転生とらぶる
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Fate/stay night
1110話
バーサーカーと戦った日の翌日、予想通りというか何というか、凛が起きてきたのは午前9時を回った頃だった。
いや、昨日寝た時間を考えると、寧ろこの時間で起きてきた方が立派なんだろう。
ただ……いつものようにゾンビの如くユラユラと揺れながら居間に入って来た凛だったが、そこからがこの2日間と違った。
いつもであれば、俺がそこにいるのに気が付いているのか、いないのか。学校のアイドルの猫被りはどうしたってくらいに不気味な動きで台所に向かうのに、俺の姿を見た途端に足を止めてこっちを凝視したかと思うと、やがて何を考えたのか顔が真っ赤に染まって台所へと走り去る。
ゾンビの如き移動速度ではなく、だ。
……何があったんだ?
もしかしてキャスター辺りから妙な呪いを受けたりしたんじゃないだろうな?
俺の魔力を凛にパスを通じて流している以上、呪いとかはそう簡単に受けたりしない筈だが……
「凛、大丈夫か?」
もしキャスターからの攻撃であれば色々と危険だ。そう思って、台所の方に声を掛けたのだが……
「来ないで!」
鋭い叫び声が台所の方から戻ってくる。
「凛?」
「大丈夫、大丈夫だから、もう少し待って頂戴。すぐにそっちに行くから」
「……身体に何か異常はないんだな? キャスターの攻撃を受けたとかじゃなくて」
「ええ、それは大丈夫よ。心配してくれてありがと。少し夢見が悪かっただけよ、夢見が……ね」
「夢見? まぁ、身体に影響がないならいいんだが……」
台所の凛に言葉を返しつつも、凛の様子に首を傾げつつ居間の方へと戻るのだった。
「で、街に出てきた理由は?」
「当然敵のサーヴァントを探す為に決まってるでしょ」
そう告げる凛は、朝に起きてきた時のおかしい様子は既に感じられなくなっていた。
あれから20分程が経って居間に戻ってくると、確かに元に戻っていた。
まぁ、微妙にその影響が残っていたりするところもあるけど、こうして普通にやり取り出来るのを考えると、特に困ってはいない。
「ランサー、バーサーカー、セイバーとは遭遇したから、残るのはライダー、アサシン、キャスター、アーチャーか。俺がこっちに出てきている以上、未接触のサーヴァントはどうなるんだ? この中の1つのクラスが聖杯戦争に参加していないのか、それともマスターが1人増えて、8人での聖杯戦争になるのか」
「うーん、その辺は微妙ね。ただ、恐らく前者じゃないかしら。聖杯がマスターに与える令呪の数を考えると……」
首を傾げる凛は、その黒髪を手で掻き上げながら告げる。
「だといいけどな。そっちの方が楽だし」
勿論戦って負けるつもりは全くないが、戦いの数が少なければ少ない程にこっちの消耗は少なくて済む。
……何しろ、凛は待ちとか考えずに自分からガンガン突き進んで行くタイプだし。
それこそ、こうして日曜だというのにサーヴァントの気配を発しながら街中を歩いているのがその証拠だろう。
サーヴァントである俺の気配に寄ってくる者がいれば、それは高い確率でサーヴァントだ。
しかも好戦的な、という言葉が付く。
まぁ、中には偵察目的みたいな奴もいるかもしれないが、どちらにしろ向こうが気が付けばこっちだって気が付きやすい。
そう、思ってたんだけど……
「やあ、遠坂。日曜の昼間から同棲中の彼氏とデートか?」
新市街を歩いていると、不意にそんな風に声が掛けられる。
声のした方を見ると、そこにいたのは肩くらいで切り揃えられた赤に近い茶髪を持つ女の姿。
この日曜に街中だというのに、何故か制服を着ている。
確か、この女は同じクラスだったと思うけど……凛とはまた違った、凛とした美人。
……凛としたというのと凛が合わさって何だか微妙?
まぁ、それはともかくとしてだ。
クラスの中でも凛と同じくらいに目立っていた女。
名前は……何だったか。
「あら、美綴さん。こんな所で奇遇ですね。けど、そういう表現は止めて下さる? 誰か他の人が聞いたら、妙な誤解をしかねないもの」
「そうかな? 同棲しているのも、デートしているのも事実だろ?」
「同棲ではなく同居ですし、これはアーク君に新市街を案内しているだけなので。……そうよね、アーク君?」
「……え? ああ、うん、そうだったな。勿論だ。俺はこの冬木に来たばかりだから、この辺の地理をまだよく把握してないんだよ」
一瞬誰の事を言ってるのか分からなかったな。
アークってのは俺の偽名だったのをすっかりと忘れてた。
アークエネミーとアークだから、似ている筈なんだけどな。
まぁ、そのうち慣れるだろ。
「へぇ、アークの様子を見る限りだと、そんな風には見えないけどな。えっと、一応自己紹介でもしておくか。あたしは美綴綾子。よろしくな」
「ああ。確か同じクラスだったよな?」
「へぇ、覚えてたんだ」
「まぁ、美綴みたいに目立つ相手を忘れろってのは無理があるだろ」
「ふーん。……で、本当のところはどうなのさ? 遠坂は道案内って言ってるけど」
何故かこっちを探るように尋ねてくる美綴に、小さく肩を竦めてから頷きを返す。
「別に間違ってないな。この辺の事は実際殆ど良く知らないし、凛がこの辺を案内してくれるって事になったんだよ」
「凛……ねぇ」
チラリ、と凛の方を見た美綴は真剣な表情を浮かべたままで口を開く。
「ねぇ、遠坂。一応聞いておくけど、これは賭けが終わったって認識でいいのかな?」
賭け?
美綴の言葉に疑問を抱くが、それよりも顕著な反応を示したのは凛だった。
「ばっ、ばばばばば、馬鹿言わないでよ! 何だって私がこんな奴と!」
「ふーん……どうやらまだ賭けは決まってないけど、その雲行きも怪しい、か。しっかし、遠坂がねぇ、ふーん」
「ちょっ、ちょっと美綴さん? 何か妙な誤解があるようだけど……」
「誤解? あたしが何を誤解しているのかね?」
「だからっ、それは!」
何だかよく分からないけど、急にテンパった凛。
いや、本気で何だってこんなにテンパってるんだ?
バーサーカーと遭遇した時よりも混乱しているように見える。
「ま、いいさね。それより、昼食がまだなら一緒にどうだい? それともデートの邪魔をしちゃ悪いかね?」
デート云々はともかく、他のサーヴァントを誘き出そうとしているんだから、確かに美綴と行動を共にするのは色々と不味い。
多少鍛えてはいるようだけど、所詮は一般人でしかない美綴を巻き込むのは色々と不味いしな。
だからこそ、美綴の提案を断ろうとしたのだが……
「いいわよ、変に誤解されたくはないもの。きちんと話を付けておくべきでしょうね」
『凛!?』
予想していたものとは正反対の言葉を口にする凛に、思わず念話で声を上げる。
そもそも、今日俺達が新市街にまで出てきたのはサーヴァントを誘い出す為だ。
そんな中でどう見ても一般人の美綴と一緒にいるのは、色々な意味で不味い。
『おい、美綴を巻き込むつもりか?』
『そんな訳ないじゃない。けど、そろそろお昼でしょ? なら昼食の時くらい一緒でもいいでしょ? ……それに、本気でこの辺で誤解を解いておかないと、変な風に話が広がっちゃうじゃない』
『変な風って……どんな風にだよ?』
『それは……アークエネミーには関係ないわ。それより、あんたもくれぐれもおかしな事は言わないでね。いい?』
ジトリとした視線でこっちを見てくる凛に、溜息を吐きながらも頷く。
確かに色々とあるんだろうが、聖杯戦争の最中にやるべき事なのか?
「おやおや? 目と目で語り合ってるとか……本当に怪しいな。よし、2人共。その辺の事情を詳しく聞かせて貰おうか。どこか……うん、あそこの店とか前に桜が美味いって言ってたな」
美綴の言葉に、何故か凛がピクリと反応する。
目と目で語り合ってるってのが引っ掛かったのか。
ともあれ、美綴と凛と俺の3人で近くにあったパスタ屋へと向かう。
「私はキノコのクリームソースにするけど、2人は?」
「そう、ね。イタリアントマトとモッツァレラチーズで。アークは?」
「ペスカトーレと……ミックスピッツァで」
「さすが男の子って奴だね。昼食で2つとか。……まぁ、運動部にいればそのくらいはおかしくないけど」
美綴がそう告げ、店員を呼んで注文する。
「それで、今日は何を目的にして2人でデートを?」
「あのねぇ、綾子。だからデートじゃないって言ってるでしょ」
「うん? いいのかい、遠坂。呼び方が違うけど」
「いいわよ、もう。こいつの前で猫被ってたってしょうがないんだから」
チラリと俺の方を見ながら告げる凛に、再び美綴がニヤリとして笑みを浮かべる。
……そういう態度が、美綴を喜ばせてるんだと思うけどな。
「遠坂はこう言ってるけど、旦那の方はどうなんだい? 勿論あたしとしちゃ、賭けの事もあるし違ってた方がいいんだけど」
「安心しろ、違うよ。……それにしてもさっきも言ってたけど、賭けってなんの事だ?」
店員が注文を持ってくるのを眺めつつ尋ねるが、凛は顔を逸らして何を言うでもなくスルーする。
美綴の方はと言えば、こちらも笑みを浮かべるだけで何かを言う予定もない。
恐らく女同士の秘密って奴なのか。
なら、これ以上聞いても意味はないどころか、火傷をする事になりそうだな。
「で、綾子。そういうあんたはどうなのよ?」
「……さて、ね」
凛の言葉に、先程までは笑みを浮かべていた美綴があらぬ方を見る。
「ふふん、なるほど。だから焦って確認してきた訳か」
「べ、別にそんな事はないぞ」
「口だけなら何とでも言えるしねぇ。……けど、少なくても今のところはそんな風じゃないから、安心しなさい。それより、今日は部活はいいの?」
話を逸らす意味も含めて尋ねる凛に、美綴は視線を持っていた荷物の方へと向ける。
「買い出しだよ、買い出し。制服なのを見れば分かるだろう? また学校に戻ったら練習だよ」
「呆れた。なら、何でここでお昼を食べてるのよ?」
「折角遠坂に会ったからね。噂の真相を突き止めようと思って」
「あのねぇ。……まぁ、いいわよ。とにかく、妙な噂が流れないならそれでいいわ」
「それはちょっと遅いんじゃないかな。もうあのミスパーフェクトが男を作ったって噂が広まってるよ? 慎二の奴もそのおかげで機嫌が最悪でね。おかげで私がこうして買い物に出てくる羽目になったって訳」
「……ご愁傷様」
心底同情した視線を美綴に向ける凛だが、慎二ってのは確か……うん、何だかいきなり俺に絡んできた奴だよな? 具体的にはあのワカメ。
確かに粘着質な性格をしているように見えたし、その辺を考えれば、ああいう奴を部活ではあっても関わり合いにならなきゃいけないのは不幸だな。
「あのねぇ、誰のせいだと思ってるんだ? 少しは心配してくれる気があるのなら、あの馬鹿を変に刺激しないでくれないか?」
「そうは言っても、向こうから近寄ってくるんだから、しょうがないじゃない?」
うんざりとした表情でパスタを食べている凛だったが、不思議に思ってピッツァの最後の一口を飲み込んでから口を開く。
「そんなに付き纏われるのが鬱陶しいなら、きちんと言ったらどうだ? お前のような男には興味がないって」
「何度も遠回しには言ってるんだけどね」
「学園のアイドルも大変だねぇ」
美綴が、同情するというよりはからかうような口調で告げる。
うん、確かにああいう奴に延々と絡まれるのは大変だろうな。
「けど、そうね。今度言い寄ってきたらキッパリと断った方がいいんでしょうね」
「俺はその方がいいと思う」
凛の場合は外見に関しては文句なし――胸は除く――だから、どうしても男に言い寄られる事が多いんだろう。
それだけ断りの言葉にも慣れてるだろうし、きちんと言ってやればそれで何とかなる筈だ。
もしそれでも付きまとってくるようなら、それこそ俺の出番になる。
そんな風に会話をしながら食事を終えると、デザートを注文することになる。
メニューにあるクレープを見て……
「ゴーヤクレープ?」
唐突に俺の口から出てきた言葉に、凛と美綴が俺の方に何言ってるのと言わんばかりの視線を向けてくる。
実際、メニューにあるクレープは別に何がある訳でもない。生クリームやチョコを使っており、生地に包まれているのも果物の類だ。
……イタリア料理店に何でクレープがあるのかは分からないが、まぁ、いい。
でも、何故そんなクレープの写真を見て、俺はゴーヤクレープなんて言葉が出てきたんだ?
「アーク、お前正気か? 何だよ、ゴーヤクレープって。私はそんなもの絶対に食べたくないぞ」
美綴の言葉に、凛もまた同様に頷く。
「いや、俺だって食いたくはないけどな。何でか不意に思い浮かんだんだよ。まぁ、ともあれ、クレープで」
それぞれにデザートを注文し、その後も色々と雑談をしながら過ごし……
こうして、無事に俺達の昼食は終わる。
「遠坂、旦那と仲良くな。夫婦喧嘩は何とやらって言うし」
「……いい加減にしておきなさいよ、綾子? アークとはそんなのじゃないって言ってるでしょ!」
いや、凛。そうやってムキになるから美綴にからかわれるんだと思うんだけどな。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:370
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1183
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