『続:殺し、失い、得たもの。』
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『零と舞と桜』
桜は相変わらずヤンチャ。
舞とも変わらず、いつも一緒の仲良し姉妹。
舞の過呼吸、家ん中でも一切無いらしい。
それだけでも救い。
零は何とか理由を付けて舞と距離を置くようになった。
でも、舞は、何かと理由を付けてくっついて来ようとする。
舞はたぶん気付いてない。
桜は絶対に気付いてる。
桜が言う。
『本気で死にたぁなったら桜が殺したげる』
笑ってたけど、声が微かに震えてた。
『桜が殺人の罪を被るのは耐えられんから頼まんとくわ!』
零も笑いながら返す。
舞が半泣きで言う。
『舞は、舞に出来ることなら何でもする!やけん死ぬとか言うんホンマ無し!』
『せやな、ごめん。舞、舞はホンマええ子やな...零なぁ、舞のことごっつ大事やねん。せやから舞のイタミは耐えれん』
『何言うとんの...1番イタかったんは舞や無い。1番辛くて苦しんでるんも舞や無い。舞は平気。舞が殺す筈やったんよ...それを零が代わりにしてくれただけやんっ!!』
舞を泣かしてしもた。
同じイタミを背負い、同じ罪を背負い、それと闘いながら生きていく。
でも、罪の重さは同じでは無い。
誰よりも重い罪を零は背負ってる。
いや、人殺しやか大したこと無い...そんな狂気、既にあったやんか。
死にはせなんだけど、前に養父殺したことあったし。
チャント殺しきれんかった。
次、目の前に現れたら殺す。
今更何人殺しても同じ。
舞は、メイクするようになった。
可愛い女が更に可愛く綺麗になった。
雑誌見ながら男の容姿を選んだり、好みの顔が定まってきた。
良いことや。
そぉ、何事も無かったかのように恋愛でもファッションでも夢中になったらえぇ。
舞の好みの顔は蓮とは反対のタイプだった。
本能的に?意図的に?それとも...純粋に?
2~3コ年上の、クールでカッコイイ、落ち着いた感じの大人っぽいのが好きみたい。
桜は舞を茶化してた。
桜と舞は似てない。
血は繋がってる。
でも似てない。
桜は綺麗な女王様タイプ。
舞は可愛いお姫様タイプ。
零は至って普通...
性格も口調もキツイ嫌な女。
蓮に笑われながら言われたことがある。
『零は可愛いとはちゃうんよなぁ。でも喋らんかったら可愛らしい!喋ったら終わり!女ってゆうん忘れて男友達感覚になる』
『それよく言われる』
『せやろ!零は、喋ったら女と居る緊張感とか無くなるんよなぁ...サバサバし過ぎなんよ』
『でも零がかしこまって女らしくしてたら気色悪いやろ!』
『確かに...勿体無いのぉオマエ。この年で女捨てんなや』
そんな会話を思い出してた。
桜が提案してきた。
『舞に男紹介しよや』
『え゛ぇっ!!』
『興味あるし平気やろ』
『でも!...蓮...』
遮るように言う。
『平気!!家でも話してるけど未練ってモンは微塵もない。それより零のが心配や言うてる。舞のせいであんなことさしてしもたって』
『舞に責任なんか無いよ。全部零の責任。逢わすべきじゃなかった』
『舞も蓮が好きやった。それは事実やから零だけの責任ってのは違う。蓮が変わったからや...うちらみんな子供やし、どぉしよぉもない...』
『死んだらアカンねやったら、せめて早く大人になりたい。間違いなんか犯さん大人に...』
『ほんま...なぁ。大人になったら強くなれるんかなぁ...』
数日後、桜が男を集めてきた。
正確には桜の友達が集めたらしいけど。
いきなり舞に逢わすのは怖いからって面接みたいなん始めた。
零が思わず言う。
『すげー...妹の男選別する面接...』
数人集まった男達は口々に言う。
『なんなんコレ』
『どーゆうシステム?』
『おもっしょいやん』
『合格したら女貰える!』
『ヤらしてくれるん!』
『え、俺って何の面接連れて来られたん?』
うん、舞好みの大人っぽい男は居らん。
桜が舞の男に対して徹底したい気持ちは解る。
零が舞の姉でも警戒する。
舞に逢わしても良いような男は居らず解散。
数日後、また男集めてきた。
すっごいマジメそうな男が近付いてきた。
『前にツレが来たらしいけどボロカス言うてたで。可愛い子と付き合えるかもってテンション上がってたけど逢わして貰えんかったって。あの人(桜を指さして)の許可がないと逢えんシステム?』
『...ザックリに言うと、そうですね。チャント大事にしてくれる男かどうか...見極める為に...』
『まぁでも、その子も放っといても彼氏くらい出来るんちゃう?』
『うん、でもごっつ可愛いから...ホンマにホンマに本気で大事にしてくれる人やないと認めたくないってゆうか...』
涙を堪えて言う。
『訳アリ?』
『アハハ...大事に大事に守ってくれる人やないと零達のが無理』
『そこまで潔癖になるってことは何かあるんやね...』
『......』
『わかった、聞かん』
桜が来る。
『零、アンタの男探しよんちゃうで』
『ちゃうわ。チョットな...』
その男が桜に言う。
『こんな徹底して色々聞いたりして...前はツレが来てたから知ってる。それをチョット話しただけ。潔癖やから訳アリなんやろ思うけど、俺なら大事に守ってあげるけど?』
『軽っ!そんなんで信用できりわけないやん』
『でも面接?まだやけど』
何とも言えん笑顔で言う。
『確かに...何も聞いて無い』
『何でも聞いて♪』
桜と男は定位置に向かう。
不合格を言い渡された他の男達が文句を言いながら帰る。
桜と残ったのは、あの男。
胡散臭いと感じた。
とりあえず..桜が選んだ。
舞が最終的に決めること。
あくまでも紹介やし...。
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