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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第29話 神崎大悟VS加藤桐谷、イケメンバトル

さて、季節は5月中旬。あと1週間でみんなお楽しみ中間テストである。

真面目ちゃんな皆様はもう勉強を始めている。

いや、百歩譲ってするのは構わない。

だからって休み時間まで詰め込むなよ………

「もう、なんであんなに頑張るんかな?」

「だよなぁ………テスト勉強なんて3日前ぐらいにすりゃいいのに………」

「………私たちは普段してないから」

「難しい所が多すぎるんだよ………」

文句を垂れながら古典の教科書とにらめっこするなのは、フェイト。
昼休みの空いた時間を使って、なのは、フェイトの勉強を教えるためみんな、なのはの周辺に集まっていた。俺の机にはフェイトが座ってる。
俺はその前に座らせてもらい、隣に座っているはやてと談笑していた。

「ほら、無駄口叩いてないで手を動かす!!」

「フェイトちゃんそこ違うよ。そこは………」

その二人をスパルタで教えるアリサと丁寧に教えるすずか。

「で、あんたたちはやらないの?」

「俺はやらなくても大丈夫」

転生者を舐めちゃいかんぜ。
結構危なくなってきたけど………

「私は苦手な科目は無いから大丈夫や。最低限は取れるで」
「それでいいの?」
「大丈夫!大丈夫!!それにこんな早く勉強なんて出来るかいな」

はやての返事に呆れるすずか。

「零治、あんたも?」
「当然!!まだこれくらいの内容だったらオール80点は取れるだろう」

期末は少しやらないとまずそうだけど………

「何で真面目にやってないアンタがそんなで、なのは達がこんなに苦労しなきゃいけないんだろうね。ってなのはそこ違う!!さっきも言ったでしょ!そこは………」
「アリサちゃん厳しいよ~フェイトちゃん代わって~」
「フェイトちゃん、そこは………」
「すずかが何言ってるのか分からない………」

駄目そうだなこの二人。

「しかし暇やなぁ………」
「ああ、何か起きんかな………」

と外を眺めていた俺とはやて。
そんな時…………

「加藤桐谷!!お前に決闘を申し込む!!」

バカの大きな声が隣のクラスから聞こえてきた。

決闘って………

「零治君………」
「ああ、何か面白くなりそう………」
「ちょっと、二人とも!?」

フェイトの声を無視し、俺たちは隣のクラスへ行った。








「決闘?」
「ああ、決闘だ!」

俺の机の前に仁王立ちに立っている男。
確か神崎大悟だっけ?
零治から俺たちと同じ転生者と聞いているが………

「なぜ俺なんだ?」
「この学校にイケメンは二人もいらない!」

………何を言っているんだコイツ。

「お前の所為で俺の人気もガタ落ちだ!!だからどっちがいい男か勝負しろ!!」
「じゃあ、お前がいい男で。パフパフ」

俺は口でラッパを吹き、冷めた拍手を送った。

「な、舐めてんのかぁ!!」

まぁそうなるか。
俺にとってはどうでもいいことなんだが………

「その話よく分かった!」
「後は私らにお任せや!」

俺がその声の方を見ると、何故かベランダから侵入してきた二人、零治とはやてがいた。

「話は大体聞いた。要するにどっちが人気があるか決めたいんだよな?バカ」
「ああ、そうだとも。って誰がバカだ!」
「なら私たちにお任せや。三日後までに私たちがこの学校の女子からアンケートを取るさかい。その結果で多かった方の勝ちでええな?バカ」

「ああ、望むところだ!って何でバカ?」
「なら、まず写真を撮ろう。その写真でどっちがいいか決めてもらうから」

そう言って零治は自分の携帯を取り出した。

「よし行くぞバカ」
「よし来い!」

何故か分からないが俺の意見を聞かずに話が進んでしまった。
神崎はノリノリで写真を撮られている。

「じゃあ次は桐谷。えっとそのままでいいや」

パシャっと勝手に撮って勝手に終わりやがった。

「よし、これで良し。はやて」
「分かっとる、早速行動開始やな。私は1年生から聞いてくで」

「なら俺は3年生だ」

そう勝手に言って走って教室を出ていく二人。

「ふん、三日後を楽しみにしてるんだな」

ハーハッハーと笑い声を上げながら神崎も教室を出ていった。




「ということで手伝ってくれ」

そう言った俺の腹にアリサと加奈のボディブローが貫く。
シンクロ率高ぇな………

「アンタたち馬鹿じゃないの!?テスト一週間前でしょ!!」
「そうよ!!何考えてるのよ!!」

「まぁ待ってな」

そうだ相棒、言ってやってくれ!

「一週間前からやって何になるって言うねん!!学生なら一夜漬けに決まっとるやないか!!」

相棒、違う!!

「それに、これで桐谷君が勝てば、あのバカも身の程が分かって、少しは静かになるかもしれへんやろ?」

多分それは無いな。好感度を上げるために奮闘しそうだもん。

「それは………」

「そうかも………」

「すずかちゃんはなのはちゃんとフェイトちゃんの勉強を見ていないといけないから手が離せないのや。お願いや!手伝ってください!!」

「「はやて………」」

はやての必死さに二人も押し黙っている。

よし、相棒ナイスだ!!

「………なぜそこまでするの?」

加奈、なんていい質問。
これなら。

「……………決まってるやん。おもろいからやー!!!」

って違うだろ!!!
何でそこで本音が出るんだよ!?
みんなのためでいいじゃねぇか!!

「頼む、この通りや!!」

今更頭下げても………

「「いいわけないでしょうが!!」」

二人から拳骨をもらうはやて。
相棒………
あの後、賄賂でなんとか協力してもらいました………






「へぇ、面白いことやっているじゃない」

今、俺が話しているのは生徒会長の水無月楓先輩だ。カチューシャを着け、足まで届きそうな黒いロングヘアーが特徴の女性だ。
3年生に聞いているときに興味を持たれ話していた。

「やっぱ先輩もこの2人を?」

「ええ、やっぱり3年でも人気が高いわよ。…………ねぇ零治君?」

「はい?」

「私も協力してもいいかしら?」

「……………いいんですか?俺的にはありがたい申し出なんですけど、先輩3年ですし………」

「こんな面白そうなこと、やらなきゃダメでしょ!!その日の昼休み、結果発表は体育館でやりましょ。この結果を全校生徒にも聞けるように放送を流して…………」

俺はこの後、水無月先輩と3日後について話し合った………






当日………………

「どうしてこうなった………」

いつの間にか話が大きくなっていたらしく、二日目にはポスターまであった。
何故か生徒会公認になっていたし、会場が体育館になっていた。

「フフフ、今日は眠れたかい?加藤君」

「ああ、たっぷりと」

皮肉のつもりだろうが、俺にとってはこんなことどうでもいい。
今、俺たちは体育館のステージの上に立っている。
ステージ下には暇を持て余した生徒が大多数。
零治、覚えてろよ…………

『さぁ始まりました!!緊急企画!!神崎大悟vs加藤桐谷どっちの方が人気があるでしょうかイケメン対決~!!進行は2-A有栖零治と………』

『2-Aの八神はやてでお送りします!!』

あの二人………

『さぁてはやてさん、この二人の人気、本当に凄いですよね』

『そうですね。特に加藤君なんてまだ転校してきたばかりなのにほとんどの人が知っていました。流石イケメン』

『本当にどっちが勝つか分からない戦いです。果たして勝利し、聖祥1のイケメンの栄光を手にするのはどちらか!?…………それでは早速参りましょう、はやてさん』

『はい、了解しました。まずは一年生』

そうはやてが言うと、後ろからスクリーンが下りてきた。

『結果は…………………こうなりました!!』

ダダンッと効果音が鳴り響き、結果が映し出された。

神崎大悟  加藤桐谷
 58    45

『おおーっと!?一年生から人気があったのは神崎大悟だぁー!!』

「よっしゃぁああああああ!!」

かなり大きいガッツポーズする神崎。

そんなに嬉しいか。

しかし、零治の野郎………
普段静かにしてるくせに、悪ノリすると本当に止まらなくなるな………

少しは自重しろっての!!

『はやてさん、一年生からのコメントをいくつかお願いします』

『了解です。「神崎先輩の笑顔が素敵です」「気軽に話しかけてくれて優しかったです」などがありました。いやぁ本当に人気がありますねぇ………さてここからは駄目なコメントです。「いやらしい目で見られている気がする」「すぐ、頭や手を握ろうとするところが嫌だ」このようなコメントがありました』

『さて、加藤桐谷のコメントは自分が………「クールな所が素敵です」「座って本を読んでいるところが絵になる」などのコメントをいただきました。なるほど、さっきとは違い、雰囲気が良いと言う方が多いですね。続いて駄目なコメントを。「何か恐い感じがした」「話しかけづらい」おっと加藤君はとっつきづらいんですかね?恐いや話しかけづらいとのコメントが多かったです。それがこの結果になったか!?』

余計なお世話だ。

『さて次は3年生だぁ~!!さぁどんどん行きましょう!!有栖君お願いします』

『了解です。結果は………………こうなりました!!』

ダダンッとさっきと同じように結果が写し出された。

神崎大悟 加藤桐谷
 48   57

『今度は桐谷君の勝利です!!これで勝負は分からなくなりました!!それでは有栖君コメントよろしく~!!』

はやても随分テンションが高いこと………

『分かりました!!さて同じくコメントを見てみましょう………まずは加藤桐谷から。「クールで大人っぽい雰囲気が良い」「年下とは思えない」などのコメントをいただきました。続いて駄目なコメントですが…………特にありませんでした。3年生には大人の雰囲気がとても人気があったようです!!』

そういえば転生前も年上からの告白が多かったような………

『続いて私が神崎君のコメントを………「話しやすいのが良い」「あっちから気軽に話しかけてきてくれる」などがありました。話しやすいのがプラスになっていたようです。続いて駄目なコメントを「年上に馴れ馴れし過ぎ」「誰にでも声をかけていて軽そう」などがありました。先輩にはしっかりした対応をしなければいけませんね』

「ちっ、あまりに馴れ馴れしすぎたか………」

こいつはこの勝負に本当にかけてるな………
頑張れ神崎。

『さて、いよいよ最後です!!果たして同級生の評価はどうなっているのでしょうか!?』

『これは私も投票しております。では発表したいと思います』

ダラララララとお馴染みの効果音が流れる。

『2年生の結果は………………こうだ!!』

零治がスクリーンを指差し、スクリーンに結果が写った。

神崎大悟 加藤桐谷
 18   74

ああ、神崎の奴固まってるな。

『圧倒的だぁ~!!!!』

はやての今日一番の声にそこにいた神崎が我に返った。

「馬鹿な!?ありえない!!同級生はほとんど攻略したはずだ!!」

ゲーム感覚かお前は。

『神崎君、静かにしてください。ではまず加藤君からコメントを読みたいと思います………「加藤君の年上の雰囲気が良い」「神崎よりマシ」…………………えっと………やっぱり年上の雰囲気が好きな方が多いらしいですね!!では有栖君、神崎君のコメントをどうぞ』

はやてもストレートすぎて、少し戸惑ってたな。
俺も驚いたけど………

『はい了解しました。では……………………………えっと………』

『有栖君?どうしました?』

『あ、では読みますね。「目がいやらしい」「変態」「女たらし」などがほとんどです…………えっとドンマイ』

…………ドンマイ。

「ま、待ってくれ、良いコメントもあるはずだ!!」

勇気あるなぁ………せっかく零治が気を利かせたのに自分からほじくりかえすなんて………

『それが…………ないんです』

「嘘付け!!だったら俺は0票だろ!?」

『それは「加藤君が恐いからまだ神崎君の方がマシとの意見がほとんどです』

そう聞き、神崎は固まった。
これは………どうしようもないな。

『ということで神崎大悟vs加藤桐谷のイケメン対決は加藤桐谷君の勝利です!!』

はやてが多少無理やりしめた。

『勝利者の加藤君一言どうぞ』

どうぞじゃねぇよ零治………

「えっと…………勝ちました。投票ありがとうございます」

そう言って俺はマイクを零治に返した。

『どうもありがとうございました!!これにて終了とさせていただきます。協力してくださった皆さんありがとうございました』

零治が締め、この企画は終了となった……………






「良かったよ、零治君、はやてさん」

「どうもっス先輩」

「ありがとうございます」

舞台裏、企画が終わり、俺達は会長と話していた。

「でね、早速だけど次はこんな企画をやろうと思ってるんだけど………」

「へぇ、面白そうじゃないですか」

「わ、私もですか?」

「そうよ。あなたも男子から人気あるんだから」

「俺は構わないですけどいつやるんです?」

「うーん、私的には期末が終わってからにしようかなと思ってるんだ。そうしたほうが盛り上がるでしょ」

「なるほど、俺はOKですよ。今回協力してもらいましたし、協力します」

「はやてさんは?」

「私も大丈夫です。私も出るのはちょっと気が引けますけど………」

「いいのいいの。はやてさんは綺麗なんだからもっと自信を持ちなさい!じゃ時期が近くなったら呼びに行くわ」

「はい分かりました」

「じゃ、今日はありがとね」

そう言って会長は行ってしまった。

「ああ~疲れた」

「零治君、普通にみんなの前で話したりするの平気やったね」

「そう言うはやてこそ」

「私は仕事柄人前で話すのには慣れてんよ」

「そうだったな」

「ねぇ、零治君…………」

「何だ?」

「私ってそんなに綺麗かなぁ?」

「普通に綺麗だろ」

俺の言葉に驚くはやて。

「何かおかしいか?」

「いや、真顔で言われたんでつい………」

「普通に男子の8割がそう言うと思うぞ」

「お、おおきにな………」

?何か様子がおかしいような………

キンコーンカンコーン

「やばっチャイムが!!はやて、さっきのこと内緒な」

「あ、うん」

「ほら、急ぐぞ!!」

「待ってな零治君!!」

俺たちは走って教室に戻るのだった。

だが、その後桐谷にどつかれ、午後の授業は保健室で過ごすこととなった…………







「なぜ……………」

俺は一人、便器に座って今日の事を考えていた。

「完全勝利のはずなのに………」

なぜ、負けたんだ?
ニコポなど完璧だったはず。
なのに……………

「ありえない………こんなことはありえない!!」

俺は便器から立ち上がり一人の男を思い浮かべた。

「あいつのせいだ…………あいつの………」

司会をしていた、なのは達を脅している元凶。

「おのれ…………俺は決してこんなことではくじけないからな………」

零治に復讐を誓う神崎だった。 
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