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ドリトル先生の水族館

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第一幕その十一

「考える時に使う言葉が違うとね」
「日本語を使う場合と英語を使う場合」
「それでなんだ」
「同じ欧州の言葉でもフランス語やドイツ語、イタリア語でもそうだし」
 さらにお話する先生でした。
「中国語でもそうだよ」
「ええと、同じことを考えていても」
「それでも何かあるの?」
「考える時に使う言葉が違うと」
「それで」
「結論が違ったりするんだ」
 導き出されるそれがです。
「僕が同じことを考えてもね」
「へえ、先生が考えても?」
「同じ人が」
「それでも考える時に使う言葉が違うと」
「出る結論も違ったりするんだ」
「そうなんだ」
「そうなったりするんだよ」
 そうなってしまうこともです、先生は皆にお話しました。
「不思議だよね」
「うん、かなりね」
「同じことを同じ人が考えてもなんだ」
「出る答えが違ったりするんだ」
「考える時に使う言葉が違うと」
「そうなるよ。文字や単語、文章が違うからね」
 それぞれの言語で、です。
「そうなってしまうんだ」
「じゃあ英語を使う時の先生と日本語を使う時の先生は違うの?」
「先生は色々な言葉喋れるし書けるけれど」
「僕達の言葉もね」
「それが出来る人だけれど」
「いや、僕は僕だよ」
 先生は先生だというのです。
「このことは変わらないよ」
「先生であることはなんだ」
「一緒なのね」
「そうだよ、また言うけれど」
 先生は動物の皆に温和な笑顔で言いました。
「僕は僕だから」
「そのことは変わらないんだね」
「出される結論は違っていても」
「それでもなんだ」
「先生は先生なんだ」
「そうだよ、使う言葉や出す結論は違っていても」
 それでもというのです。
「僕は僕であることは変わらないよ」
「そういうものなんだね」
「そこは」
「一緒なんだ」
「変わらないんだね」
「僕であることは一緒だからね」
 先生の温和な笑顔はそのままでした。
「安心してくれてね」
「うん、それじゃあね」
「そのことは安心するね」
「先生は先生だってことは」
「そういうことでね、じゃあ今回はこの論文を書いて」
 そしてというのです、実際に書きながら。
「午後の講義も出て書き終わったらね」
「あれっ、一日で書けるの」
「そうなの」
「うん、調子がいいから」 
 書くそれがというのです、つまり筆が進んでいるのです。
「今日中に終われそうだよ」
「そういえば先生元々書くのは速いよね」
「読むこともだけれど」
「そうしたことはね」
「速いよね」
「だからね、今日中に書けそうだよ」
 先生は確かにスポーツはしませんし不得意です、ですがものを書いたり本を読むことはかなり速いのです。 
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