Steins;Gate 愛別離苦のラグナロク
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Chapter06
「花火すごかったねぇ〜」
まゆりが楽しそうにくるくる回りながら呟く
日もすっかりと落ち、街灯の少ない道を俺とまゆりで歩いていた
近場に行ってみたはいいものの祭りをやっていたようで
人がごった返していたのだ。帰るときには一人一人と逸れてしまい
とりあいずラボに戻ろうと、いうところで2人での帰路を辿っていたところだ
「それにしてもあそこまで近くにいく必要はなかっただろ」
あそこまで人が多いと気が滅入る
以前なら期間がどうのこうの言っていただろうが、ただ単に人混みが苦手なのだ。
「でもね〜すごかったでしょ?
ピューってなってドーンってなってわーってなってね〜」
「確かに迫力はあったが…」
そこで少し会話が途切れ、少しの沈黙が流れる。
なにかを言おうとしたが出てこない。
先に沈黙を破ったのがまゆりだった。
「なんだかね。久しぶりだね」
「なにがだ?」
「ラボが出来たばっかりの頃
オカリンなんだか寂しそうだったから」
「まゆしぃが押しかけたときもオカリン何も言わず
迎えてくれたよね」
「そしてね、今はラボにたっくさんお友達が来るようになったね」
「ダルくんに、クリスちゃん、フェイリスちゃんに、るかくん。
萌香さんに、綯ちゃんに、店長さんまで」
「これでね、オカリンもう寂しくないね」
「まゆしぃが人質じゃなくても」
何か言おうとするが何も出てこない。
いつもの虚勢も何も、何も
言わないと後悔する。
なのに…
まゆりは不意に立ち止り
手を空へとかざした。
いつもの癖
おばあちゃん。
そう聞こえた気がした。
そのまま電源を切ったみたいに
まゆりが倒れた。
「まゆりっ!!」
急いで駆け寄り抱きかかえる
頭を地面に打ち付けたせいか
頭部から出血している。
フラッシュバックする。
銃で撃ち抜かれ、車に轢かれ
電車に巻き込まれ
心臓発作で、
「……ッ!」
激しい頭痛がする。
この世界線でも死んでしまうのか?
なんで、なんで、なんで!
だけど、まだ脈を感じる。
急いで携帯を取り出す。
救急車を呼ばないと
気づくと今までの道に立ち尽くしていた。
あぁ救急車が来るまでの間ずっとまゆりを励ましていたんだった。
助かるのか?
まゆりは死なないのか?
事前に調べれば危険な目にあわないんじゃないのか?
跳ぶしかない。
一気に駆け出した。
+ + +
暗い道をひたすら走り階段を2段飛ばしで駆け上がる。
立て付けの悪い扉を壊してしまうような勢いで開ける。
「びっくりした。どうしたの急にーー」
「紅莉栖!タイムリープマシンだ!」
「大声出さないでよ…。なんのこと?」
「時間が無いんだ!早く順番…を…」
開発室には例のヘッドフォンなどなく。
X6800には無数の配線もない。
テーブルにはブランケットがかけられており
電話レンジさえも見えない。
「そもそもあのSERNでさえ出来ないものなんて置いてある訳ないじゃない
どうしたの岡部?」
SERN
ハッキング
リフター
3.2tbを32btに圧縮
直接回線
SERN崩壊
崩れ落ちた。
もう戻れない。まゆりを救えない
結局これかよ。まゆりは死んでしまう。
「まゆりがどうしたの?」
いつの間にか喋っていたようだ
だけどもうどうでもいい。
「どうでもよくない!!」
突然怒鳴られて思考が停止する。
「搬送された病院はどこ?」
「ここから近くの総合病院だ」
「行くわよ、まゆりはまだ死んでない!
あんたが一緒に戦わないでどうすんのよ!」
そうか、まゆりはまだ死んでない。
ふと、右手首を見る。
どこかで見たようなミサンガ。
いままでこんなのしてなかった。
「まゆりがあんたに作ったものよ」
「そう、なのか?」
「そう。それよりも早く行くわよ」
つられるままラボを後にした。
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