ソードアート・オンライン~隻腕の大剣使い~
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第13話仲間殺しの林檎
前書き
どうも!醤油ラーメンです!
今回は圏内事件中盤からスタートです!
どうぞご覧ください!
ライリュウside
2024年4月12日、第57層・マーテン
オレは今、キリトとアスナさん、そして昨日この街で起きた原因不明の圏内PKで殺されたカインズさんの以前のギルドメンバー・ヨルコさんと一緒に、カインズさんが亡くなった街のレストランに来ている。オレはヨルコさんには今日初めて会うからちゃんと自己紹介を済ませた。多分今回は事情聴取みたいになると思う。
「ねぇヨルコさん、あなた《グリムロック》っていう名前に聞き覚えある?」
「え!?・・・はい、昔私とカインズが所属していたギルドのメンバーです」
どうやらカインズさんに刺さっていたあの槍の作成者の《グリムロック》っていう人物の名前、聞き覚えどころか元ギルメンだったらしい。
だとしたらーーー犯人はグリムロック?いや、今の段階じゃグリムロックは槍を作成した人物として名前が上がってるんだ。使うだけなら誰にでも出来る。
「実はカインズさん胸に刺さっていた黒い槍、鑑定したら作成したのは、そのグリムロックさんだったんだ」
「固有名は《ギルティソーン》、罪の蕀だそうだ」
オレとキリトがあの槍について解ったことをヨルコさんに教えたら一瞬目を大きく見開き、手で口を覆い隠した。
「何か、思い当たることはないかい?」
「どんなに些細なことでもいいんだ、教えてくれ」
「・・・・・・はい、あります。」
ヨルコさんは肩を落として確かに「ある」と言った。内容次第では犯人に大きく近付く。
「昨日、お話し出来なくてすみませんでした。忘れたい、あまり思い出したくない話だったし。・・・でも、お話しします。・・・・・・そのせいで、私たちのギルドは消滅したんです。」
ギルドが消滅ーーーその言葉を聞いて思わず拳に力が入った。後悔、悲しみ、怒り、憎しみ、当時14歳のオレがそんな負の感情を一度に体感したのは、それがきっかけだったっけなーーー
「ライリュウくん、大丈夫?」
オレとキリトの間の席に座ってるアスナさんがオレの顔を見て声をかけてくれた。それに対し「大丈夫」とだけ返事を返した。まあ、問題ないと言えば嘘になるかな。
「ギルドの名前は、《黄金林檎》っていいました。半年前、たまたま倒したレアモンスターが敏捷力を20も上げる指輪をドロップしたんです。ギルドで使おうっていう意見と売って儲けを分配しようって意見で割れて・・・でも最後は多数決で決めたんです。結果は5対3で売却でした。」
敏捷力を20アップーーー確かにそこまで敏捷パラメータを上げるアクセサリーがあったら攻略にも大きなアドバンテージになるし、高値で売れるだろうな。それでどうするかで意見が割れて、最終的に多数決で売却。それならさほど文句は言えないわな。
「前線の大きい街で競売屋さんに委託するために、リーダーのグリセルダさんが一泊する予定で空けました。でも・・・グリセルダさん、帰って来なかったんです」
「帰って来なかった?メッセージは来なかったのか?」
ギルド・《黄金林檎》のリーダー、グリセルダさんが予定通りに帰って来なかった。それに対しオレはメッセージは送られてないのか聞いたが、答えは首を横に振るのみ。
「あとになって、私たちはグリセルダさんが死んだことを知りました。どうして死んでしまったのか、未だに解りません・・・」
グリセルダさんの死ーーーカインズさんの圏内PK事件と何か関係があんのか?
「そんなレアアイテムを抱えて圏外に出るはずがないよな」
「ああ、だとすると睡眠PKか」
「半年前なら、まだ手口が広まる直前だわ」
睡眠PKの手口が広まったのは少なくとも半年前より後、《アンチクリミナルコード有効圏内》のシステムを掻い潜る抜け道がまだ広まっていなかったから、グリセルダさんも知らなくても無理はない。
「ただ、偶然とは考えにくいな」
「確かに、グリセルダさんを狙ったのは指輪のことを知っていたプレイヤーだということになる。赤の他人だったらグリセルダさんが持ってるレアアイテムのことを知ってるはずがない。つまり・・・」
「・・・・・・黄金林檎の、残り7人の・・・誰か」
そうーーー仲間殺し、それしか考えられない。
「中でも怪しいのは売却に反対した人間だろうな」
「売却される前に指輪を奪おうとしてグリセルダさんを襲った、ってこと?」
「そう考えるのが妥当だろうな」
あ。そういえば、グリムロックさんーーー
「グリムロックさんっていうのは?その人も《黄金林檎》の元メンバー?」
「はい、グリセルダさんの旦那さんでした。もちろんこのゲーム内での、ですけど」
そういえばSAOには《結婚システム》なんてものがあったな。男女のプレイヤーが結婚するとアイテムストレージの共有なんてことが出来るんだっけ?まあ、その仕様を利用してアイテムなんかを騙し取って結婚詐欺みたいなことが起こったケースもあったからシステム上の夫婦はかなり少ないらしいけど。
「グリセルダさんはとっても強い剣士で、美人で、頭も良くて。グリムロックさんはいつもニコニコしてる優しい人で、とってもお似合いで、仲の良い夫婦でした」
このSAOでそれだけお互いに信頼して、笑って、おまけに結婚までしてたなんて、黄金林檎の人たちには全然面識ないけど、確かに羨ましいかもしれないな。本当にSAOで初めて会ったのか逆に疑わしいくらいだ。
「もし昨日の事件の犯人がグリムロックさんなら、あの人は指輪売却に反対した3人を狙っているんでしょうね。・・・指輪の売却に反対した3人の内、二人はカインズと私なんです」
『え!?』
指輪売却に反対した一人ってことはーーーヨルコさんも、恐らくグリムロックさんの復讐のターゲットってことになるじゃねぇか!でも、反対したのはあと一人いる。
「じゃあ、もう一人は!?」
当たり前だろうけどキリトもちゃんと解ってた。あと一人も標的だろうから、事前に危険を知らせられるかもしれない。
「シュミットというタンクです。今は攻略組の《聖竜連合》に所属していると聞きました」
《聖竜連合》か、確かアスナさんが副団長をしてる《血盟騎士団》とほぼ同規模の攻略組ギルドで、なんか勝手に《血盟騎士団》にライバル心燃やしてるんだよな。
「シュミット?聞いたことあるな」
「《聖竜連合》のディフェンダー隊のリーダーよ、でっかいランス使いの人」
「ああ、そういえばいたな・・・アスナさんが「エリアボスを村に誘ってNPCを殺してる間に倒す」とか言ってたエリアボス討伐作戦会議に」
「う"っ」
あれはマジムカついた。NPCだってこの世界で生きてる、それを単なるオブジェクトだって言ってボスのエサにしようとすんだもん。だからその作戦会議オレ途中で帰ったし。
「シュミットを知っているのですか?」
「ああ、ボス攻略で顔を合わせる程度だけど」
「シュミットに会わせてもらうことは出来ないでしょうか?彼はまだ、今回の事件のことを知らないかも。だとしたら、もしかしたらカインズのように・・・」
そういえばカインズさんとヨルコさんって昨日ひさしぶりに会ったんだっけ?ギルドが解散してからめっきり会ってないんじゃーーーもしかするな。
「シュミットさんを呼んでみましょう。《聖竜連合》に知り合いがいるから、本部に行けばどうにかなると思うわ」
「だったらまずは、ヨルコさんを宿屋に送らないと」
「じゃあオレが送るよ、オレ前に《聖竜連合》とちょっとトラブっちゃって」
実は前に《聖竜連合》にスカウトされたことがあったんだけとーーーそいつが超嫌な奴がいたからぶん殴って断ったんだよな。だからボス攻略なんかで《聖竜連合》の奴と顔合わせたらメチャクチャガン飛ばされた。
「解った、頼む。ヨルコさん俺たちが戻るまで、絶対に宿屋から外に出ないでくれ」
「・・・はい。よろしくお願いします、ライリュウさん」
「ああ」
******
「ライリュウさん・・・《聖竜連合》と何かあったんですか?」
「ん?どうしたんすか急に」
ヨルコさんからの突然の質問。何かあったって?
「だってさっきトラブったって」
「あ、あ~あれか」
そういやそんなこと言ってたっけ、なぜか自分が些細な会話の中で言った発言をよく忘れがちになる。オレまだ15歳なのに物忘れがすごいってどうなんだがーーー
「《キリト》、アイツが《ビーター》だってことは知ってる?」
「はい、元ベータテスターで、攻略に有利になる情報をたくさん持ってる、ベータのチーター、《ビーター》。でも普通に優しそうで、とてもそうは見えませんでした」
やっぱりアイツに対する印象や評判はそんなに悪いのか。ーーーでもヨルコさんのアイツのイメージとは違って見えたのは少し嬉しいな。
「オレも元ベータテスターでさ、第1層ボス攻略の時、「元ベータテスターがしっかり面倒を見なかったからたくさんビギナーが死んだ」って言ってたおっさんがいたんだよ。確か《軍》の奴で名前・・・《虫歯オウ》だったっけ?」
「それ・・・もしかして《キバオウ》さんじゃないですか?」
「あ、それだ」
あのおっさんの関西弁はもう聞きたくないな。思い出したら「なんでや!」が頭の中を飛び回ってくる。かんなの関西弁とあのおっさんの関西弁でかなり印象違うな。
「そのあとオレが元ベータテスターだって名乗ってそのおっさんと一悶着あって、まあその時はなんとかまるく収まったんだけど・・・ボス戦当日、そのボス攻略のリーダーが死んで、キリトが元ベータテスターなのがバレちゃってさ、それまでアイツが浴びてた声援があっというまに罵声怒号のオンパレードになっちまったんだよ。その時マジでムカついたよ、あの《歯肉炎》のおっさん」
「症状が悪化してる・・・」
名前はどうでもいいんだよ、名前は。それにおっさんは全然重要じゃないし。
「その罵声怒号ってのがさ、「他にもいるんだろ?出てこい元ベータテスター」ってまるで犯人捜しだったよ。その時キリト・・・どうしたと思う?」
「もしかして・・・?」
ヨルコさんの考えてることは多分合ってる。
「ビーターを名乗り、自分一人で元ベータテスターたちに向けられる怒りや敵意を受けて、自分が孤立化して他の元ベータテスターを庇った」
「・・・だからずっとソロで最前線に」
「すげぇだろ?オレ、アイツのことスッゲエ尊敬してる」
キリトもオレたちと変わらないのにーーーそう思ったら、なんでオレはあの時何も言わなかったのかな?オレにはアイツみたいに全てのプレイヤーを敵にまわす覚悟もなかったのかなーーー
「オレ、《聖竜連合》にスカウトされたことがあったんだけど、そいつが「薄汚いビーターなどより、実力の近いキミを選んだ」って、しれっとキリトをさげすむようなこと言ったもんだからぶん殴った。おかげでボス攻略とかで顔合わせたら滅茶苦茶ガン飛ばされた」
「そんなことしたんですか・・・?」
そこまでするほどムカついたってことだよ。
「とにかく!キリトは皆が思ってるような悪い奴じゃない!・・・それだけは、解ってくれよ。あと、キリトにはナイショな」
「・・・はい!」
キリトもオレも男だからな、さすがにないだろうけどーーーオレがコッチだと思う奴もいるかもしれないからな。変な誤解を受けるのは絶対にゴメンだ。
つーかアイツなんか親近感沸くんだよなーーー
後書き
なんか圏内事件まだまだ終わらない気がする・・・。
アインクラッド編ですでにやりたいネタが多すぎてヤバイ(;゜∇゜)
ところで・・・ラフコフ討伐戦ってどの辺りでやるかわかる方いますか?出来れば日にちと場所を教えてくださるととてもありがたいです。
次回も楽しみにしてください!
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