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万華鏡の連鎖

作者:fw187
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夢幻界の断片
  アウラの選択

「鍛冶屋スナフキンの剣よ、お前の力が必要だ!」
 グインの声が響き、右腕から青白い極光《オーロラ》が溢れ出す。
 妖魔に絶大な威力を発揮する霊剣が輝き、竜頭の侵略者が後退る。

(雷光剣!)
 心話の絶叫に応え、漆黒の魔剣《ストームブリンガー》が震えた。
 大地の邪悪を鎮める為、聖地で鍛えられた剣に姿を変える。
 刀身から櫛型に角が伸び、垂直に曲がった。
 六本の牙に宿る雷神が輝き、宙を舞う竜の頭部と化す。
 六色の竜が異なる軌道を描き、挑戦者を襲う。
(星の霊剣よ、悪竜の魔法使い達を滅ぼせ!)
 イェライシャと微妙に異なる声、心話が潜在意識の裡に響く。
 四千年に渡り蓄積された星々の輝き、青紫色の渦が銀色の剣から溢れる。
 《光》の精霊魔術《エレメンタル・アーツ》が働き、雷神の鉄槌を掻き消す。

(十字剣!)
 深紅の瞳に憤怒の情が滾り、心話が迸る。
 六本の牙が聖剣から消え失せ、十字架を連想させる形態に姿を変えた。
 《地》の精霊魔術が働き、グインの足元に亀裂が疾る。
「うおっ!?」
 瞬間移動も許さず、不可視の鎖が挑戦者を縛った。
 束縛され闇黒《エレボス》に墜落の最中、挑戦者が叫ぶ。
「紅蓮剣!」
 トパーズ色の瞳が燃え、星の剣が茜色に染まる。
 《火》の精霊魔術が働き、刀身から紅蓮の炎が溢れ出た。
 数億度の熱が重力波の根源、地の底に潜む魔術の種を焼く。
 十字の墓穴が溶け、眼に見えぬ鎖も消え失せ、赤い激流が侵略者に迫る。

(幻夢氷翔剣!)
 深紅の窟と化した瞳が妖しく輝き、心話が響く。
 細身の剣は姿を変え、グインの潜在意識を探った。
「シルヴィア!」
 弱点《ウィーク・ポイント》の実体化、幻影《イリュージョン》は勇者の精神を蝕む。
 冷気で戦場を覆い、心を凍り付かせる聖剣の魔術が挑戦者を窮地に追い込んだ。
 悲しみの乙女が毒矢を射込み、致命傷を負わせる《予言》が挑戦者の脳裏を掠める。
「白朧剣!」
 グインの唇が無意識に動き、真紅の長剣が姿を変える。
 大理石の神殿、円柱を連想させる聖剣が輝いた。
 《命》の精霊魔術が働き、剣の裡から霊気を帯びた気流が溢れ出す。
 邪悪な者の転生を許さず、魂を捕える聖剣が《心》の精霊魔術を抑え込む。
 悪夢を統べる女神ヒプノスの術、呪縛が解けた。

(征嵐剣!)
 深紅の瞳が瞬き、冷気と悪夢を操る聖剣が姿を変えた。
 黒光りする長剣が唸り、《風》の精霊魔術を操る。
 刃から絶対真空の渦、奔流が噴き挑戦者を襲う。
「黄金剣!」
 グインの剣が伸び、刀身から無尽蔵の《パワー》が溢れ出た。
 星間宇宙を渡る破砕流が黄金色の津波、太陽と海に飲み込まれ姿を消す。

(竜星剣!)
 心話が響き、北斗七星が輝いた。
 死を司る星が黒い長剣に宿り、虹色の光が溢れる。
 七芳星《ヘプタグラム》の魔法陣が煌き、周囲の空間を覆う。
 ケイロニア騎士達の悪夢、鎧を噛み砕く銀鱗紅瞳の竜が再現された。
「獅咬剣!」
 声が響き、主の気を具象化する剣が期待に応える。
 刀身が輝き、黄金色の精霊が現れた。
 一頭の獅子が竜を襲い、宙を舞う。
 二本の剣から無数の獅子、竜が現れ激闘を繰り広げる最中。
 挑戦者が動き、必殺の一撃を放つ。

「空裂斬!」
 心眼にて敵の気配を読み、邪悪な気《オーラ》の源を断つ奥義が届く前に。
 野生の豹が備える瞬速の軌道変化、方向転換が再現された。
 光の闘気を追い、野生の勘で渾身の一撃を極める。
「勇者必殺剣《アバン・ストラッシュ》、二乗《クロス》!」
 イリスの石、死者の珠が砕けた。

(そんな筈が…)
 《インナー・スペース》に声無き絶叫が溢れ、地下迷宮を激震が襲う。
 次元共鳴波の無限増幅、空間破砕効果で視野が歪む。
 グインも異様な崩落、次元断層に巻き込まれた。


《ユーライカの瑠璃》ランドック熾王冠の宝玉
《ルーエの三姉妹》


 宇宙空間に似た虚無を漂い、カリンクトゥムの扉を越える。
 挑戦者の瞳に暗黒神殿が映り、記憶の扉が開く。
 剣を銀色の光が包み、刀身に摩訶不思議な模様《パターン》が脈打つ。

「天覇封神斬!」
 世界生成の秘密、環状魔法陣を宿す銀の剣《グレイスワンダー》が煌いた。
 暗黒神殿から無数の魂が解き放たれ、流星と化し虚空の彼方に翔ぶ。
 魂の牢獄が潰え、聖地《グラウンド・ゼロ》と化す。
 挑戦者は瞳を閉じ、銀の剣を掲げた。
 表層の記憶が導く儘、大地に新たな模様を刻む。
 ルードの森、スタフォロス城、ノスフェラスの砂漠、レントの海、アルゴスの草原。
 ゾルーディア、ヨツンヘイム、サイロン、バルヴィナ、アルセイス、黄昏の国、ノーマンズランド。
 アウラ・シャーの眠る地フェラーラ、ホータン、ユーライカの瑠璃が棲む東渓湖、トーラス。
 マリウスの歌が響き、記憶の扉が開く。

 グインの脚が無意識に動き、緩やかな曲線を描く。
 追放者を導く剣が輝き、大地に幅1タール程の軌跡を遺す。
 円弧が伸び、開始線《スタートライン》の真横に達した。
 第二層の記憶に眠る魔道十二条、赤い街道を整備の過程が蘇る。
 空から来た超人、アレクサンドロスが約三千年前に姿を消した理由も。

 右側に隣接して隙間を埋め、新たな《通路》を刻む。
 挑戦者は開始線の真横に達し、記憶の扉が再び開く。
 太陽から更に遠い軌道を巡る惑星の過去、第三層の記憶が甦る。
 剣の腕を重んじる緑色人、赤色人達は異種族を破った。
 火の神を崇拝する竜人族、大型白色猿の連合軍は滅び痕跡も無い。
 水の神を敬う竜人族、灰色猿は帝国軍に属し《門》の通過を認められた。
 キレノア大陸西岸に転送後、特殊な結界で覆われ連絡がとれぬ。
 ケイロニア王は再び開始線の真横に達し、記憶の扉が開く。
 更に遠い軌道を巡る惑星の過去、第四層の記憶が甦る。

 アスガルン地表に覇を唱えた異種族、クラーケン達の野望は潰えた。
 ノルンの海に残党が潜む意図、思惑を理解する者は無い。
 水の精霊を操る魔術師、青色人達は異なる《道》を選んだ。
 海の惑星が属する衛星銀河、マゼラン星雲にて物質科学の研究に携わっている。
 ヨツンヘイム地底の《門》を用い、第三惑星に渡る気は無い様だ。
 豹頭の放浪者は再び開始線の真横に達し、記憶の扉が開く。
 廃帝の追放式、太陽系第三惑星に着く前の過程が甦る。
 《ランドシアⅶ》、《マウロ提督》の謎を解く鍵は喪われた。
 シレノスの化身は再び開始線の真横に達し、記憶の扉が開く。
 最強の戦闘用改造生命体、ランドック帝王の罪は秘匿されている。
 アウラ・カーの《夫》、《胤》の提供者は罠の犠牲となったのだが。
 トゥーラン・ツーラン星域の潰滅、女神5人の暗闘と真実が明かされる事は無い。

 何時しか聖地に或る種の巻貝、螺旋状に巻いた貝殻を連想させる魔法陣が描かれていた。
 精緻な模様が脈動し青、赤、緑、黄、橙、紫、金、銀の多彩な光が明滅を繰り返す。
 無限の可能性を秘める魔法陣の最奥、中心《センター》が輝いた。
 アリシア星系の第三惑星と異なり、新たな真世界と無数の《影》が創造される。
 暁の女神5人姉妹の末姫、アウラ・シャーが微笑。
 ランドックの廃帝を神殿に導いた殉教者、ツゥールグスのユラが現れた。
「太子様!」
 リー・ファの声が響き、北の豹が南の鷹と化す。
 スカールの腕が運命の半身を抱き、グル族の歓声が響き渡る。

 アルド・ナリスは星船に乗り、無限の宇宙を探る旅に出た。
 想像を遙かに超える事象に闇色の瞳が輝き、好奇心、知識欲が満たされる。
 リギアは草原に赴き、歓喜の輪に加わった。
 カメロンは総てを水に流し、オルニウス号に紅の傭兵を乗せ大海原に出航。
 魔戦士は呪縛から解放され、フロリーの息子と同様に無垢な幼子の面影が覗く。
 ドーカス・ドルエン、マーロールは帝王ガンダルの穴を埋め観衆の喝采を浴びた。
 ヤン・ゲラール、シャオロン、レンファーも帰郷。
 ホータン白竜城の一角に未来の大君を迎え、キタイ再建を誓う。
 勇者ドードーは幻の民ラゴンを率い、約束の地を求め新たな旅に出る。

 超空間の彼方から歓声が湧き起こり、新世界の誕生を祝福する想念の大波が到来。
 万雷の拍手と鳴り止まぬ喝采が轟き、超空間を満たす。
 アルド・ナリスの遠隔心話、最終宣告《ラスト・コール》が朗々と響き渡る。

「豹頭王一座の剣劇、侍魂《サムライ・スピリッツ》は是にて終演《フィナーレ》です。
 本日の御来場、誠に有難う御座いました」 
 

 
後書き
『風魔の小次郎』を知らない読者様、意味不明の羅列で申し訳ありません(^^;) 
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