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緋弾のアリア 転生者はハートネット

作者:ren sagiri
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第1巻……動き出す緋色の運命
  3弾 部屋割と模擬戦と……オレの部屋はどこ?

 
前書き
アリア対ハヤトの構図……2人とも「双剣双銃(カドラ)」ですが……どうなることやら 

 
アリアがコルト・ガバメントによる二挺拳銃で弾丸を全自動射撃(フルオート)で放つ……が、俺はその弾丸16発をS&W .44マグナムの連鎖撃ち(チェイン)で6発全弾であらぬ方向に弾き飛ばす。

銃は小手調と言わんばかりにアリアはガバメント二挺拳銃をホルスターに収納しながら背中から小太刀二刀を引っ張り出す。

俺はコートの内の絶界に.44マグナムを放り込みながら手を突っ込んで二本の柄を掴むとそれを引きずり出して……

「ふ……んッ!」

「えいやっ!!」

ギギギギィンッ!

強襲科(アサルト)の体育館内部にある訓練場内で剣戟が奏でる不愉快な響き……観客(オーディエンス)の前に剣閃の閃きがライトの光を反射して場を静寂に包む。

オレの聖宝剣(オート・クレール)装飾剣(クライスト)のでの二刀流(トゥー・ソード)を振るい、アリアの小太刀二刀流で斬り合っている。
オレは現在、ピンクのちびっ子……アリアと模擬戦の真っ最中である。

模擬戦のルールは簡単。相手をぶちのめした方が勝ち……だ。

なぜこうなった……とオレはアリアの小太刀を上体反らし(スウェイ)で躱しながら小一時間ほど前のやり取りを思い出していた。





遡ること一時間ほど前の昼時。

オレはリサの作って持参してくれていた弁当をリサが仲良くなった幾人かの女子生徒と共に食べていた。
オレは基本的に女性の相手をする時は聞きに徹して、意見を言うタイミングを計る流儀(スタイル)で話をする。

「で、ハヤトくんってリサちゃんと付き合ってるの!?」

……いきなり追及されるとは予想外だったが、オレは冷静にそれを否定する。

「付き合ってる……と言われても困りますね……僕はまだ未成年。まだ(・・)彼女と結婚することはできないですからね」

「リサはご主人様に奉仕できるだけで幸せなのです!」

……話を振ってきた鷹根さんは「メイドと主人の危ない関係なのね!」と一方的な決めつけて熱く語っている。
その様子をオレは微苦笑で流すことしかできなかった……が、さすがに否定すべきところは否定した。

そんなやり取りをしつつ、弁当を突いていると……ピシャリッと引き戸が開けられてズカズカとこちらに向かってくる足音が聞こえたので振り返るとそこには幼馴染殿が仁王立ちでこっちを睨んでいた。

「あんた、自分のメイドに加えて女の子3人もはべらして……どう言うつもりよ!」

一応アリアも誘ってやろうと思っていたが、こいつ……昼休みが始まってすぐに教室から飛び出して行ってしまった。そのため誘うことができなかったのだが……

「アリア、侍らすというのはさすがに誤解だと思うが?」

オレはあくまでも冷静にアリアに対応する。が、しかし幼馴染殿は納得がいかないようで地団駄を踏む。

リサに鷹根さん、早川さんと安根崎さんの相手を任せて……リサに仕込んでおいた女子の好きそうな話題で釣ってもらう。

「なんですって!?」

「確かにオレにはリサがいる。でもこの3人と食事をするのは(はべ)らしているということなのか?彼女たちがオレとリサを誘ってくれたんだぞ?」

オレはやましいことがないので真っ正面からアリアに食らいつく。もしも、やましい考えをしているなら真正面からアリアに答えられるはずもない。

「まぁ座れよアリア」

「ふんッ!」

隣の席から椅子を拝借して、アリアの席を作る。
アリアはそっぽを向きながらも自分の席から弁当を持ってくると、すぐに食べ始めて弁当の容器を空にしてしまう……つかアリア。弁当箱ちっさくねぇか?
どうせまだ足りないだろう……おまえ結構大食いなのに。
……そう思い、オレはコートの裏から絶界を通してあるものを取り出してずいっと、アリアに差し出す。

「こ、これ……ももまん?」

「お前、これ好きだっただろ?」

オレが絶界から取り出したのはアリアが好きな食べ物のももまんである。
子供の頃「H」家の人と共に行った旅行先の高級飯店で食べ飲茶に出ていたももまんをアリアは好んで食べていたのを思い出して、登校途中のコンビニで見つけたももまんを見て食べたくなり、買っておいたものだ。

……まさかこいつこんなに早く、しかも日本で会うとは思ってもみなかったからなぁ……。
アリアはオレの手からももまんを奪うようにぶん取るとはむはむとももまんを頰張る。

「もうちょいゆっくり食えよ……」

オレは呆れたが、アリアは構うことなくあっという間に自分の拳よりも大きなももまんを平らげていた。

「ハヤトにしては気が効くわね……ぁりがとぅ……」

もじもじしながら皮肉と小さな声で礼を言うアリア……もうちょい大きな声で言えよとは言はない。
こいつは俺に対してはいつもこんな態度だからな……なれたんだよ。
口元についていた餡子に苦笑いしながらオレは出したハンカチで拭ってやると、アリアはいつもの赤面壁を発揮させて真っ赤になる。

「で、アリア。オレに何か用があったのか?」

オレはアリアに用件を聞くと、少し間をおいて我に返って落ち着いたアリアが語り出した。

「……あんた、「武偵殺し」の案件知ってるでしょ?」

「ああ。オレが行方不明になった事件だな」

その事件についてはオレも知っている……カナさんとオレが伊・Uに拉致られたあの事件だ。

話を聞くと、どうやらアリアは被害者であるオレに話を聞きに来たそうだ。
オレはアリアに口の動きを見ろと瞬き信号(ウィンキング)で伝えると……

「すまんが、オレは幽閉されてた。その組織について知ることはない……(アリア……もし、伊・Uについて調べてるならすぐに手を引け)」

オレは日本語で喋りつつ、口は英語で動かしてアリアに読取らせる。

危ない橋を渡ろうとする幼馴染を止めるつもりだったのだが……これはオレの中での一つの賭けだ。
ここで思い止まるならオレの勝ち……突き進むなら……アリアの覚悟を見極めることにしたのだ。

まぁ、多少手荒い(・・・・・)方法になるだろうけどな……。

「あんた……もしかして知ってんの……?」

「オレは何も知らない(知りたいなら、オレと模擬戦しろ)」

腹話術を使えばこんな風に話すことができるんだよな……

そして、昼過ぎの今から放課後までの強襲科(アサルト)の履修を活用して闘技場(コロッセオ)を借りたオレとアリアが一騎打ちに臨んでいる……というわけだ。




小太刀を構えて超人的な瞬発力でアリアは俺の懐に入り込んで来る。
それを迎え撃つようにオレの剣が振り下ろされて小太刀に滑らせる様に受け流されるが、そのまま一回転した俺の右手の剣がアリアに迫る。

「どうした?……踏み込みが甘いぞ!」

「ッ!?」

ガギィンッ!!

オレはアリアの小太刀をすべて捌き、はじき返していた。

アリアと彼女の制服は土まみれの泥だらけだった。

一方的に攻め立てるオレ……楽しいか?……んなわけねぇだろうが!!

力量の差が開きすぎて相手にならないのだ、Sランク武偵のアリアでも、俺には及ばない。
武器の質量(ウェイト)の差も全てがオレにアドバンテージがある。

「その程度で伊・Uに刃向かうのか?挑戦しようってのか?……舐めてんじゃねぇぞ……アリアッ!!」

「しまっ……キャアァッ!」

オレは切りかかってきたアリアの小太刀ひとつを弾き飛ばし、宙で身動きの取れない彼女を蹴り飛ばした。

完膚なきまでに叩き潰して、その自信をへし折ることにしたのだが……正直言って……胸クソ悪いものである。
だが、この程度で伊・Uに立ち向かうのは死に急ぐようなものだ。
加減したくもなるが、ここは心を鬼にしてアリアに問いかけた。

「アリア……おまえは弱いよ……おまえ自身が思ってる以上にな……だから諦めて現実を見ろ。それにおまえ……その様子じゃあまだパートナーを見つけてないな?」

アリアはビクリッとその言葉に反応した。

「諦めろ……ですって……」

「そうだ、諦めろ」

オレはあくまでも冷静にアリアに言う。

「諦めるなんて……無理よ!!」

アリアは自身を叱咤するように震える足で小太刀を支えにしながらも立ち上がる。
……何がアリアをここまで突き動かすんだ……いったい、何が……

「あたしがここで諦めたら……ママを助けることができないのよ!!だから……だから……諦められるわけないでしょ!?」

……なん……だと?

「どう言う意味だ……アリア」

「ママは……奴らの……伊・Uに着せられた冤罪(・・)で懲役864年の判決が決まりそうなのよ!……あたしにはもう……時間がないの!!」

あの人が……かなえさんが「武偵殺し」……の冤罪(・・)で懲役の判決を言い渡しされただと……?

「本当なのか、それは……?」

俺の声色から棘が抜ける……

「……ええ。嘘じゃないわ」

オレは剣を絶界に納めて、アリアに向き直る。

「わかった、アリア。お前の推理では「伊・U」が真犯人だと言うんだな?」

「……そうよ……あいつらがママを……」

アリアはギリギリと歯ぎしりして、血が滲むほどに拳を握り締めて悔しさと怒りをあらわにしている。
評価が甘いかもしれないが、オレの猛攻に耐え抜いたこのタフさを評価してアリアにこう告げる。

「仕方ないな……約束通り、お前に話せることは全部話すよ……あと、パートナー探しも手伝ってやる」

「え!?」

我ながら酷い手のひら返しだ……しかし、偽善と言われても良い。オレはアリアに手を貸すことにした……手荒い方法で見極めようとして蹴ってしまった罪滅ぼしだしな。

「パートナー探しって……あんたがパートナーになってくれたらいいじゃない!ハヤト、あんたSランクの武偵なんでしょ!?」

やっぱりそう考えていたのか……

「そりゃ俺がお前を手伝えばすぐに終わるかもしれん。だがな、先に目をつけた奴に失礼だと思わないのか?」

「……あ、あんな強猥男……あんなケダモノ!!」

……あのキンジ……って奴アリアに何したんだ?

……まぁ気が向いたら話しかけてみるか。

「とりあえず、今すぐにオレと組むのは無しだぞ?それは最終手段としておけ」

オレはアリアを甘やかせるわけにもいかないので彼女の提案を一蹴した。
そして、アリアに「加減してたとは言え、蹴飛ばして悪かった」と謝罪してから別れて帰路を迎える。
リサは一足先に充てられた寮室に帰らせておいたので問題はない。
オレは蘭貓先生から指示された武偵高強襲科(アサルト)の寮を目指したのだった……





で、どうしてこうなった……

オレは今充てられたはずの寮室に来た。

しかし……開かれたドアの向こうは真っ暗の煤まみれで壁には爆破痕と弾痕があり、ドアには黄色い立ち入り禁止のテープが貼られている。

……荷物を先に送ってなくてよかった。

どうやら俺がこの部屋に来る前、この寮室のルームメイト達が大ゲンカして手榴弾の投げ合いやら銃の撃ち合いになって……ボヤ騒ぎどころか部屋そのものが機能しなくなったようだ……シャレにならんぞこれは……

一応、抗議の電話を蘭豹先生にしたが、彼女は別の部屋に行けと指示を出してガチャンッ!バキッと最後に聞こえて……乱暴に電話を切っていた。電話の受話器に手を合わせつつオレは仕方なく指示された探偵科(インケスタ)の寮に向かう。
そして、その部屋には……アリアを強猥しようとした物好きがいるとは知らずにオレは辿り着いた部屋のチャイムを鳴らすのであった……

「俺はロリコンじゃねぇ!!」

(続く) 
 

 
後書き
はい、どうも……なんだかんだ言って甘い主人公のハヤトです。
……とまぁハヤトの実力はこのようにアリアさんを畳めるほどですので……しかし、「武偵殺し」の案件には極力関わらせないように書いていきます。
……まぁ巻き込まれるのですがね。

では次のお話でお会いしましょう! 
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