ドリトル先生の水族館
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第四幕その四
「天敵もいなくて」
「そのせいもあって」
「鯱は北極海にもいるけれど」
先生はステラーカイギュウの天敵にもなり得た生きもののお話もしました。
「ステラーカイギュウは浅い海にいてね」
「鯱とかも入って来なかった」
「そうした生きものだったからなんだ」
「天敵もいなくて」
「平和に暮らしていたんだ」
「そうだったんだ、そうしたこともあって」
浅い海にいたことも理由だったというのです。
「天敵もいなくてね」
「警戒心もなくて」
「それで乱獲されて」
オシツオサレツも言います。
「そしてなんだね」
「いなくなってしまって」
「そういうことだよ。地球からいなくなった生きものは多いよ」
先生の悲しいお顔での話は続きます。
「残念なことにね」
「ステラーカイギュウもオオウミガラスも」
「他の生きもの達も」
「あとアシカもだよ」
アシカと聞いてです、皆はです。
びっくりしてです、こう先生に言いました。
「いや、アシカはいるよ」
「ちゃんとね」
「僕達もこれから会うんじゃない」
「日笠さんにアシカさん達のこともお願いされてるわよ」
「だからね」
「それは」
「日本のアシカだよ」
先生が言うにはです。
「もういないよ」
「あれっ、いるじゃない」
「そうそう、だから僕達も行くんじゃないの?」
「この水族館に」
「そうじゃないの?」
「いや、ニホンカワウソのお話を思い出してね」
先生がここでお話するにはです。
「あの時もカワウソ君達はいたけれど」
「ああ、ニホンカワウソさん達はね」
「もういなかったね」
「他の国から来たカワウソさん達で」
「イギリスからだったね」
「そうだよ、この水族館にいるアシカ君達もそうで」
それでというのです。
「ニホンアシカじゃないんだよ」
「日本にはもうアシカさん達いないの」
「そうなの」
「ニホンアシカは明治維新以降乱獲とかで数を減らしてね」
そしてとです、先生は悲しいお顔のまま言うのでした。
「竹島の方にいたらしいけれど」
「ああ、日本の北西の方にあるね」
「あの小さな島ね」
「日本の島ね」
「あそこの島になんだ」
「そう、いたけれど」
それがというのです。
「もういなくなったんだ」
「そのニホンアシカさん達も」
「そうなったんだ」
「もういないんだね」
「折角日本にもアシカがいたのに」
「元々乱獲で日本近海にいたアシカ君達がいなくなってね」
そしてというのです。
「竹島が難しいことになって」
「いなくなったんだね」
「地球から」
「そうだよ、あとまだニホンカワウソ君達は実はまだどうなのかわかっていないんだ」
本当にいなくなったかどうかということはです。
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