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ドリトル先生の水族館

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第一幕その十

「それにね」
「ああ、日本のお料理だよね」
「先生最近そのお料理よく食べるよね」
「うん、鯖って美味しいね」
 先生はにこりと笑って皆にこう返しました。
「だからね」
「今日はそれなんだね」
「鯖味噌なんだね」
「そのつもりだよ。この学園の食堂は美味しいし」
 それにというのです。
「ボリュームもあるしね」
「沢山食べるのはいいけれどね」
「栄養バランスには気をつけてね」
「あとカロリーは過度に摂らない」
「糖分や塩分もね」
 そのどちらもというのです。
「色々と気をつけて」
「食べてね」
「僕達がいない時も」
「そうしてね」
「そうしているつもりだよ。じゃあこのお茶を飲んだら」 
 先生は今飲んでいるミルクティーの味を楽しみつつ述べました。
「講義に行って来るよ」
「お仕事だね」
「そっちも頑張ってね」
「論文を書く方だけじゃなくて」
「そちらもね」
「そうしてくるよ。さて」
 ここまでお話してでした、そのうえで。
 先生はお茶を飲んで実際に講義に出ました、そしてお昼の鯖味噌定食を食べ終えてからご自身の研究室に戻ってです。
 また論文を書きはじめました、今度の論文はといいますと。
「英語の論文だよ」
「英語自体の?」
「それの?」
「うん、現代英語と十六世紀の英語の比較をね」
 そのことについての論文だとです、動物の皆に答えます。
「テーマにしているんだ」
「今度は英語なんだ」
「つまり語学だね」
「先生語学にも興味があるから」
「だから書いてるんだね」
「そうなんだ、今度はね」
 パソコンのワードパッドに文章を書き込みながらです、先生は動物の皆に答えます。
「それを書いているよ。それとね」
「それと?」
「それとっていうと」
「まだあるの?」
「うん、今回は英語で書いているけれど」
 見ればそうでした、画面に書き込まれている文字はアルファベットです。そして単語や文章も英語のものです。
「英語も使わないとね」
「忘れるんだ」
「先生最近ずっと日本語の文章書いてるけれど」
「日本語ばかり使ってると」
「英語を忘れてしまうんだ」
「そうなるんだ、他の言葉も同じでね」
 英語だけでなく、というのです。
「使っていないと忘れるんだ」
「書いたり喋ったりしていないと」
「どうしてもなんだ」
「忘れてしまうんだ」
「そうなんだ、頭の中で考える時に使うこともしないと」
 書いたり喋ったりする以外にもです。
「忘れるんだ」
「先生ずっと英語で考えてたよね」
「イギリスに生まれ育ったし」
「それで英語で考えてたんだね」
「日本に来るまで」
「うん、今は日本語で考えることの方が多いよ」
 そうなっているというのです、今の先生は。
「日本に来て凄く馴染んだせいでね」
「けれど時々でもだね」
「英語でものを考えないと」
「英語を忘れてしまう」
「そうなるんだ」
「うん、あと同じことを考えても」
 ここで先生は皆にこうしたこともお話しました。 
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