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異世界に呼ばれたら、魔法が使えるようになりました。

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杖の魔法は封印見込み

 朝食は、この世界で“鶏”のようなものの肉を焼いて、野菜と一緒にパンに挟んだものになった。
 温かいスープと一緒に出されて、それが野菜の甘味がとても良いもので……。
 そんな食事を終えた僕達は、目的の場所に向かう。

 竜が眠ると言われている場所なだけに、次は竜と戦うのかなと思う。
 物語では今日的であったり友だったり雑魚? みたいに沢山出てきたりいろいろな種類があったりとバリエーションが豊富な竜。
 多分それと戦うことになるのだろうと僕はぼんやり思った。

 ただそんなにぼんやりとしているわけにもいかず、歩いている道に現れた魔物と戦う。
 僕の杖に設定できる魔法は三つ。
 そのうちの一つは、要するに“火炎放射器”のような魔法だった。

 杖を振りかざした方向にまっすぐに炎が放出される魔法である。
 森のなかで炎を使うのは山火事などを考えると危険ではあるが、こういった整備されているような道である場所では問題があまりない。
 この土のむき出しの道であることはもちろんのこと森を切り開く時に、凹みのある場所を切り開いたらしく森は僕達の上半身よりも上に広がっている。

 実はその目的となるメントールの森の近くに湖があり、この町に住む人達がよく行き来しているらしい。
 なのでその森へ行く途中までの道は整備されているが、途中から獣道にはなるようだ。
 そんな道では有るのだが今はその湖の観光シーズンではないのではないのと時間が早いせいか、人がほぼいない。

 なので現れた魔物に対して試し打ちをするにはとても都合がいい……はずなのだけれど。
 僕は振りかざした杖を恐る恐る見てから次にリリアに、

「この杖、妙に威力が強い気がするのですが」
「それは貴方の力のせいね。後はその入れた魔法が強力なのね。私のせいじゃないわ。というわけで全責任は貴方に丸投げ?」
「な、投げないでください、と言うかなんですかあれは。今ちょっとだけ魔力を通しただけで一直線に巨大な炎の柱が飛んでいきましたよ!?」
「100メートルくらい行ったわね。凄いわね。でも魔力が上手く使えるようになるだけなはずなのよね、その杖って。そうでしょう? レイア」

 リリアがレイアにそう問いかけるとレイアは頷く。
 たしか僕の杖は簡易的で、レイアの持っている杖は僕のものよりもいいもんだったはず。
 そこでレイアが、

「ええ、杖はただの道具にしか過ぎず、その魔法と魔力によってのみ自称が再現されるのです」
「と、いうわけで私のせいじゃないわよ」

 リリアにそれを言われて僕は困った。
 できるだけ魔力を抑えるように設定しているのに、かなりの出力で出てしまうようだ。
 それにこの魔法自体も高度で強力なもののようなので、

「せっかく作ってもらったけれどこの杖の出番はしばらくなさそうだな」
「だったら、私に頂戴! 私も使ってみたい!」

 エイダがそんなふうに騒ぎ出したのでとりあえず貸してみた。
 そして次に現れた鳥のような魔物に向かって炎を吹き出させていたが、確かに威力はあるものの……。

「む、無理、貴方どれだけ魔力を持っているのよ。底なしなんじゃない?」
「え? そ、そうなのかな?」
「そうよ。……ああもう、劣等感がまた刺激されたぁあああ」

 エイダが捜査権でそのうちその魔導書も全部自分のものにしてみせるんだから、と叫んでいた。
 でも今この杖に入れたのはその魔道書の魔法で、

「けっこうよく見ているんだな」

 魔導書にそう小さく声をかけると、どこか偉そうにバタンと魔道書は開いたり閉じたりしていたのだった。


 
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