異世界に呼ばれたら、魔法が使えるようになりました。
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実は結構近い場所だったようだ
それから僕なりに本を読みながら“魔法結晶石”を作っていく。
貰ったその“魔法結晶石”の核を使って次々と作っていく。
脳内で文章をイメージに変えて魔力を注入して……それがゲームのフルかあーな魔法攻撃やアニメーション、小説や漫画のカラーページのようなものばかりになってしまう。
自分の想像力のなさに辟易しながらも、ああいったものを好んでみていてよかったと思う。
そしてそれらを作りつつ、大人しくしている魔道書の油断ををついて他のページを見れないのかと思ったが、
「うぐぐぐぐ……うごっ」
無理やり開かせようとした所、そのまま顔面に体当りされた。
額にあたって物凄く痛くてしばらく僕はのたうちまわっていたが、それから恨めしそうにその魔導書を見ると、痛がる僕を嘲笑うかのように僕の周囲を飛んでいるのだ。
ここまでされて僕は黙っていろと?
答えはNoだ!
「許さない。絶対に許さないぞおおおおお」
僕は怒ってその魔導書を部屋の中で追い掛け回した。
だが空を飛べるこの魔道書の方が有利、かに思えたのだが、
「せっかくだからこれを試してやる!」
空を飛ぶのに使う“魔法結晶石”を取り出して、ほんの少し使うイメージをする。
ふわりと体が軽くなる。
重力が弱くなった程度の感覚だがそれだけで十分だ。
それを使って魔導書を追いかけ回す。
すると今度はすぐに捕まえられた。
“魔法結晶石”の減り具合を見るとほとんど減っていない。
良しと思っているとくすくす笑い声が聞こえた。
「仲がいいですね」
「え、えっと……はい」
レイア面白そうに笑っている。
それに僕は恥ずかしくなって顔を赤くした。
そこでレイアが僕に近づいてきて、
「でもやはり異世界の人はすごいですね」
「? なにが?」
「もう“魔法結晶石”を上手く使っています。それを使うのも少し時間がかかりますし、空を飛んだろする魔法は特に制御が難しい方なのですが……」
「そ、そうなんだ」
思っただけで、お手軽にできてしまった気がする。
ここまで簡単になんでも出来てしまうとちょっと困ってしまう。
僕はそう思っているとそこでレイアが、
「では、これならば次は実践に映っても大丈夫ですね」
「鏡の平原だっけ」
「はい、今宵は満月。2つの月が美しい夜。水の枯れた平原なので濡れる心配がありません」
「水が枯れた、か」
「はい、ここ最近の話ですが、草原に変わっているそうです」
どうやら雨があまりふらなかったらしい?
そう僕は思いながら、レイアに釣れられてその魔導書を片手に歩き出す。
ホルダー状になったベルトに先ほど作ったそれらを入れて歩き出す。
宿の人達には散歩に出かける旨を伝える。
途中屋台があって、干した果物と瓶詰めの飲み物を少量購入して、
「レイア、ここから近いのかな?」
「歩いて十分くらいでしょうか」
次は結構近かったということを知ったのだった。
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