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戦国異伝

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第二百三十一話 怪しげな茶その七

「あの、我等はです」
「うむ、何度も通って知った道を通っておったが」
「それがですな」
「何故迷うのじゃ」
「わかりませぬ」
 首を傾げさせて主に述べた。
「これは一体」
「どういうことなのじゃ」
「しかしです」
「うむ、殿にお伝えせねばな」
 こう話してだ、そしてだった。
 彼等は首を傾げさせつつも道を進んだ、そのうえで着いた場所は。
 亀岡城だった、その城に着いてだった。使者も供の者達も唖然となってそのうえでだった。
 城に戻ってことの次第を伝えた、すると。
 城にいる者達はそのことについてもだ、驚いて言うのだった。
「御主はあの道を知っておろう」
「それで殿の下に送ったのじゃぞ」
「この地に代々住んでおる故」
「その御主が道に迷うとな」
「それはどういうことか」
「それがそれがしにもです」
 使者も戸惑いつつ答える。
「わかりませぬ」
「ううむ、しかし」
「そうも言ってはおれぬぞ」
「また行くのじゃ」
「そして殿にお伝えするのじゃ」
 こうして使者はまた送られた、だが。
 やはりだった、使者は供の者達と共にまた亀岡城に戻って来た。誰もが狐に摘まれた様な顔になるしかなかった。
 その間に明智は都に進んでいく、その軍勢を見てだった。
 闇の中でだ、彼等はほくそ笑み話した。
「これでよしですな」
「あとは明智光秀が動いてくれます」
「織田信長と織田信忠を討ち」
「我等の難敵を消してくれますな」
「奥の手じゃった」
 老人の声がまた言って来た。
「これはな」
「明智光秀だけでなくですな」
「重臣二人までも操り」
「そのうえで兵を動かさせる」
「そのことはですな」
「うむ、焦っておった」
 老人の声の主にしてもというのだ。
「この度はな」
「このままいけばですな」
「織田信長は天下を確かなものにしていた」
「そして我等が動く余地はなくなる」
「だからですな」
「そうじゃ、それで焦っておったが」
 しかしというのだ。
「こうした手があった」
「そしてですな」
「今の手を打てたからですな」
「よかったと」
「御前もそう言われるのですな」
「うむ、最後の一手と言ってよかったが」
 まさにこの一手をしくじればだ、彼等にとってもいいことはなかったという状況だったというんどあ。
 しかしだ、この手を打ててというのだ。
「打てた、ならばな」
「はい、では」
「我等はこのまま兵を挙げ」
「織田信長がいなくなった天下を徹底的に乱す」
「そうしますな」
「まつろわぬ者の国にする」
 是非にというのだ。 
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