FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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天馬の追走
前書き
今日ついに車を買っちゃいました。
雪道にロードバイクは厳しいから「車買いたいなぁ」と思い見に行ったらすぐに買った車で視線止まりました。
完全に一目惚れって奴ですね(笑)
ナビも付けてもらったし、これで今後は道に迷うこともないぞ!!←出掛けると必ず1度は道を間違える人。
『それでは!!トリプルバトル第一試合です!!』
会場が沸き上がる。闘技場の真上にセッティングされた魔水晶ビジョンに第一試合の出場選手の顔が映し出される。
『青い天馬、一夜&レン&タクト!!』
天馬からはエースの一夜と1日目のバトルパート以来の出場となるレン、そしてエルザとほぼ互角の戦いを2日目に繰り広げたタクトが選出される。
『vs.四つ首の仔犬、バッカス&ロッカー&イェーガー!!』
対するパピーは同じくエースのバッカスに先の競技で悲しい扱いを受けたロッカー、そして1日目の競技パートに出場したイェーガーとなっている。
選ばれた6人はギルドの待機場所から闘技場へと降りてきて中央で向かい合うように立つ。
「ヒック」
「ワイルドォ!?」
「「「「フォー!!」」」」
パピーは例の如くロッカーの掛け声に声を張り上げ答える。
「バッカスさん、ワイルドにやっちゃいましょう」
「このままじゃオラたち最下位になっちまうだ」
ロッカーとイェーガーがすでに上位のギルドに相当数のポイント差をつけられているために焦りがある模様。だがそれに対しバッカスは冷静な様子で目を閉じて答える。
「なーに、俺は魂が震えりゃそれでいい」
バッカスはそういい前方にいる敵を見据える。
「ん!!」
だがバッカスは目を開けると直後に驚いてしまう。理由は単純、目の前に一夜がいたからだ。
「ぐっ!!」
「お!!」
ロッカーとイェーガーの前にも同様にレンとタクトが立っている。天馬の3人は自分達の前にいるバッカスたちに右手を差し出す。
「さ!」
パピーの3人は突然一夜たちに手を出されどう反応すればいいか迷ったが、とりあえず同じように右手を出し握手を交わす。
『お!?おーっと!?これは美しい!!激しいバトルを前に握手する選手たち!!』
『美しすぎます!!ありがとうございます!!』
一夜たちの紳士的な態度に思わず感動する実況席。握手を終えると天馬の3人は自分たちが元々立っていた位置へと戻っていく。
「な・・・何なんだ?あいつら・・・」
「全然ワイルドじゃねぇぜ・・・」
「お?なんかいい匂いがするぜフォー・・・」
一方のパピーの面々はいきなりの握手に変な汗をかきながら口々に感想を漏らす。ちなみにバッカスの手からする匂いは一夜の香水の匂いであるのは間違いないだろう。
『それでは4日目第一試合!!開始!!』
ゴォーン
鳴り響く試合開始の銅鑼。それを聞くと同時にパピーが先制パンチに出る。
「プラントマジック!!」
1日目に人魚の踵のベスを倒す時に見せた巨大な植物を一夜たちの足元に出現させ飲み込もうとする。
だがそれにいち早く気づいた天馬の3人はジャンプしてそれを回避する。
「ぐほっ!!」
ジャンプ力のなく片足を巻き込まれた一夜を除いて。
「一夜さん!!」
「敵に見せ場を与えるなんて!!さすがです!!」
「そうじゃねぇよ!!」
レンは一夜を心配していたがタクトは一夜がわざと攻撃を受けてあげたのだと勘違いしている模様。一夜の足はいきなりの攻撃で出血している。
「ドリルンロックフォーユー!!」
それを見たロッカーはこの機を逃すものかと右手を回転させながら四つん這い状態の一夜へと迫る。
「させねぇ!!エアリアル!!」
レンは一夜を守ろうと彼の周りに空気の膜を作り、ロッカーの攻撃はその膜によって防がれてしまう。
「ぐっ!!」
「あんた、隙だらけですよ」
「!!」
攻撃を防がれ怯んだロッカー。その目の前にはいつの間にかタクトがやって来ていた。
「ばらの騎士!!」
「ぐはっ!!」
そう言ったタクトの手から突然薔薇のような形をした刀が現れ、ロッカーの腹部を切り裂く。
『レンとタクトのコンビネーション攻撃が炸裂!!』
『これはロッカーくんには大ダメージだね』
『とってもうまいです、ありがとうございます』
実況席も2人のコンビネーションで一夜の危機を救ったことを褒めている。
「今のタクトの魔法・・・」
「換裝みたいでしたけど・・・」
「あいつ・・・音楽の魔法を使うんじゃなかったのか?」
グレイとシリルとガジルの新・妖精の尻尾に選ばれた3人は先のタクトの魔法に疑問を抱いていた。
「何を言っているんだお前たちは」
「「「「「?」」」」」
エルザはそんな3人の言葉に対して何か言いたいことがあるようだ。
「『ばらの騎士』というクラシック音楽がちゃんと存在するんだぞ。私も聞いたことはないが」
「「「「「へえ~」」」」」
エルザの説明に男性陣は納得する。クラシックなど絶対に縁のないであろう彼らにとってはタクトの使う魔法は未知の領域でしかない。
「やるじゃねぇ。いいねぇ」
「ども」
地面に叩きつけられるロッカーを尻目にバッカスがタクトを褒め称える。タクトはそれに律儀にも手を上げて答える。
「だったら俺もワイルドに行かせてもらうぜ!!」
バッカスはエルフマン戦で見せた独特な構えからタクトに向かって攻撃する。
「酔・劈掛掌!!」
「悪魔の壁!!」
バッカスが平手打ちでタクトを襲った。しかし、タクトは地面に手をつけるとバッカスの攻撃を遮るように悪魔のような模様が描かれた壁が現れバッカスの攻撃は阻まれる。
「プラントマジック!!」
「ドリルンロックフォーユー!!」
イェーガーとなんとか立ち上がったロッカーが連続でタクトに迫る、が!!
「「うっ!!」」
突然2人は動きを止めて苦しそうにうずくまる。理由はもちろんこの男。
「お前ら、俺のことを忘れてもらっちゃ困るぜ」
レンが2人の周りの酸素を薄くしたのだった。2人は首を押さえ呼吸を乱す。
「ヒック、やるねぇ・・・魂が震えて―――」
「青い山脈!!」
バッカスが瓢箪の酒を一口口に含み、ロッカーたちを苦しめているレンに向かって突進しようとしていたが、彼に悟られずに背後へと移動していたタクトが地面から山を出現させてバッカスのことを打ち上げる。
「エアリアルフォーゼ!!」
「花のワルツ!!」
「「「ぐわああああ!!」」」
レンの空気魔法とタクトの風を帯びた花びらの舞が空中に打ち上げられたバッカスとうずくまっていたロッカーたちを捉える。
『レンのエアリアルフォーゼとタクトの花のワルツが炸裂!!四つ首の仔犬は空中に高々と打ち上げられたぁ!!』
夏の夜に上がる打ち上げ花火の如く飛んでいくパピーの3人。あまりの高さに観客たちも「おぉ~!!」と感嘆の声を漏らす。
「かなり高く飛んでるな」
「ですけど、まだ決定打となるほどのダメージとは言い難いですよ」
バッカスたちを見上げながらそんな話をしているグレイとシリル。
「ここからどうやって決めるか、見ものだな」
レンは1日目に人魚の踵のリズリーとアラーニャを倒した大技を繰り出し、タクトもエルザ戦では使わなかった魔法を次々と放っている。果たして彼らはどうやってこの試合を決めようとしているのか、誰にも予想ができなかった。
「ふん。みんな大事な人を忘れてるぜ」
「俺たちのはお膳立て、最後はやっぱりこの人ですよね」
空に上がったパピーの3人が闘技場へと向かって落ちてくる。だが3人とも本選まで勝ち進んできた実力者、バランスを立て直しつつ地面に着地しようと試みる。
「滞空時間が長い分、着地の姿勢を取るのは容易なようだな」
「だけどあの高さからならどんなにうまく着地しようとある程度の影響は出んだろ」
「でもバッカスさんってエルザさんと互角なんですよね?だったらあの位の高さからなら大丈夫な気がしますけど」
エルザ、グレイ、シリルがそう言う。だが、この後パピーの3人は地面に着地をすることなどなかった。なぜなら・・・
「メェーン」
一夜が3人の真下へと入っていたからである。
『あぁっと!!青い天馬の一夜!!上空から落下してくる四つ首の仔犬の面々を待ち構える!!』
チャパティが一夜の姿を確認したと同時にそう言う。すると、タクトが突然口元を押さえる。
「どうした?」
「メェーンと面々って・・・うまいこと言いますね!!あの人」
「いや・・・そこ感心するとこじゃねぇよ・・・」
タクトの笑いのツボがあまりにもズレていたため、レンも力の抜けた突っ込みしかできなかった。レンとタクトが漫才をしている最中もバッカスたちは下で待ち構える一夜へと近づいている。
「丁度いいぜ!!まずは奴を倒して流れを引き戻してやる!!」
バッカスたちは落ちてくる力も使い一夜に対する攻撃体勢を取る。
「酔・劈掛掌!!」
「ドリルンロックフォーユー!!」
「これでもくらうだぁ!!」
バッカスたちは拳を握り一夜を倒そうとする。すると、一夜にある変化が起きる。
「ハァァァァ!!」
バリバリバリバリ
普段の背も低く、メタボリックな体から一転、闘技場の中心にいる一夜は次第に大きくなり、突如発達した筋肉は自己主張するかのように一夜の体を覆う白いスーツを破っていく。
「な・・・なんだぁ?」
「急にワイルドに・・・」
「こいつは・・・力の香り!?」
力の香りにより大幅に力を増した一夜、上半身のジャケットは完全に消え失せ、ズボンもいつもの七分丈から短パンを履いているかのようになってしまう。
「レン、タクト、君たちが私に任せたその判断、正解と言わせて見せよう!!」
なおも魔力を高める一夜。その魔力の高さからなのか、体は光輝き、その光はドムス・フラウから天へと昇るほどに凄まじい。
「先生!!」
「行っちゃってください!!師匠!!」
レンとタクトはすでに戦闘体勢を解いている。2人には一夜が3人を次の手で決めるという確信があるのだろうか。
「面白ぇ!!魂が震えてくらぁ!!」
バッカスは笑みを浮かべ地上にいる一夜へと加速する。ロッカーとイェーガーもそれに同調するように一夜へと迫る。
この段階では3人で力を合わせているパピーの方が明らかに有利に見える。だが、一夜には他を驚かせる必殺技があった。
「喰らうがいい!!これが私のビューティフルドリーマー!!
微笑み☆」
爽やかな笑顔を見せる一夜。だが彼の独特な顔で決められたその笑顔ははっきり言って不気味その物であった。
「「「うおっ!!」」」
その笑みを目の前で見せられたパピーの3人は思わず気持ち悪くなってしまい、攻撃体勢を解いてしまう。
「スマーッシュ!!」
バゴォォン
「「「どわああああ!!」」」
一夜の必殺技を受け弾き飛ばされる四つ首の仔犬。
しかしその瞬間を見ていた者はほとんどいない。なぜかというとほとんどの観客たちは一夜の微笑みを魔水晶ビジョンの大画面で、さらには超アップで映し出されたために思わず吐いてしまう人、親に泣きつく子供、唖然としている者など様々だったからである。
ドンッ
そんな阿鼻叫喚と化したドムス・フラウだが試合は当然のように続いており、バッカス、ロッカー、イェーガーの3人は闘技場の壁へと叩きつけられる。そのまま3人は闘技場の地面へと落ち、立ち上がることができない。
『ダウーン!!四つ首の仔犬ダウーン!!勝者!!青い天馬!!』
「メェーン!!」
一夜はムキムキな体をこれでもかと見せつけながらポーズを取り、観客たちに投げキッスをする。正気を取り戻した観客たちは天馬の勝利に盛り上がる。中には「キモイ」などの感想を叫んでいる観客もいたが。
「あのバッカスを相手に・・・」
「圧倒的勝利・・・か」
エルザとガジルがそう言う。バッカスはエルザとほぼ互角と言われる魔導士である。事実2日目のバトルパートではエルフマンを終始圧倒する戦いをしていた。だが今回のバトルパートではタクトやレンにいいようにかき回され、最後は一夜の前になす統べなく破れてしまった。
「タクトの奴、エルザに負けたことでギアを入れ換えてきたみたいだな」
「レンさんも1日目以来だったから体調が万全だったみたいですね!!」
グレイとシリルが今の戦いを見てそう考えている。
「一夜の奴、やっぱすげぇな!!」
ナツは改めて一夜の実力を目の当たりにし興奮している。
「あんた、どんだけイケメンなんだよ」
「一夜さんがNo.1です!!」
大活躍だったはずのレンとタクトはいまだに投げキッスを続ける一夜を尊敬の眼差しで見つめている。
「さすが一夜さんです!!」
「まさに青い天使」
「キャー!!素敵!!」
待機場所で一夜たちを応援していたイヴ、ヒビキ、ジェニーもそう言う。
『いやー、終わってみれば青い天馬の圧勝でしたね!!』
『タクトくんは2日目にエルザくんに破れたから、今回は気持ちを入れ替えてきたみたいだね』
『タクトくんもレンくんもすごかったです、ありがとうございます!!』
実況席ももっと接戦になると思っていたらしく、予想外の天馬の圧勝に驚いているようだった。
『さぁ!!それでは引き続き第二試合!!』
一試合目が終了し、両チームが引き上げたのを見たチャパティは興奮冷めやらぬうちに次の試合の対戦カードを発表する。
『蛇姫の鱗リオン&レオン&ユウカ!!』
先に登場したのはグレイの兄弟子にして蛇姫の鱗のエース格、リオンとそのいとこ、レオン、そして対魔導士に特化している波動使い・ユウカの3人。
『vs.人魚の踵カグラ&ミリアーナ&ベス!!』
それに対するのは人魚の踵のエース、カグラとエルザの旧友であるミリアーナ、そしてソフィアに次いで年少組のベスという3人。
「リオンとカグラか。面白くなりそうだ」
「すごい戦いになりそうですね」
ナツとシリルがそう言う。すると、ナツがある男たちからの視線を感じそちらを向く。近くにいたガジルとシリルもそちらに視線を向ける。
そこにいたのは最強ギルド、剣咬の虎の三大竜、スティング、ローグ、グラシアンの3人だった。
「くぅ・・・」
憎き相手に感情を昂らせるナツ。ガジルとシリルも同様にスティングたちを見て怒りを感じていた。
6頭のドラゴンの戦いは、刻一刻と近づいていた・・・
後書き
いかがだったでしょうか?
個人的に決着は一夜さんかつけるのがいいと思いこのようにしてみました。
次は蛇姫の鱗vs.人魚の踵です。
次回もよろしくお願いします。
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