転生とらぶる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
Fate/stay night
1170話
桜の口から出た、ランサーの魂は自分の中の小聖杯に収められていたという台詞に、それを聞いた俺以外の皆が驚愕の表情を浮かべる。
やっぱりアンリマユとの契約に関しては話してなかったらしい。
まぁ、臓硯と俺の会話をイリヤの水晶玉で覗いていたのなら、大聖杯との契約云々という話は伝わっていたかもしれないが、それでもまさか小聖杯が桜の身体の中にあるというのはイリヤにとっても予想外だったのだろう。
何しろ、基本的に小聖杯というのはアインツベルンが作り上げる物だ。
令呪の開発をした間桐が、何故……と。
「ちょっと待って。それはどういう事かしら? 何故小聖杯が桜に?」
イリヤの鋭い視線を向けられた桜は、一瞬怯んだ表情を浮かべる。
だが、すぐに覚悟を決めたように口を開く。
「お爺様が前回の聖杯戦争で得た物を私に植え付けたんです。それで大聖杯と契約を結ばせて、もう1つの小聖杯としました」
「……何て事……じゃあ、今まで私の中に入っていたサーヴァントの魂は……」
呟き、イリヤが俺の方へと視線を向ける。
本来であればバーサーカーを殺した俺に色々と思うところはあるんだろうが、今はそれどころではないと理解しているのだろう。
「アークエネミー、貴方この聖杯戦争でサーヴァントをどのくらい倒したの?」
「キャスター、アサシン、バーサーカー。それと、俺が倒したのとは別のアサシンに見える奴と……」
「待って! アサシンが2人いたって言うの!?」
「ランサー曰く、言峰にはもう1人サーヴァントがいるらしいけどな」
「……まぁ、いいわ。それで? 他には?」
「それと、俺が倒した訳じゃないが、さっきその桜とかが言っていたランサーだな。こいつは俺と戦っている時にもう1人のアサシンと思われる存在に殺された」
その言葉に、イリヤは何かを確認するかのように自らの胸に手を当てる。
「私の小聖杯に入っているサーヴァントの魂は、バーサーカーとキャスターだけよ。……桜、貴方の方は?」
「ランサーだけです」
……これ、どうなってるんだろうな? いや、サーヴァントの魂がどういう基準で小聖杯に収められているのかって事だが。
てっきり、近い位置にいる小聖杯に魂が収められているのかとばかり思っていたんだが、こうして聞く限りではキャスターの魂もイリヤに収まっていた。
死んだ時に近い位置となると、アインツベルンの城にいるイリヤより街中に住んでいる桜の方が……いや、違うな。確かイリヤは夜になると聖杯戦争の為にこっちまで出て来ていた筈だ。
その辺を考えると、キャスターが死んだ時に近くにいたのがイリヤだったって可能性は十分にあるか。
「ちょっと待って。じゃあ、アサシンのサーヴァントの魂はどこに? アークエネミーが倒したアサシンの魂と、ランサーを殺したと思われる別口のアサシンの魂。この2つの魂は……」
凛の声に、イリヤと桜がお互いに視線を向け合う。
どのサーヴァントが死んだのかというのは、基本的にマスター側では感知出来ない。
小聖杯を持っているイリヤや桜の場合は、自分の小聖杯に魂が入って来た事でそれを理解出来るのかもしれないが……
そういう意味で、純粋にその辺を理解出来るのは多分言峰くらいなんだろう。
聖杯戦争の監督という立場だったり、原作でも聖杯戦争が始まる前に凛に対して残りのサーヴァントはセイバーとアーチャーだと教えていたのを考えると、その辺は多分そういうのを把握する為の何かがあるのは間違いない。
「同じアサシンだってのを考えると、キャスターが召喚した方のアサシンが何らかの理由でランサーを殺した方のアサシンになったってのは十分に考えられると思うが? そもそも、サーヴァントのキャスターが召喚するってのが色々と裏技染みているんだから、何かバグっている可能性は十分考えられる」
「……じゃあ、そのせいでアサシンの魂は小聖杯に入らなかったっていうの?」
「魂がどこにもないって事は、多分そうなんだろうな」
イリヤのどこか疑問に満ちた質問に、そう返す。
まぁ、実際のところは俺がスライムで吸収してしまったせいだと思うんだけどな。
気配遮断を吸収したのとかを考えると、それが一番可能性が高い。
もっとも、その辺の事情は俺の能力を教える事になるだろうし、何より聖杯戦争が壊れたのが俺のせいだと言われかねないので、言わないでおくが。
ああ、けどこの話の流れなら丁度いいか。
「なら、もしかすると……大聖杯の方も異常があるかもしれないな」
「何ですって!?」
ギロリ、と。その小さい体躯に見合わぬ気迫の籠もった視線を俺に向けてくるイリヤ。
まぁ、イリヤにすれば聖杯戦争の為に生まれてきたようなものなのだから、その辺が気になるのは当然か。
衛宮と一緒に暮らしている今のイリヤが、まだ聖杯戦争に対して自分を犠牲にしてもいいと思っているのかどうかは分からないが。
意外とイリヤも衛宮に引っ掛かっている可能性は十分にある。
元々イリヤは衛宮に対して興味を抱いていたのだから。
「それはそうだろう? キャスターがアサシンを召喚するなんて真似をしたんだ。そして、アサシンから別のアサシンが生まれたと思しき状況や、小聖杯が2つあるという状況、何よりランサーが言っていた言峰の擁するもう1人のサーヴァント。ああ、それとついでに俺というイレギュラークラスのサーヴァントがいたりと、この聖杯戦争ではここまで異常な出来事が幾つも起きてるんだ。そもそも、聖杯戦争っていうのは60年周期なのに、今回は前回の聖杯戦争から10年足らず。……これで大聖杯が正常に動いていると考える方がおかしいと思うが?」
そうなんだよな、客観的に見ると今回の聖杯戦争ってのはイレギュラーが多すぎる。
最たるおかしさはと言えば、やっぱりアーチャーの代わりに俺が召喚された事だろうが。
「待って下さい。それでは、この聖杯戦争は……」
セイバーが納得出来ないと言いたげにそう口を開く。
セイバーは純粋に聖杯を求めているんだから、その賞品である聖杯がおかしな事になっているってのは聞き逃せない事実だろう。
「あくまでも可能性だけどな。……大聖杯、一度調べてみた方がいいと思うが? 結局勝ち残るのはここにいる3人のサーヴァントのうちの1人か、言峰が有するもう1人のサーヴァントなんだ。その時点でこの中の誰かが聖杯を得るのは決まったようなものだし」
何だかんだと、桜という存在が俺達と衛宮達を繋げる鍵となる。
桜は殆ど無条件で衛宮に協力するだろうし、凛はそんな桜と殺し合いをする事はないだろう。
何だかんだで、凛は桜を大事にしているし。
そして、一般的に考えればサーヴァント3人に対して1人で戦って勝てるとは思わない。
まぁ、向こうのサーヴァントは金ぴかだから、普通のサーヴァント3人であれば勝つのは難しいだろう。
何しろ、敵対したサーヴァントの弱点となる宝具の原型を持ち出す事が出来るのだから。
……もっとも、それはあくまでも普通のサーヴァントに対してであって、俺のようなイレギュラーに関しては話が別だ。
俺の弱点となるような逸話の宝具を探そうにも、俺はそもそもこの世界の英霊じゃない。
それでも不死殺しや英霊殺しの概念を持つような宝具であれば効果はあるかもしれないが……金ぴかの場合、ただその宝具を投げつけているだけであって、担い手って訳じゃないしな。寧ろ、俺にすれば美味しい相手でしかない。
「……そうね。確かに癪だけどアークエネミーの言っているのが正しい場合、聖杯がおかしくなっている可能性は十分にあるわ。一度調べて見た方がいいのかもしれないけど……」
「イリヤ?」
途中で言葉を切るイリヤに、衛宮が心配そうに声を掛ける。
そんな衛宮に、イリヤは深刻そうに口を開く。
「もし……もしも本当にアークエネミーの言う通りに大聖杯に異常があるとしたら……もう、私にはどうしようもないの。例え小聖杯であっても、私にはその異常をどうにかする力はない。だとすれば、もう消滅させるしかないけど、それをやるにしてもサーヴァントが並大抵の力で攻撃しても、多分無意味に終わるわ」
「ちょっと、じゃあ大聖杯はどうしようもないって言うの!?」
凛の言葉に、イリヤは首を横に振る。
「正直、分からないとしか言えない。セイバー、ライダー、アークエネミーの3人で強力な攻撃を仕掛ければ、あるいは……」
「問題ない」
イリヤの言葉を遮るように、俺が割って入る。
「もしも本当に大聖杯がどうにも出来ないようなら、俺が何とかしよう」
「……出来るの? サーヴァントの召喚という奇跡すらやってのけるのが大聖杯なのよ?」
「ああ。俺の宝具なら、問題なく出来る」
「アークエネミーの宝具というと……もしかして、あの竜種ですか?」
俺の宝具を見て最初に思いついたのが、グリだったのだろう。セイバーの尋ねてくる声に、首を横に振る。
まぁ、グリは色々な意味で強い衝撃を与えただろうしな。
特に、この世界だとネギま世界と違ってドラゴンは幻想種という扱いで格別な存在となっている。
……もしかして、ホワイトスターの牧場にいるワイバーン辺りも、この世界だと幻想種って扱いになるのか?
そんな風に思いつつ、口を開く。
「グリフィンドラゴンじゃない、別の宝具だ。それを使えば、ほぼ間違いなく大聖杯をどうにかする事が出来る。……ただ、最大の問題として、その宝具を使った場合周辺にも大きな被害が出るのは間違いない。場所によっては、かなり危険なんだが……大聖杯があるのはどこか分かるか?」
柳洞寺だと知ってはいるが、俺の知識でそれを知っているのはおかしい。
それ故に、この中でもっとも聖杯戦争について詳しいだろうイリヤの方へと視線を向ける。
俺から向けられた視線に、イリヤは一瞬眉を顰めるものの、今は自分の感情でどうこう出来る問題ではないというのは理解しているのだろう。やがて小さく呟く。
「柳洞寺」
「何だって!?」
柳洞寺という名前に、真っ先に反応したのは当然の如く衛宮。
まぁ、柳洞は衛宮の親友と言ってもいいような関係なんだし、その辺はしょうがない。
凛や桜といったマスター組もその辺は知らなかったのか、驚きの表情を浮かべていた。
半サーヴァントである綾子も、驚きの表情を浮かべているという意味では同様だ。
確か部活の件で柳洞とは色々とやり合っているとかいうのを、以前に聞いた事がある。
天敵……というのとはちょっと違うだろうが、因縁深い相手がこんな形で聖杯戦争に関わってくるとは思ってもいなかったのだろう。
「正確には、柳洞寺が建っている円蔵山の中にある大空洞の中に大聖杯はあるらしいわ。つまり、直接柳洞寺の近くにあるんじゃなくて、山の中にあるの」
イリヤの言葉に、ホッと安堵の息を吐いた衛宮。
柳洞が直接の危機に陥る事はないと思っての安堵の息だったんだろうけど……それは少し安心するのが早い。
「……厄介だな」
俺の呟きが道場の中に響く。
その言葉の意味を知っている……というか、朧気ながら予想しているのは、俺がどうやって大聖杯を破壊するのかを予想している凛と綾子くらいか。
この2人には、俺の最後にして最強の宝具、ニーズヘッグを見せたからな。
俺が大聖杯を壊す方法として思いつくのは、2つ……いや、3つある。
1つ目はスライム。
スライムを使い、汚染された大聖杯の全てを吸収する。
ただし、多分大丈夫だとは思うが、汚染された大聖杯というだけあってスライムに対して妙な悪影響が出る可能性も否定出来ない。
アンリマユと契約をした原作の桜が、いわゆる黒桜となったのを思えば、そのアンリマユをそのまま吸収したスライムに悪影響が出ないとは言い切れないだろう。
下手をすれば、今後一切スライムを使えなくなる可能性すらあるので、この方法は却下。
2つめは空間倉庫。
俺が大聖杯に触れて、そのまま空間倉庫の中に収納する。
ただ、こちらも不安要素が幾つかあるんだよな。
まず、そもそもの問題として大聖杯を収納出来るかというのがある。
空間倉庫は、生物を吸収出来ない。そんな中で、アンリマユを生きていると認識するかどうか……
そしてもし認識しなくても、スライムと同様に空間倉庫が汚染される可能性は捨てきれない。
こちらも出来れば、却下。
そして最後の3つ目。
これが大本命だが、ニーズヘッグを使った攻撃。
特に精神コマンドを使ったラグナロクやフレイヤで攻撃すれば、まず確実に大聖杯は消滅すると思われる。
宝具になった影響が、攻撃全てに魔力が伴うようになっているしな。
空間に影響する対界宝具という扱いも、多分ここから来てるんだろうし。……特に、システムXNが使えない以上は。
ただし、そうなると周辺にも大きな被害が出る可能性が高い。
……少なくても、大聖杯がある空洞は間違いなく消滅するだろう。
それは同時に、山の上に建っている柳洞寺にも影響が出る訳で……
「大聖杯をどうにかするにしても、柳洞寺にいる者達をどうにか避難させる必要が出てくるだろうな。それをどうにか出来るのなら、大聖杯は俺が何とかしよう。……まぁ、異常があればという前提だがな」
聖杯を破壊するという俺の言葉に、セイバーが鋭い視線を向けてくるのを見返しながら、そう告げるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:390
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1407
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1187
ページ上へ戻る