おぢばにおかえり
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第十八話 プールですその六
「夏になるのよねえ」
「今からすっごい不安」
怖いっていうか不安っていうか。確かに怖いと言えば怖いです。
「それでね」
「ええ」
「半被、洗濯してる?」
ここで洗濯の話になりました。
「そこんところどうなの?」
「まあ一応は」
「してるけれど」
皆こう答えます。少なくとも夏はそうしないと大変です。
「ちっちは?」
「してるわよ」
忘れたことはないです。忘れたらもう汗で。
「洗濯自体毎日だし」
「ちっちそういうところもしっかりしているわよね」
「そうよね、本当に」
皆私の言葉を聞いて感心した顔になりました。
「男の子なんて全然しないらしいわよ」
「お風呂もあまり入らないそうだし」
「嘘・・・・・・」
まさか。いえ、有り得るかも。それもひょっとしたら。
「人によるけれどね」
「その辺りは」
「何かそういうのって嫌ね」
私にとっては考えられないことです。そんなことなんて。
「一週間に一度とかそんなので」
「お風呂もお洗濯も?」
「そうよ」
「着替えなんて数日に一回とか。下着ね」
「うわ・・・・・・」
思わず言葉に出してしまいました。
「何、それ」
「チッ地は毎日お風呂に入ってお洗濯して着替えてよね」
「当たり前じゃない」
冗談じゃありません。そんな生活なんて。
「汚いわよ、絶対に」
「そう思うけれどね」
「男の子だから」
「私はお姉さんかお母さんだったらそんなの絶対に許さないわ」
これだけははっきりと言えます。不潔なのは問題外です。
「それにしても」
「何?」
「何でそんなこと知ってるの?」
私はふとそのことに気付きました。そういえば。
「男の子のことなんて」
「あんたひょっとして」
「まさか」
彼女は私ともう一人の娘の言葉に笑って左手を横に振りました。
「私もう彼氏いるのよ」
「誰よ」
「地元のね。公立の子よ」
「何時の間に」
「剣道やってて可愛いのよ」
東寮にいたら彼氏なんてそうそうできません。かなり難しいです。付き合うとしたら同じ天理高校の子ってことが多いらしいです。聞いた話ですけれど。
「これがね。かなり」
「そうなの」
「だから。北寮のことは聞いた話よ」
だそうです。それにしても何時の前に彼氏を。
「言っておくけれどね」
「わかったわ。それにしても」
「何?」
「それでプールにも入るのかしら」
また思った素朴な疑問です。
「ひょっとして」
「ひょっとしてじゃなくその通りよ」
「うわ・・・・・・」
思わず声に出してしまいました。
「それはちょっと勘弁して欲しいような」
「大丈夫よ」
けれどすぐ横からこう言われました。
「何で?」
「だって。入る前にシャワー浴びるじゃない」
「あっ」
そうでした。それを忘れていました。
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