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英雄伝説~西風の絶剣~

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第9話 猟兵と騎士

 
前書き
 

 
seid:リィン


「ラウラ!!」


 どうしよう、僕達が猟兵だって事がラウラに知られてしまった。まさかラウラがいたなんて……もう少し警戒しておくべきだった!


「リィン、どうしよう、わたしのせいで……」


 フィーは瞳に涙を浮かべながら不安そうに僕を見る。


 僕はフィーの頭を撫でる。くっ、僕は馬鹿か、これじゃエレナの時と同じじゃないか!あの時だってそうだ、ちゃんと正直に話していたら……勇気を出せていたら彼女を助けれたかもしれなかった。
 終わってしまった事を悔やんでも過去には戻れないのは理解している、僕は今だって後悔している。なのに僕はまた……!


「リィン、わたし、ラウラのこと友達になれたと思ってた。でももう嫌われちゃったのかな?わたし、ラウラに嫉妬してたの、リィンと同じぐらいの強さを持っていて貴方と分かり合ってたラウラが羨ましかったの……そんなことを考えてたから罰が当たっちゃったのかな?」
「フィー……」


 ずっと西風の旅団の皆にしか心を開かなかったフィーが初めて他の人間に心を開いた、そのことに僕は嬉しく思いながら悔しさを感じた。
 フィーとラウラ、二人を傷つけてしまったからだ。大事な妹を泣かせて何が兄だ……!こんなんじゃ…兄なんて名乗れないよ!


「フィー、とにかくラウラを探そう。猟兵だってことを隠していたことは事実だ、けどこのままじゃお互いが傷ついたままになってしまう」
「……うん」


 良し、とにかく今はラウラを探さないと…僕とフィーはラウラを探しに向かった。



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー



「ラウラ、どこにいるんだ。ラウラー!」


 ラウラを探して屋敷の中を歩く、だがラウラの姿はどこにもなかった。


「駄目だ、どこにもいない」
「使用人の人にもきいたけど見てないって……」


 目撃者も無しか、ということは屋敷の外に出た可能性が高い。よし、一旦外に出て……


「おや、リィンにフィーではないか」


 何処からか声をかけられた僕はちらりと背後を見る、そこにいたのは……


「ヴィクター子爵!」


 ラウラの父にして帝国最強の剣士……出来れば今一番会いたくない相手だった。


「何やら急いでいるようだが、ラウラの姿も見えぬし何かあったのか?」


 ど、どうしよう……相手は帝国領地を治める子爵、僕達は猟兵、普通なら相容れない関係だ。猟兵だってばれたら不味い、勝ち目なんてない。いくら僕達の顔が知られていないとはいえこの人なら簡単に見破ってしまうかも知れない。


「……ふむ、リィン。そなた達、何か隠し事をしていないか?」


 感づかれている!?このままじゃばれるのも時間の問題かも知れないぞ……


(リィン、どうしよう……)


 フィーが不安げな表情でこっそり話しかけてきた。


(……こうなったら正直に話そう)
(!?ッ、でもそれは……)


 フィーが驚いた表情を浮かべた、普通ならこの状況で自分から正体を話すのはありえないだろう。でも相手は光の剣匠だ、下手なごまかしなんて通用しないはずだ。なら下手に警戒されるなら自分から話したほうがいいと思った、最悪フィーだけでも逃がさないと……


 そして僕は子爵に全てを話した。



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


「ふむ、なるほど。事情は把握した」


 僕は子爵に全てを話した、自分達が猟兵だったこと、そのせいでラウラを傷つけてしまったことを。子爵は何か考え込んでいるような様子だ。


「……リィン、私についてきてほしい」
「えっ、いやその……」
「行くぞ」


 子爵はそういい何処かに歩いていく、子爵はどうして僕達を捕らえようとしないんだろう?逃げ出すチャンスだが今逃げようとしても絶対に逃げ切れない、それより素直に子爵について行くほうが無難だろう。
 僕達は子爵の後を追った。



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー



「ここは練武場?」


 子爵の後を追ってたどり着いた場所は練武場だった、こんな所に連れてきて子爵は何をする気だ?


「リィン、いきなりで申し訳ないが今から私と仕合をしてもらう」


 え、僕が光の剣匠と?そ、そんな……


「何を言ってるんですか、僕が貴方と戦える訳が……」
「そなたも猟兵なら戦うべき時が分かるだろう?クラウス、ガランシャールを」
「こちらに……」


 いつの間にか子爵の側に立っていたクラウスさんは大きな両手剣を子爵に渡した、何て美しい剣なんだろうか。


「これは我がアルゼイド家に伝わりし宝剣『ガランシャール』だ、さあ……そなたも剣を抜くがよい」


 子爵は本気だ…気を抜けば倒れてしまいそうなほどの闘気を僕に放ってくる。これはやるしかない……そう思った僕は刀を抜き戦闘の態勢に入る。


「リィン……」


 フィーが不安げに声をかけてくる、相手は光の剣匠、今の僕ではどう足掻いても勝てないだろう。いや、今はそんな弱気な事を考えてる場合じゃない。目の前の敵に集中しないと……


「……」
「……」


 互いに静止したまま数秒が経過した、僕にとって永遠とも感じる時間が流れていくが……


「はあッ!!」


 先に動いたのは僕だった、地面を蹴り上げ子爵の背後に回りこみ冗談から斬りこむ。普通の剣士ならこれで終わる、だが子爵は振り向きもしないまま最小限の動きで僕の攻撃をかわした。


「やああッ!!」


 素早い動きで太刀筋を読まれないようにかく乱し上、背後、下からと攻撃していく、だが子爵はこちらに見向きもせずに全ての攻撃をかわしている。


 ガシッ!


「なッ!?」


 しまいには指で刀を受け止められてしまう。


「中々の速さだがまだ甘い!」


 ブンッ!


 子爵は刀ごと僕を前に投げ飛ばした、何とか体勢を立て直し着地する。


「どうした、そなたの実力はこの程度か?」
「ぐッ……時雨!!」


 離れた場所から瞬時に相手に接近して放つ戦技「時雨」。僕の得意技を子爵に放つ、が子爵は先ほどと同じようにその場から一歩も動かず身体の動きだけでかわしていく。


「時雨連撃!!」


 時雨を連続で繰り出す『時雨連撃』、だが子爵はそれもかわす、こっちは全力で技を放っているのに子爵は顔色一つ変えずにかわしていく。


「うおおおっ!!」


 僕は太刀を横に構えて下半身を狙ったから薙ぎ払った一撃を放つ、子爵はそれを跳んでかわした。


「時雨空牙!!」


 空中に跳んだ子爵目掛けて時雨を放つが、子爵はそれを剣で弾いて防いだ。


「ならば!」


 僕は隠し持っていた煙幕を地面に叩きつけて辺りを煙に漂わせた。本当はこんな卑怯な手を使うのは気が引けるが相手は光の剣匠、そんな悠長な事を言ってはいられなかった。


「そこだ!時雨・零式!!」


 煙幕の中に空気の流れを感じ取った僕は身体のバネを使い近距離から放たれた時雨を放った。だが僕が突いたのは子爵の残像だった。


「なっ……!がはっ!?」


 そして背後から放たれた殺気に振り返ろうとした僕の頬に平手打ちが放たれた。ゴロゴロと地面を転がりながら何とか体制を立て直すが脳が揺れて意識が朦朧としてしまう。
 そして煙が晴れて子爵が剣を肩に担ぎ僕を見ていた。


「はぁ、はぁ……ここまで差があるのか?」


 純粋な剣の実力なら団長以上かも知れない、勝てる相手じゃないのは分かっていた、でも次元が違いすぎる。ここまで強いとは思ってもいなかった。
 ……悔しい。実力的に圧倒的な差があるのは承知している、だが僕だって剣士だ。勝てなくとも一子報いたい、そんな気持ちがわいてきた。
 

「すぅ、ふぅ……」


 僕は刀を鞘に戻し鞘を腰にあて居合いの構えを取る、今僕が放てる最大の一撃を子爵にぶつける!


「ふむ、そなたの全力で来るか。なら私もそれに答えよう」


 子爵がこの仕合で始めて剣を構えた、それだけでさっきの倍以上の闘気が子爵から溢れてきた。


「焔の太刀!!」


 僕の全力の一撃が子爵に向かって放たれた、それに対し子爵は剣を頭上に構えた。


「うおおおぉぉぉ―――――!」
「……せりゃあッ!!」



 ガギィィィン!!


「……」
「……」


 互いの一撃が交差して僕と子爵は背中あわせになる。ははっ、やっぱり光の剣匠の名は伊達じゃなかった……!


 ガクッ


 凄まじい衝撃が体に流れ溜まらず僕は膝をついた。


「リィン!」


 フィーが僕の側に駆け寄ってくる、その瞳からは大粒の涙が流れていた。ごめんねフィー、悔しいけど勝てなかったよ……


「リィン、そなたの最後の一撃、中々のものだったぞ」
「ヴィクター子爵……」


 僕は全力で戦った、でも子爵の足元にも及ばなかった。これが最強クラスの剣士……最後にこんな凄い人と仕合が出来てよかった。


「子爵、無礼を承知でお願いがあります。僕はこのまま大人しく投降するのでどうかフィーだけは見逃していただけないでしょうか?」
「リィン、そんな駄目だよ……」
「でも僕達の正体がばれてしまった以上こうするしか君を助ける方法は……」
「嫌、そんなの嫌……リィンが捕まるならわたしも一緒に捕まるよ」
「フィー、でも……」


 俺はフィーだけでも見逃してもらえないかと子爵に悲願した、だがフィーは首を横に振って自分も捕まると言い出した。どうすればいいのだろうか……


「……そなた達、先ほどから何を騒いでいるのだ?」


 ……えっ?子爵の言葉に僕は呆気に取られた。フィーも開いた口が塞がらない、といった顔をしていた。


「あの、子爵は僕達が猟兵だって知ってるんですよね?」
「うむ、先ほどそなた達から話を聞いたから知っている」
「じゃあ何故僕達を捕らえようとしないんですか?」


 子爵はよく分からない、というような表情を浮かべる。あれ、僕がおかしいのかな?


「そもそも何故そなた達を捕らえる必要があるのだ?」
「いや、僕達は猟兵だから……世間からすれば悪党なんですよ?」
「猟兵が世間からどのように思われているのかは私も知っている、だがそれは世間の思うことだ。私はレグラムを治める領主としてこの町を守る立場にある、もしそなた達がこの町で悪事を働いたなら私はそなた達を捕らえよう。だがそなた達はそのような事は一切していない、故にそなた達を捕らえる理由は無い」
「「………」」


 子爵の言葉に僕とフィーは驚いていた、今まで猟兵と知られたら殆どは『悪』として僕達を見る人ばかりだった、だからこそ子爵の言う言葉に驚きを隠せなかった。


「確かに猟兵なら汚れた仕事もする、そういった意味ではそなた達は善人ではないだろう、だが悪人でもないことも知っている」
「えっ?」
「『剣を交え己を知り人を知り本質を知る』、この言葉はラウラにも教えてきた私の真理だ。武とは己の心を映し出す鏡のような物……心に迷いあれば技のキレは鈍くなり、殺意のみをもって振るえば荒々しくなる。それは剣も同じこと、剣を交える事で私はそなたを知った。
 そなたの剣は弱弱しくも真っ直ぐな太刀筋であった。だからこそ私はそなたが心の良き人間だと、そしてそんなそなたに心許すフィーも同時に悪などではないと理解した」


 『剣を交え己を知り人を知り本質を知る』……何て重い言葉なんだろうか。


「リィン、そなたは少し『猟兵』という立場に捕らわれてしまっていないか?」
「あ……」


 試食にそう言われて俺は気が付いた、確かに僕は猟兵という立場を気にしすぎていたのかも知れない。
 猟兵は世間から嫌われている、それは事実だ。だから僕は自分の立場を隠していた、だがそれは心を許した相手にもしなければならないのだろうか?
 僕はラウラと出会い話し剣を交えて彼女がどういう人間なのか何となく分かってきた、剣の道を真っ直ぐに歩き、何事にも一生懸命で揺ぎ無い自分の正義を持っている。でも時々ふと浮かべる笑みが可愛いそんな女の子……


「そうか、僕は本当の意味でラウラを信じてなかったんだ……」


 僕はラウラの事を知った、でも彼女が猟兵を嫌っていると知って僕は「ああ、きっとラウラも僕の正体を知ったら拒絶する」と決め付けてしまった。
 もし僕がラウラを信じて本当の事を話していれば、例え『猟兵』は嫌っていても『リィン・クラウゼル』として受け入れてくれたのじゃないか?僕を猟兵と知っても受け入れてくれたエレナのように……
 でも僕はラウラに歩み寄らなかった、自分が猟兵とばれて拒絶されることばかり気にしていた。


「僕は『リィン』じゃなくて『猟兵』としてラウラと向き合っていた。彼女の事を理解したつもりになっていた……馬鹿だな僕は…向き合えていなかったのは僕だっていうのに」
「リィン……」


 フィーがそっと僕の手を握る。


「リィン、わたしも同じだよ…わたしもラウラをちゃんと理解できていなかった、ラウラは凛々しくて強くて迷いなんて無い、そう思ってた、でもラウラもわたしと同じで心の弱い普通の女の子だった。だからちゃんとラウラと話そう、今度こそ互いに分かり合えるように……」
「フィー……」


 そうだね、まだ終わっていない。僕はまだラウラと向き合えていない、なら今からちゃんと伝えよう。僕の本当の思いをラウラに知ってもらいたい。


「子爵ありがとうございます、貴方のお陰で僕は自分に足らなかった事を知れました」
「ふむ、ならそなた達はどうするのだ?」
「決まっています、ラウラに会って僕の事を知ってもらいたい、ラウラとちゃんと向き合いたい、だから行きます」
「わたしもリィンと同じ気持ち」
「そうか、なら行くがよい。ラウラを頼んだぞ」
「「はい!」」


 僕達は子爵に礼を言って屋敷を後にした。


ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


side:ラウラ

 
「はあ、私は何をしているのだ……」


 屋敷から逃げ出した私はエベル街道の外れにある小川の近くにいた。昔、何か嫌なことがあるとよく母上が連れてきてくれた場所だ、もっとも今では一人で通っているが……


 リィンとフィーが猟兵だと知って最初に思ったのは「何故リィンとフィーが猟兵をしている」ということだった。
 私は二人の事を信頼していた、のほほんとしているが強い信念を持っているリィン、そして兄を思いやる優しい心を持つフィー……
 そんな二人だからこそ私は心を許していった、だが二人が猟兵と知り私は裏切られたように思ってしまった。


 猟兵、戦場を渡り歩き戦争に介入することを生業としている者達。ミラのためなら如何なる非道も容易く行う、それが私の猟兵に対するイメージだ。
 父上はやむなく猟兵になる者もいるというがそれでも納得できなかった。どんな理由があろうと弱者を虐げていい理由にはならないはずだ、頭では理解できても心は納得できなかった。


「はぁ……」


 ガサガサッ


 その時だった、近くの茂みが揺れだした、まさか魔獣か?私は剣に手をかけるが……


「おお~?また道に出られなかった、この辺霧が濃すぎだろう……」


 茂みから出てきたのは無精髭を生やし黒いジャケットを着た男性だった。


「お、丁度いい所に人がいたな。なあ嬢ちゃん、レグラムの町ってどう行くか知ってるか?」
「え、あちら側に行けばレグラムに続くエベル街道に出るから後は街道灯に従って行けばレグラムにつきますが……貴方は旅の方ですか?」
「まあそんな所だ」


 なるほど、旅の人だったか。この辺りは霧が濃く見慣れている者でも迷ってしまう事があるから旅人などがこのように森を彷徨うことも多い。彼もその一人なのだろう。


「良かったらレグラムまで案内しましょうか?」
「いいのか?息子達の様子を見にいこうとしていて迷っちまうなんて思わなかったから助かるよ」
「レグラムに息子殿がいらっしゃるのですか…?」


 むう、レグラムにそのような者がいたのか?覚えがないが……



「ああ、今丁度その町にいるんだ。そういえば、息子達が世話になってるみたいだな……光の剣匠の娘さん」

 
 バッ!!


 私は直に目の前の男から離れた、何故ならこの男から凄まじい闘気を感じ取ったからだ。


「まさか、そなたはリィンとフィーの……」
「ああ、あいつらの父親をやらせてもらってる。ルトガー・クラウゼルだ」


 ルトガー……父上から聞いたことがある、このゼムリア大陸に存在する多くの猟兵、その中でも最強と言われる猟兵の王『猟兵王』ルトガー・クラウゼルか!?


 私は直に剣を構える。


「おいおい、いきなり物騒だな」
「黙れ!猟兵がレグラムに何のようだ、何を企んでいる!」


 剣を突きつけて叫ぶ私、だが目の前の男は全く動じていなかった。


「何って慰安旅行かな?」
「ふざけるな!私は真面目に聞いておるのだぞ!」


 はっはっはと笑うルトガー・クラウゼル、その行為が余計に私を怒りに染める。


「何だ嬢ちゃん、お前さん、よっぽど猟兵が嫌いなんだな」
「当たり前だ!そなた達猟兵はミラの為ならどんな悪行すら手に染めるという、弱き者を欲望のままに虐げる……そんな奴らを許せるものか!!」
「ん~まあ確かに嬢ちゃんの言う通りだな。猟兵はミラの為に戦い、破壊して奪い去る。嫌われてもしょうがない連中だ」
「そうだ、猟兵は悪だ。リィンもフィーも猟兵だった……二人も悪だったのだ!信じていたのに彼らは私を裏切ったのだ!!」


 リィンもフィーも私には何も話してくれなかった……それが何よりも辛かった。


「何だ、つまり嬢ちゃんは二人が正体を隠していたことにキレてるのか?まあ許してやってくれよ、猟兵がおいそれと一般人に正体を話す訳にはいかないんだ」
「それは疚しいがあるからだろう!リィンもフィーも何か企んでいたから隠していた、そうじゃなければ私に隠したりなど……」
「だがよ嬢ちゃん、もし仮に二人が正体を明かしていたら嬢ちゃんは二人を受け入れていたのか?」
「そんな事は……そんなこと……」


 『当たり前だ』……その言葉が何故か言えなかった、もし二人が私に正体を話していたら私は……


「嬢ちゃんは二人を嫌悪した……そうじゃないか?」
「……!?ッ」


 彼の言葉が胸に突き刺さる。私は違うと言いたかった、でも言えなかった。


「図星を言われて言葉もないか?」
「!?ッ……黙れ!!!」


 ブンッ!


 私は横なぎに剣を振るう、だがルトガー・クラウゼルは容易くかわす。


「おいおい逆ギレかよ、それでも貴族の娘か?」
「煩い!そなたに私の何が分かる!」
「分かるさ、嬢ちゃんが狭い視野でしか物事を見えてないことがな。嬢ちゃんは『猟兵』という一つの存在に捕らわれすぎだ、本当にリィンとフィーを理解したのか?『猟兵』じゃなく『個人』として?」


 そう言われた私は思わず足を止めてしまった。私は本当にリィンとフィーを理解したのか?本当に彼らの事を理解できているのか?私は……








『ラウラ……あなたは生きて……私の可愛いラウラ……』
『母上……母上―――――!!!』






 いや、猟兵は悪だ、悪でしかないのだ……!


「何と言われようと猟兵は悪だ!」
「……なるほど、何か事情があるみたいだな。なあ壌ちゃん、一つ賭けをしないか?」
「賭けだと?」
「ああ、今から十分間俺は何もしない、もしその間に俺に傷一つでも付けれたら俺を遊撃士なり軍なりに突き出して構わない」
「何だと、そなた正気か?」
「勿論だ、だが賭けっていうもんは対等じゃなきゃ意味がねえ……もし十分が過ぎたらその時はお前の命を貰うぞ?」
「構わぬ、騎士とは弱き者を守る者……悪を倒す為なら命など惜しくない!!」
「はッ、言うじゃねえか。戦いのたの字も知らねえ小娘がよぉ……!」



 ゾワッ!!


 な、何だ、この殺気は……剣を持つ手が震える、い、息が出来ない……!?


「何だ、震えてるぞ?さっき言った言葉は嘘だったのか?」


 負けられない、私は猟兵にだけは死んでも負けられない……!


「行くぞ!!」


 バッ!


 私は剣を構えルトガー・クラウゼルに向かっていった。



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


side:リィン


「ラウラ…町にもいないなんて……」


 ラウラを探してレグラムの町まで来たがここでもラウラを見つける事は出来なかった。


「リィン、もしかしたらラウラは森に行ったのかな?」


 森か、もしそうならあの霧の中を探すのは困難だぞ。どうしようか……


「あら、貴方達、一体何をしてらっしゃるの?」


 僕達に声をかけてきたのはクロエだった。そうだ、クロエならラウラの居場所に心当たりがあるかも知れない、彼女に全てを話そう。


「クロエ、君に話があるんだ」
「気安く名前を呼ばないでくださる?……と言いたい所ですけど何やら真剣そうな話みたいですわね」
「ああ、実は……」


 僕はクロエに全てを話した、自分達が猟兵だったこと、そのせいでラウラを傷つけてしまったこと、子爵との仕合したこと、そしてラウラに自分達の事を話したいということ全部を……


「……なるほど、話は分かりました。ですがまさかお二人が猟兵だったとは思いませんでしたわ」


 クロエはそういうと何かを考えるような表情を浮かべた。


「……一ついいでしょうか?貴方達はお姉さまを悪意をもって騙した訳ではないと言い切れますか?」
「確かに僕達がラウラを騙していて結果的に彼女を傷つけてしまったのは事実だ……僕は怖かった、猟兵と知ったラウラに拒絶されるのが怖かったんだ。でも今は違う、例え本当の事を話してラウラに拒絶されても僕はラウラと真剣に向き合いたいんだ!」
「わたしも同じ……彼女にキチンと話して彼女に向き合いたい。だからクロエお願い、力を貸して……」


 クロエはジッと僕達を見つめる。


「……貴方方がいい加減な気持ちでないのは分かりました。お姉さまを泣かせた事については後で聞くとして今は力を貸しますわ」
「クロエ……!」
「クロエ、ありがとう!」
「お礼なら後にしてください。お姉さまはきっとエベル街道を外れた場所にある小川の近くにいると思いますわ、お姉さまは昔から何か悲しいことがあるとそこに行ってましたから」
「ありがとうクロエ、行こうフィー!」
「うん!」


 クロエにお礼を言って僕達はラウラの元に向かった、待っていて、ラウラ。



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


side:ラウラ



「はぁはぁ……がはぁ……あ、うぐ……」


 な、なんという強さだ……私は全力で向かっているのに攻撃が掠りもしない、まるで父上と戦っているようだ。


「おいおい、もう8分が過ぎちまうぞ。威勢が良かったのは最初だけか?」
「ぐッ……」


 これが最強クラスの猟兵の力か、赤子と大人程の力量の差……恐らく勝ち目はないだろう。


「だが……例え死ぬことになったとしても猟兵には……猟兵だけには負ける訳にはいかないんだッ!!」


 ……私は負けない、負けられない!!


 私は剣に力を込める、今の私が放てる最大の一撃……それを放つ!


「うおおおぉぉぉぉッ!奥義、洸刃乱舞!!」


 決まれ、決まってくれ!!


「……時間だ」


 ヒュンッ ガキィィィン!!


「あ……」


 ヒュンヒュン、ドスッ!


 ……一瞬だった。一瞬相手の姿が消えたと思ったらその時には腕に強い衝撃を受け、剣が飛ばされ私が膝を付くのと同時に地面に突き刺さった。


「俺の勝ちだな」


 負けた……ははッ、負けたか。当たり前だ、勝負など最初から決まっていた。頭に血が上った私と歴戦の戦士……勝ち目などあるはずがない、そんなことに今気づくなんてな。


「私の負けです、約束通り命を差し出します」


 私は瞳を閉じる。父上、申し訳ございません、ここで散る私をどうかお許しください。


「……はぁ、止めだ」
「……は?」
「止めだって言ったんだよ、お前さんの命なんざ欲しくもない、ありゃジョークだよ。大体唯の小娘相手に本気になると思うか?」
「わ、私を侮辱するのか!!」


 確かに私が目の前の男に勝つ確立など万が一も無いのは承知だ、だが如何にも格下のように言われて怒りを抑えていられる程私は大人ではなかった。


「なんだ違うのか?相手の力量も測れず感情的になって向かってきたのはお前さんだろうに」
「……」


 相手の正論に何も言えなかった…その通りだったからだ。


「……なあ嬢ちゃん。俺はな、嬢ちゃんの言うとおり色んな事をしてきた、汚れ仕事なんざ腐るほどやってきた。でもな、俺と『リィンとフィー』を一緒の目で見るのは止めてやってくれ」
「……えっ?」
「特にリィンだがあいつは私欲の為に猟兵になった訳じゃない、あいつは……大切な者を守れなかった、だから力を求めて猟兵になったんだ」


 リィンが守れなかった者?それは一体……


「あの……」
「おっと、これ以上は言えないな、続きは本人から聞いてくれ」
「えっ?」


 その時だった、林の向こうから誰かが此方に向かってきた。あれは……


「あ、ラウラ!」
「やっと見つけた」
「リィン、フィー……」


 な、何故二人がここに?この場所は私しか知らないはずなのに。チラリとルトガー殿を見るが彼は音も無く消えていた、一体何処に?いや今はリィン達だ。



「クロエがラウラがここにいるって教えてくれたの」


 クロエか、確かに彼女ならここを知っていてもおかしくないな。


「ラウラ、まずは一言言わせてほしい。黙っていて済まなかった!!」
「わたしもごめんなさい……」


 リィンとフィーはそういうと頭を下げる。


「な、何を……」
「僕達は猟兵だっていう事を隠していた、そのせいで君を傷つけてしまった、謝っても許してもらえないと思う。それでも言わせて欲しい、隠していて本当にゴメン!」
「ごめんなさい、本当にごめんなさい……」


 リィンは真剣に、フィーは涙を流しながら頭を下げていた。


「や、止めてくれ……私はそなた達に頭を下げられるような人物じゃない。そなた達の事を考えれば猟兵だという事を隠すのは当然だ。それなのに私は感情的になってそなた達に酷い事を言ってしまった、謝るのは私のほうだ」
「ラウラ……」


 私は自分の方こそ悪いと二人に頭を下げる。


「リィン、私は先ほどそなたの父上に出会った」
「え、団長に……?」
「ああ、私は無謀にも戦いを挑んでしまった。軽くあしらわれたがな……」
「ははッ、なんか奇遇だね。僕もさっき君の父さんと仕合をしたよ、ボロ負けだったけどね」
「何とそうだったのか、確かに奇遇だな」


 まさかリィンも父上と試合をしていたとは……凄い偶然だな。


「うん、でも子爵のお陰で僕は大事な事に気がついた、だから今ここにいるんだ、君とちゃんと向き合う為に……」
「わたしもラウラを知りたい、わたしの事をラウラに知って欲しい、だからここに来た」


 リィンとフィーは真剣な目で私を見る。分かり合うか……私もちゃんと二人に向き合いたい。


「そうだな。私もそなた達に聞きたいこと、話したいことが沢山あるんだ」




ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー





side:リィン


「……という訳なんだ」


 僕はラウラに全てを話した。僕が団長に拾われたこと、西風の旅団という家族が出来たこと、フィーと出会ったこと、そしてエレナとの事も全てだ。


「そんなことがあったのか……」


 ラウラは悲しげな表情でそう呟いた。


「リィンがどうして猟兵になったのかをわたしも始めて知った……」
「そういえばフィーにも話してなかったね。これは僕にとって戒めなんだ、二度と同じ後悔はしない、そう誓ったんだ」
「リィン……」


 僕が俯いているとフィーが側に来て僕をギュッと抱きしめる。


「フィー?」
「ごめん……わたし、リィンの事も何も知らなかった。貴方の妹として貴方を支えなきゃいけないのにわたしは貴方に甘えてばかりで……こんなんじゃ妹失格だよね」
「……そんなことないさ」


 僕はフィーの小さな身体をギュッと抱きしめ返す。


「フィーがいてくれるから僕は強くなろうって思えるんだ。だからそんな事を言わないでよ、僕にとってフィーは大切な妹なんだから」
「リィン……うん」


 フィーは優しく微笑みながら強く頷いた。


「リィン、私はそなたが何故猟兵になったかを知った、今度は私がそなた達に話す番だ。私の過去を……」
「ラウラの過去……」
「うむ、私にはかつて母上がいた。『アリーシャ・S・アルゼイド』……それが私の母上だ」


 アリーシャ・S・アルゼイド……!?帝国にその名有りと言われた凄腕の槍使いじゃないか。確か二つ名は『戦乙女』だっけ……まさかラウラのお母さんだったなんて。


「そんな凄い人が母親だったなんて、ラウラの強さの秘訣が分かったような気がしたよ」
「母上は騎士の勇敢な心と聖女の如き優しさを持った人で民衆からも慕われていた。父上に並ぶ私の目標だった」
「……だった?」
「母上はもう亡くなっている、私のせいで……」


 ラウラのせいだって?一体何があったんだ?


「あれは二年前の事だ。父上が私用でレグラムを離れていた日、私は母上と共に留守番をしていた。その日私は父上に行ってはならないといわれていたエベル街道に出てしまった、外の世界が見てみたかった私は父上がいない間に見てみたかったんだ……だがそれが間違いだった、私は猟兵団『霧の狂気』に誘拐されてしまった」


 霧の狂気……確か二年前まで活動していた猟兵団だったはずだ、人数は少ないが実力者で固められた団だと団長から聞いた事がある。


「でもどうして猟兵がラウラを攫ったりしたんだ?」
「後に知ったが猟兵団を雇ったのは父上を恨む貴族の者だったらしい、その貴族は民から不当な税金を取っていたらしいのだがそれを父上が止めたみたいでそのせいで地位がどん底まで落ちたのが動機だったそうだ」
「何それ、完全な自業自得じゃん」


 フィーの言葉に僕も頷く、自分の悪事を明かされた腹いせってことでしょ?恨むなんて……


「なす術も無く捕らえられた私は森の奥に連れて行かれた、私を人質にしようとしたのだろう。私はいつ殺されてしまうのかも分からず唯震えていた、そんな私を助けに来てくれたのが母上だった」
「ラウラのお母さんが……」
「母上はあっという間に猟兵団を蹴散らしたよ、本当に強かった、母上は……」


 霧の狂気ってかなりの実力者揃いだったらしいけどそれを一人で蹴散らしたのか、凄いな。


「解放された私は真っ先に母上の元に向かった、だが倒れていた筈の猟兵の一人が何を思ったのか私に銃口を向けていた。私はそれに気づけなかった、母上は私を庇って銃弾を胸に受けた。泣きじゃくる私を母上はずっと抱きしめてくれた、息絶えるその時まで……」
「ラウラ……」


 母親を猟兵に殺されたのか、それならラウラが猟兵を嫌うのも無理はないよな……


「私は猟兵を許せない、母上を奪った猟兵を……父上もずっと後悔しているんだ、自分がいればこんな事にはならなかったと。顔には出さぬがいつもそうやって自分を責めている、クラウスも門下生の皆も同じように……」
「その時はラウラとアリーシャさんしかいなかったの?」
「当時クラウスは父上に付き添いで、門下生の皆も修行に出ていた。恐らくその隙を付かれたのだろう」
「そんな……」


 ラウラが語った過去は余りに悲惨なものだった、大人の汚い思惑で母親を失った彼女がどれだけの悲しみを受けたのか想像もできなかった。俺やフィーも親に捨てられた身だが記憶はない、だから本当の意味でラウラの悲しみを理解することは、少なくとも今は無理だろう。


「私は猟兵が嫌いだ、だがそなた達の事を嫌いにはなれない」
「えっ……」
「『剣を交え己を知り人を知り本質を知る』……父上が私に教えてくれた言葉だ。どんなに言葉で取り繕っても剣を交えれば相手の本質が分かる。そなたと戦い私はそなたの剣を知った、そなたが悪意を持って力を振るうような人物ではないととっくに知っていたのだ。なのに私は猟兵という言葉に捕らわれてしまっていた、本当にすまなかった……」


 ラウラはそう言って頭を下げた。



「ラウラ、そんなのお互い様だよ」
「うん、わたし達も隠し事をしてたしラウラだけが悪くないよ」
「いや素直に話してもらっていてもきっと私は受け入れなかった。ルトガー殿には教えられたよ、『猟兵』という言葉ではなく『個人』としてそなた達に向き合えとな」


 団長……本当に貴方はカッコよすぎですよ。


「リィン、フィー、改めてお願いがある。勝手な願いだがもう一度私と『親友』になってくれないか……?」
「それは無理だよ」
「そうか……」
「だってもう僕達はもう親友じゃないか」
「……えっ?」


 ラウラは驚いた表情を浮かべた。


「お互いに話し合って認め合えた…なら僕達はもう親友じゃないか、ねえフィー?」
「うん、わたし達とラウラは本当の親友だよ。ね、ラウラ」
「リィン、フィー……うむ!」


 ラウラは力強く頷いた、とても綺麗な笑みを浮かべながら……




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side:ルトガー


「ったく、ようやく仲直りしたか……」


 俺はリィン達から離れた高台で三人を見ていた、これであいつらも真の友になったというわけか。前にリィンに冷たい態度を取っちまったからお節介を焼いたが……まあ後はあいつら次第だな。


「子の成長はいつ見ても嬉しいものだ。そう思わないか、猟兵王殿?」


 背後から声が掛けられる。


「何だ、アンタも来ていたのか。光の剣匠さんよ?」


 俺に声を掛けてきたのは光の剣匠、ヴィクター・S・アルゼイドだった。


「猟兵王殿、そなたには礼を言わねばならん、そなたのお陰でラウラは成長できた」
「俺は何もしてないさ、それはお嬢ちゃん自身が気づけた事……そんな事を言ったら俺だって息子が世話になったじゃねえか」
「私はきっかけを与えたにすぎない、リィン自身が気づいたからこそ彼は成長した。ふふっ、確かに私たちは何もしていないな。ラウラも良き友人と出会えた、きっとアリーシャも喜んでくれているだろう」
「アリーシャ……アンタの奥さんか?」
「ああ、私にはもったいない程の良き妻だった。故に彼女を死なせてしまった事をずっと後悔していた……私はアリーシャと約束した、ラウラを立派な剣士にすると。だがあの子は『猟兵』という言葉に捕らわれてしまっていた、私ではそれを諭してやることは出来なかった。だからこそ彼らには感謝している。まさか猟兵に救われるとは思ってもいなかったがな」
「ははっ、そうだな」


 子爵はそういうと俺に背を向けた。


「行くのか?」
「少し用事が出来てな、直にレグラムを発たねばならぬ」
「そうか、貴族様は大変だな」
「そうだ、そなたの息子殿に言っておいてくれないか?『娘が欲しくば私から一本取れるほどに強くなれ』とな」
「おいおい、そんな事自分で言えよ……」
「ははっ、それでは失礼する」


 子爵はそういってその場を後にした。


「親馬鹿だなぁ、まあ俺もか……」


 俺は三人をもう一回見てその場を後にした。


 


 
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side:リィン


「もう行くのか……」
「うん、そろそろ行かないと皆に置いていかれちゃうかも知れないしね」


 ラウラの屋敷の前でラウラ達が見送りに来てくれた。


「リィン様、フィー様。親方様は先ほど私用でレグラムを発たれました、親方様はお二人に感謝の言葉をつげられていました、私共々お礼を言わせてください」
「此方こそお世話になりました、子爵にもお礼の言葉を伝えてください」
「ありがとうございました」


 クラウスさんにお礼をいう。子爵がいないのは残念だが仕方ない、でもちゃんとお礼を言いたかった。


「リィン殿、再び会いまみれる時を楽しみにしています」
「フリッツさんもお元気で」


 フリッツさんと握手を交わす。また仕合をしたいなぁ。


「三人もありがとう、最初はあれだったけど楽しかったよ」
「ふふッ、私達も楽しかったですわ」
「でもお姉さまに手を出すのは許しませんからね」
「出さないってば……」


 シンディとセリアは相変わらずのようだ。


「……」
「クロエ、色々ありがとう」
「……フィー、貴方とは色々ありましたが良かったらまた来なさい、待ってますから」
「うん、また会いに来るね」



 フィーもクロエと別れの挨拶を交わす、しかし本当に仲良くなったね。


「リィン」
「どうしたの、ラウラ?」
「私はそなたに誓う、必ずもっと強くなる。心も技も鍛え真なる剣士になると……その時にまた私と戦ってほしい」
「うん、僕も強くなるよ、ラウラに負けないくらいに……約束だ」
「……うむ、約束だ!!」



 そして僕とフィーはラウラ達に別れを言いながらレグラムを後にした、新たな誓いを胸にしまって……






 


 
 

 
後書き
 今回はオリ設定でラウラの母親を書きました、でも実際ゲームでも謎だったんですよね、ラウラの母親…… 
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