け取った激苦チョコを仕込んだマシュマロ、ルインにはホワイトチョコレートケーキを渡すようだ。

「ハルピュイア…四天王を辞めてパティシエを目指した方がいいんじゃないのかい?」

ハルピュイア「エ…エックス様…流石にそれは…」

因みにファーブニルは気絶したままなので、クッキーの余りを渡させることにした。

そして、それぞれがホワイトデー当日。

バレンタインのお返しを渡す。

「うわあ、美味しそう。ありがとうみんな」

「ありがとうゼロ…凄く嬉しいわ」

「ちょっとキザ坊や!?このマシュマロ滅茶苦茶苦いんだけど!?あんたまさか……」

「ふん、俺は先月その苦さをまともに味わったんだ。マシュマロがあるだけ感謝しろ」

実際砂糖なしではまともに食べられる代物ではなかったから、マシュマロに包んであるだけ有り難いと思って欲しい。

「因みにファントムは?」

「あ、ファントムからも早朝に貰ったよ。和菓子のねりきり、凄く可愛かったよ」

そしてエックスに見せるルイン。

ファントムのお返しは和菓子のねりきりであり、花などを象った女性受けしそうな可愛らしい物であった。

こうしてゼロ達のホワイトデーは一応終わった。 
 

 
後書き
この話も終了、おまけ見直したら何か足りないと思ったらファントムを忘れてた… 
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