魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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第28話 八神家のお好み焼きパーティー
零治達が翠屋に向かっているころ………
「ただいま~」
勢いよく私は家のドアを開けた。
「おかえりなさい、はやてちゃん」
家から私を出迎えてくれたんは我が家のお姉さん、シャマルや。
「はやてちゃ~ん!!」
小さい女の子が私の胸に飛び込んできた。
「リイン、ただいま。いい子にしとったか?」
「はいです。リインはいい子にしてたです」
リインは初代リインフォースが残してくれた欠片から生まれた融合騎や。
「いい子や。っとシャマル、頼んどいた事は?」
「言われたとおりキャベツは刻んでおいたわ。別にお好み焼きぐらい私が………」
「ヴィータ~。シャマル、余計なことしてへんやろうな?」
「お~はやて、おかえり。ちゃんと見てたから大丈夫だぞ」
私に返事した女の子は鉄槌の騎士ヴィータ。私の料理が大好きな小さい女の子や。
でも良かったわ、せっかくのパーティが台無しになるとこやった。
「ううっ、大丈夫なのに………」
信じられへんよ。今までの行いやとな。
「主はやて、おかえりなさい」
「ああ、ただいまシグナム」
私に声かけたんは、巨乳の元ニートざm………ヴォルケンリッターの将シグナムや。
そんな睨まんといてな………
「いつもより帰りが早かったですね。どうしたのですか?」
「今日こそお好み焼きパーティをせなアカンと思って、早く帰って準備しにきたんや」
「そうですか、ありがとうございます。我々のために………」
「いいんやって、零治君に教えてもらったスーパーが異常に安かったからや。たまにはみんなでパァーっと行こうや」
「主はやて…………何か手伝うことありますか?」
「大丈夫や、シャマルもおるし。休みも少ないんやからのんびりしててな」
「リインも手伝います~」
「ありがとな。リインも手伝ってくれるから大丈夫や」
「はい、ではお言葉に甘えさせていただきます」
そう言ってシグナムはリビングのソファーに座った。
「主」
「ああ、ザフィーラただいま。ちゃんとザフィーラのご飯も買ってきたんや」
そう言ってはやては台所に置いてあったある物を持ってくる。
「あ、主…………」
「最高級ドックフードや!!パーティなんだしパァーっといったで!!」
「あ、ありがとうございます………」
それ以上ザフィーラは何も言わなくなった。
嬉しすぎて言葉にでえへんのかな…………
「よし、なら早う準備しよかシャマル、リイン」
「分かりました。私は何をすればいい?」
「取り敢えず山芋すってもらってええか?なるべく細かくな。それ以外はなんにも触らんといてな」
「はやてちゃん、私は?」
「リインは私の手伝いな」
「了解です」
「…………それだけですか?」
不満なのかシャマルが聞いてくる。
「それ以外は私が見てへんと信用出来へんわ」
「うう…………いつになったら認められるんだろう………」
「一生ないんじゃないのか?」
「そんなことないもん!!ヴィータの意地悪~!!!」
そう言い残してシャマルは自分の部屋に行ってしまった。
「ヴィータ、余計な事言っちゃいかんよ」
「でもさぁ~あたしはシャマルの料理なんて食べたくねぇもん」
「まぁ私もやけど」
ホンマいつになったらちゃんと料理作れるようになるんやろう………
「まぁええわ、リインさっさと作ろ」
「はいです」
はやてとリインはまた手を動かし始めた。
「さぁ、みんな集合や!!!」
ホットプレートを机に置き、堂々と宣言する。
「「「「おおっ!!」」」」
「今日は四種類用意したんや。海鮮、豚肉、チーズ、そして、奮発して明太子や!!」
「「「「おおおおっ!!」」」」
「なのになぜドックフード………」
ガリガリとドックフードをむさぼるザフィーラ。
明らかに5人と違う雰囲気を出している。
だが、5人には気づいてもらえることはなかった……………
「さぁ~て焼けたで」
ホットプレートからの香ばしい香りがリビングを包む。
「まず、海鮮は誰が食べるんや?」
「では、私が」
シグナムの返事にはやてが焼けた海鮮のお好み焼きをとってあげた。
「ありがとうございます、主」
「あたしは明太子~!!」
「はいはい、どうぞ」
「サンキューはやて」
嬉しそうにヴィータがお好み焼きを受け取る。
「はやてちゃん、私のは?」
「リインは私と一緒な」
「はいです」
リインの声を聞いてから食べているみんなを見た。
「ホフホフ」
「ヴィータ、頬にソースがついてるで」
はやてはフキンでヴィータの頬を拭いてあげる。
「ありがと、はやて」
ヴィータカワええなぁ………
「あっ、熱いです!!」
「リイン、そんなに急いで食べちゃだめやで」
「はやてちゃん、私はチーズをもらいますね」
「どうぞ、シャマル」
いい具合に焼けて旨そうや。
「はやて、次は豚肉がいい」
「そんな焦らんといて、もうすぐやから」
「フフ、ヴィーダ美味しいか?」
「ああ、ギガウマだぜ!そう言うシグナムは?」
「エビがプリプリなのが最高だな。今度は明太子を食べてみたいな」
「リインはチーズです」
「もう少し待ってな」
「いえ、別にあおった訳では………」
「焼けたで!ヴィータとシグナムどうぞ」
「ありがとうございます、主はやて」
「サンキュー!!」
「リインも」
「ありがとです~」
来たお好み焼きをがっつく3人。
「もう、ヴィータもシグナムもリインも落ち着きないんだから………」
「いいやないか。こういうの久しぶりやから私も楽しいわ」
「そうね、最近はなかなか全員揃って食べられなかったですから」
シャマルの言葉に私も頷く。
みんな頑張ってるからなぁ。
やっぱ家族はいいもんや。
「さあまだまだあるで!!みんなたんと食べてな!!」
5人はこのあともお好み焼きを堪能した。
「主……………」
一匹を除いて………………
「でな、みんなに話したいことがあるんや」
片付けを終わらせみんな落ち着いた所ではやてが切り出した。
「闇の書の後に起きた事件覚えておるか?」
「確か、我らの分身………闇の残滓から生まれた者が起こした事件ですよね?」
「ああ、そうやシグナム。その生まれた私のそっくりさんが生きてたんや」
それを聞いて驚く3人と1匹。
「はやてちゃん、なんのことですか?」
「リインはまだ生まれてへんかったから分からへんよな………」
「リイン、闇の書の事件があった後にこんなことが…………」
ヴィータがリインに説明を始めた。
「そんなことがあったですかぁ~」
「そうなんだよ………ってはやて!!」
リインに説明していたヴィータがいきなり大声をあげた。
「大丈夫だったのかよはやて!!襲われたり………」
「大丈夫やヴィータ。彼女らは普通の人間として自分の家族と幸せに過ごしとるよ」
「人間ってどういう事なの?」
「詳しくは分からへんのやシャマル。でも敵意も無いし、魔力を完全に隠して隣町の中学校にも通っとる普通の女の子や。そのせいか、今までずっと海鳴市に住んどった私たちにも気づかれなかったんや。だがら、もし見かけても襲いかからんでいてな」
「了解です」
「あたしも分かったよはやて」
「私も大丈夫よ」
「私もOKなのです」
「ならOKや。あっちの都合がよかったら家に呼ぼうと思ってるん。そんときは仲良くしてな」
それに頷く八神一家。
「みんな楽しみにしててな」
そこで話も終わり、はやてはシャマルに洗い物を頼み、ヴィータとゲームで戦っていた。
『そうか、はやての家族も理解してくれたんだな』
「そうや、ライちゃんとヴィータなんか結構気が合うと思うで」
『でも本当に良かったよ。なのは達の時もそうだけど、襲われたことにもっと怒りを持っているのかと思ってたから………』
今、私は零治君に電話で会話しとる。
内容はご飯後に話した夜美ちゃんのことや。
「そんな子達や無いよ。みんな優しい子達や」
『そうか………いい家族だな』
「お互い様や。そんなの零治君だってそうやろ?」
『ああ、そうだな。…………お互い幸せ者だよな』
「どうしたんや?急に………」
『なのはから聞いた。はやての家族って夜天の書の守護騎士ってプログラムなんだろ?』
「そうやけど…………それが?」
『俺も家族がいなくて、星達が来るまで一人であそこに住んでたからな』
「でも妹もおるし、シャイデ先生もいたやんか」
『妹はともかく、シャイデは俺の保護者になってくれてるが、最初はあんなにフレンドリーな関係じゃなかったんだよ』
「そうなんか!?いつもの様子を見てると信じられへんわ………」
『まぁいつもの様子を見ればな………ともかく!!俺はずっと一人だったんだよ。だからな、俺ははやてには感謝してるんだ』
「何をや?」
『はやてが夜天の書の所有者にならなかったら俺は星達に出会うことはなかったからな。本当にありがとう』
「な、何言ってんねん!!いつもの零治君らしくないで?」
『そうだな、ちょっと感傷に浸っちゃったかな。明日も学校があるし、これくらいにするか』
「そうやな」
『はやて、お互い家族を大事にしような。たとえ血がつながっていなくても』
「そうやな。今度みんなで家に遊びにきてな。歓迎するで!』
『ああ、話しておくよ。それじゃあまた明日』
「明日な」
そう言って私は電話を切った。
「零治君、私と同じやったんやな………」
私と同じ、家族がいない。加奈ちゃんがいるけど、家庭が複雑みたいや。
「初めて、夜天の書の主で感謝されたな………」
闇の書として色々と罪を重ねてきた夜天の書。
その罪滅しでシグナム達は一生懸命頑張っとる。
「リインフォース、良かったな。初めて感謝されたで。私はもっと頑張るからな。だから私達を見守ってな………」
はやては今はいない6人目の家族の事を思い、眠りにつくのだった…………
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