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緋弾のアリア 転生者はハートネット

作者:ren sagiri
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第1巻……動き出す緋色の運命
  1.1弾 新生活と初陣と……ハヤト編

 
前書き
ハヤトの初陣……武偵高ではですけどね! 

 
伊・Uを退学したオレとリサは問題なく東京武偵高校に転入することができた……新学期の始まる1週間前だったが、防弾制服も着ており準備は万端である。
ちなみシャーロックの餞別(臙脂色な外套)も防弾ブレザーの上に装備している。

世間でのオレの扱いは行方不明扱いだったらしい。勝手に殺されてなくてよかったと思うべきなのだろう……そう思っておこうと思う。

伊・Uから日本に入国した際。司法取引をさせられた……取引内容は「伊・Uの情報」だ。
が、しかし。俺は「伊・Uの構成員」ではなく、「拉致られた」被害者側だ……伊・Uの情報なんぞ持っているわけがない……と俺はシラを切った。
シャーロックには恩がある。それ故に裏切るのはいけないだろう……で、武偵手帳の再発行の手続きと武偵高への編入手続きを平行して済ませた。

武偵高に関しては父さんの根回しのおかげですんなりと編入することができた。
オレとリサの扱いはロンドン武偵高校からの留学生らしい。

そして武偵高こと、東京武偵高校。そこは武装探偵と言う職業の人材を育成する教育機関で、「普通」とはかけ離れた学園生活を送る変わり者の生徒が多い学校だと言う。

そもそも武装探偵と言う職業とは?
過去から右肩上がりに増え続ける凶悪犯罪、テロ事件に頭を悩ませた国連がそれらに対抗するべく設立した国際資格だ。
武偵免許を持つ者は武装する事を許可されて、逮捕権も与えられる……民間の警察官と言うべきか?
そして、武偵は金で動く。武偵法の許容範囲内であればどんなに危険だろうが下らない仕事でもこなす……大雑把に言えば便利屋(・・・)だな。

学園島と呼ばれる人口浮島(メガフロート)の上に建設されているのが東京武偵高校である。
余談だが、隣の風力発電機が設置されている島は空き地島と言うらしい。

そして、この東京武偵高校には様々な専門科目の履修を受けれると聞いていた。
例に挙げると、武闘派の強襲科(アサルト)、どこぞのゴルゴの後継者がいそうな狙撃科(スナイプ)、ボンド氏の弟子がいそうな諜報科(レザド)などなど……挙げて説明すると丸一日かかりそうなので割愛させていただきたい。

で、武偵には武偵ランクによる格付けがある。
通常のE〜Aランクとその道を極めた者が与えられるSランク……そして、「世界レベルの指折で数えられる天才」が到達するRランクとされている。
Rランクの武偵は国家首脳の警護、王族のエスコートなどの国賓クラスの警護を任される事が多い。
そしてRランクの武偵は世界で8人いて……うちの父さんと母さんがその格付けを賜っている武偵だ。

そして、その武偵ランク査定試験の模擬戦が今日この廃ビルのフィールドを使って行われると聞き、オレとリサはそこに赴いた訳だ。

「広いビルですねー……」

「セットにしてはなかなか迫力があるな……」

目の前にそびえる廃ビルは七階建てで、大きく解放感のある鉄筋コンクリート製のビルの大型模型だ。
おそらく内部は壁を取っ払った広い空間に遮蔽物を適当に配置した物だろう。

と、こちらに歩いてくる黒髪のポニーテールの女性が手を振ってる。

「よぉーきたな。ウチは今回の試験を担当する事になった蘭豹や」

「これはご丁寧にありがとうございます。僕は天道ハヤト。今日はよろしくお願いします、蘭豹試験官」

オレは猫を被りつつ胸に手を当てつつ頭を下げる慇懃無礼の挨拶を帰す……第一印象は大事だからな。

「リサ・アヴェ・デュ・アンクです!よろしくお願いします!」

リサは元気な挨拶を帰すとシンプルな紺のロングスカートの裾をちょこんと持ち上げてお辞儀する。

蘭豹試験官は「なかなかできた奴らやな」とつぶやきながら感心しているようだ……一応オレも貴族なのでね……。

「自己紹介はここらでえぇやろ。ほな今回の試験内容を説明するで?……ズバリ、鬼ごっこや。」

武偵版の鬼ごっこ……つまり、追跡(チェイサー)か?

これは武偵の必須スキルの一つ、抜足、忍び足、尾行(スニーキング)強襲(アサルト)の練度によって格付けが当てはめられる。

「銃の使用はあり。ただし、ゴムスタン弾を使ってもらうで……通常の装弾は危険やさかいにな」

オレとリサは詳細なルールを聞いて納得した。

試験を受ける者はバトルロワイアル方式で相手の生徒を捕縛する、もしくは気絶させる。
その人数に応じて武偵ランクの評価を下されるそうだ。
ちなみに、オレとリサは幸いな事に同じブロックではなかった。

「じゃあリサ。また後で会おう」

「はい!ご主人様!」

オレとリサのやり取りを遠巻きから眺めている男子生徒たちが血涙を流しているのが目に付いたが……放っておこう。

「おい……」

「はい?なんでしょうか?」

オレはいきなり肩を掴まれだが、後ろを見ないで応答した。

「貴族だがなんだか知らねぇが、調子こいてんじゃねぇぞ……?」

「ご忠告、謹んで賜っておきます。ですが……」

オレは頭を少しだけ後ろに向けると派手な毛色に髪を染めた男が立っていた。

「テメェも身の振り方をわきまえろよ……?」

そのまま睨み返して啖呵を切っておいた。

この試験、楽しくなりそうだな……





オレは現在、三対一で戦いを繰り広げていた。

おそらくこの3人組のリーダー格はさっきの派手頭であとは腰巾着……多分、金で雇ったお付きだろう。
武偵は金で動く……自身の試験より金を選択したのだろう。

「なんだ!?こいつの動き……普通じゃねえぞ!?」

「怯んでんじゃねえよ!!近づけるな!撃ちまくれ!」

「クソッタレが!!」

まぁ当たるはずもないがな……

「お前ら……そんなもんか?そんな大甘で下品な狙い方でオレに銃弾をヒットさせれるとでも思ってんのか?」

オレは壁を蹴り宙を舞い、回避しつつ相手の生徒達に問いかけた。

「化け物が……!」

数撃ちゃ当たるって言葉もあるが、オレには通じないぞ?……と内心で毒吐きつつ……

「プレゼントだ。うけとっておけ」

飛来する十数発ゴムスタン弾をオレは絶界から引き出した「コルト・ガバメント/ハヤトカスタム」のレセプターを三連バーストに切り替えて弾丸を迎え撃つ。

バババムッ!バババムッ!

弾頭がゴムなので跳弾が通常は予測できない方に飛んでいく。しかし入射角やぶつかり合う角度を調整してやれば……その弾丸を相手に返すこともできるのだ。

「ディフェンス・カートリッジ ギフト」とでも名付けるか?まぁ……贈り物でいいか。

「な、何ぃ!?」

「ぎゃあ!?」

「跳ね返しただと!?グギャッ!?」

オレの返した弾丸は数発が相手に命中して戦闘不能扱いに。ゴムスタン弾が眉間に当たって気絶する奴もいた。

「クソが……ありえねぇ……」

捨て台詞なのかそれとも独り言なのかわからないが……ほっとくか。

気絶した奴らを絶界から引っ張り出したロープで縛って吊るしタグを奪う。
このタグは倒した相手のタグを奪って自身の得点に還元するのだと説明を受けた。

しかし……これ、全員〆たんじゃないのか……オレ?

前の武偵ランクはE……やっぱ童貞捨てたら一皮むけるのか?……絶対違うよな!そうだよな!

そこらには縛られて吊るされた生徒が多くいる。

「……!」

「ほう……大した奴だな。全員縛り上げたのか?」

オレは反射的に銃を構える。そこにはどこかのゴルゴ13みたいな雰囲気の男が立っていた。

その距離は10m……相手にもよるが一瞬で距離を詰められかねない距離だ。

「この距離で気がつくのも高評価だ……俺は試験官。狙撃科(スナイプ)で指導している教務課(マスターズ)の南郷だ」

「なるほど。スナイパー養成の指導をなされていれば、その抜足にも納得ですよ」

嘘偽りなく俺は南郷試験官に警戒しつつ相手の力量を図ろうと観察する。

鍛え抜かれた肉体に劇画チックな顔は……リューク・東郷を連想させる。

「安心しろ。お前が仕掛けてこない限り、俺から仕掛けることはない……このビルに潜んでいる試験官全てを無力化すれば武偵ランクがSランクと扱われるがな」

が、無謀に突っ込むのは駄目だろう……相手は徒手もできるはずだ……なめてかかると痛い目にあう可能性大……最悪持っていたタグを全て失う危険性も孕んでいる。

しかし……

「そうですか……南郷試験官のタグを奪えば……」

「仕掛けてけてくるつもりか?」

「……もちろん!そのつもりです!」

オレはコートの中に繋がる絶界からデザートイーグルを引っ張り出しながら流れるように構えてセミオートで撃つ!

「む……ん!」

南郷試験官はさも当たり前のように抜いたナイフでゴムスタン弾を切り裂いた。
だが、それは想定内だ……オレはデザートイーグルを三連バーストにして連射、残弾全てを彼に撃ち出す。
スライドオープン状態になったデザートイーグルを絶界内に放り込みながら外套の中からオートクレールを引っ張り出した。

「……!超偵だと!?」

ナイフでゴムスタン弾を捌き、弾きながら南郷試験官の驚愕の声。それと共にオレの聖宝剣とナイフがぶつかり合い火花が散る。
刃を弾き合い、俺は距離を取ると同時に牽制のゴムスタン弾(.45ACP弾仕様)を三連バーストで彼の移動先を予測して弾丸をスライドオープン状態になるまで撃ち尽くし絶界にしまう。

回避行動する南郷試験官を追い詰めるべく、空いた左手で絶界からルーン護符(魔力充填してる物)を取り出して颶焔の器の燃焼で着火して試験官に向けて投げる。

氷結のルーンは彼の足元に着弾して護符が燃え尽きると同時に着弾地点が氷結状態になった。

南郷試験官はとっさに跳び上がり、氷結から逃れる……が彼が逃れた先には新たな護符が仕掛けてある。

バチチチチッ!バチバチバチッ!

帝雷のルーン護符が起爆してあたりにスパークと閃光が迸る!

「ぬおっ!?……ぐぅ……」

南郷試験官はさすがに痺れたようで、その場に倒れ伏した……が、俺は警戒を緩めない。

聖宝剣を絶界にしまうと、そろりそろりと距離を詰めて彼の体を縛ろうと手を伸ばすと……南郷試験官がカッと目を見開きオレの右腕を掴んだ!?……が……

「ぐぉっ!?」

再び感電した南郷試験官はそのまま沈黙した。

南郷試験官がオレの腕を掴んだ瞬間にコートに刻んでいた帝雷のルーンが起動したのだ。
あの一瞬で彼の体にはスタンガンを食らったような電流が流れたのだ、これで気絶しないほうがいろいろおかしいんだし。

しかし……南郷試験官の隙をつくことで倒したが、真正面からの戦闘じゃ手も足も出なかっただろうな……彼の身のこなしから見て本職は狙撃主(スナイパー)だろうし……つか、ゴムスタン弾をナイフで切り裂くのは凄まじいとしか言いようがない。

オレは彼のタグを奪い、残りの試験官も捜索することにする……めざすはSランクだ。





首尾よくオレは教官全員縛り上げた。

支給されたゴムスタン弾の残弾ゼロ、護符も使い尽くしてなんとか縛り上げれた。

手加減してくれたのだろうが……南郷試験官なんか「よく全員捕縛できたな」と言ってきたし……この言い草だと一部の人は本気だったのだろう。

オレはリサと合流しようと待ち合わせ場所に向かうのであった。

(続く) 
 

 
後書き
はい、次はリサ編です……

リサの戦闘も圧倒的な物に書きたいですね……ではこの辺で失礼します! 
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