ガールズ&パンツァー もう一人の転校生 【リメイク】
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原作編
二回戦前 前編 大丈夫かな?
サンダース大付属との試合が終わった次の日。私はプラウダの情報を集めるためパソコンとにらめっこしています。本来ならばアンツィオについて調べるべきなのですが、アンツィオは今年の大会以外は初戦敗退が続いていたので調べる必要はないかと思い、プラウダについて調べているわけです。それに、私たち白河からの転校組は次の二回戦に出る予定はないのでいらないのです。その辺は明日にでも角谷生徒会長に言うつもりですけどね。
「りかーーーーー!アンツィオってどんな学校?」
裕香は元気だよね。昨日もあんなに練習したのに元気だよね。絵里とさやねはバテバテだったのに。そういえば、亜依は大丈夫かな?昨日は体調が悪そうだったし、試合も二週間後だから早く良くなってほしいな~。もしもの時は私が亜依の代わりに装填手をやって、亜依には休んでいてもらうけどね。無理をしてもらうのは嫌だからね。
「ねー、どんな学校なの?」
でも私が他の役割をやってしまうと、私自身の仕事がおろそかになってしまうかもしれない。それだけは避けたいんだよね。だって、私がへまを起こすとほかに示しがつかないからね。
「りかってばーー!!聞いてるのーー!!」
「はぁ~。裕香、少し静かにしててよ」
まったく、私とは違い気楽なんだから。できることなら変わってほしいよ。
「・・・アンツィオは高い機動力を持つ学校だよ。主砲自体の威力は低いけど、その面をしっかりと補って戦ってるんだよ」
アンツィオはイタリア文化を日本に伝えようとしてできた学校なので、使っている戦車は基本的にイタリア戦車が多い。最近はこそこそ何かやってるけどそこまで強い学校ではなかったはず。でも、マジノ女学院に勝ったことを考えると少し配慮は必要と認識していいのかな。そういえば、マジノのリーダーはエクレールだっけ。なんかおいしそうな名前だよね。
まぁ、私自身戦ったこともあるけど、その頃の隊長とは別だからね。
「梨華。何か考えこと?」
裕香に話しかけていた私はいつの間にかパソコンのほうに姿勢を向き直していた。そして裕香が心配そうにして私を見ていた。なんか悪いことしてしまった気分だよ。
「なんでもないよ。気になるなら試合でも見に行く?」
「うん。絵里やさやか、亜依もきっと行くと思うよ!」
そりゃ~、みんな試合観戦することが好きだもんね。私も大概人のことは言えないと思うけどね。でもアンツィオか。見るならナポリタンでも食べながら見たいよね。試合会場で観戦しながら食べるナポリタンもきっとおいしいよね。
「あっ!ねぇ、昼間のことなんだけど、生徒会長から何の話されたの?」
「昼間のこと?」
生徒会長に何か言われたっけ?
「角谷生徒会長、私に何か用ですか?」
まだごはんも食べていないのに「話がある」なんて失礼じゃないかな。それに、私の教室から生徒会室は結構遠いんだよ!まったくもって迷惑だね!
「次の二回戦なんだけど、アンツィオなんだぁ。それでね、りかちゃんのスタイルでも見極めようかと思ってね」
あ~、言うの忘れてた。正直アンツィオに私たちが出るまでもないかと。私の予想が正しければ三回戦はプラウダ、準決勝は白河、決勝は間違いなく黒森峰だと思う。運よくこの三校でなければうれしいんだけどね。まぁ、それは願うことしかできないけど。でも私個人的にはあ強い相手のほうが嬉しいけど。
それよりも今は、
「あの、折り入ってお願いがあるんですが」
私がいきなり畏まったせいか、会長を含む三人が少しだけ驚いていた。まぁ、そんなことは置いておかないと。
「私たちの投入を三回戦からにしてください!」
「・・・・・りかちゃん、それだと困るんだよね」
「どおしてですか?」
「私たちは負けられないんだいね」
やっぱり、私の調べた結果は正しかったようだよ。つまり会長はこの大会にて戦果を残すことで廃校を免れようとしているんだ。なんかすごいこと考えるね。なんていうか、周りの評判通りだね。
「会長、私は負けられない理由は知っています。でも、ここで姿をさらすことのほうが後々困ると思います」
黒森峰はともかく、プラウダは私たちが大洗にいることを知らない。なら今回も隠れていたほうが次回の勝率上げにつながるはず!
「りかちゃんがどこで知ったのかは知らないけど、それなら負けられない理由もわかるよね?」
「もちろんです」
「それでも三回戦からにしてほしいんだね」
「はい」
悩んでますね。それもそうでしょうけど。二人は会長に何か言っているようですけど、さて会長はどう判断してくるのかな?」
「・・・・・・りかちゃん、三回戦は絶対厳しい戦いになるけど絶対に勝てる?」
「そんなこと聞くまでもないです。絶対勝ってみせます」
「わかった。りかちゃんを信じるよ」
「ありがとうございます。で、話が先ほどの件だけでしたら、私は戻りたいのですが」
さすがに我慢の限界だよ。おなかがくっついちゃうよ!
「そーそー、青葉女学院から転校生が来るらしいから」
「青葉って、あの青葉ですか?」
お底は確か奥州流の使い手だったはず。まためんどいのが来るんだね。でも今この学校に必要なのはきっと私たち大狩流でもなく、奥州流でもなく西住流なんですよ。
「気になる?」
「いえ、青葉からの転校生の件は了解です」
私よりも会長のほうが気になっているって感じだね。まぁ、私たちはいつも通りにやるだけですけどね!
「うん。色々あったね」
思い出したけどいろいろありすぎて忘れていたよ。でも、もし来るのが桜なら頼れそうなものなんだけどね。でも人生そんなに甘くないよね!
「ねぇ、明日の練習見に行かない?」
「練習を?何か気になるの?」
「どんな対策をとっているのか気になってね」
なるほど、確かに気になるね。アンツィオの使っている戦車は機動性が高いからその点を考えると厄介だしね。え~と、アンツィオが使っているのは確かセモベンテとカルロベーチェだったね。そして新型戦車買ったなんて小耳にはさんだことから推測するに、たぶんP40なんだよね。
「そうだね、見に行こうか」
「やったー、さすが梨華だね!話が分かる」
裕香のペースにのまれているような気がしないでもないけど、まぁたまにはいいかな。そうなると白河の制服をアイロンをかけないとね。なんで白河の制服かというとね、できる限り私たちがいることがばれたくないからなんだよね。でも、すでにバレている気がしなくもないけどね。
「それじゃ、用事ができたことだから早く寝て明日に備えよっか」
「うん。・・・・梨華、泊めて」
「えっ?」
この後なんだかんだ言って裕香が泊まることになり、寝たのは結局のところ、日を跨いでからでした。
~おまけ~
大狩が退室してから、すぐさま部屋の隅のほうで”ごそごそ”と物音を立て始めた。なんで会長はあの三人の転校を認めたのか?
「会長、ひやひやしましたよ~」
こんなに緩そうなのに、戦車ではなかなかの腕なんて信じれないな。
「いや~、そのほうがおもしろかったし」
「・・・・・いじわる」
それにしても個性豊かだな。奥州はみんなこんな感じなのか?なんというか、緊張感が足らないというか。まるですべてを楽しんでいるようにしか見えん。
「梨華を絶対に抜かしてやるんだから!」
「がんばってね~。かわしま!」
「はいっ!」
「転校手続きよろしく」
「はいっ」
きっとなにか考えがあるに違いない。会長はいつも学校のことを考えている。私は会長を信じ、やっていくと決めたんだ。
「三人も参加は三回戦からでいいから。そういうことで」
「はいっ。よろしくお願いします」
「りょうか~い(なかまはずれか?)」
「ふぁ~い(ねむいよ)」
本当に大丈夫なんだろうか?
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