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『愛花-アイカ-』

作者:零那
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『愛花サンとサムライ』



愛花サンとサムライ。
2人は付き合ってるまま。

此の世を去った茉莉花先輩。

2人は罪悪感など無い様な...
悲しみすら無い様な...
其の姿に憎しみが増す。

2人は薬にハマッてた。
見たくなかった。
呼び出される。
放っとけんから行く。
部屋からは出ん様になる2人。
薬の量も種類も増えていった。

色んなニオイが充満した部屋の窓を開ける。
其の瞬間に、虫が大量に入ってきたと騒ぐサムライ。
幻覚も前より酷い。

こんなんで外出たら捕まえて下さいって言ってるようなもんや。
誰が見てもイッとる。
2人を通報しよ思たら出来た。
でも零は2人が憎かった。
殺意が在った。

其の殺意は、零の茉莉花先輩に対する想いの重さからくるものだった。

単純に好いてただけやない。
忠誠心みたいなものも抱いてた。
其れは産まれて初めての感情で、唯一無二の失いたくない存在だった。

此の人の為に...
此の人の為なら...

そう強く想えたんは、あの日救ってくれたんが茉莉花先輩やったから。
茉莉花先輩やったからこそ。

通報しても、せいぜい鑑別とかやん?
初犯やし未成年やし...
警察も面倒事嫌がるし、もしかしたら何処にも入らんかもしれん。
せやったら零が此の手でヤる。

いつか其の時は来るやろ...
もう、今更薬抜くのは無理。
素人でも手遅れなんが解る。
専用施設に入って繋がれてないと危険。
しかもスグ薬が切れる。
キリが無い。
暴力もハンパ無い。

家では養父に玩具にされて、此処来たら来たで関係ないのに八つ当たりされて、ホンマ殺したい。
でも薬のせいって解ってるから理性は在った。
出来るなら関わりを断ちたかった。
其れでも、心の何処かで希望を希望の欠片を棄てたくないって想いが在った。

サムライには、零が茉莉花先輩に連れて来られて日が浅い頃、色々お世話になってた。
それに、愛花サンの事を茉莉花先輩は最期迄大事に想ってた。

出来るなら改心して、あの頃の2人に戻って欲しい。
無理って解ってるけど諦めが悪い零の悪い癖。
負けず嫌いの零は、2人に負けて欲しく無かった...。

2人の家に出来る限り行った。
茉莉花先輩の話ばっかりした。
共通の楽しかった思い出...。
2人にもシッカリ思い出して欲しかった。
永遠に忘れて欲しく無かった。
零は必死だった。

でも、2人には何を話しても届かんかった。
目は虚ろで、異様なテンションなったかと思えば沈み堕ちたり...。
泣いたり叫んだり笑ったり...。

2人共が壊れた。
共倒れ...。


 
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