FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
復活
前書き
ようやくブルーミストラルの最終巻を買いました。
大人だけでなく、子供からも天使扱いされるウェンディ。やっぱりあなたは天使属性だったんですね。わかります。
しかしそんな彼女は7年の凍結封印でその子供にすら年齢を追い越されるという珍事に見舞われているわけでして・・・ヨシノちゃんに至ってはエルザと肉体年齢一緒ですし・・・
というかヨシノちゃん出そうかなとかいっておいて全然出したことなかったわ(笑)再登場のイメージもいまいちつかめませんが・・・
『踏み止まった!!レオン・バスティア、グラシアンの怒濤の攻撃を受けながらもなんとか踏み止まりました!!』
実況席ではすでに意識を失いかけていたレオンがなんとか倒れずに耐えたことに驚いている。それは彼らだけではなく、ドムス・フラウにいる観客たち、そして彼の目の前にいる3人の魔導士たちも同様であった。
「なっ!?」
中でも一番動揺しているのはリオンに変化しているグラシアン。ここまで一方的に押されていたこの男はもう倒れ戦闘不能になるしかなかったのに、なぜかはわからないが持ち直したのである。
「なぜだ。なぜここまでボロボロなのに・・・お前は立ち上がれるんだ?」
満身創痍のレオンにグラシアンが問いかける。レオンはそれに口角を上げて答える。
「さぁな」
「さぁなって・・・」
レオンの返しに逆に不気味さを感じたグラシアンは自分の頬を伝うものを感じていた。
「よくわかんないけど・・・ラウルの声が聞こえた気がした。たぶん気のせいだけどな」
気のせいではない。確かにラウルはレオンに届けようと叫んでいたのである。しかし、彼ら2人の距離はあまり離れすぎていたため聞こえるようなことはあり得ないのである。しかし、ラウルの声が・・・想いがレオンに通じたのである。
「ラウルの声か。だったら俺にも聞こえるよ。キセキの声がな!!」
グラシアンはそう言うと両手を合わせて造形魔法の体勢に入る。それに合わせてレオンも構える。
「アイスメイク・・・ドラゴンフライ!!」
「ゴッドメイク・・・・・封印の氷地獄!!」」
リオンから放たれた大量のトンボたち。その群れがレオンに直撃する寸前に彼は腕を振るいトンボたちを覆い尽くす。
『レオン選手!!無数のトンボを一瞬で凍らせました!!』
『速度はなくともあれだけ広範囲に魔法を放てれば攻撃をいくらでも防ぐことができますねカボ』
『これが彼の強み・・・といったところかね』
1日目のタックバトルでも、4日目のトリプルバトルでも相手の魔法を封じ込めてきた封印の氷地獄。しかし、グラシアンは自分の魔法が不発だったにも関わらず、全く気にした様子もなく笑っている。
「くっくっくっ。そういえばもう1つお前の弱点があったな」
「え?」
グラシアンが付け加えるようにレオンの弱点がもう1つあったと言い、シリルとソフィアは目を点にしている。
「より多く滅神魔法の魔力を使っている封印の氷地獄。この魔法は造形系統の魔法であるにも関わらず、お前は人や動物にぶつけることができない」
「「あ!!」」
シリルとソフィアはそれを聞いて気付いたように声を出す。言われてみればその通りなのである。これだけ強力な魔法であれば相手を一瞬で倒すことも容易いことなのである。
むしろドムス・フラウ全体を氷で覆い尽くしてしまうほどの大魔力を使う魔法。なのに今まで誰1人としてこの魔法で凍った人間がいない。冷静になって考えてみるとおかしいことに気づく。
「お前の最高の魔法封印の氷地獄は相手の攻撃に対応させることしかできない。お前は戦う前から終わってんだよ、レオン」
図星を突かれたレオンは何も言い返すことができない。もし封印の氷地獄が人間にもぶつけることが可能であればここから逆転を狙うことも容易だろうが、それができないから彼は苦しみながら戦闘を続けているのである。
「パワーしかない魔導士に、俺が倒せるかな?」
グラシアンはリオンから元の自分の姿に戻る。つまりレオンと同じ魔法をぶつけるのはやめにして、一気に勝負をつけに来たと考えられる。
「幻竜の・・・鉄拳!!」
「アイスメイク・・・・・山!!」
拳に紫の魔力を溜めて殴りかかるグラシアン。レオンはそれに対して後方へと跳び距離を置きながら、広範囲に盾を作る目的で巨大な山を作り出す。
「おっと!!」
グラシアンは山の頂上部は避けることができた。しかし、中腹のところで足を取られバランスを崩す。それでも彼は止まることなくレオンに向かっていく。
「アイスメイク・・・・・スノードラゴン!!」
レオンはグラシアンの前に立ちはだかるように竜を出現させる。グラシアンが足を取られ速度が落ちたことにより造形するのに間に合ったドラゴン。バランスはリオンほどよくはないが、それでも彼の持ち前のパワーでそれなりのものへはなっているはずである。
「どりゃ!!」
グラシアンはいきなり現れたドラゴンを回避することはできなかった。しかし、意地のパンチでドラゴンを粉砕してレオンへと突進を続ける。
そんな彼はドラゴンを抜けたと同時に目の前で1人の少年と目があった。それはもちろん、言わずと知れたレオンである。
「はぁっ!!」
「ぐっ!!」
魔力も何も使っていない純粋なパンチ。レオンのそれがグラシアンの頬を捉え、地面へと叩きつけられる。
「無警戒だった。反省反省」
グラシアンはすぐに体を起こすとレオンを見据える。そんなグラシアンを横目で見つつレオンは次の動きを起こしていた。
「アイスメイク・・・・・大槌!!」
大きな槌がグラシアンへと向かっていく。グラシアンはそれを見るが冷静に右手に魔力を纏わせる。
「はぁっ!!」
鋭い鉄拳が氷の槌に衝突する。グラシアンの考えではこの氷は砕くことができるはずだった。しかし、その予想は大きく外れてしまう。
「どわっ!!」
レオンが振りかざした氷の槌はグラシアンを押し潰した。グラシアンは地面にめり込んでしまったが、まだまだ余力があるらしくすぐに立ち上がることができる。
「そうだったそうだった。パワーは他人よりもあるんだった」
「俺は力しかないからな」
グラシアンとレオン、2人の戦いはこの後も熱を帯びていく。
『いやぁヤジマさん!!どの場所でも熱い戦いが繰り広げられていますね!!』
『うむ。やはりどのギルドも優勝は譲れないだろうからねぇ』
現在戦闘しているのはグラシアンとレオンだけではない。グレイとタクト、シェリアとジュビア、ラクサスとオルガ、そしてエルザとミネルバといったメンバーたちが戦いを繰り広げていた。
『それにしても・・・さっきから何人か魔水晶ビジョンに映らないメンバーがいるねぇ』
『スティング選手にジュラ選手、それにリオン選手も全く映っていませんカボ』
現在生き残っているのは16人。そのうちの10人は激しく戦闘をしている。シリルとソフィアはグラシアンに自由を封じ込められているため戦闘に加わっていないしガジルも鉄影竜がよほど疲労したのかローグとフロッシュの前で座り込んだままである。
しかし、先程名前が挙げられた3人はどのビジョンにもなかなか映らない。1位の剣咬の虎の点差を考えるとリオンとジュラは特に動かないといけない気もするのだが。
『そうですね。果たして彼らはどこに・・・』
チャパティが見落とさないようにビジョンの映像を見ていると、2人の全く動かない男たちが目に入った。
『あぁっと!!リオン選手とジュラ選手!!魔水晶ビジョンに釘つけで一切動こうとしていないぞ!?』
ジュラは立ったままレオンが映るビジョンを見上げ、リオンに至っては足を組んでレオンの戦闘に見入っている。普通ならありえないような光景に実況席も驚くしかない。
「ジュラ様とリオン様・・・何やってるの?」
「マジメにやれよ!!」
「キレ・・・いや、これはキレていいのか?」
シェリーとトビー、そしてユウカがそう言う。彼らが勝つためには最低あと9ポイント入れなければ現在1位の剣咬の虎を追い越すことができない。そんなことは重々承知のはずのギルドの二強が動きを見せないのだ。驚かない方がおかしい。
「リオンさん・・・ジュラさん・・・」
レオンが心配でしょうがないラウルもさすがにこの2人の行動には驚いていた。そんな中彼らがなぜこんなことをしているのかすぐに察した者もいた。
「なるほど。そういうことかい」
蛇姫の鱗のマスターオーバ・ババサーマ。彼女は彼らの行動の意図を理解し、違うビジョンに映るレオンへと目を移す。
「あいつらはあんたに賭けたってことさね。期待に応えなよ、レオン」
「どはっ!!」
グラシアンのブレスを受けて後方へとよろけるレオン。彼はたまらず膝をつき、1度動きを止める。
『蛇姫の鱗レオン!!さすがに辛くなってきたか、完全に膝をついてしまった!!』
グラシアンと交戦中のレオン。対戦者のグラシアンも疲労はしてきてはいるが、それ以上にレオンの消耗が大きい。一時防戦一方になった際のダメージが今になって出てきたのである。
「よく持ってはいる。だがやっぱり俺に勝つには足りないようだな」
呼吸を整えながらレオンを見下ろすグラシアン。彼は自分のもっとも効果的な魔法である変幻自在の物真似をここ数分は使っていない。滅竜魔法でレオンに力勝負を挑んでいるのである。
「アイスメイク・・・・・」
膝をついたまま両手を合わせるレオン。それに気づいたグラシアンは大きく頬を膨らませる。
「吹雪!!」
「咆哮!!」
2人の魔法が衝突し、煙が立ち込める。現在の2人の力は互角。それを踏まえるとダメージがより小さいグラシアンの方が優勢と考えられる。
「これヤバイな・・・どうする・・・」
レオンは立ち上がると膝についた砂を払いながら思考を巡らせる。今のままでは先に限界が来るのは自分であることは目に見えている。何か打開策を練らないとただ敗北へと道を辿っているとわかったのだ。
(方法は2つ。このまま造形魔法で相手のミスを祈るか、無理矢理滅神魔法をぶちこんで勝利するか・・・)
難しいことを考えている暇はない。今はこの2つのどちらかを選んで戦い抜くしかないのである。
(ラウル・・・シェリア・・・リオンくん・・・みんな・・・)
頭の中に自分を支えてくれたメンバーたちが浮かんでくる。その表情を見て彼は笑みを浮かべる。
「そうだな・・・こっちを選ぶしかないよな!!」
レオンは自分に言い聞かせるようにそう言うと、大きく頬を膨らませていく。シリルやグラシアンの滅竜魔導士たちがもっとも得意とするあの魔法と同じように。
「ブレス!?」
「打てるの!?レオン」
シリルとソフィアはレオンが何をしようとしているのかすぐにわかった。レオンは口一杯に魔力を溜めながら目の前の敵に照準を合わせる。
(いける!!撃てる撃てる!!何も出てこない!!あとはこのまま放ってしまえばいいだけだ!!)
いいイメージを持とうと・・・あの時の悲劇を頭から忘れさせようとする。
彼の周りの気温が一気に下がっていく。彼を中心とした空間が、まるで冬の山のような状態になるのをその場にいた魔導士たちは感じていた。
「氷神の・・・・・」
魔力を溜めきったレオン。ついに復活のブレスをグラシアンに撃ち込もうとした時、
ヒョイッ
目の前にラウルが現れる錯覚が見えてしまった。
「ど・・・ごう・・・」
彼のブレスは打ち出されることなく、体が動けなくなってしまう。
「幻竜の斬撃!!」
「うわっ!!」
金縛りにあったレオンにグラシアンは容赦なく攻撃を打ち込む。レオンはそれをまともに受けてしまい地面に倒れ込む。
「マジで金縛りにあうんだな、可哀想に」
「くっ・・・」
楽しそうに笑みを浮かべてレオンにそう言うグラシアン。そんな彼の足場がいきなり盛り上がる。
「おっと!!」
グラシアンは打ち上げられそうになるが咄嗟にジャンプして後ろに下がり事なきを得る。その盛り上がった場所には黒い氷が出ていた。
「造形魔法ならいくらでもできるのにな・・・」
どうやらレオンが自分の身を守るために造形で足場を挙げたらしい。グラシアンが距離を取ったことで悠々と体勢を整えることができる。
「つっても・・・どうするかな・・・」
今の魔法は至近距離からの攻撃を回避するためにやっただけに過ぎない。状況はさっきと何も変わっておらず、厳しいままである。
『このこのこのこのこの!!』
レオンは聞き覚えのある声が聞こえ上を見上げる。そこには恋敵と勘違いしているジュビアとケンカしているシェリアが映っていた。
「ぷっ」
思わず吹き出す。他の魔導士たちは本気のバトルをしているのにあの2人だけは完全にただのケンカになっている。それがおかしくって、レオンは笑っていたのだ。
「なんか楽になった気がする」
よくわからないがレオンは悩んでいる自分がアホらしく感じた。彼は過去の辛い記憶から苦しみもがいているのに対し、シェリアは口癖の“愛”のためにただケンカをしている。それがなんだかおかしくて、ビジョン越しではあるが面白く感じて、心が楽になった気がしてきた。
(それに・・・一番辛いのは俺じゃない)
レオンはラウルのことを思い出す。彼の母親を自分の力不足で殺めてしまった。もし自分がリオンたちのように技量があれば魔法を途中で止めることもでき、彼は今ごろ母と楽しく暮らしていたのかもしれない。そう考えるとその記憶で苦しんでいるのは自分だけではなく、ラウルもそうなのではと彼は思った。むしろ彼の方が苦しい思いをしていたのかもしれない。ただそれを表に出さなかっただけで。
「やる。もうこれはやるしかない」
レオンは心に決めた。滅神魔法を使うと。
過去のしがらみから完全に抜け出るために・・・ラウルに笑顔で会いに行けるように・・・そして、自分を支えてくれた仲間たちのために・・・
(今回だけでいいです。ラウルの母さん・・・俺に滅神魔法を使わせてください)
祈るように目を閉じる。誰も答えるはずなどないのに、レオンは今は亡きそのエクシードにお願いする。
『何も悩む必要なんてありません。あなたはあなたの信じた道を進みなさい』
「!?」
不意に誰かの声が聞こえた気がした。辺りを見回してもそれが誰の声なのかわからない。
『あなたはラウルの大切な友達です。だから、負けないで』
今の言葉でこの声が誰のものなのかレオンはようやくわかった。彼はその声の主が見ていることを信じて静かにうなずく。
そしてレオンは自らの魔力を高めていく。
(目付きが変わった?)
グラシアンは自分を見るレオンの目が今までとは違うように感じた。それと同時に彼の顎を伝い1滴の汗が地面にポトリッと落ちる。
「プレッシャーが・・・」
戦いによって出た汗ではない。彼の発するプレッシャーが跳ね上がったようにグラシアンは感じていた。自分と肩を並べる滅竜魔導士であるローグとスティング。その2人と共闘し戦い破れたシリル。その彼よりも遥かに高い魔力をレオンが発し始めたのである。
「何これ・・・」
「レオンの魔力が・・・上がった?」
その異変にはシリルとソフィアも気付いた。彼らだけではない。ドムス・フラウでこの映像を見ている観客たちも、さらには戦闘中の他の魔導士たちも彼の高い魔力に気づいていた。
「もしかしてこれが・・・氷の神なのか?」
彼の周りに魔力のオーラが現れる。これから魔法を使うにあたって集中力を高めているのだ。
『すごい魔力です!!ここまでその力が伝わってくるようです!!』
『エルザやカグラ、ミネルバの3人とも遜色ない・・・いや、それをも越えるほどに感じるね』
『ものすごい集中力カボ』
高まっていくレオンの魔力。ただグラシアンもそれに黙って見ているようなほど腰抜けではなかった。
「どんだけ魔力を高めようとお前は恐るるに足りん。貴様は滅神魔法が使えないのだから」
グラシアンも彼と同じように集中力していく。彼はその力をより多く引き出すために、第三世代の滅竜魔導士しかできないあの領域に達する。
『出ました!!剣咬の虎が誇る三大竜の1人グラシアン!!ここに来てドラゴンフォースを解放したぁ!!』
顔に鱗が浮き出て、体内に留まることができなかった魔力が彼を覆う。目の前の敵を倒し、大切な友の笑顔を取り戻すためにグラシアンは竜の力を発動させたのだ。
「そっちも本気なんだな、グラシアンさん」
「もちろん。最強の敵には最強の状態で挑むのが礼儀だ」
レオンも限界値まで集中力を高めたのか、彼を包んでいた魔力のオーラが姿を消す。そして2人は互いの利き腕にすべての魔力を集めだした。
「滅竜奥義!!」
竜を滅するための魔法滅竜魔法。その中でも最高クラスに分類される滅竜奥義をグラシアンはこの大会で初めて使用しようとしたのである。それだけレオンの魔力が高いと彼は判断したのだ。
「ハルシネイションゾーク!!」
大地を強く蹴り目の前の敵に向かって飛んでいくグラシアン。それに対しレオンも魔法の体勢に入る。
「氷神・・・・・」
グラシアン同様ジャンプして向かっていくレオン。グラシアンよりも魔力を溜めるのが時間がかかっていた彼は体勢が悪いながらも突進を続ける。
(勝った!!)
(大丈夫!!大丈夫!!大丈夫!!)
レオンの技への入り方を見て勝利を確信するグラシアンと悪いイメージを払拭しつつ攻撃を加えるために自分に何度も同じことを言い聞かせるレオン。
「永久凍土!!」
レオンの通ってきた道が彼の氷のように冷たい魔力により凍り付いている。それはさながら寒い海に浮かぶ氷山のようだった。
「うおっ!!」
「はぁっ!!」
2人の全身全霊を込めた拳が衝突する。それと同時に、この戦いを映していたドムス・フラウの魔水晶ビジョンの映像がスノーノイズへと変化していた。
『これは・・・ただいまの衝撃でカメラが故障してしまったようです。現在別のカメラを向かわせておりますので、しばら――――」
チャパティの実況を遮るように、何やら爆発音のようなものが聞こえてくる。それと時を同じくしてドムス・フラウが大きく揺れた。
『2人の魔法の衝突がここ、ドムス・フラウまでも揺るがしているのか!?すさまじい振動です!!』
『いや・・・』
この時ヤジマはこの振動の本当の理由に気付いていた。常識的に考えて数キロ離れているその場所から魔法の衝突による衝撃波だけで遠くの・・・しかもこれだけ大きな闘技場を揺らすことなど不可能に近い。そんな長距離からそんなことができるとすれば方法はただ1つ。
『闘技場の下の方を映せるかな?』
『え?あ、はい。今カメラを向かわせます』
2人が戦っていた場所とドムス・フラウが建っている山の麓にもカメラを向かわせる。するとそこには信じられない光景が広がっていた。
今日の戦いによりクロッカスの街は至るところが壊れている。家は粉々になっているところもあれば地面に大きく亀裂が入っているところもある。
そんな中でも一際目立つ箇所があった。他の場所では所々家が倒壊しているのに、そこだけは家の残骸どころか塗装されているはずの道すらないのである。
そのすぐ近くはコンクリートで塗装されている部分もあるのに、皆が目を見張ったところは茶色い土が浮き出ていたのだ。いや、正確にはコンクリートが抉り取られ、地面が露出していたと言った方が正しいか。
『ああ!!これは!!』
『うむ』
『カボー!!』
ヤジマの指示により向かわせた闘技場の麓に1つの黒い何かがある。それを人と認知するのにそう時間はかからなかった。
そして彼がめり込んでいる丁度正面から家などが跡形もなく消えているのである。その先に、1人の小さな影が腕を振り切った状態で立っていた。
「やった・・・」
少年は振り切った拳を見つめる。そして一瞬笑みを浮かべると、その拳を高々と空に突き上げた。
『ラウルのこと・・・よろしくお願いします』
「もちろんです。お母さん」
立っていたのはレオン・バスティア。今ここに、氷の神が復活したのである。
後書き
いかがだったでしょうか?
ついに当小説の最強魔導士(かもしれない)レオンが覚醒しました。
ついでに言うとグラシアンもすごいことになってます。もしかしたらFAIRYTAILの中で一番飛んでいったキャラかもしれませんね。
そしてそろそろ大魔闘演舞も最終局面に入っていきます。
次回もよろしくお願いします。
ページ上へ戻る