異世界系暗殺者
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大人の時間・2時間目(2016/05/16 一部加筆修正)
前書き
前書きで先に謝罪させて頂きます。原作での肝試し話は次話に持ち越すことになりました。
今回はアニメ版のオリ描写ベースの話です。アニメ版第1期最終話のE組女子の水着描写。アレは正にサービスシーンでした。
あっ、あと今話は最後に少しだけ下ネタ描写があります。その点をご了承下さい。
【視点:樹】
普久間殿上ホテルでの大規模潜入ミッションを終えた俺達出撃組が、麓の普久間島リゾートホテルにあるオープンテラスへと戻り、ダウンしている病欠組に毒使い――轟のおっさんから渡された錠剤型栄養剤を服用させてから十数時間。
出撃組も病欠組も看病組も、殆どの生徒が1日の内に起こった濃密な出来事による疲労から泥――いや、ここはカレ●ノ風に表現しよう。E組の殆どの生徒が地蔵の様に眠り、全員が起きたのは夏期講習合宿2日目の夕方だった。
あっ!ちなみに俺が起きたのは午前7時だ。徹夜作業をすることが割と多いから、どんなに疲れていても10時間以上寝ることはまずない。
……丁度いいから起床後の俺の行動についても話しておこうか。まず洗顔と歯磨きを終え、同室の有希子を起こさない様に部屋を出た俺は、シッティング・ビュッフェ――バイキング形式の食堂で烏間先生と遭遇した。
この時の烏間先生との遭遇は正に偶然だった。何故なら烏間先生は本来、港と近いホテル側とは真逆のビーチで殺センセー暗殺の指揮を不眠不休で執っていた筈だからだ。
なら、どうしてその烏間先生がバイキング形式の朝の食堂に居たのか?それは烏間先生曰く、部下――ってか副官的な存在(?)から朝食くらいは食べて下さいと泣きながら懇願されたからだそうだ。
泣きながら懇願とか、その部下の人には烏間先生が生き急ぐ仕事中毒の様に見えたんだろうな。まぁ、烏間先生が過労で倒れたりしたら、その部下の人にとっては堪ったもんじゃないだろうが……。
普段から烏間先生は役職――ってか、立場的にも気苦労が絶えないっぽいし、そんな立場を引き継がされる可能性がある身だったら、烏間先生が倒れない様に気も回すだろう。
兎に角、俺は偶然にも鉢合わせた烏間先生と朝食を一緒することになった訳だ。で、この時に烏間先生と軽く交わした話の内容なんだが……。
防衛省から盗み出され、俺達が回収した試作型疑似玉璽についてだった。烏間先生曰く、今回回収した試作型疑似玉璽の所有権が防衛省から俺に移ったらしい。
そうなった経緯は、鷹岡の起こした事件が烏間先生の予想通り、鷹岡の存在諸共抹消されたことに起因している。
事件とその犯人の存在を抹消する以上、犯人の使用した一般には公表されていない装備――試作型疑似玉璽も防衛省内から存在を抹消する必要がある、という結論に至ったそうだ。
ちなみに、防衛省が俺に試作型疑似玉璽の製作を依頼してきたのは、試作型疑似玉璽から玉璽の基礎構造を解析、軍事利用を念頭に入れた量産型玉璽開発を計画していたからだそうだ。
まぁ、今回の一件でその計画も試作型疑似玉璽諸共抹消される羽目になったそうだが……。で、計画抹消から1日も経たない内にノーマルA・Tの軍事利用及び量産化という新しい計画が考えられたらしい。
この計画を烏間先生から聞かされた俺の心境がどの様なものだったか、想像できる者がいるだろうか?少なくとも俺やA・Tと長く付き合っている者なら分かるだろう。
計画を聞かされた直後の俺の心境、それはぶっちゃけ呆れしかなかった。何故呆れたか。それを可能とする人材が防衛省に居ないことが分かり切っていたからだ。
だって、E組メンバーが所持している正規実用型疑似玉璽を含めたA・Tがどうやって製造されたか考えてみろ。殆ど俺1人(一部は義体律の協力あり)が調律者としての技術を駆使して、手作業で1から作ったんだぞ?
当然のことながら、A・Tそのものを組む機械などこの世に存在しない。そして、今回の一件で俺やE組の調律者候補が殺センセー関係以外で防衛省に協力する気が殆ど無くなってんだ。量産なんてできる筈がない。
仮に俺がA・Tを組む機械を作って、防衛省に譲渡したとしよう。それでも防衛省に調律者が存在しない為、A・Tの真の力を発揮できず、結局の所宝の持ち腐れとなる。
ぶっちゃけ、防衛省のノーマルA・T部隊(未調律)が存在していて、俺を含むE組全員がその部隊と戦ったとしても、屋外集団戦であれば99%の確率で勝てる自信がある。
というか、調律済みと未調律のノーマルA・Tの性能差は原作エア●ギアの小烏丸vs白狼会を見れば一目瞭然だろう。
未調律ノーマルA・Tと調律済み疑似玉璽ともなれば、その戦力差は正に圧倒的としか言い様がない。
今回、殺し屋のおっさん達が未調律の試作型疑似玉璽で、調律済みの俺達とあそこまで戦えたのは、暴風族としての適性と戦センス、殺し屋の経験によるものと言える。
あっ、それとE組のほぼ全員が屋内でのA・T戦闘――パーツ・ウォウDクラス:キューブに相当する訓練を今までやってなかったことも、梃子摺った要因の1つと考えられる。
って、いつの間にか話が脱線してるな。えっと、何の話だったっけ?……そうそう、試作型疑似玉璽の話だ。防衛省で存在が抹消された試作型疑似玉璽の所有権が俺に移った経緯だな。
実は、個人装備品として考えると破壊するのが戸惑われる性能と製作費だったということもあって、製作費は防衛省持ちのまま所有権が俺に返還されたんだ。
まぁ、俺の手に戻れば最終的にはE組生徒の誰かに渡り、殺センセーの暗殺成功率向上に繋がる、って考えもあったんだろうな。
この話、俺にとっても嬉しいものだった。何故なら、疑似玉璽が核ありの玉璽より性能が劣るとはいえ、1から組み立てるのには俺が徹夜する程度の時間が掛かるからだ。
大半が出来上がっている試作型疑似玉璽なら、少し改造するだけでカルマ達が使っているのと同じ疑似玉璽が完成するんだから、この申し出を断る訳が無い。
ただ、盗まれていない試作型疑似玉璽――風、棘、雷、契の所有権は防衛省のままだったりする。もしかしたら、この4つからA・Tの研究をするつもりなのかも知れないな。どうでもいいけど。
そんな訳で朝食と会話を終えた後、俺は烏間先生が一時的に管理していた試作型疑似玉璽を受け取った訳だ。
その後は昼食まで基本的に返って来た試作型疑似玉璽をオープンテラスで弄っていた。一応、誰かのA・Tが壊れた時の為に大量の予備パーツを持っていたから、暇潰しで改造してたんだ。
昼近くになると有希子を始め、クラスの数名が起きてきたのでその面子と昼食を一緒に済ませ、その後は各自で夕方まで自由に過ごす形になった。
俺は有希子と海底洞窟巡りに行ったり、モーターハングライダーに乗ったりした。他の奴らも初日に楽しめなかったイルカウォッチングに行ったり、二度寝したりしていたそうだ。……で、現在に至る。
「おはよー。今、どんな状況なの?」
「ウッス。今は対先生弾で満たされた鉄箱に殺センをブチ込んで、海中から浮き上がって来れない様にコンクリで全周囲を覆ってるところだな。まぁ、9割方作業が終了してるっぽいけど」
今し方起きてきたっぽい岡野の質問に俺が答えると、今度は陽斗が質問してきた。
「もしかして烏間先生、不眠不休であの指揮執ってんのか?」
「あ~……。不眠ではあるかもしれないけど、不休ではないだろう。一応、朝食は食べてたからな」
「何でお前がそんなこと知ってんの?」
「え?朝、飯食う為に食堂に行ったら鉢合わせたからな。で、一緒の席で朝飯喰った」
「………その光景、全く思い浮かべらんねぇんだけど。ってか、不眠なのに全く疲れを見せてねぇのがすげーよ」
「ホント、あと10年で俺達もあんな超人になれるのかな」
陽斗が烏間先生に賛辞を贈ると、悠馬も10年後の自分を思い浮かべながらそれに同意した。
「徹夜なんて慣れの問題だからな。ゲーム廃人にとって5徹とか普通だし。休息を取るタイミングさえ掴める様になれば、2~3徹くらい余裕でできる様になる」
「いや、ゲーム廃人を例に出されても……」
「説得力無いよな」
「ゲーム廃人は兎も角、僕らの周りには見本にできる大人は多いよね」
徹夜が余裕の例としてゲーム廃人を挙げると、陽斗と悠馬だけでなく、渚からも駄目出しを受けた。1人のゲーマーとして解せぬ。
「烏間先生もそうだけど、ビッチ先生も凄い人だし。ホテルであった殺し屋達も長年の経験で凄い技術を身に付けてたり、仕事に対して明確な考えを持ってた」
「逆に鷹岡は反面教師だったよな。どんなに落ちぶれても、ああはなりたくねぇって思ったし」
俺の心中など気にもせず話を続ける渚と、何気に鷹岡をディスる正義。いや、鷹岡がハンメンキョウシノキワミ、アッー!なのは激しく同意するけどな。この場にいる全員が息も乱さず頷いてるし。
「見本にしたい人は追いかけて、そうじゃない人は追い越して。そういう繰り返しで僕らは大人になって行くんだろうな……」
「「「「「「「「「「……………」」」」」」」」」」
渚が語り終えると、クラスの全員が黙り込む。恐らく、ほぼ全員が大人になった自分を想像しているんだろう。そして、渚が語り終えてから数秒。この場に爆音が響いた。
「爆発したぞ!!」
「殺れたか?」
爆音の発生源に視線を向けると、殺センセーを覆っているコンクリの中央が吹き飛び、コンクリ片が海やビーチに降り注いでいる。
横約15m、縦約12m、高さ約10mのコンクリ塊を中央部だけとはいえ吹き飛ばす爆発。普通に考えたら中に閉じ込められた生物は死んでいるだろう。が――
「先生が不甲斐ない所為で苦労を掛けてしまいました。ですが、皆さん敵やウィルスと戦いよく頑張りました!」
この程度で死んだら超生物の名が泣くわな。あと、殺センセーの名は伊達じゃないって訳だ。
「おはよッス、殺センセー。やっぱ先生はタコ焼きモードより普段通りのタコモードじゃねぇとな」
「おはようございます、イッキ君。一応聞いておきますが、タコ焼きモードとは完全絶対防御形態のことですか?」
「そうだよ。名称が無駄に長いし、タコ焼きっぽかったからタコ焼きモードでいいだろ?」
「イッキ君の場合、拒否しても名称を変える気ないでしょう?そんなことより旅行の続きを楽しみましょう」
俺達のいる場所の最後尾に殺センセーは麦わら帽とアロハシャツで現れ、旅行の続きをやろうと告げて来る。
「いや、旅行の続きって明日には俺ら帰るでしょ?」
「何を言ってるんですか!?」
友人が明日帰るという事実を告げると、殺センセーは遊び足りないという顔で友人に詰め寄った。
「先生、殆どタコ焼きモードだったから遊び足りませんよ!!」
タコセンs――殺センセーはそう言うや否や、何処からともなくスイカや花火などを取り出し始めた。そして―――
「折角の生徒達との合宿、この夏は1度きりのもの!1秒だって無駄にはできませんよ!!」
殺センセーはお得意の空分s――もといマッハ分身で大量のスイカをやり始めたり、砂の城ならぬ砂のスカ●ツリーを作ったり、飛行機雲でSUMMER大スキ!と空に書き始めたりした。
いい大人がどんだけテンション上げてんだ。少し引くわ。って―――
「にゅやーッ!何するんですか!!?」
「1秒でも無駄にしないって言ったよね?」
「ヌルフフフフフ!流石はカルマ君。相手が油断している――にゅやーッ!」
カルマがテンションMAXの殺センセーに発砲し、殺センセー語り出したかと思えば、今度は寺坂グループが殺センセーに向かって発砲し始めた。まぁ、対先生弾は全て避けられてるんだけどな。
「今なら殺れると思ったんだけど。イッキと渚君も撃っとかない?」
「「ははは……」」
カルマの発言に対して俺と渚は苦笑しかできなかった。ただ、1秒でも無駄にできないってのは同意できる。国内とはいえ、折角南の島に来たんだからな。
「殺センセーの言うことにも一理あるよね。時間いっぱい楽しまないと!」
「賛成ー!」
片岡と倉橋がそう言うや否や、茅野を除く女子一同が着ていたジャージを脱ぎ捨て始めた。言っておくが、女子一同はジャージの下に水着を着ていたから、変な想像はするなよ!
「皆元気になったから」
「下に着てたんだな。………その水着、似合ってる」
「……ありがとう」
どうやら、女子一同は海で遊ぶことを相談していたみたいだ。有希子も着ているワンピースタイプの水着が似合っている。
「ちょっと待って!私着てないよ!?」
……前言撤回。どうやら茅野を除く女子一同が海で遊ぶことを相談していた様だ。俺はてっきり、茅野がカナヅチだから水着を着てなかったんだと思っていた。もしかして、茅野って他の女子からハブられてるの?
俺のそんな心中とは関係なく、女子一同は海辺でそれぞれはしゃいでいる。片岡と速水、岡野、倉橋は海で水の掛け合いをし、矢田と中村は砂浜で追いかけっこ。
不破は砂浜でサンドアートを始め、奥田さんと有希子は貝拾いをしている。……まぁ、それぞれがそれぞれなりに楽しんでるなら別にいいか。
その後、殺センセーが女子に混ざろうとして弱点の水を掛けられそうになったり、岡島が真っ裸になって女子に混ざろうとして、中村から粗チン扱いされた挙句、ほぼ全員の女子からフルボッコにされたりしていた。
ちなみに俺も女子に混ざって岡島をボコった。間一髪の所で有希子に目隠ししたが、猥褻物を見せようとした罪は重い。
……念の為言っておくが、俺のムスコは岡島のみたいに小物じゃないぞ。原作エア●ギアのイッキと同じだと思うなよ。
後書き
ぶっちゃけ、烏間先生も凄いけど、平然と5徹かますノゲノラの空白兄妹も凄いですよね。(笑)
取り敢えず、次話こそ怪談話に突入したいと思うんですが、組み合わせをどうしようか。
次話を機に有希ちゃんと杉野を組ませて、杉野にフラれて貰うか。もしくは安全牌でイッキと有希ちゃんを組ませるか。迷いどころです。
(前者はバリバリ杉野の失恋話、というか追加ヒロインとイッキの話。後者はイッキと有希ちゃんとラッキースケベイベントになりそうです)
取り敢えず、原作:暗殺教室の様にジャージで肝試しじゃ面白くないので、GT●の様に水着で肝試しでもして貰いましょうか?(あれ?GT●の肝試しって水着だったっけ?アニメが水着だった気も……)
あっ!今話も誤字報告などして頂けると助かります。(笑)
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