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新オズの腹ペコタイガー

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第一幕その九

「硬水を使って作ると固くなるの」
「そして軟水を使えば」
「柔らかくなるの」
「そうなるんですね」
「日本は軟水が多いからね」
 日本にあるお水はというのです。
「それでお豆腐も柔らかいのよ」
「そういうことですね、わかりました」
「そして中国やアメリカでは硬水が多いから」
 どちらの国のお水もです。
「お豆腐も固くなるの」
「うん、それがお料理にも影響するんだ」
「他の生活のことにもね」
 二人がまた恵梨香に言いました。
「お水って本当にそれぞれの地域で違うから」
「味とかもね」
「それ次第でね」
「何かと変わるよ」
「アマゾンだとね」 
 ブラジル人のカルロスも言います。
「もうお水飲んだら駄目だし」
「生水は飲まないことっていうから」
「特にアマゾンのお水はね」
「そんなに危ないのね」
「お水の中に何がいて何があるからわからないから」
 だからだというのです。
「迂闊に飲んだら後でお腹壊すよ」
「オズの国のお水は何処のお水も安全で美味しいけれど」
 ナターシャはクールなお顔でお話します。
「外の世界は違うわ」
「日本でもね」
「川や湖のお水は絶対にまずは消毒しないと」
「濾過して沸騰させて」
「そうして飲まないと駄目よ」
「そうしたことを気をつけないと」
 恵梨香も考えるお顔で言います。
「駄目ね」
「それが身体を守ることよ」
「そういうことね」
「まあオズの国ではそこまでしなくていいから」
 トロットは微笑んで五人に言いました。
「安心してね」
「はい、それじゃあ」
「お水のことも安心して」
「そのうえで、ですね」
「また冒険があったら楽しく」
「そして気をつけて」
「行きましょう、今はこの都を楽しみましょう」
 こうも言ってでした、トロットはハンクと共に五人を連れて都の商店街を歩き回って楽しみました。そして宮殿に帰るとです。
 腹ペコタイガーは自分の御飯、何十枚もあるステーキを食べながらです。皆にぼやきながらこんなことを言いました。
「これだけ食べてもね」
「すぐになのね」
「お腹が空くんだ」
 恵梨香にも答えます。
「僕はね」
「貴方はいつもそうよね」
「僕は幾ら食べても本当にすぐなんだ」
「お腹が空いて」
「また食べたくなるんだ」
「それは大変よね」
「この宮殿では何でも好きなだけ食べられるよ」
 魔法のテーブル掛けから幾らでも出せるからです、どんなお料理も。
「それで楽しめるけれど」
「すぐにお腹が空くことは」
「困るね、まあ君達を食べることはしないからね」
「私達だって食べられたくないわよ」
「そうだよね」
「お願いだからそうしたことだけはしないでね」
「絶対にしないよ」
 腹ペコタイガーもこのことを強く約束します。
「何があってもね」
「それは何よりよ。ただ」
「ただって?」
「貴方はどうしてすぐにお腹が空くのかしら」
 恵梨香は首を傾げさせてです、腹ペコタイガーの名前の由来にもなっているこのことについて思うのでした。 
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