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神様転生した先のサイバーパンクで忍者になって暴れる話

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シチュエーション・オブ・ソウカイヤ
  1話

 人と魔が入り乱れる廃棄都市トーキョーキングダム。無法と退廃に悪徳がまかり通る、マッポーめいたアトモスフィアが漂う都市。時刻はまさにウシミツ・アワー。妖魔が跋扈する闇の時刻である。打ち捨てられた第三埠頭の一角になんの変哲もない倉庫があった。
 この中に数匹ほどのオークが荷物を運んでいる。端の方では、赤いジャケットをはおり黒いPVCビキニを着た褐色肌のエルフが杖をもって立っていた。その胸は豊満であった。


「キルケ隊長」
「急ぎなさい。規定時間が迫ってますわよ」
「ヨロコンデー」

 急かすようなキルケの言葉に、オーク達が返答の声をあげる。
 オーク達の行動速度が上がる。メン・タイと彼等が運ぶ木箱にショドーされていた。

「スッゾコラー!」

 突然、倉庫のドアが吹き飛んだ!

「ザッケンナコラー!」

 其処から入ってきたオークが重金属弾丸を放つマシンガンを構え、弾をばら蒔く。

「アバーッ!?」
「ドカマテッパっ……アバーッ!?」

 荷物を運んでいたオーク達がたちまちネギトロめいた姿に変わる。
 倉庫のドアから再びオーク達が突入してきた。整列し同時に銃を抜き、同時に構え同じに発砲。ニンジャ観察力を持つ読者のかたは気づいたことだろう。倉庫に入ってきたオーク達は型に嵌めたように同じ体型同じ顔立ち、同じサイバーサイバーサングラスをかけ同じダークスーツを着込み、同じ家紋のネクタイを付けていた。

「クローンオーク。実用化されてましたのね」

 キルケの前で触手生物が、穴だらけになって立ち尽くす。そのまま、光となって消えていった。
 彼女が杖を降ると、丸い形の触手生物が現れる。

「貫きなさい!」

 キルケの指示を受けた、触手生物がドア付近にいるクローンオーク達を貫いていく。

「グワーッ!」

 たちまちクローンオーク達はキリタンポめいた惨殺死体になった!
 死した彼等の穴を埋めるように、クローンオーク達が倉庫内に突入。

 「ザッケンナコラー!」

 キルケの盾になるように、召喚された触手生物が無数の銃弾を受ける。
 その間にキルケが杖を降る。みたび同じ形の触手生物が現れた。たちまち倉庫のドア付近がキルゾーンへと変わっていく。

「貫きなさい!」
「グワーッ!」
「ザッケンナコラー!」
「貫きなさい!」
「グワーッ!」
「ザッケンナコラー!」
「貫きなさい!」
「グワーッ!」
「ザッケンナコラー!」
「貫きなさい!」
「グワーッ!」
「ザッケンナコラー!」
 
 キルケは、どれほどの数のクローンオークを倒した事だろう。
 ドアの前はクローンオークの死体が、山となっている。
 肩で息をしながら、キルケは口を開く。

「も、もう増援は」
「俺達で最後だ」

 いつの間にかクローンオーク達の死体の横で、一対の男と女が立っていた。
 一人の男は片目を閉じた男。
 もう一人の女は腰まで延びた黒髪で片方の目を覆い、体型が露な忍服。その胸は豊満であった。
 二人は手を合わせると、

「ドーモ、はじめまして。フウマです」
「ドーモ、はじめまして。フウマ・サイカです」

 オジキした。
 二人のアイサツを見て、息も絶え絶えなキルケも、手を合わせてオジキをする。

「ドーモ、フウマ・ニンジャ=サン。フウマ・サイカ=サン。キルケです」

 明らかな戦闘の場で交わされるアイサツ。これには立派な理由がある。
 平安時代に魔と人が混じりあい起きたとされている戦い。
 人間側に立ったニンジャ(他の国では騎士などと言われている)対魔の者達の巨大な戦。それは人間世界対魔とされるほどだった。このとき交わされた調停書。古事記に、アイサツは絶対の礼儀であるとショドーされている。それは他の国から来た戦士達も同様である。
以来、これを行わないことはスゴイシツレイな行いとされていた。

「新興のソウカイヤの頭領が何のようですか?」
「ここら一体の支配を手中に入れたからな。ここの物も頂きに来た。良い考えだろう?」

 ジャアク!何たる非道か!ブッダ!しかし、ここは魔都トーキョーキングダム。
 この程度はありふれすぎた「チャメシ・インシデント」なのだ!

「そんなことはさせません!」

 キルケが杖を降ることで、触手生物が召喚される。

「イヤーッ!」

 キルケが触手生物に命令する前に、ふうまがスリケンを投擲。ゴウランガ!触手生物の命を奪う。

「そんな」

 キルケは驚愕のあまり立ち尽くす!スゴイ!ウカツ!
 その間に、ふうまが近づく。

「イヤーッ!」
「ンアーッ!」

 ポン・パンチがキルケの腹部に直撃。足に力が入らなくなり、前方へ倒れた。
 閉じていた片目を開いている。その目は銀色に輝いており、キルケを観察していた。そのまま彼女の横にある杖を奪う。

「これが貴様の能力の要か」

 男が杖を振るうと、キルケが喚んでいた触手生物が無数に現れた。

「な、嘘!」

 自身の能力と全く同じことが起きていることに、キルケは驚きを隠せない。

「貴様の能力を奪った」

 ふうまニンジャと名乗った男は、把握した能力を奪うドウ=ジツ。マモンの使い手だったのだ!
 触手生物に全身を拘束されているキルケは、男を睨む。

「私をどうするつもりですか!」
「お前をスカウトする」

 彼の言葉を聞いた災禍(サイカ)は、首を横に振り倉庫から出ていく。
 彼の言葉を聞いたキルケは、抵抗しようと体を激しく動かした。
 彼女の抵抗は空しく、高速から抜け出せることはない。
 その後、

「あたし今体温何度あるかなー!」

 倉庫にキルケの艶声が響くのだった。




 全身をケフィアで覆われたキルケを、ふうまは呼んだクローンオークに運ぶよう命令した。
 災禍を連れて自身の組織である、ソウカイヤのアジトまで移動する。
 クローンオークが門番をするビルの中に入り、事務所まで歩く。
 事務所のドアを開けると、そこに二人の女性がいた。
 一人は黒い短髪にダークスーツを着た女。ふうま・トキコ。その胸は豊満だ。
 一人は茶色の短髪に、片目を隠した少女。ふうま・銀雫。その胸は豊満だ。
 二人ともふうまの血縁者で仲間である。

「お帰りなさいませ。お屋形様。サイカ=サン」
「お帰りなさい。義兄=サン。サイカ=サン」
「ああ」
「ドーモ」

 彼は、二人の迎えの言葉に手を軽く挙げて答えた。
 そのまま、自身のオフィスに座る。

「御屋形様」

 机を挟んで災禍が前に立つ。

「なんだ?」
「御屋形様自身が、スカウトの為に前線に出られるのはそろそろ」

 やめて頂きたいと災禍は言いたい。
 護衛として横にいる彼女にとって、仲間を得る為に毎度毎度前に出ていく彼の身が心配なのだ。

「まだ、この組織は立ち上がったばかりだ。スカウト役をこなせるのもいない。契約も戦闘も俺自身が前に出ていくしかない」

 ふうまは災禍の提案を拒否して、UNIXを立ち上げる。話はこれで終わりという意思表示だった。
 仕方なさそうに溜息を吐くと、災禍は自身の机に移動する。 5
 彼女も彼女の仕事がある。
 そしてふうまは思う。

(サイバーパンクでニンジャが暴れる世界はニンジャスレイヤーだけではなかったのだよな)

 悲哀が籠った思考。彼はこの世界にないニンジャスレイヤーという物語の名前を知っている。ナンデ?
 賢明な読者諸君はお分かりであろう。そう彼は俗にいう転生者と呼ばれるものであった。
 彼は、この世界に持ってきた能力は二つ。ニンジャスレイヤーのカラテ。そして、ニンジャスレイヤー世界の知識。これは工学や薬学、医学等々様々な物全てだ。
 この知識と力を持って、ふうまは過去から行動を開始していた。任務中に災禍の命を救ったり、銀零を教えたり導いたりと色々ある。詳しくは徐々に明かされていくだろう。
 最も力を入れて行動したことは、暗黒メガコーポ連合ザイバツと接触したことだろう。
 過去、国を裏から動かしていたザイバツも、暗黒メガコーポノマドに出し抜かれて人工・アイズル開発に一歩遅れることとなった。介入しようとするたびにノマドや米連、そして国家特殊機関公共安全庁調査部第三局(セクションスリー)に邪魔される。

 魔の技術を生かす米連やノマドとの勢力は広がる一方。それどころか、対魔忍達の手によって、日本の支配力まで衰えていく始末だった。
 そこに彼はニンジャスレイヤー世界の技術力。ふうまの知識と暴力を手に接触した。代わりに自身が作る組織。
 ソウカイヤの手助けをする事を誓わせたのだった。
 今や彼の組織。ソウカイヤはザイバツの力を背後に、人工・アイズルトーキョーキングダムや地下都市ヨミハラなどで急速に勢力を広げていく振興組織になった。
 未だ無数にあるマケグミ組織にほかならないが、いずれはゲコクジョを成し遂げる気である!
 その為にもまだやるべきことは山のようにあるのだった。
 
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