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外れない占い

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第三章

「全くな」
「そういうことなら」
「よくわかるな」
「巨人は百年位最下位でいいですね」
「百年?千年だろ」
「キリスト教みたいに」
「巨人は暗黒千年王国でいいんだよ」
 その間ずっと最下位でいいというのだ。
「巨人が負けると飯が美味いだろ」
「はい、酒も」
「巨人が負けまくるとそれだけでな」
 それこそというのだ。
「いいんだよ」
「そのこともその通りですね」
「まあとにかくな」
「あまり、ですね」
「悪い結果はな」
「当たって欲しくないですね」
「本当にな」
 雄馬にこうも言うのだった。
「野球についてもな」
「全くですね」
「落合さんの任期もな」
 彼の監督のそれもというのだ。
「あれだよ、辞めた年にな」
「占ったらですか」
「その通りになったし」
「何で占ったんですか?」
「タロットだよ、ケルト十字でやったらな」
 そのシーズンの落合を占った、するとというのだ。
「最後に死神が出たよ」
「死と再生ですね」
「それでまさかと思ったらな」
「そのシーズンで、ですね」
「あのフロントの馬鹿がな」
 口を苦々しげにさせての言葉だった。
「辞めさせただろ」
「はい、それで高木が監督になりましたね」
「それで高木を占ってみたらな」
「悪かったんですね」
「戦車の逆が出たよ、他のカードも悪いものばかりだったよ」
「そっちも当たったんですね」
「外れて欲しかったよ」
 高木中日への占いもというのだ。
「それがこれだよ」
「当たる占いも嫌ですね」
「全くだ」
 こう言うのだった、今も。
 そうした話をしながらだった、そのうえでだった。
 自由は占いを続けた、彼の占いは外れなかった。当たるばかりだったがよい占いも悪い占いもそうでだ。
 悪い占いの結果が当たる度にだ、彼は雄馬に言うのだった。
「まただよ」
「またですね」
「本当にな」
 閉店したばかりの店の中でのやり取りである。閉店作業を二人でしながら。
「失恋するって出たら」
「そうなりましたね」
「彼氏の浮気か」
「恋人の逆が出たら」
「ドンピシャか」
「一瞬間に占って」
「今日泣いて来たな」
 自由は作業をしながら雄馬に苦い顔でこの日のことを話した。
「別れたって」
「それで、でしたね」
「サービスで占ったらな」
「また、でしたね」
「恋人の逆だよ」
 またこのカードが出たというのだ。 
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