ソードアートオンライン VIRUS
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
思い出の丘
前書き
黒の剣士編終了
次の日、シリカとキリトが降りてくる前に朝食を作っておき、来たと同時に食べる。降りてきたときのシリカの顔が少し赤かったが、まあ気にしないでおくとしよう。食べ終わると同時にショップでポーション類を補充してゲートへ向かう。シリカが先にゲートに入ろうとしたがはたと足を止めた。
「あ……あたし、四十七層の街の名前、知らないや……」
すばやくウインドウを開きかけた手をキリトが止めて言う。
「いいよ、俺が指定するから」
そう言ってシリカはおずおずとキリトの手を握る。
「転移!フローリア!」
キリトはそう言うと青い光に包まれて消えていった。その後に続きゲツガもフローリアに向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
転移した場所は、花が咲き誇る街だった。ここは別名、フラワーガーデンと呼ばれていて、カップルがデートとしてよく訪れるスポットだ。出てきた後、近くにキリトとシリカがいなかったため、辺りを見渡す。少し近くの花壇に二人の姿を確認したので近づくとシリカの顔が茹蛸のように真っ赤になっていた。そして、ゲツガを見るや素早く立って、言った。
「よ、よし!ゲツガさんも来たことだし、出発しましょう!」
フィールドのほうに歩いていく。
「キリト、何かあったのか?」
「分からない」
どうやらこの二人は鈍いらしく、シリカの思いに気付けないようだ。そして二人はシリカの後を追った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
しばらく無言のまま、フィールドへ向かっていたが、シリカが思い切ったように口を開いて言った。
「あの……キリトさん。妹さんのこと、聞いていいですか……?」
「ど、どうしたんだい急に」
「あたしに似てる、って言ったじゃないですか。それで気になっちゃって……」
この世界では、現実世界の話をするのは最大の禁忌だが、ゲツガは言った。
「いいんじゃないか、キリト。この子には話しても」
「……わかったよ」
しばらくキリトは、考えたあとそう言ってぽつりぽつりと話し始めた。
「……仲は、あんまりよくなかったな……。それに妹って言っても従妹なんだ。事情があって、彼女が生まれたときから一緒に育ったから向こうは知らないはずだけどね。でも、そのせいか……どうしても俺のほうから距離を作ってさ。家で顔を合わすことすら避けてた。物を頼むときもゲツガに頼んでいたし……」
その言葉を聞いた、シリカはおずおずと聞いた。
「あの……ゲツガさんに頼んだって言ったじゃないですか……もしかして……ゲツガさんたちって兄弟ですか?」
「違う違う。理由あってこいつの家によく居たんだよ。まあ、幼馴染って言う奴」
「そうなんですか……」
そしてまたキリトは話を再開する。どことなくキリトの雰囲気が暗くなっているのに気付いた。慰めようと口を開く前にシリカが慰める。それを聞いたキリトは微笑み、ありがとうと言った。そうしてる間にも南門についていた。
「さて、……これから冒険開始なわけだけど……」
「はい」
表情を引き締めてシリカは頷く。
「シリカのレベルと装備なら、ここのモンスターは、決して倒せないわけじゃない。でも……」
キリトはポケットの中から青い結晶、転移結晶をシリカの手において言った。
「フィールドでは何が起こるか判らない。いいかい、もしイレギュラーな事態になったときは、俺かゲツガのどっちかが離脱しろと言ったらどこの街でもいいから転移するんだ。俺たちのことは心配しなくていいから」
「でも……」
シリカが心配したように聞くと、キリトは真剣な表情で言った。
「約束してくれ。俺は……一度パーティーを全滅させてるんだ。二度と同じく過ちをしたくない」
そう言うとシリカは頷くと、にっと笑い言った。
「よし、それじゃあ出発だ!」
「はい!」
「おう!」
そして、思い出の丘に向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
だが、ステージに入って……
「きゃああああああああ!!なんですかこれーーー!!気持ち悪いーー!!」
最初に遭遇したモンスターを見てシリカは叫びまくっていた。しかもその叫びでシリカが標的にされたらしく、追われることになった。
「やあああああ!!こっちに来ないでーーーー!!」
まあ、ここのモンスターは女性にとってはあんまりいい印象とかは受けないだろう。だって初見が歩く花やら、食虫植物見たいのやら気持ち悪いものばかりだ。後のほうはなれるからいいが最初がなあ……。そう思っているとシリカが歩く花の触手に足を掴まれて吊り下げられる。そのとき、ゲツガとキリトは目を手で隠す。
「キリトさん!ゲツガさん!助けてください!み、見ないで助けて!!」
無茶な注文だな、おい。そう思うとキリトは横でシリカに向かって言った。
「そ、それは、ちょっと無理だよ」
目を手で覆って見えないが、シリカの悲鳴で何が起こっているかは大体は予想が付く。しばらくして、シリカが怒ったのか何か叫んでいた。しばらくすると、ガラスが割れるような音がしたので手を外した。そして、シリカがこっちを向いて言った。
「……見ました?」
「見てない」
ゲツガは即効で答えるがキリトは……
「……見てない」
微妙に間を空けて答えた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その後、何度か戦闘があったかシリカもモンスターの姿にはなれたらしく、キリトが指摘した弱点をほぼ正確に攻撃して倒していった。そしてようやくレンガで造られた橋まで着いた。その奥には一際小高い丘が見える。
「あれが《思い出の丘》だよ」
「ここからは、俺の知る限り分かれ道とかはないんだけど、モンスターの量はここに来るまでの約二倍くらいだから引き締めて言ったほうがいいぜ」
ゲツガがそう言う。
「はい!」
シリカは、もうすぐ生き返らせれるからか、足取りも軽やかだ。モンスターは、ゲツガとキリトが一匹残して倒し、シリカに倒させている。そんな戦闘を数十回繰り返して、ようやく丘の頂上に着いた。
「うわあ……きれいな景色……」
シリカは開口一番にそう言った。確かにここは一言で表すなら空中庭園だろう。しかし、目的を思い出したシリカは、辺りを見回す。
「キリトさん、あの花はここに……」
「ちょうど真ん中の岩になるはず……」
シリカはキリトが言い終わる前に走り出す。キリトは、苦笑いをしてその後についていく。ゲツガも後を追う。しかし、先について岩をのぞいていたシリカが勢いよく振り返る。
「ない……ないよ、キリトさん!ゲツガさん!花がないんです!!」
「いや、シリカ。しばらく待ったら出てくるよ」
キリトがそう言ってシリカの視線を岩に促す。岩から草が生えてきて見る見るうちに花へと成長した。シリカはキリトとゲツガを見上げてきた。それの意図を理解してゆっくりと頷く。そして、花を取ると花の先端だけがシリカの手の中に残り、砕けた。シリカは手の中にある花をそっと触れて、アイテム名を確認していた。
「これで……ピナが生き返らせれるんですね……」
「ああ。心アイテムに、その花の中に溜まってる雫を振り掛ければいい。だけど、ここじゃさすがに危ないから街に帰ってからにしよう」
「はい!」
そして、ゲツガたちは思い出の丘降りていった。
下りはモンスターとはあまり遭遇することなく下ることが出来た。そして、橋の前に来たとき橋を渡ったところに何個かの反応があった。それ気付いたゲツガとキリトはシリカを手で制して橋の奥に向かって言った。
「そこにいる奴、出て来い」
ゲツガがそう言うとしばらくして、あの時の槍使いが出てきた。シリカはその出てきた人物を見て、目を大きく見開いていた。
「えっ……!?なんで!?ろ……ロザリアさん……!?何でこんなところに……!?」
シリカの反応を見たロザリアは口を吊り上げて笑い、言った。
「私のハイディングを見破るなんて、なかなか高い索敵スキルね、剣士サンたち。あなどりすぎてたかしら?」
そう言って今度はシリカに話しかける。
「その様子だと首尾よく《プネウマの花》をゲットできたみたいね。おめでとう、シリカちゃん」
シリカが数歩下がった後、ロザリアは言った。
「じゃ、さっそくその花を渡してちょうだい」
そういった瞬間、シリカは絶句した。
「……!?何を言っているの……」
そしてキリトにシリカを任せてゲツガは前に出る。
「そうはいかねえんだよなあ。オレンジギルド《タイタンズハンド》のリーダーさん」
ゲツガがそう言うとロザリアの顔から笑みが消える。シリカはロザリアのカーソルにが緑なのにどうしてと質問してくるのでキリトがその質問を答える。それを聞いたシリカは愕然する。
「じゃ……じゃあ、この二週間もあのパーティーにいたのって……」
「そうよォ。あのパーティーの戦力とかの下調べ。お金がたっぷりと溜まるのを待ってたんだけど……」
シリカを顔を見て唇を舐めてから言った。
「一番の楽しみの獲物のあんたが抜けたから、困っちゃったのよ。でも、プネウマの花を取りいくって言うじゃない。今はプネウマの花って旬だから、相場も高いのよ。やっぱり情報収集は大事よねー」
そして今までシリカに向いていた視線がゲツガとキリトに向く。
「そこの剣士サンたち、わかってながらものこのこその子についていくなんて、バカ?それとも体でたらしこまれたの?」
「嫌、どっちでもねえよ」
ゲツガは静かに言った。
「俺らは、お前を探してたんだよ。タイタンズハンドのリーダーさん」
「どういうことかしら?」
「あんたが十日前に壊滅させたギルドを覚えているか?リーダーだけ逃れたギルドだ……」
「そんなのいちいち覚えるわけないでしょ」
それを聞いたゲツガは短く答える。
「そうか」
「もしかしてあんた……そいつに頼まれて来たの?あきれた。そんなこと出来る暇があるならレベル上げとかしとけっつうの。何偽善者ぶってんの?あたしはねえ、そういうことする奴が嫌いなんだよ」
ロザリアの目に凶暴そうな光を帯びる。
「で、あんたそいつの言ったこと真に受けてきたの?でも、たった三人で何が出来るって言うの?」
そう言ったあとロザリアは片手をあげ宙を二回扇いだ。すると、オレンジ色のカーソルが十ほど出てきた。その中にはロザリア以外にも一人、グリーンがいた。あいつも偵察用だろう。そして、ゲツガはゆっくりと橋を渡り始める。
「ゲツガさん!!危ないですよ!!」
そうシリカが叫んだ瞬間、グリーンの奴が眉をひそめて考え出す。
「その格好……異様に太い両手剣……。ホワイトバレット?」
そう言葉にした瞬間、そいつの顔が一瞬で蒼白になる。
「や、やばいよ、ロザリアさん。こいつ……攻略組の一人だ!!」
それを聞いた、キリト以外は驚愕の表情を浮かべる。そしてロザリアは喚く。
「こ、攻略組がこんなところをウロウロしてるわけないじゃない!どうせコスプレ野朗に決まってる!それに、もし本物の一角のホワイトバレットでもこの人数だったら余裕よ!!」
ロザリアがそう言うと他のオレンジは勢いづいたのか各々同意の声が上がる。そして剣を抜剣して突撃してきた。
「オラーーーー!!!」
「死ねーーーー!!!」
オレンジがゲツガに攻撃をしようとした瞬間、ゲツガは剣を抜いた。そしてオレンジの武器にめがけて振るう。するとオレンジの持っていた武器が粉々に砕けた。
「な……!?」
オレンジたちは何が起こったのかわからず動けない。
「お前等、今何が起こったのかわかったか?」
武器を構えなおして言う。そのなんとも言えない威圧感により、オレンジたちは後ずさる。
「牢獄にぶち込む前に教えてやるよ。今のはシステム外スキルの《武器殺し(ウェポンキル)》って言うんだ。筋力値を最大限に使って、武器の耐久値を一気に削るものだ」
「そんなの……チートじゃねえか……」
「チート?何言ってんだ?お前らがノロノロと人を殺すために時間を割いてンのが悪いんだろ。俺らは時間があればレベル上げを怠らなかったんだよ。それが俺とお前らの差だ」
そう言うと奥のほうで転移結晶を持って逃げようとするロザリアが見えた。逃がすまいと素早く武器をロザリアめがけて投げる。高速回転しながら飛来する両手剣は、ロザリアの腕を切り落とした。
「逃げようとしてんじゃねえぞ」
そう言って転移結晶よりも一層濃い青の回廊結晶を取り出す。
「あいつみたいになりたくなかったら無抵抗で入れ。抵抗するなら腕と足を切り落としてでも入れるからな」
そう言うと、どんどんオレンジは入っていく。最後の一人ロザリアだけになるとロザリアに近づいて、言った。
「お前も入れ。それとも投げ入れてやろうか?」
「私はグリーンなんだよ!私を攻撃したらオレンジになるよ!!」
そう叫ぶロザリアを掴み上げ言う。
「残念だったな。俺はソロだ。二、三日オレンジになる分は構わないし、それにお前を攻撃した時点で俺すでにオレンジだ」
そう言ってロザリアを青い渦に投げ飛ばす。ロザリアがそれの中にきれいに入って渦は消滅した。
「キリト、ごめんけどあとを頼む。俺はちょっとこのままだと攻略に加われないからグリーンに戻してくる。シリカ、怖いトコ見せてごめんな」
そう言って転移結晶をを取り出して、最前線の前の街を言って消えていった。
後書き
文才欲しーーーーーーーい!
修正しました。
ページ上へ戻る