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剣の世界で拳を振るう

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いざ、ボス戦へ

アークソフィアに来てから2日が経過した。
これまでフィールド探索に向かったり、ホロウエリアのマッピング等をして過ごしてきた。
そしてその経歴で、ホロウエリアのコンソールに触ってみた所、色々と面白そうなことが表示されていた。

まず一つめは『システムアップデートにおける行程指令表』である。
これが兎に角面倒くさい。
指定武器でのモンスター討伐に続き、与総ダメージの指定、特定のソードスキルの使用回数提示、hit数の指示、
その他色々と…。
おまけに1つじゃないことが絶望させてくれる。
何か一つの項目をクリアするだけで、根のようにツリー表示されるのだ。
これ一人じゃ無理だろうと頭を抱えたのが記憶に新しい。2日前だから当たり前か。

二つ目は一つ目に関係するが、ツリー表示の項目の中に『OSSの実装』と言うものがあった。
読み方はオリジナルソードスキルな訳だが、こればかりは興味を示さないわけにはいかない。
オリジナル。つまり自分だけのソードスキルが作れると言うことだ。
今でこそ格闘術だけはプログラムを組み込んで再現してはいるが、それはスキルによるものであり、ソードスキルではないのだ。

まぁそれはさておいて三つ目。
実装クエストをこなしつつ敵を倒していたら一瞬だけ目が霞んだのに気づいた。
何が起きたのかは知らなかったが、帰ってメニューを開いたらあら不思議。
レベルが187とか言うビックリなことになっていた。
恐らくこの世界に最適化されたのが更新されたと見るべきだが、仮定はともかくとしてここまで上がってしまうと不正しているようで申し訳なく思ってくる。(もともとプログラムを組み込んでいる時点で不正である)

さて、そんなこんなな時間を経験して今日。
等々ボスの扉が発見され、攻略に乗り出すそうだ。
勿論俺も呼ばれ、今は広場に集まっている。

「それでは、攻略会議を始めましょう。
皆さん、お集まりいただきありがとうございます。
先刻、攻略中の迷宮区にてボスの部屋が発見されました。
これより、お集まりいただいた皆さんと共に、ボス攻略へ向かいたいと思います」

何か俺の知ってる雰囲気じゃない。
座ってるやついるし。壁にもたれ掛かってるやついるし。
何か全体的に態度でかい気がする。
つーかアスナ固くね?

「それでは、パーティを組んでください」

…………あ。
忘れてたよこのパターン!
見ず知らずの俺とパーティ組めるやつがいるとでも思ってんのかよ!?
だ、誰か!ヘルプ!

「ねぇ」

来ったああああああああああ!

「はいはい何で…シノン?」

振り替えると訝しげに俺を見るシノンが立っていた。

「相手いないなら…私とパーティ組んでくれる?」

「いや、俺は構わないが…戦えるのか?」

俺が知っているシノンと言えば、ガンシューティング等の射撃戦闘を得意としていた事くらいだが、この世界は剣が主な武器となるため、シノンが適しているのかわからないのである。

「一応…ナイフ使ってるけど。
それに、私一人戦えないなんて嫌だし…ボスって言うのも経験しておきたいから」

ナイフ…か。
初心者にはもってこいの武器だが、使いなれていなくてはただの棒となってしまう。
しかしながらこの世界のシノンはゲーム自体が初心者の状態だ。
ならば戦うこと自体も初めてに近いものなのではないだろうか?

「ボスって言うのは体力的にかなりあるモンスターを指すんだが…HPを削っている間にも反撃が来ない訳じゃない。
そう言った不確定要素において死なないなんてことは考えられないんだ」

「知ってるわよ、それくらい。
だけど私だって戦えるし足手まといなんてごめんよ。経験積んで強くなって、この世界から抜け出すんだから」

「………わかった」

いざとなれば俺が身代わりくらいになれるはずだし、例え死んでも肉体が死ぬことはない。
こうなったら意地でもシノンを守り抜くことにしておこう。

「ん、ありがと」

こうして俺はシノンとパーティを組み、76層のボス戦へと向かった。





「それでは皆さん、生きて帰ってきましょう!」

アスナがそう号令をかけ、ボスの扉を開く。
各自がそれに続き、ぞろぞろと中へと入っていく。
そして俺とシノンの番になったその時、事は起こった。

”バヂィッ”

「うおぁっ!?」

突然、ボスの扉に膜が張ったかと思うと、俺を弾くようにして吹き飛ばした。

「な…どうなってやがる」

「どうしたの?」

一度中にはいったシノンが戻ってきてそう訪ねた。

「……どうやら俺だけ入れないらしいな…」

「…どういうこと?」

試しにもう一度中へと入ろうとしたが、やはり膜が俺の侵入を拒むように弾き返してくる。

「何してるの!もう戦闘は始まってるのよ!」

アスナが俺に気づき、起こるようにして怒鳴る。

「すまん。どうやら俺は中へ入れないらしい」

「はあっ!?何言って…」

「俺は無視しろ!先ずはボスを倒してこい!」

アスナは俺を一睨みして、中へと走っていった。

「すまんなシノン。
ボスの体験は持ち越しになる」

「入れないならしょうがないわよ。
でも…この埋め合わせはしてもらうから」

「了解だ」

俺はやるせない気持ちを押し止め、転移結晶を用いてシノンと一緒にアークソフィアへと帰還するのだった。
 
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