ソードアート・オンライン~隻腕の大剣使い~
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第16話黒龍の後継の剣
前書き
こんちは!どうも、醤油ラーメンです!
今回からアニメ第7話「心の温度」の時系列から少し後のストーリーを書いて行こうと思います!
ではでは、どうぞご覧ください!
ミラside
2024年6月29日、第47層・フローリア、ライリュウ・ミラ宅
《圏内殺人事件》の解決からもう二ヶ月以上経ち、攻略もかなり進んだ。お兄ちゃんはあたしに内緒で《リトルギカント》のみんなのお墓を建てていたことを聞いた時は怒ることさえ忘れていた。事件のほとぼりが冷めてから連れてってもらったけど、やっぱりまだ何か隠し事があるようなので、それとなく聞いて見たらーーー
ーーー別に・・・力不足を実感しただけだーーー
力不足ーーーお兄ちゃんは攻略組のトッププレイヤーの一人で力量的には充分すぎるくらい強いけど・・・お兄ちゃんが言っていたのは精神面のことだった。《笑う棺桶》リーダーのPoH、奴が装備した武器、友切包丁の形状がお兄ちゃんの左腕を切り落とした通り魔の凶器と同じだったらしい。それから必死にトラウマを乗り越えようと鍛冶で似たものを作っていたけど・・・今のところ効果なし。言わば世に言うPTSD、過去の恐怖体験により完全にトラウマになってしまっており、もうやめさせないと本気でマズイと思った。本人ももうやらないと本気で誓っている。
ところで、今あたしの兄が何をしているのかと言うとーーー
「さて、始めますか・・・」
お兄ちゃんの愛剣、《ドラゴンスレイヤー》の修復、及び強化。どうやら例の危険な精神療法に気が行ってて剣の手入れを忘れていたらしい。剣士としてはどうなんだと思ったけど、「武器が強くても心がズタズタのままだったら全く意味がない」、それで精神面から強くしようとしていたから己の愛剣を後回しにしていた。そんな問題でもないと思うけどーーーとにかく肝心なのは本人が乗り越えられるかどうか。必死に頑張っている兄を、暖かいお茶を飲みながら暖かい目で見守ろう。何だかあたし、SAOに来てからママみたいになってる気がするーーー
「うわっ!」
「ひゃっ!熱い熱い熱い熱い!」
いきなりお兄ちゃんが驚いたような声をあげたためにあたしもビックリして飲んでいたお茶を盛大にこぼしてしまった。食べ物の味や匂いまでならまだいいけどお茶の熱さまで再現しなくてもいいのにーーーそれよりお兄ちゃんが心配だ。一体何があったの?
「お兄ちゃんどうし・・・た・・・の」
「ああ、未来・・・」
原因は解った。それはお兄ちゃんが持っている剣だった。だけどそれはーーー
「折れちまったよ・・・《ドラゴンスレイヤー》」
竜の頭部を模した黒い両手剣《ドラゴンスレイヤー》、今までお兄ちゃんの命を預かっていた愛剣がーーー刃の丁度真ん中から折れてる。
「オレが・・・オレが弱いから、弱くなったから見限ったのかな?」
「そんな・・・こと」
亡くなったリトルギカントのみんなに誓いを立てた剣、本人は「弱くなったから見限った」なんて言ってる。確かに鍛冶って精神集中とかが大事だけど、いくらなんでもーーーあれ?
「お兄ちゃん・・・折れてるのに何で消えてないの?」
「え?・・・言われてみれば確かに」
普通武器なんかは折れればポリゴンになって消えてしまう。だけど《ドラゴンスレイヤー》は消えてない。ーーーそうだ!
「ねえお兄ちゃん、良い鍛冶屋さん紹介しよっか?」
「・・・は?」
あたしは右手の指を立てて笑顔でお兄ちゃんに提案する。きっとあの人ならーーー
******
ライリュウside
同日、第48層・リンダース
どういうつもりだよ未来の奴。
ーーー48層のリンダースの街に鍛冶スキルを完全習得したマスタースミスの友達がいるからそこ言ってみて?メッセージ送っておくから!ーーー
折れてしまい、それでもこの世界から消えないオレの愛剣《ドラゴンスレイヤー》、それを見てあいつはオレに鍛冶屋を紹介した。いくら鍛冶スキル完全習得つってもさすがに無理だろコレを直すなんて。自分の愛剣を信じていない訳ではないけど、折れるどころか真っ二つに割れたのに、それでも消えないなんてことはとても信じられない。それとも何か?コレを接着剤でくっつけるとかか?
あ、着いたか。
オレが店のドアを開けると中には誰もいないーーーと思ったら店の奥から人が出てきた。
「リズベット武具店へようこそ!」
ここの店主、ピンク色のショートヘアーに赤いエプロンドレスの特徴的な格好のオレと同じか少し年下くらいのリズベットという少女が。
リズベットside
接客も仕事の内、店の玄関からお客さんが入るベルの音が鳴り、装備していた鍛冶用の白いグローブを外し工房から出て店の中に入る。
「リズベット武具店へようこそ!」
最近になってやっと慣れてきた接客と、いらっしゃいませの意味合いを込めたこのセリフ。お客さんはーーー赤い忍者装束に黒いマントを着た少年だった。ーーーなんかあたしを驚いたような目で見てくる。恐らくあたしの外見的特徴が原因だと思う。親友の攻略組トッププレイヤーのアスナ、彼女にいじられてこのピンクの髪に赤いエプロンドレスというスタイルになった。そのお陰でお客さんが増えたからそのままにしてるけどーーー初対面だとやっぱり気になるわよね。
その時目の前にいる少年はハッと正気を取り戻したような顔になった。
「え~っと、ミラって奴に紹介されたんだけと・・・」
「ああ、あんたがミラのお兄ちゃん?」
「そうだけど・・・いきなりあんた呼びて、いきなりタメ口て」
「ああ、ミラにタメ口でいいよ、ってメッセージもらったから」
「あいつ何やってんだ」
さっき友達のミラからもらったメッセージ、お兄ちゃんってこいつのことだったんだ。タメ口でいいよって送られてきたことを言うと呆れていた。当然と言えば当然かな。
「ミラの《妖刀竜燐》、あんたが強化したんだってな」
「ええ、そうよ。初期性能でも当時はすごい方だったわ」
ミラが作った刀《妖刀竜燐》、当時の刀の中ではかなりすごい方だったわね。それも本職のあたしが目を見張るくらい。
「ミラから聞いたよ、・・・リトルギカントのみんなも世話になってたんだってな。良いやつらだったろ?」
「・・・うん、そうね」
ミラがいたギルド《リトルギカント》。あそこはミラのお兄ちゃんの現実のクラスメイトだと聞いてた。つまり、この少年の友達。その友達が死んだと聞いてあたしもお店閉めて泣きじゃくったくらい悲しかった。ーーーけど、彼はその比じゃないくらい悲しかったと思う。
「あ、ああ、そうだ、武器の修復・・・って言っても良いのか?とにかくコレを見て欲しいんだ」
「あ、うん!だいたいミラから聞いてるわ!武器がおかしいんでしよ?」
だんだんお葬式みたいになってきた空気に耐えられなくなってきたから用件に入る。「お兄ちゃんの武器が壊れたはずなのに消えないから少し見てやってあげて」とメッセージを送られた。その武器を見た瞬間ーーー硬直した。それは仕方ないと思う。だって、こんなに盛大に真っ二つに割れてるんだから。
「コレ・・・どうなってんの?見たことないわよこんなの」
「だよな?オレも初めてだよこんなことになったの」
本人も初めてのことらしい。そもそもSAOの武器は壊れたらポリゴンになって消えるもの。前にウチの店に来た黒ずくめの剣士が折ったあたしの最高傑作みたいに(怒)。そういえばあの剣の代金もらってない、なんてことは今は良い、問題はこの剣が何で消えなかったのかということ。
「ちょっと鑑定してもいい?」
「いいけど・・・見た目完全に折れてるけど大丈夫か?」
大丈夫かどうかは解らないけどダメ元でやってみる。結果は・・・出た。
「《ドラゴンスレイヤー》・・・プレイヤーメイドか。《ライリュウ》?その人がこの剣を・・・。もしかして折れても消えないようになってるとか?」
「いや、ソレ作ったの、オレ」
「え!?」
この剣作ったのこいつ!?ーーーん?確かミラって現実のお兄ちゃんとコンビ組んで攻略組の活動してるのよね?確かにライリュウって名前だったけどーーーあれ?そういえばこいつの格好。赤い忍者装束、鱗模様の籠手、そして今鑑定したこの黒い竜の頭部を模した両手剣。もしかしてーーー
「あんたが《隻竜》・・・《隻腕のドラゴン》だったの!?」
「まあ、そうだけど・・・」
こいつが攻略組トッププレイヤーの一人、《隻腕のドラゴン》だった。確か外見以外の特徴を聞いた話だと、「左腕のない隻腕の剣士で、片手で両手剣を振り回す荒々しく獰猛な戦闘スタイルの持ち主であり、武器の特徴も相まってまさしくドラゴンと言える」なんて内容だったけど、まさかあたしとそんなに変わらなさそうな少年だったなんてーーー
「今のオレは剣の折れたただのトカゲだよ。隻腕のな」
あたしの心を読んだかのように口を開き、マントを少し膨らませたライリュウ。ストレートにあたしに見せなかったのは見られたくないから、それにあたしに目の毒になると思ったからのように思える。
「それで・・・どうなんだ?」
そういえばまだ鑑定の結果言ってなかったっけ。
「その前に聞かせてくれる?あんた、鍛冶スキルの熟練度いくつある?」
「え?なんだよ急に・・・まあいいけど」
他人にスキルの詮索をするのはマナー違反でもある。でもそれを聞く必要がある。
「え~っと、760だな」
「やっぱり!」
「は?」
何を言ってるんだ?っていう顔を向けたライリュウ。確かにいきなりやっぱりなんて言われたらそうなるよね。とにかくーーー原因は解った!
「この剣の修復に必要な数値まであんたの鍛冶スキルの熟練度が足りなかったのよ、だから剣は折れた。消えない原因は解らないけどね」
「え!?じゃあ、あんたなら直せるのか!?」
もちろん!ーーーと言いたいところだけどーーー
「残念だけど・・・あんたがやった時にさらにひどくなっちゃったみたいね。さすがに・・・直せない」
「そんな・・・」
確かにショックはデカイわね。修復不可能、もう二度と同じ剣が作れないってことになるんだからーーー
「でも!インゴットには戻せるわよ!それで他の剣を強化して使うっていう方法も・・・」
「ああ・・・そうだな。それで頼む」
武器をインゴットに戻すことも出来る、でもそのかわり元の武器に戻すことは出来ない。ライリュウもそれを承知して任せてくれた。
さっそく工房に入ってこの剣をインゴットの状態に戻す。ーーー出来た。
「え~と、何々?《破滅の龍角》・・・コレ、すごいレア鉱石じゃない!」
「ああ、そういえば結構苦戦した竜型モンスターからドロップしたんだったな」
《ドラゴンスレイヤー》、超レアの、それも聞いたことがないような鉱石から作られていた。これだけレアだと今のライリュウの鍛冶スキルでも作れるかどうか微妙なくらいだけどーーーかなり運が良いわねこいつ。後の問題はーーー
「コレを使って武器を強化するんだったら・・・出来れば同じくらいすごいインゴットを使った剣じゃないとね」
「この店にはないのか?」
ーーー何ですって?
「あんた失礼ね!あたしの最高傑作なら超余裕よ!《ドラゴンスレイヤー》と全く同じステータスの剣だってポキポキへし折れるんだから!」
「オレガチで愛剣へし折ったんだけど・・・。じゃあその最高傑作とやらを見せてくれ」
やってやるわよ、マスタースミスの名に懸けてーーーあんたが度肝抜くくらい強い剣を見せてやるわよ!!
後書き
ラ「作者ぁぁぁぁ!何故オレの愛剣をへし折りやがったぁぁぁぁ!」
醤油「仕方ないだろ!?そうでもしないとMORE・DEBAN・GIRLのリズベットさんが出られないだろ!?」
リ「その言い方やめなさいよ豚骨!」
醤油「醤油だよ!」
ラ「だからって折ることねぇだろ!しかもなんだよ!?剣の折れたトカゲって!オレいつから中二キャラになった!?キャラブレブレじゃねぇか!」
醤油「ああ、キャラは保証出来ないけど剣は大丈夫」
ラ「キャラ修正もしとけ!」
リ「剣はあたしが作るんでしょ?なら心配いらないわね。あたしの最高傑作が・・・」
醤油「次回、リズベットさんデジャブります」
リ「はぁ!?なにそれ!?」
ラ「そういえば、もう締めなくていいのか?」
醤油「おっと、そうでした!じゃあ二人とも、せーの?」
醤油&ラ&リ&「ご観覧ありがとうございました!次回もお楽しみに!」
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