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SAO〜裏と 表と 猟犬と 鼠

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第7話 商会と棺桶

 
前書き
どもども久しぶりでございます(´▽`;) '`'`
作者でございます...。
久々の投稿ですが...読者様もいないでありましょう...。
これから投稿再開としますので!
 

 

商会のギルド本部。

そこでは、10人の男女が少し広めの会議室で、テーブルを囲み着席していた。

そして、ずっと黙っていた男、プレイヤー名oomineこと商会のトップ、通称ミネが口を開いた。

「さて、何故今、全員を招集したか…についてだが、先ほど、黒鉄宮に行ってきた。そして5人の死亡を確認した。それについてだが…」

そして、細身の男がオズオズと立ち上がる。

「え〜っと…あのですね…ここからは私が…。先日、商人達を…その…襲ったのはとあるオレンジギルドの可能性が…それで…普通パーティーは6人なんですが…」

「ケビン。すまんが俺がするわ。俺は5日前、とあるオレンジギルドを調べていた。そこで妙に統率されたオレンジギルドを見つけた。パーティーは普通6人だが、5名が死亡、1名が脱退による音信不通。これについてはどう思う?」

ギルドのトップ、ミネがその場の全員に問いかけると、細剣を弄っていたチャラい男が、細剣を抜く。

「タイミングが良すぎるっすね。それに、最近その手の依頼が結構あるんっすよ。正体不明のオレンジギルドを探してくれ〜っとか。」

「ソレならさっきも情報を売った所ダゾ。」

「奴らはまだ表沙汰になりたくはないのか、ギルド名やプレイヤー名を伏せて会話をしていた。だが、トップや幹部達の特徴はおさえてある。」

「商長あんた…まさかあの連中を調査したのかい?あたいとこの馬鹿で何回か試みたんだけど、少し硬すぎてあたいらじゃ無理だったわ。」

ふむ...カルテル...シルバペアが無理だったとすると、もしかしてだが俺が潜入時に既にマークされていた可能性がある...。だがそうするとなぜ俺を逃がした?あの人数なら俺でも恐らく簡単に捕まえれたはず...。

「あぁ...確かに難しかった...どうやら俺はヘマをしたようだ。」

「ミネに限ってヘマ?珍しい事もあるものダナ?デ、何したンダ?」

「潜入時に…バレた…という事か…」


前髪が鼻まである瞳の見えないプレイヤー…ハスキがここに来て初めて口を開く。

「そういう事だ。そして、俺の考えが正しければ、奴らは俺が奴らに人員を送り込んだと同様、こちらにも間者を送ってきていた...が、正体不明では無くなってしまった。俺自らが潜り込んだ事によってな。そして、相手は俺ら商会に対して、分が悪いと思い、戦力を削りつつ間者を撤退させた...って所か。大方MPKだな。でなければ前線で物資を供給する攻略組お付の商人連中が簡単に倒される訳がない。」

「だとしても、どうするつもりダ?」

「分が悪いから撤退した...と考えるって事は、今は俺らと事を構えたくはないって事だよねぇ?」

気づいてきたか...。

「そう、つまり、少し報復に出てみようっつ訳で、全員人員を集めろ。これより、謎のオレンジギルドとの接触を図る。出発は2時間後、前線に出ている奴ら、そして休暇に入っている奴らも呼び戻せ。いいな6人パーティー計6組による36人レイドを作る。」

「アリー以外は準備にかかれ、アリーは少し話がある。」

一言も発することなく会議室を後にするアリー以外の7人。そう言えば...傭兵部隊長さんが来てなかったな。メッセ送っといてと。

「んデ...。話ってのはなんダ?オレっちあまり問題起こしてなイ...と思いタイ...。」

何を勘違いしているのやら...。

ここ1年、ほぼほぼ一緒に過ごしたが、こいつも随分丸くなったもんだ。最初は何かとあれば、金取り暴力と言う、まぁ、鬼のような所業だったが...。

「今回、お前が指揮をとってくれよ?少し装備の新調してくっから、遅れる。2時間後な。」

そして、返事を聞く前にその場を離れる。

さてと、新調なんて必要ない。解毒結晶はある。回復結晶もある。回復薬も解毒薬もある。武器である細剣も新品同様。投擲物である投げナイフも持てるだけある。

さてと、行くか。












薄暗い森の中。陽の光は届かない。8層の深き森の中。モンスターのポップ率が悪く、滅多に人の来ない、そんな場所に俺は立っていた。名も知らないギルドはここらで停滞していたのを最後に、既に1週間ほど経っている。つまり、いる...と言う保証は無かったのだが...。

俺の索敵圏内にいるだけでも14人...。恐らくハイディングでこの倍は隠れていると言っていい。まさか待ち構えられているとは...完全に下策だったか。

俺が立てていた作戦は、サーチ&デストロイ。敵陣地内で索敵、隠密に行動しつつ。一人一人潰し、最後にリーダー及び幹部の捕縛、または抹殺。出来れば暗殺という形で交戦はしたくない。と考えていたのだが。

こんなに万全に待たれたらねぇ...。既に360度四方八方、完璧に囲まれている。更に、退路となる方向から、ピリピリと感じる。つまり、そこは幹部である強豪プレイヤーが張っているハズ。

「ったく、短い人生だったな。」

抜刀すると同時に、全方位から飛んでくる毒付きであろう短剣や投げナイフを全てたたき落とす。

「hyu...やるじゃねぇか。」

浅黒いポンチョにレザー質と思われる脚防具。その横には、眼が赤いプレイヤー...そして、木々の隙間、木の上、草影からガサガサと姿を表してくる。

その数、30名以上。

こりゃ、俺の編成したのが到着してたら完全に戦争だな。

つまり時間は1時間、この間に部隊の編成を解除し、犠牲はほぼなしにしたい。俺1人で充分。

「やっと正面から、見えるな。」

周りのプレイヤーも目の前のプレイヤーも全て、カーソルはオレンジ。

「コイツが...商会の...ボスか...」

その瞬間、後ろで倒れる音がする。

「クゥ...」

それと同時に、心底悔しそうな女性の声と、倒れる音が複数。

そちらを振り向くと、そこにはキメ細かく少し幼気なピンクブロンドの少女と、5人の軽装備のプレイヤー。

彼女はプレイヤーネーム[ルイズ]

傭兵部隊の部隊長パーティー...。それがここにいる...という事は。

「おうルイズ、お前が下手打つとは珍しいじゃねぇかよ。何があった?」

「別に...ちょっと転んだだけよ...」

転んで捕まってりゃ世話ねぇな。

「んで?正体不明のギルドさんよ。そいつら捕まえんのに...何人犠牲にした?」

「haha。確かにそいつら捕まえるのは、苦労したぜぇ?何せ、生き残りは4人。8人返り討ちであの世生きよ。まぁ、流石は幹部様って所か。こっちもそれなりに手練を寄越したが、そいつがいなければ全滅らしかったぜ。」

「まぁ...そうだろうよ。何せ俺自らが指名した人選だ。」

「ヘッドォ...いつコイツ切ってもいい?もういいっしょ?」

「せっかちな野郎だ。まぁ、やる事に変わりはない。商会のリーダーさんよ。partyは好きだろ?人間皆好きさ...。楽しいからなぁ。イッツ・ショー・タイム...」

その瞬間、ヒャッハーやらキヒヒヒヒとか、どこの世紀末だよって感じの奇声を発しながら、俺に襲いかかってくるプレイヤー達。捕縛された傭兵たちが心底悔しそうに、そして、逃げてくださいやら何やら色々と叫ぶが、仲間がこの場で危険な目にあっている以上、引くことは愚か、負けることさえ許されなくなった。

俺は、自慢の反応速度とスピードで、襲いかかる剣を、槍を、投げナイフを、捌きながら片手間で投げナイフを投げる。

何本か当たるが、ひるむ様子はない。毒でも塗っておくべきだったか。

俺がこの場で誰も殺さない...殺せないとでも思っているのか攻撃を受けようが、向かってくる。

「はぁ...何を勘違いしているのやら。」

「あ?何言ってやがる!」

そう言いつつ切りかかってくるプレイヤーを、プレイヤーの心臓を、細剣で貫く。

HPがレッドゾーンを超え、表示が0になる。

パシャーンと、気く分には子気味のいい音だが、このゲーム内ではその音を出したものは死ぬ。恐怖の音色が響き渡る。そこで一瞬硬直する周りのプレイヤー目掛け、頭、胸を集中的に刺突、立て続けに消えていく。

「誰が殺せないと言った?殺さないだけであって、仲間の危機である以上、ここにいるのは、対人戦に秀でた攻略組のプレイヤー...と思った方がいいぞ。」

その言葉とともに警戒がより高まり、俺の攻撃を避け始めた。いらん事言うたかね...と少し公開する。

そのせいか、俺の健闘もここまでであった。

複数方向から同時に数人の攻撃、俺は人間をやめている訳ではないため、徐々に当たり始め、最終的に...。






「グッ...」

胸に走る不快な感覚それは、刃が突き抜けた感覚...。そして、立て続けに伸し掛る様な衝撃で、俺は倒れ込む。

明らかにほかと違う動き、装備。

そして、リーダーの男の顔...。

俺はオレンジギルドのボスと、その幹部プレイヤーに押さえ込まれていた。

その間にも刺さり続ける様々な獲物で、HPが減っていく。既にイエローゾーンも突破するであろう残量だ。いや、レッドゾーンに入った。

「wow...押さえ込むのに3人がかりとは...筋力パラメータの程が伺える...。」

「ヘッド、こいつ殺そう!どんなゲームがいいかなぁ?!」

「お前の...剣は...俺が...貰う...」

俺の上で騒ぎ始める連中は、ふと、こちらを見下ろすとニヤリと凶悪な笑みを浮かべる。

ルイズや傭兵連中が何やら叫んでいるが、周りの奇声で聞き取れない。

あいつらも既に囲まれて、斬られる寸前。

ここからは...どうも抜けられないだろう。俺もあいつらも、死ぬ。

アリーが来る頃にはもぬけの殻で、俺もあいつらもいないだろう。

(疲れた...。何をしようと、これで終わりか。しゃーねぇな。)

そうして、諦め、目をつぶる。

最後に残っていたHPは残り数ドット、後1分ないだろう。

(もう、休もう)

そう自分に言い聞かせ、意識を暗転させようとした時、周りが一気に騒がしくなる。

何人か、俺を呼んでいる声も聞こえる。俺の背中が軽くなると同時に、何者かに抱き上げられ...回復結晶の砕ける音が聞こえた。





アルゴは、いつもと違うオオミネの雰囲気に、疑問を抱いていた。

何せ、自分に前線指揮を頼むと言ったのだ。ミネはあまり、自分に前線に出ろと、言わない。と言うか初めてだ。


疑問に思ったアルゴはそこで、ギルドでも屈指の実力である、シルバ、カルテルペアに、オオミネを追わせ、何かあればすぐに連絡を寄越すように言い含めた。そしてすぐに部隊を編成、36人と言われていたが60人程のメンバーをすぐ様に招集し、ギルド本部を出発した。

そして、すぐにミネが森の方へ歩いていったと報告を聞いたアルゴは、手勢を引き連れて、森へと向かったのだ。

珍しく焦り、先頭を切って走っていく姿は、さながら事故で危ない状態の旦那に会いに行く嫁のようだ...と、後のものは語った。




オレっちは珍しく本気で怒っていた。ミネが独走するのはいつもの事だが、今回はAIであるモンスターではなく、個々が頭脳を持つ人間だ。人間は、考える。強大な相手は、1人ならば数で押し切れる。確かにミネは対人戦闘訓練では負け無し、本人は攻略組とも、行動を共にし、各階層のボスとも戦闘経験豊富。前線での安全マージンは十分なほどのレベルを持ち、本人自身、戦闘に対する恐怖も無く、努力を惜しまない。

だが、今ミネは1人だ。

シルバからのメッセージを見た時、自身の手で屠ろうか...と本気で考えた程だ。

あいつを見る度、安心する。デスゲームと化したこのゲーム内で、本気で安心する時は、あいつが横にいる時。あいつの背中を見ている時。

楽しい時は、仲間は勿論だが、ミネと、たとえくだらない会話でも笑い合う時。

悲しい時は、あいつが嘘をつく時。今と同じように、1人で行ってしまった時...。

あいつが、横からいなくなってしまったら...恐らく...もう二度と私は笑えない。心から喜べない...それ程、心で成長してしまったアイツへの思い。

あいつが、横たわっていた時...ミネの背中に刺さっている物を見た時、叫んでしまった。飛び出した。横から自身を狙う刃を...無視して、頬に傷が入る。肩に投げナイフが刺さる。背中に刃を突き立てられ用が、進み続ける。

上に乗ってる3人のプレイヤーにクローを突き出す。

咄嗟に飛び退き、こっちに刃が向くが、3人のプレイヤーが横から滑り込み、受け止める。

カルテル、ハスキ、ネミリャ。

見れば、既に交戦している味方。完全に乱戦になっている。

まるで眠っているかのように閉じていたミネの瞳に一瞬目冷っとしたものが背中を駆け巡るが、回復結晶を使い、HPが十分になった所で、十数は刺さっている刀剣類を引き抜いていく。

仰向けに転がし、抱き上げる。開く瞳に、一瞬ドキッとするが、すぐに思考を切り替え。

怒鳴る。

「冗談にも程があるゾッ!死ぬ気だったのカッ!」







誰と思えば...お前か...と言えなかった。

泣いている。怒っている。安堵している。

「悪い...泣くなよ...」

頬を流れる涙を、手で拭ってやる。

お前に泣き顔は似合わねぇよ。

周りを見ると、先程までの数的有利は既に覆っていた。捕縛されるオレンジギルドの連中。

だが、その数的有利はすぐに覆される。

更に50人程が沸いた...様に出てきた。前線は維持出来ず、陣形はバラバラ、混戦となっている。

「悪かった。説教は後で聞いてやる。だが今は、こっちだ。アリー...ありがとう。」

何となく笑いを誘えるか...と思い、ほっぺに口付けして笑う。だが、何故か本人は放心している。

「総員!引け!捕縛された見方は救出出来たか?」

「あたしらがしたよ。全く...まさかあんたが捕まるなんてねぇ?ルイズ」

「うっさいわね!少し...少し転んだだけよッ!」

「転んだだけよッ!って...ガキじゃないんだから」

「チッこいつ...強いっすね...獲物は包丁みたいだけど。奇妙なしゃべりと言い、本当やりずらいっす...」

「こっちもだ...。この赤目のエストック使い...強い..」

「うちんとこは外れかな?この紙袋男。あんまり強くないよ?」

ネミリャ...確かに唯一女性のボディーガードだが、コイツは対人戦、対モンスター戦でも俺に並ぶ実力者。見た目に反したスピードとパワーそして、ネミリャは場が複雑なほど力を発揮する。木々を岩々を飛び回り、動きをつかませない。故に二つ名は、流星。ソードスキルの輝きと、上から下へと飛び回るその様から付けられたらしい。

と...んなことしてる場合じゃねぇな。

「よーし、撤収するぞ〜。殿は任せろ〜。」

口を開こうとしたアリーを制し、先に進むよう促す。

「行け。言ったろ?説教は後で聞いてやる。すぐに追いつくさ」

俺はストレージを操作し、アイテム欄にある細剣を全て出す。

「知ってるだろう?俺のスキルは...。今回はフルで、余力なく使う。後で必ず、1番最初にお前の元に行く。行け。」

納得出来てい無さそうだが、後でナ。と言葉を残し後方へ走っていく。

尚も追っていこうとするプレイヤーの目の前に、細剣が突き刺さる。

「さてと、地獄を見てもらおうか。」

俺の投げた細剣、計16本が地面に突き刺さる。

「お前の言葉を借りるなら...イッツ・ショー・タイム...」





 
 

 
後書き
初の他作キャラですね...なるべく出さないようにしようと思いますが...恐らくあと数人...出る予定ありますので...。

どうぞよろしくお願い致します(´・ω・`) 
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