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転生とらぶる

作者:青竹
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マブラヴ
  1087話

 一連の騒動でも最後まで続いていた緩衝地帯付近での戦いが終了したのは、俺がビルと通信を終えてから10分もしない頃だった。
 正直、ビルの顔はこの数時間で一気に歳を取ったように見える。
 元々はそれなりの年齢ではあったのだが、気力というか精神は若かったのが、今回の件が解決して一気に精神的疲労が襲い掛かって来た感じか。
 まぁ、その気持ちは分からないではない。誰がどう見ても、今回の件はアメリカの失態であり、つまりそれはアメリカ大統領であるビルの不祥事となるのだ。
 恐らくビルの名前は悪い意味で歴史に残る事になり、未来永劫――アメリカという国が存在する限り――教科書とかに載る事になる。
 勿論それだけではない。今回の件で冤罪を着せたソ連に対する謝罪や賠償。更には国際社会におけるアメリカの影響力低下。
 何より、現在BETAとの戦いで主戦力となっている国連軍でもその影響力は大きく落ちるだろう。
 まさに、アメリカにとっては試練の時を迎える事になる。
 ビルとしては、これから色々と大変な目に遭うのは間違いない。
 シャドウミラーとしては、一応アメリカの手助けをしていく予定だ。
 個人的にビルとある程度仲がいいというのもあるが、ぶっちゃけそれは問題じゃない。
 何だかんだと、このマブラヴ世界ではアメリカという国がなければ回っていけないのだから。
 特に食料。俺達シャドウミラーを経由して他の世界から輸入してはいるが、それにしたってアメリカという国の提供している食料の量を考えれば、そっちの方が圧倒的に多い。
 技術力に関しても、今でこそシャドウミラー製の兵器が活躍しているが、この世界がこれまでBETAと戦ってこれたのは戦術機を開発したアメリカの存在があってこそだ。
 特定の国を贔屓しているという風潮もあるのは知っているが……それにしたってしょうがない場面は多い。
 特に1972年に起こったF-4ショックと呼ばれている日本での出来事。F-4の導入を日本が決定したが、中国やヨーロッパでのBETAとの戦局が悪化した事により日本の優先順位が下げられるという出来事があった。
 これが日本が国産機に拘る理由になったんだが、ぶっちゃけこの件に関しては国ではなく世界的に見れば、どう考えてもアメリカの方が正しい。
 もしも事前の約束通り日本にF-4を導入していれば、その分の機数がユーラシア大陸では減ってしまい、結果的にBETAの進軍速度を押しとどめられなかった可能性が高い。
 そういう意味では、アメリカは世界的に見ると十分に役割を果たしている。
 ……まぁ、アメリカの国益のために選んだ選択肢が偶然そうなったって可能性もあるだろうが。
 ともあれ、アメリカが世界に貢献してきた役割は間違いなく大きいのだ。
 それを思えば、今マブラヴ世界でアメリカの地位を必要以上に低下させる訳にはいかない。
 それ故、シャドウミラーとしては今回の件でアメリカの擁護をする予定となっている。
 それに……一方的に非難されて割を食った形のソ連だが、こちらにも色々と怪しいところがある。
 具体的には、オルタネイティヴ5派のシンパが混ざっていた可能性だ。
 アメリカのオルタネイティヴ5に何故ソ連が? そう思う者もいるかもしれないが、地球を脱出する計画である以上、ソ連という国を裏切ってでも自分が生き延びたいと思う者がいてもおかしくはない。しかも上層部にいる奴で、だ。
 そうでなければ、今回の件がここまでスムーズに進んだのは多少疑問が残る。
 その辺を調べる事が出来れば、ソ連からの追求も最低限に出来る……といいなぁ、と思う。
 ただ、恭順派は通信とかをしないで手紙とか伝令のようなアナログな方法で連絡を取っていたと考えると、証拠が出てくるのかどうかは……難しそうな気がする。
 伝言の類であれば証拠が残る筈がないし、手紙であっても焼いてしまえば証拠の隠滅は可能だろう。
 その辺を考えると……
 ああ、でもアナログな方法でやり取りをしていたのはあくまでも恭順派だ。その裏にいたオルタネイティヴ5派やG弾信者がそこまで隠密性を重視していたかと言えば……正直どうだろうな?
 いや、でも俺達が動いているというのを知っているんだから、あるいは……?
 とにかくその辺はハッキング等が得意な技術班や、交渉が仕事政治班に任せるとしよう。
 そんな訳で、現在俺達は……

「システムXN起動。転移座標入力。転移フィールド生成開始」

 転移フィールドが、海にいる5隻の軍艦をも含めて生成されていく。
 そして……

「転移」

 その言葉と共に、アメリカ海軍の擁する港へと転移が完了する。
 港にビー、ビー、ビーという緊急警報が鳴り響くが、それもすぐに止まった。

『あ、その……シャドウミラーのアクセル代表でしょうか?』

 映像モニタに映し出されたのは、30代程の軍人。階級章は……少将。
 へぇ、この年代にしては結構出世している方だな。……まぁ、このマブラヴ世界では俺達が来るまでBETAとの戦いで多くの軍人が死んでいったのを思えば、それ程不思議って訳でもないんだろうが。
 ともあれ、敬礼と共に尋ねてきた男に頷きを返す。

「シャドウミラー代表のアクセル・アルマーだ」
『し、失礼しました! 自分はこの基地の司令を務めているアレクサンドル・ラビコー少将であります!』
「分かった、よろしく頼むラビコー少将。で、大統領から話は来ていると思うが?」
『は! そちらで鹵獲した軍艦と捕虜の受け渡しですね』
「ああ。ただ、見て貰えば分かると思うが……」

 アレクサンドルの隣に映し出された軍艦の映像に視線を向け、微妙な笑みを浮かべてそう告げる。
 そこに映し出されている軍艦は、全ての砲台やミサイル発射口、通信アンテナといった部位が破壊されており、既に軍艦とは呼べない有様になっている。
 ……あえて言うなら、海に浮かぶ棺桶か?

「ご覧の通り、こっちに抵抗してきた為に武器等は破壊してある」

 俺の言葉に、アレクサンドルも映像モニタを確認したのだろう。どこか渇いた笑みを浮かべていた。
 その気持ちも分からないではない。船体そのものは殆ど無傷に近いとはいっても、武器やアンテナのような外装とでも呼ぶべき場所は殆ど全てが破壊されているのだ。1から艦を作るよりは大分マシだろうが、それでもこの5隻の軍艦を完全復帰させるのにはかなりのコストと時間が掛かるのは間違いない。

『あ、あはははは。その、まぁ、撃墜されて沈没されるよりは良かったという事で』

 アレクサンドルの言葉が引き攣っているように感じられるのは、俺の気のせいではないだろう。

「分かった。取りあえずそっちに引き渡すぞ」
『ええ、お願いします』
「量産型W、降伏した者達に艦を向こうの指示に従うように命令しろ」
『了解しました』

 取りあえずこれで安心か。緩衝地帯の方も片付いたし、後はビル本人とアメリカ、エザリア率いる政治班に任せておけば大丈夫だろ。
 何だかんだと、恭順派の本拠地襲撃から始まった今回の件もようやく終わり、か。
 得られたものは多かったけど、疲ればかりが残る戦いだった。
 特に恭順派はともかく、G弾信者とオルタネイティヴ5派を潰せたのは大きい、恐らく夕呼辺りはこの経過を聞けば跳んで喜ぶだろう。

「じゃあ、後は全てそっちに任せてもいいな? 俺達はそろそろ帰還するが」
『はい。ご協力、ありがとうござました』

 敬礼し、感謝の言葉を述べてくるラビコー少将に頷き、捕らえた中将達も基地の軍人に引き渡し、俺は再び転移フィールドを展開してアラスカとアメリカの緩衝地帯へと向かう。





「へぇ。さすがコーネリアだな」

 転移が完了して映像モニタに映し出された光景に、思わず呟く。
 別にコーネリアだけが凄いって訳じゃないんだろうが、こうして見る限りだと多くの戦術機やガン・ルゥが手足を失った状態で地面に倒れているのが見える。
 リニアガン・タンクは、動けないようにひっくり返されていた。

『リニアガン・タンクは、何でひっくり返されてるんだ? 動けないようにキャタピラを破壊すればいいのではないか?』

 俺と同じ疑問を持ったのだろう。スレイが不思議そうに呟くのが聞こえてくる。
 それに答えたのは、SEED世界出身で大西洋連邦の軍人だったムウだ。

『ああ、あのリニアガン・タンクって戦車は、キャタピラが破壊されても動けるように高性能モーターを積んでるんだよ。だから本当に動けないようにするのなら、キャタピラだけじゃなくて車輪も全部破壊する必要がある』
「なるほど。で、それだと手間が掛かるから上下にひっくり返した訳か。まぁ、確かにああいう風にすれば身動き出来ないし、そもそも中に閉じ込められて逃げられるって事もないけど」
『そういう事だな』

 良く出来ました、とばかりに告げるムウ。
 その得意げな顔に微妙に腹が立ち、そのままスルーしてコーネリアへと通信を繋げる。

「コーネリア、一応応援に来たんだけど……心配は全くいらなかったみたいだな」
『そうだな。けど、その心遣いがありがたい。ここに援軍に来たという事は、そっちも無事に終わったのだろう?』
「ああ。こっちに降伏した軍艦は、それを率いていた中将と一緒にアメリカ海軍に引き渡してきた。で、こっちのお偉いさんは?」
『あそこだ』

 ラピエサージュが指さした方には、縛り上げられた10人程の軍人を囲むようにしてメギロートが存在していた。
 手足が縛られている以上、逃げる事は出来ないだろうから、そこまで厳しくする必要はないと思うんだが。

「G弾の類は?」
『幸いこちらにはその類の兵器はなかった。……全く、こんな馬鹿な真似をする為に私達が協力してきたのかと思えば、苛立ちよりも呆れの方が強いな』

 その言葉通り、心底呆れたといった様子のコーネリア。

『まぁ、でも別にアメリカ軍全てが今回の件に参加した訳じゃないでしょ? 寧ろほんの一部だったんだから、その辺は良かったんじゃない?』
「レモン。そっちも無事だったらしいな」
『あら、ご挨拶ね。仮にもシャドウミラーのメンバーとしてはアクセルと同じくらい最古参なのよ? アクセルと一緒に幾つもの戦場を駆け抜けてきた私が、こんな場所でやられる筈がないじゃない』

 パチリ、とウィンクをしたながら告げるレモン。
 確かにこのマブラヴ世界の兵器レベルを考えれば、俺達をどうにか出来る程の戦力がないってのは確実なんだけどな。
 それでも……

「実働班のコーネリアはともかく、レモンは技術班だろ。……俺達シャドウミラーの根幹を成すのが技術班なんだから、少しは気をつけてくれよ?」

 そう呟く。
 技術者として、医者として、戦闘メンバーとして、更にはシャドウミラーを纏めていくだけの統率力を持っているレモンだ。正直、俺よりもシャドウミラーの代表に相応しいと言えば、否とは言えない。
 いや、レモンがシャドウミラー代表の地位を寄越せと言ってくれば、俺は喜んでその座を譲るだろう。
 今でこそ代表でございとして動いている俺だが、その本質はやはり1人の軍人なんだし。
 けど、レモンはそんな事は一切言わない。俺に対して思うところもあるんだろうが、何を言うでもないしな。
 他の世界に転移する時は俺が向かうという事もあり、そういう人物が代表だというのは色々と不味いと思うんだが。

『ふふっ、心配してくれてありがとう。けど、大丈夫よ。それよりもこっちでもそろそろ向こうから来る筈でしょうし……ああ、ほら』

 レモンの呟きと共に、こちらに向かってくる戦術機、F-15Eを4機確認する。
 にしても、F-15Eは随分と多いな。
 こっちのコーネリアが倒した部隊の中にもF-18Eがそれなりの数がいるし、最新鋭機って割にはかなり作られている印象だ。

『アクセル、向こうからの挨拶はこっちで受けるが構わないな?』
「ああ、そうしてくれると助かる。堅苦しいのは嫌いだし」

 この場にニーズヘッグがいる以上、向こうとしてもこっちに挨拶はしたいだろう。だが将官ならともかく、一兵士相手に俺が挨拶に出て行くと色々と舐められるのも事実。
 その辺を以前エザリアに言われた事もあるし。
 コーネリアの言葉は、それを慮ってのものだろう。
 最初に来たF-15Eの後に続くように、後続の戦術機や指揮車といったものがやってくる。 
 進軍速度は、アメリカ軍だけあって大したものだ。
 それから30分と掛からずに全ての部隊が到着し、捕虜とした軍人達を捕縛しては後方へと護送していく。
 ある程度の地位がある人物なのだろう。将官と思われる人物が暴れてはいたが、軍人達は全く躊躇せずに引っ立てる。
 余程ビルから厳しい命令が下っているんだろう。
 そんな風に思いつつ、俺達はオルタネイティヴ5派やG弾信者といった者達が喚くのを眺めていた。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:370
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    ???

撃墜数:1183 
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