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妄想

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4部分:第四章


第四章

「これが本物のエロだってな」
「だよなあ。それじゃあな」
「次は何観る?」
「何なんだ?」
「写真集な」
 今度はそれだった。
「かとうれいこと優木まおみの写真集だよ」
「全然タイプ違うな」
「しかもかとうれいこって古くないか?」
「だよな」
「年代じゃないんだよ」
 それだけではないというのだ。年代ではとだ。
「いいものは時代が違ってもいいんだよ」
「そうか、それに胸が大きくても小さくてもか」
「それは関係ないんだな」
「エロには」
「胸が大きくても小さくてもえろいのはえろいんだよ」
 こう断言する彼だった。
「ほら見ろ、これな」
「おいおい、こっちも凄いな」
「バニーガールかよ」
 かとうれいこの写真を観てだ。仲間達は言うのだった。そこにはだ。バニーガールの服を着た彼女がいるのである。まずは彼女だった。
「それに優木まおみもな」
「いいよな、この下着姿」
「尻とか腰とか脚とか凄いよな」
「何かどっちもな」
「やっぱり観てるだけでな」
「こういう人が誘ってくれたら」
 またこうした話になる彼等だった。
「プールサイドとかベッドとかな」
「風呂場でもいいよな」
「二人きりになれたらな」
「そうなったら」
 ここからもだ。妄想の世界に入る彼等だった。
 そんな中学二年の青春の時代を過ごしていたのだ。とにかく敦之はだ。
 そうしたことばかり考えていた。まさに己の本能というか欲望の赴くままに生きていた。そんな彼にだ。正月のことであった。
 親戚からお年玉を貰った。その額はだ。
 五万はあった。それだけあればだ。
「いける、これだけあれば」
 今度はだ。風俗雑誌を前にして言う彼だった。
 今彼はその風俗のソープランドのコーナーを読んでいた。そしてそれを読んでだ。
 彼は決意したのだ。その五万でだ。
 その雑誌に映っているだ。かなりいやらしい感じのソープランド嬢、妖しい誘う笑みを浮かべているその彼女を見てだ。会心の顔になっていた。
 そしてその顔でだ。彼は言うのであった。
「この人で。俺は」
 はじめてを経験しようと決意したのだった。とりあえず十八歳未満やそういったことは一切考えていなかった。その他のことで頭の中が一杯だったのだ。
 それでだった。すぐにだ。
 その五万を持って彼はソープ街に行った。だがそこに来ると急にだった。
「え、ええと?」
 無意識のうちにだ。急に足がすくんでだ。
 中々先に進めなくなっていた。はじめて来る場所でだ。
 不安になってしまってだ。はっきり言えば恐怖を感じていたのだ。
 その恐怖のままだ。彼はだ。
 何とか先に進む。そうしてその店に行くのだった。
 店の前に来てもだ。それでもだった。
 中々先に進めない。そうしているとだ。
「中に入るんですか?」
 店の兄ちゃんが彼に言ってきた。
「どうしますか?」
「あっ、はい」
「今なら安いですよ」
 ありきたりの言葉がだ。彼にかけられる。
「いい娘も一杯いますよ」
「いい娘ですか」
「もう奇麗なだけじゃなくて」
 店の兄ちゃんは笑いながら話していく。
「もうね、それだけじゃなくてね」
「それだけじゃなくてですか?」
「そうだよ。テクニックも凄いよ」
 今の敦之にとってはあまりにも刺激的な言葉だった。
 
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