転生とらぶる
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Fate/stay night
1111話
イタリア料理店で昼食を済ませると、美綴は少し急いで学校へと戻って行った。
何でも部活の方をあまり放っておけないって事らしい。
そんな風にして去って行く美綴を見ながら、ふと思う。
「凛、学校の結界はいいのか?」
「勿論放っておける訳ないでしょ。けど昨日の放課後にかなり起点を潰したから、すぐにどうこうっていう風にはならない筈よ。ただそのままにしておけないのも事実だから、夕方以降に人が少なくなってから行きましょう」
「重要度はそれ程高くない訳か。了解した。じゃあ、午後からは?」
「勿論午前中と同じで、サーヴァントを誘き出すのよ。特にランサーなんかは戦闘狂だったみたいだから、意外とホイホイ引っ掛かってくれるんじゃない?」
まぁ、サーヴァントの気配を察したら確かにランサー辺りなら出てくるかもしれないけど……俺としては、出来ればまだ遭遇していないサーヴァントが出てきてくれると嬉しいんだけどな。
そう思った、その時。……視線の先にとある人物を見つけて、溜息を吐く。
「凛」
「うん? どうしたの?」
「サーヴァントを誘き寄せる事は出来なかったけど、その代わり余計な存在を誘き寄せる……いや、この場合は引き寄せると言うべきか。とにかくあっちだ」
凛の後ろの方へと視線を向けている俺の視線を追うように、凛が振り向くと……
「げ」
その一言だけを呟く。
とてもじゃないけど、学校で遠坂をアイドルとしてみる相手には聞かせられないな。
向こうとしても、とっくに俺と凛には気が付いてたんだろう。こっちへと近寄ってくる。
ヘラヘラとした笑みを浮かべているのは、ワカメのような髪型が特徴の男、昨日凛にこっぴどく振られた間桐慎二だった。
ただし、昨日と違うのは両脇に2人の女を侍らせているって事か。
年齢的には俺や凛と同年代。恐らく同じ学校の生徒だろう。
「よう、遠坂。それと……アークとか言ったっけ?」
凛には軽薄な笑みを浮かべ、俺には心底嫌そうな表情を浮かべて声を掛けてくる間桐。
隣にいる凛は、不愉快そうに眉を顰めた後で口を開く。
「あら、間桐君。奇遇ね。両手に花でデートかしら? 美綴さんがさっき部活に戻ったけど、間桐君はいいの?」
「ふふんっ、勿論さ。僕は特別だからね。それよりもどうだい、もし良かったら遠坂もこれから一緒に遊びに行かないか? ただ、そっちの余計なのが一緒だとちょっと面倒だけど」
「ちょっと、先輩。いいんですか?」
間桐の言葉に、その隣にいた女が心配そうに告げる。
「だって、遠坂先輩ですよ? そんなに気軽に声を掛けて……それに、遠坂先輩もデートしてるんだから、邪魔しちゃ悪いですよ」
「そうそう」
そう告げる女2人は、言葉では俺達に気を使っているように聞こえるが、その目に浮かぶ視線は隠しようがない。
つまり、もしも凛が一緒に行動すれば間桐の意識は凛にだけ向けられるのを心配している視線だ。
そんな視線を向けられて一瞬考えた凛だったが、やがて不意に俺の腕に抱きついてくる。
……うん、柔らかさが微妙にしか感じられないってのは、言わない方がいいんだろうな。
勿論ない訳じゃないんだけど。
「ごめんなさい。私はアークとデート中なの。そっちもデート中なんだろうし、邪魔しちゃ悪いでしょ? 別行動にしましょう?」
「なっ!? お、おい、お前。アークって言ったな。遠坂の言ってる事は本当なのか!?」
何かを確認する意味を込めて問い掛ける……というか、怒鳴りつけてくるワカメに、凛が俺の腕を抱きしめている力を強くする。
念話ではなく行動で何をして欲しいかを示してきた凛の様子に、口を開く。
「そうだな。少なくてもお前のようなワカメと一緒に行動するよりは、俺と凛の2人でゆっくり休日のデートを楽しんでいるってのは事実だ。分かったんなら俺達のデートの邪魔をしてないで、さっさと消えろ」
凛が抱きついていない方の手で、野良犬にやるようにシッシッとしてやる。
そこに、先程の昼食の時のアドバイスを思い出したのだろう。俺の腕を抱きしめながら、凛はにこやかな……それこそ、天使の如き笑みを浮かべながら口を開く。
「以前から言ってたけど、私は間桐君に一切何の興味も持っていないの。男としての魅力も欠片も感じないし。これからは私に付き纏わないでくれる? 幸い間桐君にも彼女が……それも2人もいるみたいだし、いいわよね?」
「なっ!?」
まさか、ワカメにしてもここまで言われるとは思わなかったんだろう。言葉に詰まって、何も喋れない状態になっていた。
「では、私はアーク君とこれから2人で楽しむわ。これからは私に言い寄ってきたりしないで下さいね? 迷惑だから」
相変わらずの天使の如き笑みを浮かべて堂々と告げる凛。
……うん。ただ、ちょっとやり過ぎだ。恋人かどうかは分からないけど、こうして一緒に出掛けてるんだから当然ワカメとしては一緒にいる2人に対して好意を抱いているのだろう。
その好意を抱いている女の前で、凛を口説こうとか考えるのは正直どうかと思うが。
ともあれ、そんな女2人の前で凛にこれ以上ない程キッパリと振られ、恥を掻かされたのは間違いない訳で……
「遠坂ぁっ!」
そんな叫びと共に、ワカメが俺の腕に抱きついている凛に掴み掛かろうとする。
「っと、頭に血が上りやすい奴だな」
空いている右手を伸ばし、こっちに近づいてきたワカメの胸ぐらを掴む。
「がっ、お、おい! 僕にこんな事をしてもいいと思っているのか!」
「それを言うなら、お前が何をしているんだよ。幾ら振られたからって、女に掴み掛かるなんて、正気か? みっともないにも程がある? いや、ここまでくれば寧ろ愉快な道化と言うべきか」
「うるさい! 離せ、離せよぉっ!」
こっちを睨み付けてくるワカメ。
その目には、これ以上ない程の憎悪が滲んでいる。
「離したら凛に危害を加えるんだろう? なら、離す筈がないと思わないか?」
ギリリ、と掴んでいるワカメの喉元を掴む手に力を入れていく。
襟元が締まっているのだろう、ワカメの顔が苦しそうに歪められていく。
そのまま数秒。落ちる寸前のところで、突き飛ばすようにして手を離してやる。
地面に尻餅をつき、涙と鼻水と涎を垂らしながら咳き込むワカメ。
優男ぶっているこの男にしてみれば、今のやり取りで周辺に野次馬が出来ているような注目の的の中でこんな真似をされれば、どうしようもない程に恥を掻かされたと感じるだろう。
これでよし。こいつの逆恨みが凛に向かうよりは、俺に向けられた方がまだいい。
……あ。近くに穂群原学園の制服を着ているのが何人かいる。
しかもその多くは地面に尻もちを付いているワカメではなく、俺の左腕に抱きついている凛を見ている。
猫を被ってた筈だけど、いいのか?
美綴にも誤解云々と言ってたけど、間違いなく色々な噂が流れると思うんだが……
その辺に関しては、凛も承知の上なんだろう。
俺と噂されるのよりも、ワカメに言い寄られる方が嫌だったって事か。
このワカメ、どこまで凛に嫌われているんだろうな。
「さ、行きましょアーク君。じゃあ私達は行くから、出来ればもう話し掛けないで頂戴」
ふんっ、と鼻で笑って告げる凛。
……折角ワカメの怒りを俺の方に向けようとしたのに、また随分とはっきりと……
「遠坂ぁっ、アークッ、お前達2人、絶対に許さないぞ! 僕にこんな事をして、ただで済むと思っているのか!?」
地面に這いつくばったままにそう告げてくるワカメ。
ちっ、このままだと何かあれば凛の方にも被害がいくか。
しょうがない。駄目押しをしておこう。
俺の腕を抱いている凛から手を離し、ワカメの方へと近づいていく。
「ひっ!」
それに気が付いたワカメが小さな悲鳴を上げるが、無視してワカメのすぐ側の地面を強い足音を立て踏みつける。
恐らく本気でやれば、コンクリートに俺の足がめり込んだだろうが、そこまでやれば幾ら何でも目立ちすぎるし、道を歩く人の邪魔にもなる。
そういうことで、踏み砕いたりはしないまでも、ワカメにとっては恐怖を感じたのだろう。地面に座ったまま強引に後退ろうとし……
「ただで済むと……何だって?」
その前に、俺の手によって腕を掴まれ、それ以上後退れなくなる。
「ひっ!」
再び上がる悲鳴。
だがこのタイプの奴は、中途半端なところで止めると逆恨みをして襲ってくる。
……うん? 何でそんな考えが俺の中にあるんだ?
いやまぁ、ワカメの目の奥にある光を見る限り、それは間違いじゃないだろうが。
「なぁ、教えてくれないか? ただで済むと……何なんだ?」
「いっ、いや! 何でもない! 何でもないったら、ない! お、お前の聞き間違えだよ!」
「……そうか。そうだよな、まさか逆恨みをして俺や凛にちょっかいを出すような真似はしないよな?」
優しく問い掛けると、ワカメは何度も、何度も頷きを返す。
凛が俺との噂が広まるより、ワカメに言い寄られないのを選んだのだから、ここで念を押しておくか。
掴んでいた手を離し、それに安堵したワカメの肩に手を乗せながら口を開く。
「凛は俺の女だ。お前如きが手を出せる女じゃない。分かったら、もう2度と凛に手を出したりするなよ?」
「……」
「わ・か・っ・た・な?」
ワカメの肩に、徐々に力を入れていく。
「わ、分かった、分かったぁっ!」
痛みに悲鳴を上げるワカメ。
うん、ここまでやればもう凛に手を出す事はないだろうし、もし手を出すにしても俺の方に手を出してくるか。
「そうか、分かってくれて嬉しいよ。じゃあ、俺と凛はこれからデートの続きを楽しむから、そっちもそっちで楽しんでくれ」
ワカメの肩を軽く叩き、何故か目を見開いている取り巻き2人をそのままに、凛の方へと近づいていく。
凛としても、ここでワカメに決定的な光景を見せることが最善と考えたのだろう。
俺の左手に抱きつきながらその場を後にする。
喧嘩か? と揉め事を期待していた周辺の野次馬が、特に騒動にもならなかったのを見て、そのまま散っていく。
そんな光景を背に、俺と凛はその場を去って行くのだが……
『ちょっと、誰があんたの女よ』
凛が念話で抗議をしてくる。
『演技だよ、演技。その演技に乗っかってこうしてるんだろ? ……にしても、よく聞こえたな。小声で言ったつもりだったんだけど』
『サーヴァントとマスターだからかしらね。……全く、この件が綾子の耳に入ったら、またからかわれるじゃない』
そうは言っても、今のやり取りを見ていたのは大勢いるし、学校の生徒らしい者も何人かいた。
間違いなく噂になると思うけどな。
そんな風に考えながらもその場を立ち去り、サーヴァントを探したり誘き寄せる為に色々な場所を移動する。
けど……結局はサーヴァントの姿を見つけることが出来ずに夜となる。
「……結局は意味がなかったか」
溜息と共に言葉を吐き出すが、凛は首を横に振る。
「そんな事はないわよ? 少なくてもアークエネミーは聖杯戦争の舞台となる冬木という場所を見て回ることが出来たでしょ?」
「まぁ、そうでも思ってないと意味がないか。それより、これから学校に行くってことでいいのか?」
既に周囲は暗くなっており、学校に人が残っているという事もないだろう。
……この前の衛宮の時のような事がない限りは。
「そうね。起点を潰しておいた方がいいでしょうね。行きましょ」
そう告げ、俺と凛はサーヴァントを探しながら学校へと向かう。
「全く、こんなに修復されるのが早いなんて。厄介ね」
校舎の中を歩きながら、凛がブツクサと口にする。
校舎の中へと入った瞬間、昨日と同様に感じた結界。
昨日起点を潰したのに既に復活している結界に苛立ちながらも、凛は再び起点を潰していった。
そうして俺達が向かっているのは、昨日ランサーに襲撃された屋上。
まさかまたランサーが待ち構えている訳ではないだろうが、一応念の為ということでやって最後にここへとやって来たのだ。
「ま、それでも起点をどうにかすれば結界を起動出来ないなら儲けもの程度に思って置いた方がいいだろ」
「そうね」
短く言葉を交わし、凛が起点へと手を伸ばして数秒。
「ふぅ、終わりっと」
「ご苦労さん。それでこれか……ちぃっ!」
言葉の途中で咄嗟に近くにいた凛を抱きしめ、そのまま跳躍する。
瞬間、何かが一瞬前に俺がいた場所へとぶつかり、コンクリートの床を砕く音が聞こえてきた。
「ちょっ、アークエネミー!?」
「敵だ! 恐らく……いや、間違いなくサーヴァント!」
腕の中でいきなりの事に驚愕の声を上げる凛にそう告げると、凛は視線を俺の肩越しに屋上へと向ける。
俺も一瞬だけ顔を屋上の方へと向けると、そこでは巨大な釘のような武器がコンクリートへと突き刺さっているのが見えた。
「どうやらランサーじゃないみたいだな!」
幸か不幸か、敵はランサーではないのは確定して……俺は凛を抱きしめたままグラウンドへと着地するのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:370
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1183
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