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偶然見つけてしまった
とりあえずこの杖は、僕には使うのは厳しいようだ。
エイダは先程の魔法を見て、真剣に悩んでいるようでそれ以上は僕に言って来なかった。
だから僕自身もこの杖について考える時間があった。
だからその杖を見ながらリリアに、
「威力の調節がもう少し上手く出来ればいいのだけれど」
「うーん、これ以上は、簡易的な魔法の杖では無理ね。魔力が強すぎてそれを減衰させないといけないからそれ用の装置やら何やらをつけ無いといけないけれど、そういった装置もちょっと今の材料では作れないわ」
リリアに聞いてみるとそう返答されてしまった。
やはり僕の魔力が強いのが原因らしい。むしろ、
「僕みたいに魔力が強いと、こういった杖よりも“魔法結晶石”といった単純なものの方が僕の場合にはいいのかな?」
「……確かにそうかも。高度な杖の場合、魔力の微調整も必要だし、範囲設定も含めて……扱いは繊細かも。これだけ魔力が有るなら、ソッチのほうが壊したりしなくて修理費も……」
リリアが何かを計算し始めた。
僕が杖を使った場合にかかる修理費用などを計算しているのだろうか?
ただこの“魔法結晶石”の方が費用がかからないのは事実。
だって僕はこの前大量にこれを作る元のようなものを手に入れている。
それを使えばいいので何もかからない。とはいえ、
「結局僕はレイアに色々買ってもらってばかりだ。自分の費用は自分で稼ぎたいけれど」
「それならあそこに有る、鉱物や植物、キノコをとってみたらいいんじゃないかしら?」
リリアがそこで計算をやめて面白そうにそれを指差した。
その視線の先にはたしかに透明な石と、赤と青のまだら模様のキノコと、母親が育てていたマーガレットの花に似た草がある。
道がくぼんでいるせいで数メートル高い場所にそれらは生えている。
あれらは取ってくると売れるのだろうか?
「あれ、売れるのかな、レイア」
「多分ですが」
「よし、とってこよう。確か袋もあるし、そしてこの“魔法結晶石”で」
僕は一つ、透明な“魔法結晶石”を取り出した。
ほんの少し力を込めると、体が軽くなる。
足元から風が吹いている状態で、ゆるやかに体が浮かび上がりその端が割いている所まで飛んでいく。
「よし、これを回収……」
そう僕は思って手を触れようとして気付いた。
木々の間に見える石のようなもの。
巨大な石がたまたま森のなかに有ると見てもいいのだけれど、そこには四角い石が規則正しく積み上げられているように燃える。
もしかしてこれはと僕は思って、
「ここのメントールの森の遺跡は何処から入るのか分かっているかな?」
「多分もう少し先だと思います」
レイアが地図を見比べながら、その道の先を指差す。
なので僕は、
「今そこの木々の間に遺跡みたいな人工物があるけれどそこは違うかな?」
「もしかしたらそれかも。まだこの遺跡はそこまで調べられているものではないので、違う入口があるのかもしれません」
「だったらここまで来て欲しい。ここからすごく近くにそれが見えるから」
それにレイア達は頷いて、風の魔法を使い登ってきたのだった。
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