転生とらぶる
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Fate/stay night
1168話
真名解放をしたルールブレイカーに突き刺された桜の身体から赤い光が発する。
よし! これでアンリマユとの契約は消滅した。
そのまま呆然とした様子で俺の方を見ている桜から距離を取る。
ルールブレイカーの場合、真名解放をしている状態では突き刺さっても相手に傷を負わせる事はない。
……それでいながら、真名解放をしていない状態ではそれなりに斬れ味の鋭い刃物だというのが、hollowで証明されてたけど。
「貴方は……アークエネミー?」
やはり俺の事は知っていたのだろう。ライダーから聞いたのか、衛宮やセイバーから聞いたのか、それとも……臓硯から聞いたのか。
どちらにせよ、俺の事を知っているというのであれば、こちらとしても対応は難しくはない。
「ああ、どうやら俺の事は知っているようだな。……単刀直入に言わせて貰おう。お前と大聖杯の契約を無効化させて貰った。それは自分でも分かるか?」
「……え? あれ? そんな……これ……」
『貴様ぁっ!』
桜の言葉を遮るように、周囲に響く。
間桐家へと攻め込み、蟲倉の中でも聞いた声だ。
記憶を失っている時は分からなかったが、この声は臓硯の声で間違いないんだろう。
「出て来たか、寄生虫」
『貴様、貴様ぁっ! 何をした! 何をしたのだ!?』
「さて、何をしたんだと思う? 残念ながらその答えを教える訳にはいかないな。それより、お前がそこにいるのは色々と面倒だ。消えて貰いたいんだが、どう思う?」
方法としては、スライムで消去するしかないと思っていた。
だが記憶を取り戻した今は、鵬法璽を使える。
つまり、桜の心臓をどうにかする危険性を冒す必要はないのだ。
……まぁ、鵬法璽を使った場合は臓硯は心臓に存在したままとなるが……俺の予定通りに進めば、特に何が起きるという事もないだろう。桜自身は色々と思うところはあるだろうが。
ともあれ、その方法で進めるにしても、まずは臓硯が俺に対して勝てないと判断させなければならない。
『ふざけるなっ! 貴様……よくも!』
その言葉と共に、どこからともなく羽根の生えた蟲が姿を現す。
この蟲は、確か間桐の蟲倉でも見たな。
空を飛びながら襲い掛かっているその蟲だが、混沌精霊である俺にとっては文字通りの意味で飛んで火に入る夏の虫って奴だ。……いや、虫じゃなくて蟲か。
指を白炎に変化させ、相手の蟲より一回り大きい鳥の炎獣を作り出す。
蟲の数自体は多くはない。……まぁ、蟲を増やすための蟲倉をスライムで一気に吸収されたのを思えば、その辺は当然か。
基本的に蟲というのは1匹ずつではそれ程強力ではない。
あくまでも数を揃えてこそ凶悪なのだ。
……そういう意味では、どことなくBETAに似ているものがあるな。
そんな事を考えている俺の視線の先では、鳥の炎獣が蟲を相手にして蹂躙としか呼べない戦いを繰り広げていた。
元々、炎獣は俺の魔力によって生み出された白炎を使って生み出されたものだ。
それだけに、純粋な炎の威力としてはこのFate世界の魔術師が生み出す蟲程度でどうにかなる筈もない。
それこそ俺をどうにかしたいのであれば、サーヴァントを連れてくるしかない。
悔しげな呻き声。
桜の身体としても、臓硯が暴れているのはキツイのだろう。桜本人は苦しげにその豊満な胸を押さえている。
「どうした? そんな状況で俺をどうにか出来ると思っているのか? お前が得意としている蟲に関しても、大分数が減ってきているぞ?」
その言葉通り、俺の視線の先に姿を現している蟲はもう殆ど残ってはいない。
残っている数少ない蟲にしても、次々に鳥の炎獣により焼き滅ぼされている。
さて……どうする? このまま大人しく死を選ぶか?
いや、死にたくないとここまで生き延びてきた奴だ。
本来の身体を失い、自分の身体を蟲とし、桜の心臓の内側に入り込んでまで。
確か昔は高い志を持っていたとかいう話だったと思うが、それも結局は既にない、ただ生きる事だけにしがみつく妄執と化した存在。
哀れだとは思うし、長き時を生きるという意味では俺の先輩という存在でもある。
反面教師という意味ではありがたい存在でもあったな。
「ほら、どうした? お前がどうにか出来る手札はもうないのか? ……お得意の蟲も、残りはもう少ないぞ?」
鳥の炎獣によって蹂躙された蟲の生き残りは、既に10匹を切っている。
このままでは、間違いなく自分には打つ手がない。
そう思いつつ、臓硯にとっては負けを認める事も出来ない。
……さて。
そうして、蟲の最後の一匹が焼き殺されたところで……再び俺は口を開く。
「さて、そろそろお前の長き生も終わりの時間だ。……準備はいいか? スライム」
指を鳴らすと、空間倉庫からスライムの触手が伸びてくる。
このスライムを人の目には出来ない程細くし、桜の血管を辿って心臓の内部へと届ける。
後はその内部にいる臓硯を殺してそのまま死体を空間倉庫の中に収納すれば、臓硯の問題は解決だ。
死ぬ以外の臓硯の道としては、ただ1つ……
『待て、待ってくれ!』
数秒前までの憎悪に満ちた声から一転、焦ったように告げる声が聞こえてくる。
……正直、今更だが臓硯はどうやって声を出してるんだ?
桜の口から出ている声じゃないし、多分蟲を使って声を出してるんだろうが……
ともあれ、スライムの触手は桜まで後1m程の位置でその動きを止める。
「どうしたんだ? お前としてはここで俺に負ける訳にはいかないんだろう? もう少し抗ってみたらどうだ? もしかしたら、桜の身体じゃなくて俺の身体を手に入れる事が出来るかもしれないぞ?」
まぁ、俺は混沌精霊であり、身体は魔力で出来ている。
普通のサーヴァントと違って心臓があったりする訳じゃないから、桜と同じく寄生する事は出来ないんだが。
『……何を求める?』
お? こうして話を聞こうとしてくるというのは、向こうの態度がちょっと改善された形だな。
まぁ、正面から戦えばどうあっても自分が死ぬというのを本能的に理解したのだろう。
もし俺が普通の……それこそサーヴァントではなく人間だったら、心臓の中にいる臓硯に手を出すのは非常に難しい。
迂闊に手を出せば、臓硯を殺したら桜も死んでました……何て事になりかねないのだから。
それを思えば、こちらとしても向こうが交渉を要求してきたのは嬉しい。
「そうだな……お前がこれ以降は一般的な意味で桜に危害を加えず、話し掛けもせずにその心臓の中で大人しくしているというのなら、命だけは助けてやろう」
実は桜の心臓からどうにかして臓硯を取り出し、こっちで確保するという方法も考えた。
だが、臓硯は色々な意味で危険だ。
その知識や蟲を使い魔とする能力は興味深いんだが、外で活動する為の身体を作るとなると、人間を取り込む必要がある。
それでいて、その取り込む周期も短かった筈だし、臓硯の本体でもある蟲の状態では魔力を殆ど使う事も出来ないから、寄生させる相手や取り込む人間は必須となる。
蟲の状態で知識だけを引き出す……というのも考えたが、臓硯の危険さと得られる知識を考えるとリスクが大きすぎると判断した。
よって……残念ながら、臓硯にはこのFate世界で大人しくしていて貰おう。
まぁ、量産型Wを用意するという手段もあるけど……正直、臓硯そのものが危険過ぎるんだよな。
放っておけば何をしでかすか分からないし。
『ぐむ……それは……』
俺の言葉に悩む臓硯。
まぁ、そうだろう。俺の言葉をそのまま受け止めると、それは桜の中にいる以外は何も出来なくなるのだから。
けど、死ぬのと生きるののどっちを選ぶかと言われれば、話は決まっている。
それに俺に対して約束をしたとしても、俺がサーヴァントである以上は普通なら聖杯戦争が終われば消えると思ってもしょうがない。
……まぁ、セイバーのように生きている状態で精神だけをこの聖杯戦争に呼び出されるのも色々と大概だが、俺の場合は肉体そのものごとこのFate世界に来てるからな。
ぶっちゃけ、もしきちんとルール通りに聖杯戦争が行われていたとしても、俺の魂を聖杯の魔力として使う事は出来なかったんじゃないか?
いや、凛が令呪を使って命令すれば可能か?
まぁ、こういう関係になった以上はそんな真似をする事はないと信じたい。
ともあれ……臓硯が選ぶ選択肢としては、結局1つしかない訳で。
『ぬぅ……分かった。お主の提案に従おう』
「そうか。言っておくが、それが口だけなんて事はないよな?」
『当然じゃ。もっとも、証拠となるものは何もない。それについては信じて貰うしかないがのう』
言ったな?
臓硯の言葉に小さく笑みを浮かべ、空間倉庫から鵬法璽を取り出す。
『なっ!?』
踞って苦しがっている桜の方から、臓硯の驚愕の声が聞こえてくる。
何について驚いたのかというのは、考えるまでもない。
鵬法璽の放っている魔力によるものだろう。
「さて……じゃあ、お前の名前で誓って貰おうか。この先、一般的な意味で桜に危害を加えず、桜に声を掛けたりもしないで大人しくしていると。勿論断るならそれでもいいが……その場合は、若干桜に危険はあるが、スライムでお前の本体を処理する事になるのは覚えておいた方がいい」
空間倉庫から出したスライムの触手をこれ見よがしに動かしながら告げる。
……いや、今の状況で臓硯がこっちの状況を見ているのかどうかは分からないが。
この言葉が向こうに聞こえてないといいんだけど、微妙だろうな。
『ぐっ、き、貴様……』
「それと、誓う名前は間桐臓硯ではなく、マキリ・ゾォルケンでだな」
『き、貴様ぁっ! どこでその名前を!』
「さて、どこでだろうな。……言っておくが、これがお前の最終的な選択肢だ。もし誓えないのなら、その時点でこっちは次点の手段を取らせて貰う」
『まっ……』
まだ何かを言いたそうな臓硯だったが、俺はそれを無視して鵬法璽へと魔力を流し、その効果を発動させる。
「マキリ・ゾォルケンは、今後、現在寄生している間桐桜に対して一般的な意味で危害を加えず、声を掛けたりする事もしないと誓うか? もし誓うのなら、お前の名前で誓いの言葉を言え」
スライムの触手をユラユラと揺らしながら呟く俺の言葉に、臓硯は暫くの間沈黙を返す。
恐らく、現状をどうにか出来ないかを考えているんだろう。
確かに現状で鵬法璽の正確な能力は知らないのだろうが、そこから感じられる魔力は強力極まりない。
確か、このFate世界にもセルフギアスロールとかいうのがあったと思うが、これは言葉だけで発動する分、より凶悪な代物だろう。
「どうした? こっちの言葉に従えないのなら、相応の手段を取らせて貰うが……」
スライムをゆっくり、ゆっくりと桜の方へと向ける。
早く誓え。確かにスライムを使えば臓硯をどうにか出来る可能性が高いが、何らかの不慮の事態が起きれば、臓硯が寄生しているのが心臓なだけに万が一という事も有り得るのだから。
そのままゆっくりとスライムの触手が桜の方へと伸びていき……そうして、桜に触れるか触れないかといった時になり……
『分かった……マキリ・ゾォルケンの名に於いて、今後桜に対して一般的な意味で危害を加えるような事はせぬし、話し掛けるような真似もせず、心臓の中でただじっとしている事を誓う』
苦渋の選択。そうとしか表現出来ないような、悔しげな言葉で、臓硯はそう告げる。
その瞬間、鵬法璽が鋭い光を放ち……こうして、契約は完了した。
「……どうだ? お前はもう臓硯の影響下にはない筈だが」
踞っている桜に向けて尋ねるが、それに戻ってくる声はない。
うん? どうしたんだ?
何かミスったか?
そんな思いを抱きつつ、踞っている桜の顔を覗き込むと……
「うう……ぐすっ、ぐすっ……」
泣いていた。
ただ、その表情に浮かんでいるのは悲しみではない。
見て分かる程に嬉しそうな笑みを浮かべながら涙を流しているのが分かる。
……この桜をどうにかするのは俺の役目じゃない、か。
「衛宮、この光景を見てるんだろ? さっさとこっちに来て、慰めてやれ」
空中に向かって、そう告げる。
イリヤが水晶玉でこちらの様子を見ている以上は、衛宮も当然この光景を見ているのは間違いないだろう。
そう思って告げてから十数秒。
ドタドタドタ、と廊下を走る音が聞こえてきた。
誰が走ってきているのかは、考えるまでもない。
「桜!」
そう叫びながら居間へと入って来たのは、当然の如く衛宮だった。
「先輩……先輩……」
俺の真横を通り過ぎて桜の下へと駆け寄る衛宮をそのままに、俺は居間を出て取りあえず道場へと向かう。
その際に、衛宮がしっかりと桜を抱きしめているのを見て……真アサシンが出て来たり、臓硯が表に出て来た事から、この世界の衛宮は桜ルートの影響が強いんだろうと判断するのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:390
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1407
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1187
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