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転生とらぶる

作者:青竹
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Fate/stay night
  1198話

 音のない爆発。
 それにより生み出されたのは、桃色の光。
 強烈な光は念動フィールド越しでもその光を見る事が出来、恐らく洞窟の外にいる凜達にもこの桃色の光は見る事が出来ているだろう。
 フレイヤによって生み出された存在は、その中心にある大聖杯諸共に空間そのものを喰らいつくす。
 幾ら効果範囲が念動フィールドの内側だけに設定してあるとしても、少しでも何かが間違えば念動フィールドそのものもフレイヤは消滅させるだろう。
 そうなればこの空洞も……いや、それどころかこの円蔵山そのものが消滅しかねないという恐れがある。
 レモン率いる技術班が作り出したフレイヤ弾頭の性能は信頼しているが、それでも心配をしてしまうというのは当然であり……やがて念動フィールドの中にあった桃色の光が消滅した時、思わず安堵の息を吐く。
 桃色の光が消滅した後には、何も存在していなかった。
 それこそ、あれだけ呪われた魔力を宿していた大聖杯が数秒前までここにあったというのが信じられない程綺麗さっぱりと消滅している。
 ちなみに言峰の命は既に存在していなかったのか、撃墜数が上昇することはなかった。
 更には、その大聖杯が生み出した黒い獣も同様にフレイヤによってほぼ全てが消滅している。
 それでも念動フィールドにへばり付いていた黒い獣は、フレイヤの有効範囲から外れていた為にまだ何とか生き残ってはいたが。
 地面が半球状に消滅してしまっているが、それでも被害はあくまでも地面に限定していたのは、フレイヤ弾頭に入力した設定通りの効果範囲だからだろう。
 その様子に安堵したのも一瞬。次に問題になってくるのは、空気の流入だ。
 今は念動フィールドが遮っているおかげで周囲に影響がなく、念動フィールドにへばりついていた黒い獣がフレイヤが起動した中心部分に強引に引き寄せられ、一ヶ所に纏められている。
 良し、次は少しずつ念動フィールドを薄めていく。
 T-LINKシステムを使い、ゆっくり、ゆっくりと念動フィールドを薄め……
 轟っ!
 次の瞬間、念動フィールドを必要以上に薄くした為か、予想していた以上の空気が一気に流れ込む。
 慌てて再び念動フィールドを強化し、周囲を見回す。……うん。洞窟とかそっちの方は問題ないな。
 幸い強烈な空気の流入は一瞬だった為か、空洞の中に影響は殆どなかったらしい。
 まぁ、この空洞はニーズヘッグがある程度動き回れる空間的な余裕があるし、ライダーの操る天馬もこの中で自由に飛び回っていたしな。
 改めて、先程よりも慎重にT-LINKシステムを使って念動フィールドを操作する。
 最初はそよ風のような空気の流入が起こり、やがて徐々に風の動きが強くなっていく。
 フレイヤの効果範囲が狭かったという為もあるのだろう。2回目の調整ではかなり上手くいき、数分程経つと空気の流入は完全に終了する。

「……よし。念動フィールド解除」

 呟き、念動フィールドを解除すると、最後に一瞬だけちょっとした強風程度に空気の流入が起きるも、それ以降は特に何もない。
 1分程周囲を観察し、何も異常が起きる様子がないのを確認してから凜へと念話を入れる。

『凜』
『アクセル! どうしたの、無事!?』

 心の底から俺を心配していたのが分かる、そんな凜の声。
 そんな凜の声に、愛されているというのを実感し、笑みを浮かべつつ言葉を返す。

『ああ、大聖杯は完全に消滅した。もうこっちに戻ってきても平気だけど、どうする?』
『……そっちに戻るわ。大聖杯が消滅しても、何らかの悪影響が残っていないとは限らないし』
『分かった、じゃあこっちで待ってる』
『ええ。……アクセル、本当に無事で良かった』
『あたしも忘れて貰っちゃ困るよ。おかえり、アクセル。無事で何よりだよ』
『ああ。こっちで待ってるから、早くお前達の顔を見せてくれ』

 それで念話を終えると、一応念の為に周囲の様子をニーズヘッグのレーダーで探って何の異常もない事を確認し、安堵の息を吐く。
 まぁ、大聖杯のあった場所に半球状の穴が開いているのは異常と呼べるかもしれないけど。
 ともあれ、もう大聖杯が完全に消滅したのは事実であり、あれだけ際限なく生み出されていた黒い獣も既に存在しない。
 フレイヤから生き延びた黒い獣も、空気の流入で纏められてぶつかり合って消滅してしまったらしい。
 ……こうなると、最初に失敗したあの一瞬の空気の流入も良かったって事だな。
 ニーズヘッグのコックピットから下りるのと、洞窟の方から凜達がやって来るのは殆ど同時だった。

「アクセル!」

 凜の声を聞きながら、空中を飛びながら地上へと着地し、こっちに向かってくる凜や綾子、他の面子を眺めつつ、ニーズヘッグに触れて空間倉庫へと収納する。
 高さ15m程の機体が一瞬に消滅した様子に驚きの表情を浮かべる者も多かったが、どのみち空間倉庫からニーズヘッグを取り出した時にも……いや、あの時は黒い獣の件でそれどころじゃなかったか。

「アクセル!」

 先程と同じ声。
 ただしさっきと違うのは、凜が呼びかけるだけじゃなくて飛びついてきた事か。
 ……普段人前でこういうスキンシップを好まない凜にしては珍しいな。
 そんな風に思いつつ、飛びついてきた凜を抱き留める。

「っと、そんなに心配するなって。言っただろ? あの程度の相手はどうとでもなるって」
「それでも心配するのは、恋人として当然だろう?」

 綾子がそう告げながら身体を寄せてくる。
 そんな2人を抱きしめていると、やがて小さな咳払いが聞こえてきた。

「あー、コホン。悪いんだけどそろそろ話を聞かせて貰ってもいいか?」

 こういう光景を見るのは慣れていない衛宮の咳払いで、凜もここが人前だという事に気が付き、俺から身体を離す……が、それでも凜の手は俺の手を握ったままだ。
 言葉では何と言っていても、それだけ俺を心配してくれたのだろう。
 綾子もそれは同様らしく、俺の方へと心配そうな視線を向けている。
 そんな2人を安心させるように頷きを返し、衛宮を始めとした連中に向かって口を開く。

「見ての通り、大聖杯は綺麗さっぱりと消えた。フレイヤって武器を使って消滅させたから、どこに消えたのかは俺でも分からない。少なくても、この世界であの大聖杯が姿を見せることはないだろうな」
「……本当に?」

 確認するように尋ねてくる衛宮に頷きを返す。
 それを見て、衛宮だけではなく桜やイリヤといった面々までもが嬉しそうな笑みを浮かべる。
 イリヤは俺に対して色々と思うところがあったとは思うが、それでも今は嬉しさを表に出していた。
 まぁ、こうなった原因はアインツベルンがアンリマユを召喚したせいだというのは間違いないんだから、そういう意味でも色々と心配だったのは事実なんだろう。
 イリヤのメイドであるセラやリズも、イリヤが嬉しそうに笑みを――リズの表情は相変わらずあまり動いていないが――浮かべ、ライダーも桜が嬉しそうなのを笑みを浮かべて見ている。
 そんな中、セイバーだけはどこか感慨深い視線を大聖杯のあった空間へと向けていた。
 まぁ、汚染されている聖杯だとしても、前回、今回とその聖杯を求めて戦ったんだ。どうしても色々と思うところがあってもおかしくはない。

「さて、ともあれこれで聖杯戦争も終わったし、後は柳洞寺の連中を……」
「ライダーッ!?」

 俺の言葉の途中で、唐突に桜の悲鳴が響く。
 その声に反射的に視線を向けると、そこではライダーの身体が光の粒となって分解されるように消滅していくところだった。

「ライダーッ、ライダーッ!」
「落ち着いて下さい、桜。元々この身はサーヴァント。大聖杯の力があってこうしてこの世界にいる事が出来たのです。その力の源でもある聖杯がなくなってしまえば、こうなるのは必然なのですよ」

 身体が消滅していっているのに、優しげな笑みすら浮かべて告げるライダー。
 そんなライダーに、桜は別れるのは嫌だと首を横に振り……

「セイバーッ!」

 次に響く声は衛宮の声。
 セイバーもまたライダー同様に、身体が光の粒へと姿を変えていく。

「……シロウ、残念ですが時間切れのようです。私を召喚してくれたのが、シロウで良かった。私自身の望みは叶いませんでしたが、この最後の聖杯戦争は決して悪いものではありませんでした」
「セイバーッ、そんな、待ってくれ、セイバーッ!」

 笑みを浮かべて告げるセイバーに、衛宮が必死に言い募る。
 そうして、当然ライダーとセイバーという2人のサーヴァントが光の粒になっていくのを思えば……

「ちょっと、アクセル! 駄目、駄目よ! 待って、待って頂戴!」
「くそっ、アクセル! あたしと遠坂を置いてどこかに行く気か!?」

 凜と綾子の必死の声。
 その視線が向けられているのは、俺の足。
 俺の足は、徐々に光の粒となって消え始めていた。
 ……俺がここに来たのは、聖杯戦争が原因だ。だが、その聖杯戦争は既に大聖杯が消滅した事により、もう二度と起こらない。
 空間倉庫のリストを脳裏に表示するが、やはりゲートもマーカーも灰色になっており、取り出す事が出来ない。それどころか、せめて時の指輪を……と思っても、やはりそちらも取り出すことは出来なかった。
 そんな中、リストの最初の方に表示されているものに気が付き、それを選択する。
 次の瞬間、俺の隣に姿を現したのは柳洞寺から運び出しておいた金庫と、門世界でヤオから受け取った巨大なダイヤの原石だった。

「……この金庫、柳洞寺の人に渡しておいてくれ。大聖杯破壊で、もしかしたら柳洞寺が消滅するかと思ってこれだけ預かっておいたんだ。こっちのダイヤの原石は宝石魔術を使う際に役立てて欲しい」
「馬鹿っ、金庫なんか自分で渡しなさいよ。ダイヤだって、あんたがいなきゃ意味ないでしょ! ……令呪を以て命じる、アクセル、消えないで!」

 聖杯戦争においてマスターの証でもある、令呪。
 物理現象すら覆す、サーヴァントに対する3回だけの絶対命令権。
 この聖杯戦争では、俺という規格外の能力を持つサーヴァントを召喚した為に、凜はその令呪を一度も使わずにここまでやってきた。
 だが、この時になって初めて凜は令呪を使う。
 ……原作では、凜ENDの1つで令呪を使う事によりセイバーをこの世界に留まらせる事に成功していた。
 その効果は今回もきちんと発揮され、足首まで光の粒として消滅していた俺の足は、時間を巻き戻したかのように再び足首が姿を現す。

「アクセル!」

 それを見て歓喜の表情を浮かべる凜だったが……俺は黙って首を横に振る。
 この現象が令呪でどうにかならないというのは、消えていく俺自身だからこそ分かっていた為だ。
 原作でのセイバーは世界に残る事が出来た。
 だが……俺の場合は、こことは全く違う世界からやって来た存在だ。
 間違いなくその辺が影響してるんだろう。

「ちょっと、何で……何でよ! このっ! 令呪を以て命じる、アクセルはこの世界に留まりなさい! 令呪を以て命じる、アクセルは私の側にいなさい!」

 残り2画の令呪が使われ、再び俺の足は元へと戻る。……だが、それも数秒。まるで決まっている出来事はどうにも出来ないかのように、足は光の粒へとなっていく。

「……凜、もういい」
「何で、何でよ! 何でアクセルはそんなに平気なのよ!」
「アクセル……」

 凜と綾子、俺の愛しい女2人が涙を流しながらこちらに視線を向けている。
 光となって消えながらも、何故かまだある感触に従って1歩前へと踏み出し、凜と綾子の2人を抱きしめる。
 2人に痛みを感じさせないように、それでも出来るだけ力を入れて……この2人の体温と身体の柔らかさを忘れないとでも言いたげに。

「凜、お前は一流の魔術師だ。だからこそ、お前は将来的に平行世界に渡る事が出来る筈だ。その時……そうしたら、俺の場所へとやって来てくれ。勿論俺もこのままお前達2人を諦めるつもりはないから、出来る限りこの世界に戻ってこられるように力を尽くす。だから、競争だ。凜が俺の下にやって来るか、それとも俺が凜の下に行けるか。そのダイヤの原石は、お前が俺に会いに来るのにきっと役立つ筈だ」
「……アクセル……」
「これは、約束の証。俺とお前の……そして綾子が再び、絶対、必ず、確実に再会する為の、約束の証」

 涙を流している凜の顎を上へと向かせ、唇を重ね、舌を絡ませる。
 そのまま30秒程が経って唇を離すと、俺と凜の間には銀糸の橋が生み出される。

「綾子、この聖杯戦争でお前の運命を最も変えてしまったな。けど、こう言ってはなんだが、お前を半サーヴァントにした事に、俺は後悔と同時に嬉しさを感じた。……これからも凜と一緒に頑張ってくれると嬉しい」
「ああ、勿論……あたしもこんな身体になったけど、それはちっとも後悔していないよ。アクセルという最高の恋人を得られたんだから。短い時間だったけど、これ以上濃密な時間はなかった筈だ。あたしも遠坂と……凜と一緒に行動して、いつかはきっとアクセルの下に辿り着いてみせるから」
「そうか。なら、物干し竿はそのままお前が使ってくれ。宝具ではないけど、アサシンの……佐々木小次郎の持っていた武器だ。綾子が魔術の世界を生きるのなら、それは必ず役に立つ筈だ。俺も美綴綾子という最高の恋人を迎えられた事はこの上ない幸運だったよ」
「アクセル……」

 その言葉と共に、綾子の唇と俺の唇が重なり、舌を絡める。
 30秒程の時間が経ち、唇が離れると凜の時と同じような銀糸の橋が生み出された。
 この時には俺の姿は既に胸元近くまで光の粒となっており、もう完全に消えるのは時間の問題だった。
 視線を向けると、既にセイバーとライダーの姿は消滅しており、衛宮と桜が地面に座り込んでいるのが見える。
 首までが光の粒となり、もうここにいられる時間は少ない。
 最後に凜と綾子の方へと視線を向け、口を開く。

「凜、綾子。お前達と出会えて良かった。……愛してる」
「っ!?」

 その一言に、凜が再びこっちに飛びつき、首だけになった俺の顔を掴み、思い切り唇を押しつけてくる。
 濃厚に舌を絡める、情熱的なキス。
 そのまま首から上も光となって消えていき、口が光となって消えると凜とのキスも終わりを告げる。

「アクセル、私も愛している。……待ってて、絶対に私はアクセルの下に行くから。好きよ、好き。……愛してる!」

 涙を流しながら叫ぶ凜のその言葉に答えようとして、口がない事に気が付く。

『俺もだ。……また、会おう。必ずだ。その時は気絶するまで凜と綾子を愛するよ』

 念話で凜と綾子へと返事をし……俺の姿は完全に光の粒となって、Fate世界から姿を消した。





 ふと気が付く。
 気が付けば、俺の目の前にあるのは見覚えのある装置。
 それは……

「リュケイオス? じゃあ、ここは転移区画か?」

 そんな風に呟き、自分の身体に特に異常がないのを確認するのと、背後で何かが落ちる音が聞こえてくるのは同時だった。

「……アクセル……」

 そこにいたのは、驚きで目を見開き、次に嬉しそうな笑みを浮かべたレモンの姿だった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1188 
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