ソードアート・オンライン~隻腕の大剣使い~
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第10話隻竜と竜の巫女
前書き
どうも!お久しぶりです!昨日まで修学旅行に行ってました!
今回でシリカ編の終了の予定です!ぜひご覧ください!
三人称side
「《隻腕のドラゴン》、ライリュウ!?ロザリアさん!こいつ、リアルの妹とコンビ組んで最前線に挑んでる、イカれた隻腕の剣士・・・《隻竜》とか言われてる、攻略組の!」
「攻略組!?」
黒いマントをはだけた隻腕の両手剣使いで、今この場で周りの視線を集める少年、ライリュウ。彼の異名を知っていた犯罪者ギルド、タイタンズハンドの男の言葉を聞いたシリカはただ驚いていた。何故なら彼女は彼の素性を知らなかったのだから。
「攻略組がこんな所にいるわけないでしょ!もしそうだとしたら中層じゃ手に入らないレアアイテムもタンマリ持ってるはずよ!それに相手は腕一本、両手剣なんて振り回せるわけないじゃない!この人数をさばくのは無理よ!お前たち、さっさと身ぐるみ剥いじまいな!」
この空気の中で派手に啖呵を切る者が一人、タイタンズハンド・リーダー、名をロザリア。対する二年前の春、不幸の通り魔事件に巻き込まれ、片腕を失った悲劇の少年、彼を完全に見くびっている彼女は人数的有利を利用し、彼を潰すことを部下の男たちに命じ、彼を中心に囲ませる。
その対象である少年はーーー
「はぁ、つくづく呆れるぜ」
溜め息一つ、呆れ以外のコメントなど考えつかない。考える必要もない。
『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
「お前らマジで大バカ野郎たちだな・・・」
一斉に彼に襲い掛かる六人の男たち。1対6という圧倒的不利な状況にあるライリュウ。だが、その戦法は彼には通用しない。ライリュウにとって男たちはーーー
「振り回せねぇモンぶら下げてると思うか?」
所詮烏合の衆。一瞬の内に敵の斬撃の雨を斬り払い、敵の武器を破壊する。
「なんだい今の!?何をした!?何のトリックだ!?」
「筋力パラメータをそれ相応上げれば、片手で両手剣を振り回すくらいわけないんだぜ」
今の光景をとても信じられないロザリア。その言葉に対する返事代わりのつもりで言い返したライリュウ。彼の言う通り、システム的には不可能ではない。
「オレのレベルは73、HPは13985、隻腕ゆえに盾を装備できない防御不足をこの籠手と両手剣を振り回せるレベルの筋力パラメータで補っている。何百回斬りかかろうが無駄だ。お前らごとき、2秒で迎撃できる。解っただろ?これが数字の大きさで強さの優劣が変わる、レベル制MMOの残酷さだ!」
もうこの場に彼を襲う者はいない。彼に勝てる者など、最初から存在しなかったのだから。
「まあ安心しろ。オレの仕事はお前らの投獄だ、殺しはしない。・・・そろそろ頼れる相棒が来る頃だからな」
彼の最後の発言に疑問を感じたタイタンズハンド。それからわずか10秒たらず、一人の少女が駆けてきた。黒髪のツインテールをおさげにして、紫色の巫女装束に身を包んだ少女ーーー
「お待たせ、お兄ちゃん」
「ナイスタイミング、ミラ。流石に仕事が速くて助かる」
「ミラ!?《竜の巫女》ミラか!?」
「ビーター《黒の剣士》キリト、血盟騎士団副団長《閃光》のアスナに並ぶ攻略組トッププレイヤーが二人も!?」
「ミラさんも攻略組!?」
《隻腕のドラゴン》、《隻竜》のライリュウの妹、《竜の巫女》ミラ。彼女も兄と同じ攻略組メンバーである。彼ら兄妹は今ではビーターという汚名を自ら被った《黒の剣士》キリト、攻略組の中心的ギルド、血盟騎士団の副団長にして、視認さえ困難する剣撃を放つレイピア使い、《閃光》のアスナと肩を並べる攻略組のトッププレイヤー。
「ミラ、例の物頼む」
「うん、解ってる」
兄の頼みを受け、この時まで預かっていた物をポーチから取り出す。それは結晶だった。ただ違うのはその大きさ。普通の《転移結晶》や《治癒結晶》よりも2倍近く大きく、深い蒼色の結晶ーーー
「これは依頼主が有り金はたいて買った《回廊結晶》だ」
「監獄が出口に設定されてる、あんたたちにはこれで監獄送りになってもらうから」
《回廊結晶》とは、好きな場所に転移できる《転移結晶》と違い、あらかじめ出口を設定して使用の際にその決めた出口にワープする、店では家が一件買える値で売られているレアアイテムである。
「ア、アタシを傷つけたらあんたたちが犯罪者に・・・」
ライリュウたちに槍を向け、抵抗するロザリア。犯罪者ギルドのリーダーとはいえ彼女のカーソルはグリーン、ライリュウたちが彼女を傷つけたら彼らが犯罪者になる。それをネタにし、自分が傷つかないための警告をするがーーー止められた。一瞬で自分に近づき、喉元近くに剣を突き付けたライリュウによって。
「コンビを組んでるっつってもオレたちは基本ソロだ。一日やそこら犯罪者でも大した問題ないんだぜ?ミラ」
「コリドー、オープン」
ロザリアが戦意を喪失したことを確認したライリュウはミラに合図を出す。それを聞いたミラは回廊結晶を起動し、犯罪者ギルド、タイタンズハンドのメンバーを投獄した。
******
ライリュウside
オレたちがタイタンズハンドの投獄を完了したあと、シリカを連れてこの第47層のオレとミラの家に戻ってきた。
「ごめんなシリカ。所々強く言いつけちゃって、その上あんな目に合わせて、怖かっただろ?」
「いえ、ライリュウさんは元々受けてた依頼を後回しにしようとしてまであたしを手伝ってくれたんです。少しビックリしちゃいましたけど・・・怖くなんてなかったです、気にしないでください」
オレは時々強く言いつけたことがあった。それに加えて了承してもらっていたとはいえ危険な目に合わせていた。そのことを謝っていたらシリカは「気にしないで」、そう言った。その言葉を聞いてオレは少し気が休まった。
「攻略組なんて凄いですね!・・・あたしじゃ絶体に無理ですよ」
いつ終わるか解らないこのデスゲームの最前線で命を賭けて戦う攻略組。シリカは自分じゃ絶体に無理だと思っていた。確かに今からじゃ無理があるかもしれないーーーけど、これだけは言える。
「この世界の強さなんて所詮数字、ただのデータさ」
「でもねシリカちゃん、本当の強さは「心」・・・この世界で絶体に生き残るっていう「信念」だと思う。シリカちゃんもきっとそれを持ってる。あたしもお兄ちゃんも、シリカちゃんは強いと思うよ」
ミラも同じことを考えていた。本当の強さは腕っぷしじゃなくて信念、それはきっとこの世界でも現実世界でも変わらないと思う。
「さて!全て片付いたことだし、早くピナを生き返らせてあげようぜ!」
「そうだよ!ピナもすごく会いたがってるよ!あたしたちにも早く会わせて!」
「・・・はい!」
オレたちがせかすようにシリカに言うとシリカは《ピナの心》と《プネウマの花》をオブジェクト化した。《ピナの心》に《プネウマの花》の雫をかけ、心は光を放ち、シリカは愛獣との再会を果たした。
後書き
とうとうここまで終わった~!次回から圏内事件編をスタートしたいと思います!
筋力パラメータをそれ相応上げれば片手で両手剣を振り回せるという設定はゲームオリジナルキャラのストレアがそのようなことができるので同じようにしました!
ついでにヒロインは決定いたしました!シリカではないです。当然アスナでもないです。登場はまだかなり先になります。
次回もぜひご覧ください!
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