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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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Another97 カイザーとの邂逅

 
前書き
選ばれなかった子供、一乗寺治との邂逅。 

 
聖竜学園の生徒会室にて集まっていた一同。
親の都合でアメリカに行っているミミを抜かした選ばれし子供達が揃っている。

一輝「というわけで、今のデジタルワールドはどうなっているんだ大輔?」

大輔「はっきり言って“酷い”の一言だな。漆黒の輪でデジモンを操って、運良く逃れたデジモンは強力なら洗脳、弱いデジモンは不要な物として処分してしまうらしい」

アリサ「何ですって?」

その言葉にアリサが顔をしかめ、子供達全員が嫌悪感を抱いていた。

パタモン[僕達のデジタルワールドが…]

太一「デジタルワールドの皇帝?ふざけやがって、思い上がりもいいとこだぜ。よし、俺も行くぜ」

空「……私も行くわ」

太一と空も頷く。
しかし他の者達は少し都合が悪くすまなそうな表情を浮かべている。

丈「ごめん……僕は明日……全国模試があって……」

ヤマト「俺も……今日バンドの練習さぼっちまったからなあ……」

タケル「(大変だな…)」

中々多忙な2人にタケルは普通に思う。
今よりも幼い時はもっと簡単に、いつでも集まる事が出来たというのに。

一輝「まあ、俺も剣道の練習があるしな」

なのは「私も少し用事が…」

フェイト「私も行きたいよお…」

大輔「あ、ああ。勿論いいぞ」

すり寄って甘えてくるフェイトをなでなでしつつ、同行を許可する。

アリサ「私達はサポートに徹するわね」

すずか「任せて下さい」

太一「分かった、ヤマト、丈。俺達に任せろよ」

ヤマト「何かあったら……すぐに知らせてくれよ」

大輔「よし、デジタルワールドに行きましょうか」

用事があって行けないメンバーを除いて大輔、フェイト、賢、はやて、ヒカリ、タケル、太一、空、光子郎がデジタルワールドに。









































久しぶりにデジタルワールドに来た、太一、空、光子郎、フェイト、はやてはデジタルワールドのあまりの変わりように顔をしかめた。

空「酷いわ…」

太一「ダークマスターズより酷いな」

大輔「弱いデジモンはあっさりと処分されてしまうらしいですからね。デジモンカイザーの軍団はいきなり俺達に完全体のヴァーミリモンを差し向けた時点で成熟期なら上級レベル、完全体がかなりいるのは間違いないです。下手したら究極体なんてことも…」

タケル「冗談でもそういうこと言わないでよ…」

精強なデジモン達で構成された軍団というだけでも頭が痛いと言うのに究極体まで出て来られたらたまらない。

テントモン[わてらが現実世界で暮らしていた時にこんなことになっとったなんて…]

ピヨモン[私達のデジタルワールドが…]

長い長い時を過ごしてきた生まれ故郷の荒れように嘆くデジモン達。

ホークモン[…大輔さん!!早くデジモンカイザーとやらを倒しましょう!!]

光子郎「その通りです。このような暴挙が許されるはずがない。」

大輔「勿論そのつもり。でも肝心のデジモンカイザーの居場所が…」

『ここで何をしているのかな?』

地面から投影機のような物が現れ、デジモンカイザー・一乗寺治の姿が。

賢「兄さん…」

光子郎「賢君のお兄さんですって!!?」

太一「お前が賢の兄貴だって!!?お前がデジモンカイザーなのか!!?」

カイザー『そうだよ。僕はデジモンカイザー、一乗寺治。デジタルワールドの新たな統率者。そのために、今から僕の配下となるデジモン達の選別をしているところさ』

タケル「あなたは!!自分が何をしているのか分かっているのか!!?ダークマスターズから受けた傷跡がようやく癒えようとしているのに!!」

カイザー『ふん、劣った存在が優れた存在に支配されるのは自然の摂理さ。それに支配するのには今が絶好のチャンスなんだよ。デジタルワールドの復興のために、疲弊したデジモン達はとても捕獲しやすかったよ。』

太一「てめえ…!!」

拳を震わせる太一。
長い間ダークマスターズの蹂躙により傷ついたデジモン達。
その傷跡がようやく癒えようとしている時にこんな外道が現れるとは。
しかも自分と同じ人間である。

空「あなたはどうしてここにいるの?保護されたデジモン達の話からすればあなたにはパートナーデジモンがいないらしいわね。」

カイザー『確かに僕にはパートナーデジモンはいない。だが、デジヴァイスは僕が造った。賢が忘れていた新型デジヴァイスの設計図を参考にしてね』

ヒカリ「デジヴァイスを造った!!?」

ヒカリはデジモンカイザーの言葉に驚愕した。
修理ならともかくデジヴァイスを1から造るなど光子郎にすら出来ないというのに。

カイザー『とにかく君達の存在は僕を不愉快にさせる。僕より劣った存在である君達が優れているはずの僕より先に選ばれ、僕以上の扱いを受けていることにね』

大輔「俺達への嫉妬のためにこんなことをしたのか?」

カイザー『僕はそんな小さい男ではないさ。これはデジタルワールドに対しての正当な裁きだよ。優れた存在たる僕を選ばないような愚かな世界など一度滅んだ方がこの世界のためにもいい。』

太一「ふざけんな!!てめえみたいな自己中野郎が選ばれるわけないだろうが!!それを八つ当たりすんな!!」

拳を振るうが、立体映像のために太一の拳がすり抜ける。

光子郎「これは立体映像なんです!!そんなことしても無駄です!!」

嘲笑を浮かべたデジモンカイザーの映像が消え、しばらくして、マスターティラノモンの群れが現れた。
そしてその中にはデジモンカイザーの姿も。

カイザー「これからデジタルワールドは優れた者のみ入ることが許される神聖な世界となるんだ。僕が認めた者以外入ってくるな!!今すぐ僕の世界から出ていけ!!」

空「あなたの世界?ふざけないで!!デジタルワールドはデジモン達みんなの世界よ!!」

カイザー「僕の世界改革を邪魔するのならば相応の裁きを与えなくてはね。マスターティラノモン!!奴らを始末してしまえ!!殺しても構わん!!」

太一「アグモン!!」

空「ピヨモン!!」

光子郎「テントモン!!」

アグモン、ピヨモン、テントモンが進化する。
紋章の力はデジタルワールドに渡してしまったために、進化促進プログラムの力で完全体止まりしか出来ないが、マスターティラノモンなら充分対処出来る。

大輔「みんな、こいつらを一カ所に纏めてくれ!!ゴールドブイドラモンの超必殺技!!ブイブレスアローMAXでケリをつける!!」

ホークモン[超必殺技?何ですかそれ?初耳です]

大輔「“超必殺技”ってのは、選ばれしデジモンにしか使えない一撃だ。戦っていくごとにデジヴァイスに聖なるエネルギーが蓄積していき、蓄積したエネルギーを必殺技と併用してぶち込む一撃だ!!これなら格上の敵にも有効なダメージを与えることが出来る。」

テイルモン[でもそれってかなりのリスクが伴うじゃない。反動も半端じゃないし]

大輔「ああ、超必殺技をぶちかました後では反動によって無防備になっちまう。超必殺技発動後は仲間のフォローが必要不可欠なんだ。行くぜ!!」

ヒカリ「うん!!」

比較的、完全体のパワータイプがこちらに揃っていたのが幸運だった。

賢「プッチーモン、まずはマスターティラノモンの戦意喪失を」

プッチーモン[任せて賢ちゃん。ハートナービーム!!]

マスターティラノモン達に戦意喪失光線が炸裂。
戦意喪失したマスターティラノモンなどメタルグレイモン、ガルダモン、アトラーカブテリモンの歴戦の完全体の敵ではなく、一カ所に投げ飛ばされ、ネフェルティモンとペガスモンのサンクチュアリバインドとディグモンのビッグクラックにより出来た地割れにより動きを完全に封じられた。

大輔「行くぞ!」

デジヴァイスに蓄積されたエネルギーがゴールドブイドラモンに送られていく。

ゴールドブイドラモン[全エネルギー解放!ブイブレスアローMAX!!]

ゴールドブイドラモンから放たれた聖なるエネルギーを上乗せして強化されたブイブレスアローMAXはマスターティラノモン達を殲滅した。

太一「よっしゃあ!!どうだデジモンカイザー…あれ?」

空「いないわ!!」

大輔「どうやら逃げられたようですね。まあいい、マスターティラノモンのリングを…」

漆黒の輪を破壊しようとマスターティラノモン達に歩み寄ろうとした瞬間、マスターティラノモン達が粒子化した。

全員【なっ!?】

タケル「何で!?確かに相当なダメージだったけど死ぬようなダメージじゃ…」

大輔「まさか…」

カイザー『そうだよ、役に立たないデジモンはすぐに始末出来るようにウィルスをイービルリングに仕込んでいたのさ』

投影機からカイザーの音声のみが聞こえる。

大輔「やっぱり!てめえふざけんな!!」

カイザー『何を怒ってるんだい?たかが役に立たないプログラムデータをいくつか消去しただけじゃないか』

全員【なっ!?】

デジモンをただのプログラムデータとしてしか見ていないデジモンカイザーに絶句する大輔達。

カイザー『それにデジモンは始まりの町とやらでデータを復元出来るんだろう?なら別に構わないだろう?消去されるのが遅いか速いかの差さ』

ヒカリ「デジモンにだって心があるのよ!!それを…」

カイザー『馬鹿だね、“心”?そう見えるようにプログラミングされているだけさ。デジタルワールドは人間がいたから出来た世界だ。ならその人間で優れた存在たる僕がどう扱おうが勝手だろ?』

光子郎「何と言うことを…」

太一「俺はお前を絶対に許さないぞデジモンカイザー!!そのツラをいつかぶん殴ってやる!!」

太一の叫びに全員が同意した。
大輔はこれからの戦いは一筋縄では行きそうにないと思ったのだった。 
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