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戦国異伝

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第二百二十四話 帝との話その六

「どうやら」
「神武帝の頃よりまつろわぬ者はいましたが」
「しかし朝廷により服させられ」
「大きな力にはなっていませんでした」
「鬼や土蜘蛛がいても」
「いずれも小さなものでした」
「天下を大きく乱すものではありませんでした」
 信長もこのことを話した。
「どれも。しかし」
「その者達とは違い」
「実はこの者達が実は天下の裏、闇にいてです」
 そしてというのだ。
「天下を乱そうとしているのではないか」
「そう思われますか」
「はい、ですから」82
 それでというのだ。
「それがしここはです」
「その者達をですか」
「確かめ確かにです」
「討つ」
「そうします」
「実はです」
 帝は信長の話、確かな顔でのそれをここまで聞かれてだった。そのうえでだった。
 確かな顔になられてだ、こう言われた。
「右大臣には天下統一の功によりです」
「はい」
「関白、太政大臣、征夷大将軍のどれか。若しくはそのうちの二つをと考えていましたが」
「願ってもない申し出、ですが」
 信長は言った。
「しかし」
「それはですね」
「その者達の姿をしかと見、討つことが全て整い」
「確かに討てる様になってからですか」
「帝が授けられるならば」 
 まさにだ、その時にというのだ。
「喜んで受けさせて頂きます」
「わかりました、ではその時に」
「お受け致します」
「ではその様に」
「そしてそれがしに考えがあります」
「その者達に対しての」
「どうやらこの者達そう簡単には姿を現しませぬ」
 その正体をというのだ。
「ですから」
「出させますか」
「はい」
 まさにというのだ。
「その考えです」
「そしてその為の策は」
「少し煽ろうと思っています」
「煽るとは」
「はい、それがし今は右大臣ですが」
 信長は帝にこの今の自分自身の官位のことを話した。
「これを辞したいのです」
「右大臣からですか」
「そして今はどの官位、役職もです」
「受けられぬと」
「将軍も大臣もです」
 そのどれもというのだ。
「無位無冠となりたいのですが」
「何と、天下を治められる方がですか」
「これは有り得ませぬな」
「とても」
 帝は信長のその言葉を驚きの顔で受けられ答えられた。
「ありません」
「そうですな、有り得ぬことだからこそ」
「それを見た誰もが驚き」
「いぶかしむでしょう」
「それで煽ってですか」
「さらに煽ります」
 もう一つ手を打つというのだ。
「ここは」
「その煽り方は」
「御所の傍で馬揃えをしたいのですが」
「馬揃えをですか」
「天下を護る軍勢をお見せします」
「朕と公卿に」
 帝も言われた。
「右大臣の軍勢を見せてくれますか」
「はい、そしてその者達に」
「織田家の力を見せるのですね」
「そうします、天下の名のある武家を全て集めます」
「それは大きいですね」
「如何でしょうか」
 ここまで話してだ、信長は帝に問うた。 
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