イナズマイレブン~クロスライジング~
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武方3兄弟
前書き
お待たせしました!
《な…なんという結末だぁぁぁ!!キックオフからまだ10分だというのに、カリビアン中に負傷者が続出!試合放棄せざるを得なくなったぁぁ!!》
とどまるところを知らない世宇子中驚異の快進撃が繰り広げられていた。あまりにも次元の違いすぎるその実力であらゆる強豪校をいともたやすく血祭りにあげ、準決勝ですらも10分経たずに試合を終わらせていた。
「フン…世宇子中か、面白いチームじゃん」
「ま、僕らにかかれば一ひねりだけどね」
「誰にも俺達は止められない、今年こそ俺たち木戸川清修が全国一の栄光を掴むんだ!」
そんな世宇子中の試合を見ながら、スタンドで不敵に微笑む謎の3人組の姿があった。
──────────
「円堂は守備の確認を徹底してくれ、相手はオフェンス重視で攻めてくるはずだ」
「おお!ディフェンスは忙しくなりそうだな、燃えてきたぜ!」
「こちらの攻撃はカウンター主体になるだろうな…豪炎寺、雷藤、攻守の切り替えのタイミングに注意してくれ」
その頃、学校帰りの俺・円堂・豪炎寺・鬼道の4人は、木戸川戦に向けての対策を練っていた。
「了解だ」
「…ああ…」
だが豪炎寺の返事は上の空のような返事でいつもの豪炎寺の感じがしない。
「…よし、作戦会議はいったん休憩だ!来いよ!」
「おい、どこに行く気だ!?」
そんな豪炎寺の心境を感じ取ったのか円堂は思い詰めている豪炎寺の息抜きのために、ちょっとした癒し効果のある場所へと駆け出した。
相変わらず円堂はこういうことによく気がつくよな。
「だ、駄菓子屋…?」
「なんだよ、来たことないのか?」
「あ、ああ…」
円堂がやってきたのはのどかな雰囲気の駄菓子屋だった。
「こんなところまだ残っているんだな、稲妻町には」
「ああ、俺も初めて来た」
「俺も初めて来たよ」
俺もそう呟いていると、円堂はもう駄菓子に夢中になっていた。
「何にしようかなぁ、梅ジャムか…ミルクせんべいも美味そうだな!」
「えんどーちゃん、いよいよ準決勝だね!がんばってね!」
「おお、ありがとうな!」
「子供みたいだな、純粋でまっすぐで…だからサッカーバカになれるのかもしれないな」
「鬼道、純粋サッカーバカは凄いよな…」
「ああ…」
店の中にいた地元のサッカークラブの子供達と仲良く会話する円堂。
そんな光景を見ながら俺や鬼道、豪炎寺も微笑ましく思っていた。
「どけよ!」
「あぁ!?割り込みはいけないんだよ!」
「お前ら!順番守れよな!」
「ん…?」
ところがそんなほのぼのした時間をブチ壊すかのように、店の中から聞こえた殺伐とした声が響いた。
自販機で一服していた俺たちが中を覗くと、そこには3人組の姿があった。
「いーけないんだーいけないんだー!」
「うるせぇ!!」
円堂や子供達の抗議をまるで聞く耳持たない3人組。
「ん…?豪炎寺!久しぶりだな、決勝戦から逃げたツンツン君!」
「く…」
「誰だ…?知り合いか?」
俺がそう豪炎寺に聞くと、豪炎寺は軽く頷いた。
「俺たちは武方…勝!」
「友!」
「努!」
「「「3人合わせて武方3兄弟!!」」」
「お前ら、頭いかれてんのか?」
俺は変なポーズを決め、おばあちゃんを驚かせた、この3兄弟にそう言った。
「な、なんなんだよこいつら?」
円堂がそう聞くと、鬼道が即座に答えた。
「そいつらは去年豪炎寺の代わりに決勝に出場した、木戸川清修のスリートップだよ」
「さすがは鬼道有人、有力選手のデータは全てインプットされてるみたいだな」
「3つ子のFWが珍しかったから覚えていただけだ」
「ぷっ…!鬼道なかなかお前、えぐいな!」
俺は思わず笑ってしまった。
だって対戦したことのある相手だが、3兄弟のFWだから覚えていただけで、ほぼ無視みたいな言い方だったからな。
「なにィ!?今年の俺たちの活躍を知らないのか!」
「まぁ知らないよな」
「ああ知らないな」
俺が最初に言うと、鬼道も知らないなと口を揃えた。
「ま、せっかく挨拶に来たんだしィ、今の豪炎寺クンの力を見てみたいなぁ~みたいな?」
「…悪いがその気はない」
「おやぁ?また逃げるつもりですか?やっぱりお前は臆病者の卑怯者だ!!」
罵倒の言葉を吐きながら、いきなり豪炎寺に向かってボールを蹴とばした3兄弟。
やはりこいつらにとって豪炎寺は、決勝の舞台から逃げ出した裏切者と思われてしまっているようだ。
バシイイイッ!!
「くっそぉ…!もう我慢できない!俺が豪炎寺の代わりに受けて立ってやる!」
「うわ…マジで時代遅れの熱血君て感じ」
「やるのかやらないのか、どっちだ!」
「ふふん、卑怯者の豪炎寺クンと違って俺たちが逃げるわけないっしょ?」
そんな3兄弟のシュートを叩き落として激昂する円堂。仲間をこれほど口汚く罵られて、円堂が黙っているわけがない。
俺も円堂が出なかったら、俺が多分、手を出してしまっていたかもしれないしな。
3兄弟を川原のグラウンドへと連れ出し、3兄弟とシュート1本勝負の対決を行うことになった。
「それじゃあ武方3兄弟の力…見せ付けてやりましょうかァ!!」
そう言うと3兄弟の長男らしき奴が、青い渦を巻ながら、空へ上昇していく。
「こ…これは!?」
「ファイアトルネード!?」
俺がそう言うと、豪炎寺が叫ぶ。
「いいや…!回転が逆だ!!」
「これがファイアトルネードを超えた俺たちの必殺技!バックトルネード!!」
豪炎寺のことを散々言っていたクセに、技が豪炎寺の技のパクリ技なのが余計に腹が立つな。
「爆裂パンチィィィッ!!」
ダダダダダダンンン!!
しかし円堂もそれに負けじと爆裂パンチで応戦する。
「おおおっっ!!」
バシィィィン!!
バックトルネードをパワーで上回り円堂が見事に弾き返した。そしてその時だった。
「「そらそらァーー!!」」
「な…なに!?」
円堂がシュートを防いだその瞬間、それと同時に2発のシュートをドカドカ撃ってきた3兄弟。3発同時に飛んできたシュートなんて防げるわけがない。
「何するんだよ!?」
流石の円堂も叫ぶ。
「はぁーい、ちょっとゴール奪ってみましたみたいな」
「おい待てよ、そんなの止められるわけないだろう!一度に3本同時のシュートなんて!」
俺がそう3兄弟に叫ぶと、何故かニヤッと笑い、話し始めた。
「な~るほど、3本同時では止められませんかぁ?」
「当たり前だ!ボールを3つ使うなんて、そんなのサッカーじゃない!」
円堂がそう叫ぶと、3兄弟は不適な笑みを浮かべ言った。
「それじゃあ1本なら止められるわけだな?くくくく…」
ボールを1つにして勝負を仕切り直す3兄弟。
「「「見せてやるぜ!武方3兄弟最強の必殺技を!!トライアングル!Zォォォッ!!」」」
長男から3男への高速パス、さらに3男から次男への高速パス、そして次男が長男に乗ってシュートを決めるというトライアングルZという技だ。
「爆裂パンチィィィッ!!」
バッチイイイイッ!!
「ぐおっ!?があああーっ!!」
そのトライアングルZは爆裂パンチをも寄せ付けない恐るべき破壊力を秘めていた。パンチの連打を撃つ暇もなく、円堂の体ごと吹っ飛ばされてゴールを許してしまった。
これほどの威力となるとゴッドハンドでも防げたかどうかわからないな。
「あ~れれれれェ!?ボール1個なのに止められないってアリ!?」
「これでハッキリしましたねぇ、準決勝は僕達の勝ちです」
「世宇子中を倒して全国一になるのは…」
「「「俺たち武方3兄弟の木戸川清修だ!!」」」
「何をやっとるんだお前達!!」
円堂からゴールを奪った3兄弟が調子に乗っていると、そこに騒ぎを聞きつけた木戸川の監督達が登場した。
「サッカー選手ならば試合で正々堂々と戦え!!」
「「「わ、わかりました!!」」」
「お前達は先に帰ってろ!」
「「「は、はい!」」」
「二階堂監督…!」
「久しぶりだなぁ豪炎寺、フットボールフロンティアでの活躍は見ている。元気にサッカーを続けているようでよかった、がんばれよ!」
「ありがとうございます」
久々に顔を合わせた恩師に挨拶を交わす豪炎寺。
この監督は3兄弟とは違って、豪炎寺のよき理解者みたいだな。
そんなとき、雷門イレブンのみんなが集まってきていた。
そして一之瀬が何故か相手の監督と一緒に来ていた、木戸川の選手に向かい走り出した。
「西垣…!?西垣!驚いた、こんな所で会えるなんて!」
「…?い、一之瀬!?一之瀬か!?ど、どうなってるんだ一体!?土門!秋!な、なんだよ俺は、タイムスリップしちゃったのか!?」
「まさかトライペガサスの3人目か?」
俺がそう一之瀬に聞くと、笑顔で頷いた。
西垣のことは一之瀬だけでなく、もちろん土門や秋もよく知っている仲。久々に再会した4人は、敵味方のことも忘れて日が暮れるまで語り合うのだった。
「そうかぁ、それで一之瀬は雷門中に…とにかく一之瀬がまたサッカーに戻ってきてくれて、俺嬉しいよ!」
「西垣君はいつから木戸川清修に?豪炎寺君からは名前を聞いたことなかったけど」
「今年だよ!親の転勤でね」
「でも不思議なもんだなぁ、バラバラになったアメリカ時代の仲間がもう一度出会うなんてさ!」
「サッカーの神様が、どこかでちゃんと見てるのさ!」
「でも不公平な話だよなぁ、俺だけ違うチームで君たちと戦わなくちゃならない。でも負けないぜ!3対1だけどな!」
「ああ、がんばろうな!」
爽やかにお互いの健闘を誓い合う一之瀬たち。久々に会えたことがよほど嬉しいんだろう。
─────────
その日、俺たちは雷雷軒で食事を取りながら、次の相手木戸川との作戦を練っていた。
「問題は、あのパワーとスピードをどう阻止するかだが…」
鬼道がそう呟いた。
「トライアングルZか…」
円堂も爆裂パンチがいとも簡単に破られたことで、少し眉間にシワを寄せながら呟いた。
「あんな凄い技見たことないな」
風丸もそう呟く。
「今まで対戦した中でも最強のシュートじゃないか?」
俺がそう鬼道に言うと鬼道は
「ああ、単純なパワーの比較なら、帝国のデスゾーンより強力かもしれない」
と言う。
あのデスゾーンより強力かも知れないなんて…。
「大丈夫!今日は初めてだったから驚いただけさ、試合では絶対に止めてみせる!」
「本当に出来るのか?」
「根拠は…?」
「死にもの狂いで練習する!」
「も、もの凄く単純な理論だな…」
俺はそう呟きながら、思わず椅子から落ちてしまった。まさかそこまで単純な答えと思っていなかったからな。
「円堂の言うことも間違っているわけじゃないぞ、サッカーの中で絶対に嘘をつかないものが一つだけある。練習だ、練習で得たものしか試合には出てこない」
監督がそう言うと
「確かにそれは正論ですね」
鬼道も頷き、最後に円堂の声が響いた。
「よぉーし!明日から特訓だ!」
─────────
翌日、俺たちはイナビカリ修練場で特訓をしていた。
「まだまだ!もっともっとパワーを上げろ!」
「む、無茶ですよキャプテン!」
「無茶を乗り越えなきゃ木戸川清修には勝てないんだ!」
そしてイナビカリ修練場で特訓を始めた円堂…。
なんかハチャメチャなガトリング砲から出てくる、高速ボールを止めるトレーニングみたいだ。
そして俺たちは木戸川戦に向けて、イナビカリ修練場での特訓を開始した。
そして木戸川戦…、準決勝当日になった。
後書き
雷藤「ついに木戸川戦か…」
円堂「ああ!今度こそ止めてみせる!」
雷藤「円堂なら止められるさ!俺たちもいるしな!」
円堂「ゴールは任せろ!」
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