ポケットモンスター 急がば回れ
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18 ポケモンタワー
フジ「そうか、ポケモン図鑑を作りながらジムバッジを集める旅をしてるのですか」
イエロー「はい、オーキド博士に頼まれて」
レイナ「オーキド博士に?
そういえばレッドさんも……」
イエロー「レッド君もここに?」
フジ老人の家はポケモンタワーのすぐ近くにある。
イエローはレッドを追ってポケモンタワーに行く前にフジ老人の家に立ち寄っていた。
フジ「少し前になるかな。
私がポケモンタワーでロケット団に捕まってるところを彼に助けてもらったのです」
レイナはピカチュウとカラカラを遊ばせている。
とても楽しそうだ。
フジ「おかげであの通り、カラカラのお母さんの魂を慰めることができて、カラカラもすっかり元気を取り戻しました」
イエロー「カラカラのお母さんはもしかして……」
フジ「ロケット団に殺されてしまったのです。
まったくひどい話だ」
レイナ「ここでは傷つけられたポケモンたちのお世話をしてるんです。
フジおじいちゃんに懐かないポケモンはいないんですよ!」
イエロー「おじいちゃん?
レイナさんはフジ老人のお孫さんですか?」
フジ老人は押し黙る。
レイナ「わたしも孤児なの。この子と同じ」
カラカラの頭を撫でる。
レイナ「おじいちゃんには本当のお孫さんがいるんですけどね……」
イエロー「そうだったんですか」
フジ「昔は仕事のことばかり考えていて全然会ってやれなかった。
孫も私のことを覚えていないでしょう」
フジ老人はピカチュウの頭を撫でようと手を伸ばすが、ピカチュウは静電気で威嚇する。
レイナ「ポケモンがフジおじいちゃんに懐かないなんて初めて……」
ピカチュウはイエローに出発するよう促す。
イエロー「それでは、お世話になりました」
フジ「また来なさいよ」
フジ老人とレイナは手を振って見送る。
イエロー「もうレッド君はこの街にいないのか……
でも行ってみよう」
ポケモンタワーには墓参りに来た人たちがいる。
皆が神妙な面持ちでポケモンの冥福を祈っている。
その中にグリーンの姿があった。
グリーン「イエローか」
イエロー「グリーン君も墓参りに来てたの?」
グリーン「見りゃわかるだろ。
お前は何しに来たんだよ」
イエロー「僕はレッド君が来た場所を見ておきたくてね。
ここでロケット団が悪さしてたのをレッド君が追っ払ったらしいよ」
グリーン「ちっ、またレッドに先を越されたか」
イエロー「おかげでここにいた幽霊も成仏できたし、今はゴーストポケモンの溜まり場になってるみたい」
グリーン「ゴーストタイプか、一度見てみたいな。
強かったらゲットしてやるぜ!」
イエロー「待ってよ僕も!」
ピカチュウ「ピカ!」
2人とピカチュウは上の階へ駆けていく。
しかしどこの階もがらんとしている。
イエロー「何も無いね」
グリーン「まだまだ上だ!」
いくら上っても何も無い部屋ばかり続く。
次第に薄暗さが増していく。
イエロー「おかしい、もう100階以上は上ったのに……
こんなに高いわけがない」
グリーン「おまけに似たような部屋ばかりだぜ」
イエロー「まさか……」
ピカチュウ「ピカ」
グリーン「まさか……何だよ」
ピカチュウは電撃で床に印をつける。
そして1つ上の階へ上る。
同じ場所に同じ印がある。
イエロー「やっぱり、同じ場所をループしてたんだ」
グリーン「ゲームでよくあるアレか。
ということは引き返しても無駄だな。
何か仕掛けがあるはずだ」
イエロー「まさか、ゴーストポケモンの仕業か!」
ピカチュウ「ピカ!」
ピカチュウは気配の感じる方向に電撃を放つ。
ゴースが一瞬だけ姿を見せて、闇に消える。
逆の方向からナイトヘッドの攻撃が飛んでくる。
ピカチュウは素早い反射神経でかわす。
イエロー「気をつけて、複数いるかもしれない」
グリーン「面白い、やってやるぜ!
いけっ、フーディン!」
威厳のありそうな髭を生やしたポケモンがモンスターボールから現れる。
グリーン「フーディン、サイコキネシス!」
超能力のオーラのようなものが部屋に充満する邪気を払おうとする。
しかしすぐに掻き消されてしまった。
グリーン「そんなバカな……効かないだと?」
イエロー「ピカチュウ、雷!」
しかしピカチュウは眠っている。
イエロー「催眠術か……」
フーディンも催眠術をかけられていく。
グリーン「くそっ、なんて強力な催眠術だ。
フーディンが手も足も出ないなんて……」
フーディンは眠ってしまった。
そしてグリーンとイエローも催眠術をかけられてしまう。
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