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『続:殺し、失い、得たもの。』

作者:零那
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『再:舞とカズ』



桜に連絡が入る。
舞に、カズが来るって伝える桜。
零は考えた。
カラオケ禁止。
人目に付く場所。
決めた!

『桜、街行こ!歩きながらでええない?舞、嫌?』

『街行くっ♪零と行くん久々過ぎっ♪』

『わかった。じゃあ連絡入れとく』

組長と話したこと、今は言わん方がええんやろなぁ...
妙に躍起になってる。
てか、桜がカズのこと好きなんやないんかってくらいのテンション。
今んとこ舞はカズに興味無いみたいやし...
桜が好きなら勝手に付き合えば良い。
舞を理由に逢うのはヤメて欲しい。
それとも、舞に彼氏が出来るかもって喜び?
解らん...。

舞がコンビニで新商品のお菓子に夢中。

桜に聞いた。
『なぁ桜、カズのこと好き?』
『んなわけないやん!』
『ホンマ?でも桜嬉しそうやし。舞は今んとこカズに興味無いで?』

『妹に彼氏できるかもって姉が喜んだらアカンの?』

『そんなんじゃない。桜の考えや気持ちが最近掴めんし不安なんや』

『...なにそれ、どぉゆうこと?』

『零はハッキリ言ってカズのことスカン!怖い!本能的に体が拒否する。笑顔の仮面の下は悪魔やとさえ思てる』

『なんなんそれ怖い!!根拠と情報は?』

桜が急に泣きそうな表情になった。
舞はお菓子に夢中。


舞に聞こえんように、組長と話したこと、調べてくれてることを打ち明けた。
暫く考え込む桜。

舞に呼ばれたから行った。

『零ー!!これ悩むーっ!期間限定!どっちにしよーかー』

『今すぐにでも食べたいのはどっち?』

『こっち♪』

『ほな今日はコッチにしぃ♪明日、もぉいっこの方また買いにこよっ♪』

『うんっ♪』

可愛い可愛い舞。
純粋で素直な舞。
傷ついて欲しく無い。
もう二度と酷い目に遭って欲しく無い。

桜はマダ難しい顔してた。
言うべきやなかったかな?
でも隠しとくのも変やし。
いざとなった時に困るし。

桜が言う。

『今断ったら変やし、ホンマに危ない人やったら逆に怖いし、約束通り街で逢う』

うん、打ち明けて良かった。

カズ発見。
一瞬、体が硬直した。
血が一気に早く流れた。
体が熱い。
血が騒ぐ。
怖い...ごっつ怖い。

今すぐ消してしまいたい。
衝動を必死で抑える。
目は見ん様にする。
幸い零は小さい。
カズは大きい。
零は152cm。
舞もあんまり変わらん。
カズは170cm以上はある。
至近距離だと逆に顔を見んで済む。

『舞チャン♪2度目ましてぇー』

わざとらしい甘い顔をする。
舞がひきつりながらも返事。



『はい...2回目ですね...』

『舞チャン俺の顔キライ?』

舞を覗き込むように屈んで聞く。

『いやっ!!えっとっ!!男の人苦手でっ!!スミマセン近いです!!』

舞が限界で零の後ろに逃げ込んできた。
背中に顔を埋めてる。
うっ!!
カズが近付いてきた。

『...あの時、何かあるって解ってましたよね?こぉゆうことなんで距離感は徐々にお願いします!!』

何とか言い切った!!
零も覗き込まれるように見られながら...
正直ごっつ怖かったけど、腰も引けてたやろうけど...
それでも丁寧に言い切った。

一瞬、鋭く睨みつけられた。

髪をかきあげ、背筋を伸ばし、貼り付けた様な笑顔に切り替えて、言った。

『なるほど、徐々に、OK♪ゆっくりね、待つよ♪』

舞は後ろで震えてた。
もしかして何か感じ取った?
零が怖がってるのは伝わったやろうなぁー...
それとも単純に、急に至近距離なってビックリしてただけかな?

舞の手を握りしめたまま人混みの方へ向かう。
いっそ、今此処で、肩がぶつかったとか、そんなありきたりなことで喧嘩してくれたらいいのに。
そしたら無理ですってハッキリ断れるのに...
そんなこと考えてたらドンッ!いってぇ...あれ、自分が誰かにぶつかってしもた。
しかもチンピラ。

カズが、そのチンピラの胸ぐらを掴みに行った。
あちゃー...
コレ違う方。
コレ逆効果...。
あーどぉしよぉ。

『女にぶつかっといて謝りもせんって男としてどぉなんすか?ドコのモンっすか?』

チンピラは慌てて謝りに来た。

『いえいえ!!此方も考え事を...っ!!!』

お互い顔見合わせてビックリ。
知らんフリした方が良い。
2人の意志は通じ合った。
プラス、零の心の訴えが通じて欲しいところやけど...
その場は円満に済んだ。

『ありがとう...』

一応、カズに言う。

『あー、俺あぁゆう輩キライなだけやし。カマかけただけやのに礼儀知らずがヤクザとか笑える。どぉせ教育なってない終わりかけの組やろ』

『カズはドコのモンなん?』

『はぁ?俺めっちゃカタギやし』

『そぉなんや...?』

カズは、舞に、手を繋いで歩きたいってお願いしてた。
舞は不安そうやったけど、心なしかホッペが赤い。
今迄って緊張してただけ?
恐怖心とかでは無く?
いや、仮に恐怖心が在ったとしても零の感じてる恐怖心とは種類が違うんやろな。

舞は、零に、覚悟を決めた表情で頷いた。
舞が、舞の意志で行くなら見守る。
人混みの中、何も出来まい。
交番も在る。
中に人もチャント居た。

桜に聞いた。


『舞の気持ちが解るまで舞には言わん。そぉするんやろ?舞が本気で好きになるなら良いんやろ?』

『舞の意志が何より大事やし、それに、アンタの思い過ごしかも知れんやん?確信がない限り舞に不安を与えたくない』

『せやな...思い過ごしであることを願うけど、最初、今すぐ目の前から消したいって衝動と恐怖を抑えるのに必死だった。絶対なんかある...これで何も無かったら殴って笑ってええよ』

『なんなんそれマジメに怖いし』

『それと、さっきぶつかったチンピラ、組長とこの下っ端なんよ。組長に報告してくれてると思う。あ、舞ナンカ貰ってる。嬉しそうやし...ホンマに零の思い過ごしで、カズが普通の人やったらええのにって思うけど...ちゃうやろなぁー...』

『......』

『舞ーっ♪何貰ったん?』

舞が嬉しそうに走ってくる。
こんな時でも、こけるなよっ!とか思ってしまうくらい、舞が大事。

『コレ、超カワイイ♪』

イルカのピアス。
口説くんか?
計算か?

カズの行為が全てマイナスにしか捉えられん。

舞の笑顔が、芽生え始めた恋心が、このまま続けば、零と桜は知っとくべき事がある。

...いつの間にか恋人繋ぎになってた。

カフェに入った。
外から見張る。
舞が先に出てきた。


『カズが、すぐ持って行くから皆と居りなって♪』

『惚れた?』
『チョット好きかも♪』

照れ過ぎて顔真っ赤。
コッチが恥ずかしいわ。
桜が鞄から出したCDで舞の顔を隠した。
ふざけて笑い合ってたらカズが出てきた。

『適当に選んだし飲めんかったら交換してくる』

『カワイイカワイイ舞にだけ御馳走してくれたら良かったのにぃー...ありがとうございますっ!』

チョットふざけたノリで言ってみた。
一か八か。
反応見る為に。

『皆と一緒の時は皆の分買うのは普通でしょー』

あれっ、...
桜もキョトンとしてる。
キレんにしても絶対イラッとはするやろ思たのに。
桜と話して、暫く試してみることにした。

キレるスイッチは何か。
本性は出すか。
表情も細かく見る。

舞が『アレしたい!』ってUFOキャッチャー指さした。
カズが一瞬コッチを見て、舞の手を引っ張って逃げるように店内に走って行った。

『トイレに連れ込まれたらっ!!!』

2人は咄嗟にトイレにダッシュ!!
居らん!!
なんでっ!!
何処!!
最悪っ!!
くっそーっ!!
2人は泣き出した...

後ろにあるプリクラ。
舞の楽しそうな声が...

心臓止まるか思た。
自分を殺したい思た。
この血の気が引く感じ、二度と嫌やっ!!

舞の声聞いた瞬間チカラ抜け過ぎて立てれんかった。
ホンマ笑うしかない。
笑いながら、泣いた。
桜も、嗚咽と共に...。

絶望からの安堵感。
ホンマ辛い。
舞を守りたい。
命を懸けてでも。
舞を危機に晒す全てから守りたい。

舞が出てきた。
2人はオバチャンみたいに勢いつけて『よっこらしょ』言いながら頑張って立ち上がった。
で、舞に蹴り入れた。
カズはトイレに行った。
舞は2人の雰囲気で察した。
抱きついてきた。

『ごめんっ!!ほんっまごめんっ!ごめんっ!!ありがとぉっ!!』

『舞のバカっ!』
『勘ぐられるから涙拭きぃ』

『嫌な事は何もされんかった?』

『ホッペにチュウされた♪』

撮りたてのプリクラを見せてきた。
普通のカップル。
見た目じゃホンマ普通の...。

もぉ嫌や、あんな生きた心地せんよぉな感覚。
しかもカズは敢えて挑発してきたようにしか思えんかった。
やっぱりナンカある。

アカン...
何で舞は平気そうに笑ってんねやろ?
無性にイラッとする。
え、何に?
舞に?
カズに?
自分に?

解らへん。

無性に苛々して...
無性に叫びたくて...
無性に泣きたくて...
死にたい...
殺して...
いやいや、なんでそぉなんの?
ちゃうやろっ!
心ん中グッチャグチャで自問自答しても更に絡まって暗闇にハマる。

零の気持ちを察したのか、桜が背中をさすってくれた。
頭ポンポンってしてニッコリしてくれた。
やっぱり桜は年上なんやなって実感した。

『たぶん同じ気持ちやと思うよ?』

涙声で言う桜。
必死に涙堪えてる。

『桜、カズ帰らしたあと、組長とこ行こ。カズのこと何か解ってるかも知れんし』

『わかった』


 
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