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戦国異伝

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第二百三十九話 伊賀攻めその四

「まだ」
「左様か、ではな」
「このまま攻めて」
「倒していけ、そして死んだ者もじゃ」
 倒した魔界衆の者達もというのだ。
「見るのじゃ」
「その骸も」
「うむ、おそらくじゃが」
「その骸は」
「多くは傀儡じゃ」
 人のものではなく、というのだ。
「後は式神じゃな」
「闇の術の式神ですか」
 ここで言ったのは信行だった。
「陰陽道の」
「若し式神があるとな」
 それならとも言う信長だった。
「高田もいるということじゃ」
「あの公卿でもあった」
「まあおるじゃろうがな」
 その高田もだ、この百地の里にというのだ。
「見付ければ討ち取るのじゃ」
「あの者も」
「降れば許しもするがそうした者はおるまい」
 信長は目を鋭くさせてこうも言った。
「ならばな」
「一人残らずですな」
「倒す」
 今度は一言で言った信長だった。
「そうするしかない」
「では」
「一向宗との戦の時と同じじゃ」
 その時の彼等との戦、というのだ。
「倒していくぞ」
「わかりました、それでは」
「このまま攻めよ」
 信長の軍配が動いた、そうしてだった。
 軍勢はそのまま包囲の輪を狭めていった、ゆっくりとではあるが確実に。確かに傷つき倒れる者もいるがだ。
「傷を負った者は下がらせよ」
「無理はさせるな」
 こう指示が下るのだった。
「手当を受けよ」
「そして飯も食え」
「休むことも忘れるでない」
 こう告げてだった、兵達は傷ついたなら手当を受けてだった。飯も喰い休みもした。そうして無理をせず戦いだった。
 魔界衆の者達を倒していった、そして。
 それでだ、魔界衆の者達はだった。
 その状況を見てだ、こう言うのだった。
「まずいな」
「うむ、この状況はな」
「伊賀ではこれ以上な」
「戦っても意味がない」
「どうにもな」
「やられるだけじゃ」
 それでだった、そうしたことを話してだった。
 老人の声もだ、こう言ったのだった。
「ではな」
「これ以上の戦はですな」
「諦め」
「そして、ですな」
「あの場所で戦いますか」
「そうしますか」
 こう話すのだった、そしてだった。
 老人の声はだ、彼等に話した。
「ではな」
「はい、それでは」
「式神や傀儡だけを残し」
「人はですな」
「退かせますな」
「そうするとしよう、道はまだある」
 それでその道を通ってというのだ。
「行くぞ」
「さすれば」
「その様に」
 周りも応えてだった。 
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