ドリトル先生の水族館
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第四幕その五
「いるのかどうか」
「そのことが」
「まだなんだ」
「長い間見付かっていないけれど」
「それでも」
「いるかも知れないんだよ」
まだというのです。
「また見付かればいいね」
「それじゃあね」
「何とか見付かって欲しいね」
「ニホンカワウソもステラーカイギュウも」
「いて欲しいね」
「希望はまだあるんだ」
先生は皆にこうも言いました。
「人間には希望がいつもあるね」
「うん、色々なことがあってもね」
「希望は何時でもあるよね」
「希望は絶対に消えない」
「そういうものだよね」
「だからこうしたことも諦めたら駄目だよ」
生きものがいなくなってもというのです。
「また会えるかも知れないからね」
「ニホンオオカミさん達の時みたいにね」
「あの時は本当によかったよね」
「先生の正規の大発見だよね」
「あの生きものについては」
「よかったよ、いてくれて」
先生はニホンオオカミの生存を発見して世界的に有名にもなりました、ですが先生にとってそうしたことはどうでもよかったのです。
ニホンオオカミがまだいてくれた、そのことについて喜んでいるのです。
「本当にね」
「そうだよね、ニホンオオカミさん達みたいなことがあるから」
「決して諦めない」
「そのことがだよね」
「大事だね」
「そうだよ、じゃあね」
それならとお話してです、そのうえで。
先生は皆にです、こう言いました。
「それではね」
「うん、次の生きもののところにだね」
「行くんだね」
「そうするのね」
「そうしよう、次は今のお話でも名前が出たけれど」
その生きものはといいますと。
「アシカ君達だよ」
「この水族館のだね」
「アシカさん達のところに行くのね」
「シーライオンさん達のところに」
「そうするよ、その後は海豚君や鯱君達を診るよ」
先生はアシカさん達の次に診る生きもの達のこともお話しました。
「そうするよ、いいね」
「うん、わかったよ」
「じゃあ今から行こうね」
「そのアシカさん達のところに」
「そうしようね」
皆も先生の言葉に頷いてでした、悲しいお話の後で。
皆で行きました、すると。
アシカさん達は丁度曲芸の訓練をしていました、係の人がそのお仕込みをしていますがそこで、なのでした。
皆は係の人を見てです、こう言いました。
「鞭持ってないね」
「色々人の言葉で言うけれど」
「うん、そうしてるね」
「もう鞭は誰も使わないんだね」
「いいことだよね」
「そう、鞭を使って教えても何にもならないんだよ」
先生も皆に言います。
「だからね」
「この水族館の人もなのね」
「鞭は使わないで言葉で教えている」
「そうなのね」
「そうだよ、ただね」
ここで先生はアシカさん達と係の人のやり取りを見て言いました。
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