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機動戦士ガンダム0091宇宙の念

作者:むらたく
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宇宙編
邂逅編
  第19話 動き出す影

 
前書き
ジゼル・アンブロス
エンドラ級フィンドラの副長。
出撃で艦を留守にしがちなグレイブ少佐に代わり指揮を執ることが多い。
名家の使用人をしていたが、戦争により廃れ、生きるため兵士になった。人に奉仕することに喜びを感じる。 

 
「案外楽に終わりましたね」
既に任務を終え、足取りが軽い。
「油断はするな、母艦に帰るまでが任務だ」
「けれど、久しぶりですよね。こうして私たちが三人でって」
「そうだな。大尉がいらっしゃると心強いです」
「フーバー、お前だってもう小隊長だろう。お前にはそういった力があるんだ、自信を持て」
「はぁ…」
そういえば、俺を隊長へと推薦したのは大尉だったっけ。
平凡なコロニーには、嘘も偽りもない平和があるように見えた。
俺たちはその平和を…
「大尉、あれ…」
突然、アイラが空を指差す。
「ん?…」
ミラーの反射で眩しい。
その光から、轟音を響かせ巨大な影が無数に飛び出した。
「⁉︎なんだ、あれはMSか⁉︎」
ずっしりとした機体を着地させ、モノアイを光らせるMS。
「あれは…ザクだ!それもグラフィー軍じゃない!」
それを追いかける連邦軍のMS。
「ここは危険だ、戻るぞフーバー、アイラ!」
急いで母艦に向かう。
連邦軍のMSがいるということは、まさか外のジャック中尉達は…
嫌な予想がヒヤリと肝を掠める。
考えるのはよそう、今は走れるだけ走れ!

「くそ、彼奴らMSまで…!」
ヘッジホッグをコロニーの外に置いてきたのは失敗だった。
「とりあえず、戻らないと。それにしてもコロニー内で戦闘だなんて、なに考えてるんだ!」
走って角を回った瞬間、何かに思い切りぶつかった。
「いってて…ん?」
「連邦…軍の兵士?」
「ここのコロニーの方ですか?早くお逃げください、ここは危険です」
「ああ、了解した、行くぞフーバー、アイラ」
「はい、大尉!…あ」
ん?
今あの子、確か大尉と…
「ば、馬鹿!」
「おい、今確かに大尉と…何者だ?ジオンじゃあ…」
「……」
「答えろ!」
すると、背後から巨大な影が自分を包んだ。
「MS⁉︎これは…ズサ!」
鈍く光るモノアイがルシオンを睨む。
「ジャック中尉か!」
フーバーはわかっていた。
「早く!」
「くっ!」
急いでヘッジホッグに向かう。
急ぐあまり、ルシオンは自分が物を落とした事に気がつかなかった。
「なんだ?」
ルシオンが落とした何かを、フーバーは見つけ、拾いあげた。
「全員乗りましたね⁉︎脱出しますよ!」
狭いコックピットに四人は苦しい。
高速で港を抜けて、暗闇の海へ抜けていく。

「ラーディッシュ、聞こえるか⁉︎こちらジン・フィリップ!敵はMSを保有している!」
返事がない、ミノフスキー粒子の影響か。
「仕方ない、住民に被害が出ないようにするには、核融合炉をぶっ潰すわけにはいかねえな…」
バーニアを吹かし、後方へ飛ぶ。
ザクのマシンガンの掃射を盾1つで防ぎきる。
「こっちはジムIIIだぜ、とっとと失せな!」
バルカンでメインカメラを潰し、隙を作らせる。
間を置かずに、サーベルでコックピットを射抜く。
「融合炉の停止を確認!ん、ルシオンか、今更遅いぜ、もう終わったよ」
「違う囮だ!」
「何?」
「コロニーの外に逃げらた、クソ!」
「ちっ、取り敢えずラーディッシュに帰ろう」
影は、少しずつ大きくなっていく…
 
 

 
後書き
次回に続きます! 
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