リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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Another98 これからについて
前書き
これからについての話し合い
現実世界に戻った大輔や太一達から話を聞いた全員は激怒していた。
はやて「あれ、ほんまに賢兄のお兄ちゃんなんか?全然信じられへんけど」
大輔「前のあれの方がまだマシだったな。少なくてもあいつはまだ良心的だった」
賢「…僕から言わせてみれば、まるで違和感を感じないんだ。何でだろうね」
前世と今の記憶の治を考えればあまり違和感を感じないのは何故だろうか?
太一「とにかく、これからについて話し合おうぜ」
一輝「そうだな」
太一の言葉に全員が頷いて席についた。
大輔達選ばれし子供達とデジモン達はこれからどうするのかを話し合っていたが、太一は決意に満ちた表情で言う。
太一「やっぱり、デジモンカイザーを探し出して、叩くしかないと思うんだ。このままあいつを野放しにしてたら沢山のデジモン達があいつの八つ当たりで傷ついて殺されちまう!!」
遼「叩くか…」
その言葉に遼は複雑そうに呟く。
それはそうだ。
太一達はデジモンカイザーとしての治しか知らないが、遼は治とは幼い頃からの友達なのだ。
口は悪いが根は優しい子供だと遼は知っている。
ヤマト「遼、お前どうした?」
遼「あ、ああ…個人的には武力解決は避けたいなって思うけど、今のあいつをこのままにはしておけないことも分かっているんだ」
賢「遼さん…」
賢も幼い頃から2人のことを見ていた為に、遼の気持ちは痛いほどに分かる。
タケル「でも、相手の戦力もあまり分かってないし」
ヒカリ「この状況で突っ込むのは危険だと思うんだけど…大輔君は?」
大輔「まあ、タケルとヒカリちゃんの言う通りではあるし、太一さんの言い分も分かる」
アリサ「そうね、私は太一さんの意見に賛成ね。危険だからって躊躇してたらデジモンカイザーは益々図に乗ると思うんだけど?」
光子郎「アインスさんはどう思いますか?」
アインス「そうだな…」
全員に紅茶と茶菓子を出しながらアインスは目を閉じて思案する。
アインス「私は八神の意見にも賛成ではある。デジモンカイザーの選別で選ばれなかったデジモン達の犠牲を考えればな。それにデジモンカイザーは現時点で洗脳したデジモン達を大量に人質兼配下にしている。少しでも攻勢に出なければならないだろうな。」
空「でも、昔のように自由にデジタルワールドを冒険は…」
アポカリモンの出現によって現実世界とデジタルワールドの時間はリンクしてしまったのだ。
以前のように長時間の探索は不可能だ。
ヤマト「こういう時に限ってゲンナイさんはいない」
丈「肝心な時にいない」
すずか「今更ゲンナイさんにそんなの求めても仕方ないと思います」
全員【それはそうだ】
すずかの言葉に思わず納得した子供達であった。
ルカ「賢さんのご両親も日に日に窶れていきますからね…何とかしたいものですが」
ニュースを見る度に日に日に窶れている治と賢の両親の姿は赤の他人であるルカから見ても心苦しい。
アリシア「確かに昔のようには戦えないけど、何もしないでウジウジするよりよっぽどマシだよ。行こうよデジタルワールドに」
大輔「だな、アリシア。お前は100年に1回はいいことを言うな」
フェイト「(100年に1回って……)」
酷いとは思うが、敢えてツッコまないでおこう、本人も気にしてないようだし。
大輔「よし、行くか」
賢「今、デジタルワールドで妙な動きがあるのは…」
賢はデジタルマップを開いて、今デジタルワールドで妙な動きがありそうな場所を探す。
デジモンカイザー・一乗寺治との戦いが幕を開いた。
おまけ
去年の5月11日。
大輔の誕生日である。
大輔は自室に籠もって黙々とぬいぐるみを作っていた。
それも大量に。
アリサ「大輔、あんた何?この大量のぬいぐるみ?」
大輔「ああ、いやな。俺の親戚の子が風邪ひいて寝込んじまってな?お見舞いのお土産にぬいぐるみをやろうと思ってどんなのをやろうと思ったら…」
アリサ「大量に作ってしまったわけね…これだけ大量に作れば充分よ。そろそろ行ってあげなさい」
大輔「ああ」
大輔は忘れているかもしれないが、今日は大輔の誕生日。
今頃大輔の誕生日プレゼントのために駆け回っている仲間達の姿が浮かんだ。
食堂に行くと後輩達が日頃世話になっている大輔のために誕生日プレゼントを話し合っていた。
そのうちの1人は何故か大輔にブイモンのぬいぐるみを渡すようだ。
「おい、本宮先輩に渡すプレゼントってこれか?」
「そうだよ?」
「あんたね、本宮先輩にぬいぐるみはないでしょう」
「でも大輔先輩、ここ最近ぬいぐるみ作ってたし、ぬいぐるみ作りとか趣味なんじゃないかな?」
アリサ「(まあ、嫌いではなさそうだけど)」
「男にぬいぐるみをプレゼントってどうなんだ?」
「確かにね」
「あなた達は何も分かってないのね」
「は?」
「どういうことなの?」
「昨日の夜こっそりと先輩の部屋に失礼したのよ」
アリサ「(不法侵入じゃない!!)」
「先輩が作っていたぬいぐるみはデジモンばかり。私はそれらを見て悟ったわ」
「な、何を?」
「な、何なんだよ?教えてくれよ!!どうして本宮先輩はぬいぐるみ作りなんて…材料費とか手間とか馬鹿になんないし」
「そうよ。でも先輩がわざわざデジタルワールドのことで忙しいのに、これほどの時間と手間をかける理由。それは、ぬいぐるみが先輩の戒めになっているからよ!!」
アリサ「(はあ?)」
【おおおお!!!!】
後輩から発せられた予想外の答えに、他の後輩達は感心の声を上げる。
「このぬいぐるみ達のモデルになっているのは、仲間だけじゃなくて先輩が心を痛めながら倒したデジモンもいるはずよ!!先輩は散っていった命があることを忘れないために姿を模したぬいぐるみを作って、そのデジモン達の供養のために手間暇をかけているのよ!!先輩の神の如く広く温かな慈愛に満ちた心があんた達には分からないの!!?」
アリサ「(……とりあえずあんた今すぐにでも病院に行ってきなさい)」
「くっ、大輔先輩の気持ちも知らないで俺は大輔先輩のことを、“ぬいぐるみ作りなんて可愛い趣味持ってんだな”なんて…俺の馬鹿野郎!!」
涙を流しながら叫ぶ後輩。
アリサ「(まあ、ああいう物作りは嫌いじゃないけどねあいつは)」
「本宮先輩…死んでいったデジモン達のために自分の時間を捧げるなんて…本宮先輩の懐の深さが計り知れません」
何故か感動している後輩。
アリサ「(いや、大輔は普通に自分の時間使ってるから)」
「そうだったのか…。大輔先輩、先輩の気持ち、ちゃんと俺達に伝わりました。やっぱり大輔先輩が、俺達のリーダーなんだ!!」
【おお!!】
アリサ「(あんたらの中で大輔の心が行方不明状態よ…)」
「で?そのぬいぐるみ…ヴァンデモンとヴェノムヴァンデモンとベリアルヴァンデモンだよな?何でよりにもよってそれなんだ?他にもあるだろ?例えばインペリアルドラモンとかマグナモンとかゴールドブイドラモンのぬいぐるみとか」
「最初はゴールドブイドラモンのぬいぐるみにしようかなと思ったけど、先輩、最近忙しいじゃない?先輩だって人間だもの、ストレス発散しなきゃ。」
「そっか、ヴァンデモンは先輩が大嫌いなデジモンだもんね。」
「なる程、サンドバック代わりか」
「そういうことよ。先輩…どうか、このヴァンデモンぬいぐるみシリーズに先輩の日頃の無念をぶつけてください」
お見舞いから帰って大輔が後輩達から大嫌いなヴァンデモンを模したぬいぐるみを貰うのは今から数時間後であった。
後書き
おまけの方に力が入ってるのはご愛嬌。
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